沖縄語かわら版. 第11号 (2008年7月1日)

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沖縄語を話す会会報 第11号 2008年7月1日発行 会長 城間 朝昌 事務局(編集室) 〒215-0031 川崎市麻生区栗平2丁目2番9−303 [email protected] 國吉 眞正 電話&Fax 044-988-8065

2007年12月1日

おきなわ ご

はな

かい

ちち

た けーんあち

忘年会「勉強会場で」

びんちょー



しながわ

おーさき

「沖縄語を話す会」 月に二 回 集ま ぬ勉 強 会、品川ぬ大崎

よん な

さん と

ぶし

・四無い三取る節-------------------------------------------------石原末子 うちなーぐちまむ

んかし

けん

さだ

・沖縄口守たる 昔 ぬ県ぬ定み---------------------------------船津好明 ・会報に出てきた語句の説明 ・事務局から

ホームページ⇒ http://www.wwq.jp/p/

染料インクを使用しています。水濡れにより、変色したり印字がにじみますのでご注意ください。

よん な

さん と

ぶし

四無い三取る節



石原末子(島尻郡八重瀬町)

し



に起き、あがよーなーそー、済まちゃんてん。年

八重瀬町字富盛の言葉

ー 

ぶに 





小取いねー、済まさらんどー。さ骨折いねー、寝た

沖縄南部の各地域の言葉を音声収録して、これを私 どもの書き方(沖縄文字を使用)で表記してみようと 試みております。 今回は、八重瀬町字富盛の言葉を録音してテープ起こ しをしました。 石原末子さんは、純粋の富盛言葉を話せる方です。 言葉の抑揚、つまり調子を上げたり下げたり、また、 強めたり弱めたりすることは、勿論表記することは出 来ませんが、発音は私どもの書き方で適切に表記出来 ます。 文中**印は聞き取りにくいところですが、文の前 後から判断して、意味は十分理解できます。 出来るだけ音声の通りに表記しました。 (國吉)

くる

きりどー。しこーから、転ばりーる。 むん

あさ

ばん

テレビん、クーラーんしたねー物。朝から晩ま、 に





ただちょ、寝んたい起きたいっし暮らすしやか、 すり

ずり

あっ

揃ー揃ーっし歩ちゃびらな。 ー

ー

じゅ

ふゆーしーねー、胴くゆんどー。手さん 動 かち、 はまやびらな。 ちゃく し

うふ

じ

ちゅ な

嫡 子ぬまからーふーちん、大っ人成たく妻 うや

めー

しがた



めー、親ぬ前にんかーぎん 姿 ん見しらんく、 しんしょー

 むい

げん き

いしはらすえ こ

みー

眞 正 さん。元気やれー。富盛ぬ石原末子やしが、 わ

げん き



我んにん元気やしぇー。 すい

わったー

ちゃー

さん と



ちむ ー

うた

ぶし



しし、かまぶくからあしびち、肝小、らふー



さんまいにく

がてー、 「四無い三取る節」ん言し、うりよー、我 わったー  むいく ば



んー







ころ

あらそ

ゆー

や しぇーくだもの

やくわり



さん と

ぶし



きびづく



きゅーよー

みー



う

ざき

わらび



ちゃー

みじ はな だ

がんじゅーむん



みー

ー



かさ

じんせいはなみちなま

ち ば

にーせーたー

がんじゅーむん

ぬく

くる

で ばん やくわり



をじーんをばーん気張みそーれー。出番役割ひっ取 い

が い ちゅく



やーに、生き甲斐 作 行ちゃびらやー。

いみせーねー、肺炎どー。衣ん重び、温たま、 ーたー

ち

なー、やしが、人生花道今からどー。





ちぬ

ちゃー

っ子ぬ 達 んよーやくふーち、勤みんうちなち、

ちゃーんてん。年小取いねー、済まさらんさ。冷じゅ はいえん

ゆく

ん。ひる酒うさが憩みそーれー。

にしんじーん跳に飛ばち、水洟垂い小そー済ま しー 



よーいしみしぇーんどー。くたんーしん恐るしむ

と先ず、 「冷えない」やー、童 ん 達 や頑 丈 者、新 は



よん な

ばー





ーしー、飛んじゃー舞ーやー、先じ済むしが、よーい

三取る節」ん言ちょーる場てー。 ま

ちょーみー

パイナップルから黍作り、ゲートゥボールにかちゃ

を取る」 、 「役割を取る」うぬ三ち、あんし、 「四無い さん と

あらむんじょー ぐ

や しぇーくだもの

る」ん言しぇーやー、 「野 菜 果物を取る」 、 「休養 と

ため

る。野 菜 果物うさがみそーりよー。

、 「 争 わない」うぬ四ちてー、 「三取 い」 、 「怠けない」 い

いっぺー

かた噛みや、為ーあらんさー。荒物 上 戸 長 命や

「四無い」ん言ーねーやー、 「冷えない」 、 「転ばな なま



三枚肉、うさぎー欲さー、一杯あいびーしが、ちゅ

んが、我達富盛言葉っし読見だー。 よん な

りっしん

伸びやびらな。うり立身やいびーる。

我達よー、年寄ぬ 達 が、あぬ、舞ーたいする歌やし よん な



わじわじー、くさくさー目く。伸びーみそーれー。



あん小達ん二才達ん頑 丈 者、きっちゃき転ん、跳 1

ちゃーやたがやー。 な は

しょー わ じゅー ぐ



まち

こー

那覇ぬ町んかい行じよー、くぬテープがあらー買ま うく

わったー

ひーじー

むねよし

ち じ

ほーげぬ

は ち か

ろんだぬ







しま

ちむ う



ぬー



いくさゆー







けん

さだ

ー

しちゃ

いち





たみ

 だん

くめ



しー

1∼4 飛ばち、

ー

 だし



戦 世ぬ暮らし益し為する為ぬ細ーきたる手段

や ま  ぐちる

ぐー

くと

くに

たち 

んー

5、大和口広みーる事ー、国ぬ立場から見じーね



いやさん思しがてー、なー、何ぬ手助きん成ら

く ば ー

くに



いっぺーてーしち

いす

ー、国ぬ言葉一ち為すしぇー一杯大切や、急が



ん、なー、くねー取らしぇー。 ぐ



しまく ば ひょー き ほーけんきゅー い いんかい



ちゃ

いっぺーじょーとー

たー

さけ

たみ



じ  う

く

ん、如何ーしんさんだれー成らん事やく、是非御

ん言しが、立ち上がらしーねー、なー、一杯 上 等 うむ

けんみん う まんちゅ

んだれー成らんあい、県民御万人ぬ栄ーゆる為に

ーが言る如に、なー、島言葉 表 記法研 究 委員会

まんちゅ

わか



ば す

万人んかい解らさんだれー成らん。また、うぬ場所

たる

ん思しがてー、なー、いっ達る頼まりーる、な、 わったーぬー

うちなーぐちぇ

し

さだ



なー、一杯、なー、ー、ー、ゆー、ーが言ん通



ふちがみ

作 らっとーん。定めー 下 ぬ通いやん。

わったー

いっぺー



ちゅく

ー、**肝打たっしがてー、だー、なー、我達や、





ふちがみ



うちなー ぐちぇ

言葉次世代に」ん言し、読、なー、一杯我んね



く

る沖縄 口 ー押し退きてー成らん言る県ぬ定みぬ

いっぺー わ

うむ





やんてー、沖縄タイムスぬ論壇んかい載したる「島 く ば じ せ だい

うちなーぐち

ー無ーん為すん」言しみたる年やしが、ぬまんぐ

さんつはちにち

ーがやー、三月二十日に、二十日あらん三月八日 おきなわ

や ま  ぐち

そーえつ

知事んかいしーち掛かやーに、渕上んかい「沖縄 口

ーん使ーくよー、なー、方言ん・・・。 さんつ は ち か

はち ち ふち か やなぎ



宗悦(宗悦)が大和口沖縄口ぬ事に付ー、渕上

きょーつー ご

じゅーん送いさ。なー、我達ん平生や、共 通語びけ ちけ

にん

昭 和 1 5(1940)年言ーねー、8月2日 柳

うちなーぐちぇ







かんげ

ねー沖縄 口 ー押し退きゆん言る 考 ーさりらん



我達何ん成らんむん。

ぐ

いる わ

かんげ



如、色分き 考 ーらんだれー成らん。 』 さだ

いくさあふか ま しゅぜぬ





くぬ定めー、戦 後外間守善んかい見ー付きらりー ーだ



る 間 ー、知らりらんたん。 うちなーぐちまむ

んかし

けん

さだ

さだ

沖縄口守たる 昔 ぬ県ぬ定み



船津好明(小平市) へーせーじゅーはち

にん

さだ

ちゅく

けん

いくさあ

うちなーぐちまむ

ちゅ

はじ

さだ

うふ

じちぇ

さだ



し がく

ゆし だ し えん

んかしうび 

わか

く

あら

さだ

ちゅく

や ま  ぐち

うむ

崎達がくぬ定み 作 れーやーん思たしぇー、大和口

はじ





うちなーぐちぇ





びけーじ押し付きーねー、沖縄 口 ーやが無ーん成

いくさゆー

し わ

ゆい

さだ

がっこー

えーさにん心配さる故やる。定めー学校んかい

ーあらん。 昔 ん定みらっとーたん。やしが 戦 世や くと



あらさち かん ちょく

さちたー

ん思とーるっ人ぬ多さんねーすしが、実 ー初みて んかし

けんがく む ぶ

戦 後、吉田嗣延が 昔 思出じゃち解たる事やん。新

とぅばの日」ぬ定めー、沖縄口守ゆる初みぬ定み うむ

かか

かい居たる新崎 寛 直 ん言る視学やたん。くれー

平成 1 8(2006)年に 作 らったる県ぬ「しまく ひ

ちゅく

くぬ定み 作 ゆしんかい係わたしぇー、県学務部ん



くば

たく、うぬ事ー知らりらんまま成とーん。

く

ん配らったんぬ事やん。 2

けん

うちなーぐちぇ



ほーげんふだ







会報に出てきた語句の説明

かんし、県っしぇー沖縄 口 ー押し退きてー成ら 

さだ

ちゅく

(沖縄語辞典、広辞苑による)

ほーげん

ん言る定み 作 たしが、方言札ー止まんたん。方言 ふだ

さだ

すむ



・うり:それ。そのこと。



札ー定みんかい叛ちょーく、止みらしわ済むし いくさ



みー

・新にし:秋ごろに吹き始める北風。

うちなー

が、 戦 ぬうすましく成、沖縄やアミリカんかいさ けの

し くち







けの

ー じ

・んじー:冬至に行う祭り。

さだ

っ、県ー仕事ん成らん成無ーらん。県ーくぬ定み ほーげんふだ や

うちなー ぐちぇ





ー じ

・冬至:冬至。二十四節の一つ。

ぐ う

っし方言札止みらち、沖縄 口 ー押し退きらん如御 まんちゅ

や ま  ぐちる

かんげ

いくさ

みじはな だ

・水洟垂い:水ばな。鼻みず。

ゆい

万人んかい大和口広みーる 考 ーやたしが、 戦 ぬ故 さだ

やく だ

ぬく

・温たまゆん:暖まる。



に、定めー役立たするまどー無ーんたん。 うちなー

けん



なま

てーげー

ー にん

・あん小:姉。ねえさん。

ーだ

沖縄ぬ「県」成から今まぬ大概130年ぬ 間 、

けん

く ば



しーじぇ

しちゃ

にーしぇー

・二 才 :二才の意。青年。

ぐ か

県ぬ言葉に付ーぬ政治ー 下 ぬ如変わとーん。 けん な

うちなーぐち や ま  ぐち

あ



・きっちゃき:つまずき。また、失敗。 ・あがー:痛い!。

たみ

県成たる後、沖縄口大和口んかい変ーゆる為なか や ま  ぐち

ぶに

・さ骨:足の骨。

る

い、大和口広みたる。 しょー わ じゅー ぐ

にん

・しこーゆん:用意する。準備する。 うちなー ぐちぇ

ぬく





むん

昭 和 1 5(1940)年、沖縄 口 ー残ち、押し退き ぐ

さだ

・したねー物:困ったもの。扱いにくいもの。 ・ゆん:すわる。 ・ただちょ:ただすわって。 ・ふゆー:物ぐさ。無精。 ・くゆん:堅くなる。固まる。

ちゅく

らん如しんぬ定み 作 たん。 へーせーじゅーはち

にん

うちなーぐちる

わらび

ちゃー

平成 1 8(2006)年、沖縄口広み 童 ん 達 んか なら



さだ

ー

ちゅく

・手さ:手足。

い習ーすん言る定み 作 たん。

・ふーすん:せいたけを伸びさせる。成長させる。 ・めーゆん:拾う。 (落し物を)拾い上げる。求め る。 ・かーぎ:姿。また、容貌。 ・わじわじーそーん:まさに怒りが発せんとしている。 ・くさくさ:くさくさ。気がめいり、心がふさぐさま。 ・かまぶく:かまぼこ。 ・あしびち:料理名。豚の足の料理。 ・うさぎゆん:押し上げる。ささげる。差し上げる。

沖縄タイムス昭和38(1963)年6月23日「沖縄にお ける共通語の歴史(9) 」 (外間守善)より (昭和15年の県布令) 『 戦時下に於る県民生活の刷新向上に関する具体 的方策 1∼4項 省略 5、標準語運動に際しては、国家的見地より、国語 の純正統一の重大性、緊急性と、県民発展の必須 的要件なる所以とを極力強調すると共に、特に方 言を貶すが如き誤解を招かざるやう注意するこ と。 』



・うさぎー欲さん:差し上げたい。 ・ちゅかた:一方。一事に専念すること。 が

・ちゅかた噛み:偏食。 あらむん

・荒物:粗い物。粗食。 3

・かちゃーしー:三味線の曲の一種。ジャズのように 急テンポで乱調子のもの。 

事務局から 今回は、初めて地域の話者の音声をテープに収録し て、その表記を試みてみました。話者は石原末子(旧 姓:具志堅)さんで、旧東風平町字富盛で生まれ育っ ておられる方です。 彼女は私の小学校からの同級生ですが、同期生会で字 富盛の言葉でスピーチされた時、なんだか故里へ帰っ たという実感がわいてきました。幼いときに聞いた音 声を再び聞くことができ、懐かしくなりました。 やはり、同じうちなーぐちとは言え、幼少の頃育った 地域での言葉を聞くと、気持が落ち着くものです。 旧東風平町は13字がありましたが、それぞれの字 ごとに微妙に言葉の抑揚が異なっておりました。 この微妙な言葉の抑揚の違いは、とうてい表記で残す ことは無理なことです。従いまして、音声をしっかり 残さなければなりません。 次世代へ継承しながら、音声そして適切な表記と共に 残していかなければ、言葉はなくなっていくでしょう。 字富盛の言葉の特徴の一つとして、抑揚を別にしま すと、表記で見られるのは、例えば私が育った字上田



・飛んじゃー舞ーやー:欣喜雀躍。 ・くたんゆん:くたびれる。疲れる。疲労する。 ざき

・ひる酒:にんにくを酒につけたもの。 ・うちなすん:すっかり終える。済ます。 ・まじゅーん:一緒(に) 。共(に) 。 ・びけーん:ばかり。 ちむ う

・肝打たりゆん:心を打たれる。感動する。 ・くねーゆん:こらえる。我慢する。 うふ

・多さんねーすん:多いようである。 か

・しーち掛かゆん:つめ寄る。 ・ぬまんぐる:同じ頃。 う



・押し退きゆん:押し退ける。排除する。 くめ

・細ーきゆん:つつましくする。細かく注意を払う。

ちむ う

原での「肝打たっとーしがてー」に対して字富盛では

 だん

・手段:手段。てだて。方法。

ちむ う

「肝打たっしがてー」になります。

う まんちゅ

・御万人:人民。多くの人。

石原さんから貴重な音声テープを提供していただ き感謝申上げます。 今後も各地域の話者から音声を収録して私どもの 書き方で表記していきたいと考えております。 船津好明さんから原稿をいただくまでは、実は私も 昔の県の定めについて知りませんでした。 昭和15年の県布令にもとづいて整理され、大変勉強 になりました。有難うございました。 この会報は、沖縄語にご関心があれば、どなたでも 投稿できます。 原稿は趣旨を変えないで、手直しをする場合がありま すので、ご理解を賜りますようお願いします。 そして大変恐縮ですが、原稿料はお支払いできません ので、会報を寄贈して薄謝に代えさせていただきます。 多くの方々に私どもの活動を知っていただくため、 ホームページの内容を絶えず更新しております。パソ コンをお持ちの方は、どうぞご覧下さいませ。 (國吉)

いる わ

・色分き:特に。とりわけ。特に区別して。 み



・見ー付きゆん:見つける。見いだす。 し がく

・視学:旧制の地方教育行政官。府県視学・郡視学・ 市視学などがあり、学事の視察、教育の指導 監督、教員の任命等をつかさどった。 ね



・無ーん成えーさに:無くなりはしないか。 すむ

・叛ちゅん:そむく。後ろを向く。 ・うすまさん:すごい。ものすごい。 ・ま:あき間。すき間。仕事の合間。 やく だ



・役立たするまどー無ーんたん:役立たせる暇はな かった。 *本文では、語句は活用されていますので、ここに示しました語句

お問い合わせ 事務局 國吉 眞正 電話&fax 044-988-8065

とは必ずしも一致しておりません。

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