やさしく学べる材料力学/yasashiku manaberu zairyorikigaku [3 ed.] 9784627661936

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やさしく学べる材料力学/yasashiku manaberu zairyorikigaku [3 ed.]
 9784627661936

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やさしく学 べ る ヽ

材料カ

第 3版 ヽ



伊藤勝悦 著

材料力学 GHD

やさしく学 べ る ・ 「ヽ

ヽ ヽヽ

・ヽ



伊藤勝悦 著







式会社

材料力学

やさしく学 べ る

第 3版

伊藤勝悦 著







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第 3版 によせて 機械 工学科 で 4カ

(よ

ん りき)と い えば,材 料力学 ・流体力学 。熱力学・機械力学 で

あるが,こ れか らも材料力学は重要 な科 目である ことがわかる。 どの よ うな科 目で も ,

学 ぶ ことは簡単 ではな く,少 な くな い努力が必要 となる.教 科書が厚 く, しか も難 し く書 かれていれば,学 生にとっては,そ のよ うな教科書 を手 に持 っただ けで萎縮 して しまう可能性がある。本書 の初版 を執筆 した動機 は,ペ ー ジ数が手頃で図 も多 く用 い られてわか りやす く執筆 されて い る教科書が必要 と思 えたか らである

.

初版 を執筆 した ときは,工 学単位か ら絶対単位 へ の移行期で,完 全 な絶対単位 を用 いてい なか った。 このため,第

2版 の改訂 では,単 位 を絶対単位 に替 える必要があっ

た。 しか し,著 者 は工 学単位 で学 んだせいか,密 度 を用 いて説明すべ きところを比重 量 を用 いて説明 して いた箇所があ ったため, これ らの箇所 を書 き変 えた い と思 ってい た。 第 3版 では, まず ,こ の よ うな部分 を直 した。 問題 を解 くとき,一 つ の方法 だけを知って い れ ば十分 と著者 は考 えて いるので, カ ス テ リアーノの 定理 は不要 と判断 して いた。 そ もそ も,カ ステ リアー ノの定理 では

,

外 力や外 モーメ ン トの働 く位置 の 移動量や回転量 しか与 え られ ないので,た とえば

,

は りのたわみの最大値 を求めるためには改めて解 き直 さなければな らないので, あ ま り役 に立たない.し か し,大 学 院 の入試問題 には, カステ リアー ノの定理 を用 いて解 かせ る問題 が多数 出題 されてい る。 そ こで,今 回の改訂では章 を起 こ して,カ ステ リ アー ノの定理 を説 明 した

.

初版 と第 2版 で は,モ ールの応力 円を説明す る とき,せ ん断応力 Ъ νの矢印を通常 とは異なるよ うに描 いていたが ,第 3版 では通 常 の矢印の 向 きに戻 した.応 力集 中に つ いて は専 門書があるので応 力集 中 の章 を削除 した。学生が 自習す るときに便利 で あ る よ うに,章 の 問題 には詳細 な解答 を与 えた

.

本書 の特色 は次の ようになる。

(i)図 を多 く用 いてわか りやす く説明 してい る (五 )応 力 を求 めるとき,部 材 を空中に切 り出 して力の釣 り合 い式 を与 えるように .

して い る

.

(面

)モ ールの応 力円を描 くときは,せ ん断応力 γの矢印の向 きを決める必要があ る。 (π ,ν )を 採用 した ときの 物υと っ ωの矢印 とモ ールの応力 円で表 されるせ ん断応力 τの矢印の向 きの 違 い を明確 に説明 してい る.こ の点 につい て説明 し ている教科書 はほかには見受け られな い

.

■ 因望■

(iv)熱 応力 の複雑 な問題で も簡単 に解 ける手法 を提示 して い る (v)多 くの教科書では,た わみの基礎式を導くとき,α 2υ /&2=ν ″ (EI)と 導 いてから,後 で理屈をつけて,α 2ν /山 2=_ν してぃるが,本 書で "/(EI)と こ は, のような手法はとっていない。本書のように,は りのたわみ曲線上の接 近 してい る 2点 の 曲率半径が挟 む角 を明確 に (― a)と した教科書 はほかに見受 .

け られない

Iを

:た わみ角].

(vi)各 章 を学 ぶ ときの 指針 になる よ うに,重 要項 目を試験前チ ェ ック リス トとし て巻末にまとめてお い た。 材料力学 。流体力学 。熱力学・機械力学 の科 目をマス ター していれば,機 械技術者 として仕 事 を してい くことがで きる.本 書 で材料力学 を確実 に学んで,企 業 の設計部 で活躍 して い ただ ければ幸 いです

.

第 3版 の 出版にあたっては,技術士 (機 械部門)の 中嶋浩氏 に原稿 を丁 寧 に読んでい ただ き,貴 重 な ご助言 をい ただ きました。 また,大 橋貞夫氏 ,塚 田真弓 さんにはお世 話 にな りました.編 集部 の皆様 の温か い ご助力 にもお礼 申 し上げます

2014年 10月

.







第 1章



応力 ,ひ ずみおよび単位

1.1 応力および単位 1.2 ひずみ 8 練習問題 1

12

ロビ車 フックの法則

13

2.1 フ ックの法則 と弾性係数 練習 問題 2 第

13

20

3章 材料の引張試験 と許容応カ

3.1 応カ ーひずみ図 3.2 許容応力 と安全率 練習 問題 3

21

21

22

28

第 4章 組合せ構造物

30

30 4.1 簡単な不静定問題 4.2 簡単な トラス 37 練習 問題 4

第 5章

43

熱応カ

5,1 熱応力

43 ︵ X∪ 乙ェ

練習 問題 5 第

41

6章 棒材の少 し複雑な問題

6.1 棒 の 自重 による伸 び

6.2

49

-様 変化断面棒 の伸 び

練習問題 6

第 7章

49

50

56

平面応力とモールの応力円

7.1 傾斜面 の応 力 (一 軸引張)

57

57



7.2 7.3 7.4 7.5 7.6

目 次

せん断応力 の符号 とσ,τ の 矢印 の向 きについ て 斜面 の指定

58

60

61 63 モールの応力 円 64 練習 問題 7 73 共役せん断応力 平面応力状態

第 8章 薄肉かく

74

8.1 薄肉円筒 74 8.2 薄肉球か く 76 練習問題 8

第 9章

77

は りの断面 に働 く力とモーメン ト

9.1 は りとは りに働 く夕附 重 79 9.2 は りの横断面 に働 くせん断力

9.3 9.4 9.5

79

は りの横断面 に働 く曲げモーメ ン ト 等分布荷重 を受 けるは り

第 10章

第 11章

断面二 次モ ーメン ト

10

第 12章

99

99

109

はりの 曲げ応カ

11.1 中立面 ,中 立軸 ,曲 げ応力 練習 問題

90

98

10.1 断面一次 モー メ ン トと図心 10.2 断面二 次 モー メ ン ト 102 練習 問題

83

85

三角形状分布荷重 を受けるは り

練習 問題 9

79

11

110 110

117

はりのたわみ

12.1 たわみの基礎 式 119 12.2 片持は りのたわみ とたわみ 角 123 12.3 両端支持 は りのたわみ とたわみ角 129 練習問題

12

135

119

│■│

.│:

■■■ 第」3

不静定は り

練習 問題 第 14章

13

第 11章

146

平等強さのは り

14

第 16章

147

軸のねじり

15

153

153

162

コイルばね

16.1 円筒形 コイ ル ば ね 練 習 問題

147

152

15.1 丸 棒 のね じ り 練 習 問題

136

139

14.1 平等強さのは り 練習問題

16

163 163

166

17章 │ 衝撃応力 第‐

167

17.1 弾性 エ ネルギ ー

17.2 衝 撃応力 練習 問題

第 10章

17

167

171

176 177

長柱の座屈

18.1 座屈荷重 練習問題

18



136

13.1 -端 固定,他 端支持 は り 13.2 両端 固定 は り



177

181

カステリアー ノの定理

19.1 マ ックスウェルの相反定理

183

183

19.2 カステ リアー ノの 定理 185 19.3 は りに蓄えられ る弾性 ひずみエ ネ ル ギー 186 19.4 軸 に蓄えられ る弾性 ひずみエ ネ ル ギ ー 187 練習問題

19

192

試験直前対策用まとめ

193

練習問題 の解答

199



239



VI

Web版 補 遺 以 下の

URLか

ご利用下 さい

http

:

/

ら, この 本 の Web版 補 遺 の

PDFが ダウ ンロー ドで きます

.

/www.morikita. co. jplexclusive/download/1465

内 容 モールのひずみ円 と平面応力のフックの法則

本書 の記号 につ いて (1)力 のつ り合いとモーメン トのつ り合いを導 くとき,以 下のような記号を用いる ○

右 に向か う力



上 に向か う力

√ヽO r、



反時計方向のモー メ ン ト 時計方向のモー メ ン ト

F上 下

上下 方向のカ

F→ ① 工 水平

水平方向の力 で右 に向か う力 を正 とす る

F↑ ① 工 上下

上下 方向の力 で上 に向か う力 を正 とす る

P′ ヽ①



B

Bま わ りのモー メ ン トで反時計方向を正 とす る

(2)文 章に 十と 一を書 くときは,

それぞれ (+),(― )の ようにす る

・  〓●● ● ●   一 ・︲ ・

1.1

= ユ 辱

〓一 一



応カヮひずみお

応力および単位 . ‐ ‐`

(1)垂 直応力

・■

:‐

図 1.1に 示す断面積 スの丸棒 の両端に 図のように荷重 Pが 働 くとき,こ の丸棒の

面積

,

断面 はどの よ うな力 を受けるか を考えてみ

A

P

る.図 1.2(a)に 示す ように,丸 棒内に任意 の断面 (仮 想面 )の



P 図

X面 を考え,さ らに図(b)

1.1

のように,X面 でこの丸棒 を切断 し, I部



分 (左 側),Ⅱ 部分 (右 側)に 分離す る.も し 図 1.2(b)の よ うに切断面 に荷重が働 いて ,

P

P

いないならば,図 (b)の 左部分 は荷重 Pに (a)

よって左側 に移動 し,右 側部分 は同 じく荷 重 Pに よって右側 に移動す る こ とになる。 図 1.2(b)は ,図 1.1の 九棒 を仮 に 2部 分に

P

P

(b)

分けたものであるか ら,移 動 してはならな

図 1.2

い。すなわち,図 1.2(b)の 仮想面 には,図 1.3に 示す ような力 Pが 働 いて い なければいけない。

仮想面 X面 (単 に面または,断 面 とい う)に 働 く荷重 Pは 図 1.3に 示す ように集中 して働いてい るわけではな く,図 1.4の ように X面 において均 一 に分布 してい る.す なわち,こ の X面 の荷重 Pは 一様に分布 し,端 面に働 く外荷重 Pと つ り合 い を保 っ おうりよく

てい るわけであ る。 この分布 の 度合 を示す量 は応力 とよばれ,次 式 で計算 される

応 力=響鞣 記号 で表 せ ば ,次 式 となる

.

P

σ=И

(1.1)

ここで,σ はギ リシア文字 の シグマ であ り ,

この文字 は通常 ,垂 直応力 を示す記号 に

1章 策‐

応力,ひ ずみおよび単位

P

P

P

X面 X面 P

P



P



図 1.3

図 1.4

用 い られ る 参考 :3年 生になって居酒屋で コンパ を楽しんだとき, 請求額を参加者数で割って払う.請 求額を「荷 重」 ,人 数を「 断面積」と考えれば,「 応力」は一人当た りの支払額に相当する.請 求額が大 きく,人 数が 少ないときは,割 り勘の額が多 く,辛 くなる.こ れと同じで,応 力は材料の辛さを示す量である .

図 1.1の

X面 は荷重 の作 用線 に垂直であ る。 または,逆 に荷重 は仮想面 Xに 垂直

に働 くとい って もよい.こ の よ うに荷重が考 察面 に対 して垂直 に働 いてい る とき,式 (1.1)で 定義 される応力 を垂 直応力 とい う。図 1.1の ように部材 を引っ張 るよ うに働 く

荷重 を引張荷重 といい, この ときの σを引張応力 とい う .

図 1.5の よ うに外力が部材 を押 さえつ け る よ うに働 くとき, この荷重 を圧 縮荷重 と いい,式 (1.1)で 計算される応力 を圧縮応力 とい う。 棒 の断面は円形 としたが ,他 の形 状 の場合 であっても式 (1.1)で 応力を計算で きる。

:

.(2)露導1晦 力の薔弓│=│ういて

││ 「││. ■ ―│■ ・

部材 に働 く荷重や仮想面 に生 じる応力 をい ちい ち引張か圧縮か を区別 して計算 を進 めることは不便 な場合 もあ る。 そ こで,圧 縮荷重 ,圧 縮応力 の値 に (― )を つ け て表す ことにすれ ば,荷 重はすべ て 引張荷重にな り,垂 直応力 はす べ て引張応力 になる.す なわち,た とえば図 1.6の よ うに,断 面積 ス =0.0005m2の 九棒 に図に示 す よ うに荷 重が働 くもの とすれば,外 荷重 は P=-15000Nの 引張荷重 であ り,断 面 には

σ

:=:モ

lf器

:=:-3.0×

107N/m2

の引張応力が働 くことを意味す る

.

ただ し,圧 縮 を負の引張 として取 り扱 う旨のただ し書 きを書かないで,問 題 を解 く 場合が ほ とん どであるので注 意が必要で ある

.

=:=0.0005m2

15000N

15000Tヽ T

P

図 1.5

図 1.6

1.1 応力および単位

3

揚魃闘回国顧日戯 y浙 輻鰤鰤鰤鰤鰤鰤踊閥■■□ 断面積 ス の丸棒が図 1.7の ように荷重 oを 受ける とき,荷 重で挟 まれる部分 (図 の 圃 部分)は ,荷 重方向にず らされるような力の作用下にある。 このような作用 を起 こさせるような荷重 oを せん断荷重 とい う。垂 直応力 の場合 と同様 に田 部分 を仮想 断面で切断すれば,こ の断面 には oの 力が働 いていなければならないことがわかる。 このとき, この部分がず らされる作用の度合 を表す量をせん断応力 といい

,

重 せん断応力 =二望 響零早 と表 し,記 号 では

,

τ=妥

(1.2)

で計算される。 ここで,7(タ ウ)は ,通 常せ ん断応力を示す記号 として用 い られる

.

図 1.8は ,図 1.7の 画 部分 を仮想面で切断 して部材の右側部分を考えた場合 であ る。 せん断応力 τは,図 1.8に 示す ように断面 に均一に分布 してい る 1)も のとみな して取 り扱 っているわけである。 ス

わ 平

Q 図

17

O 図 1.8

(4)せ ん 断応力の符号 せん断応力 は,材 料 のせ ん 断 の (ず り切 る)度 合 を示す もので あ り,引 張や圧縮 な ど の物理的意味合 い をもたせ て符号 を決める こ とはで きない.こ のため,す べ て正 とし て取 り扱 って もよい.た だ し,モ ールの応力 円を用 いると きは どち らの方向にず らさ れるかをもとに正 ・負 を無理 につ ける。 この符号 については後述する (7.2節 参照 ).

(5)力 の単位 について ある量 (お 金 ,長 さ, りん ご,船 ,う さぎ,水 ,速 さなどさまざまな もの)の 大 きさ や多さを表す とき,各 自勝手 な 「 もの さし」 を用 いていたのでは意志 の疎通 が はかれ

1)実 際には,か なり複雑に分布 している

4



1章

応力 ,ひ ずみお よび単位

ない.そ こで,あ らか じめ この よ うなものを「1と す るぞ H」 と決めておけば都合が よ い。た とえば,お 金の単位 は 1円 である.単 位 とは「1」 の ことを意味 して い るので

,

い ちい ち「 1円 」 とはいわず に,「 円」 とい うのが 普通である

.

われわれ技術者が扱 う量 の 多 くは,力 ,長 さ ,時 間お よびこれ らの三つの ものか ら 構成 されて い る量である.時 間 の単位 として は,s(秒 ),長 さの単位 としては mを 用 いる

.

次に力 の単位 について説明す るが,こ のため には質量の単位 を知 ってお く必要があ るので, まず ,質 量につい て説 明する.手 押 し車 に友人 を一人 だけ載せて動 かす場合 と,二 人載せ て動かす場合 を考 えればどち らの方が動 きに くい であろ うか。一人 よ り も二人のほ うが動 きにくい。 これは,一 人 よ りも二 人のほ うが質量が大 きい か らであ る.質 量 とは,物 体の動きに くさの程度を示す量 である。それでは,単 位 の 質量 とは どの程 度 の量 なのであろうか。少 し厳密 さか ら外 れるが,水 1リ ッ トルの動 きに くさ の程度が質量 の単位 であ り, これ を l kgと して い る (正 確 には,フ ラ ンスの郊外 に保 存 されてい る金 属 の塊が l kgで ある). 次に力の単位 について説明す る。 図 1.9に 示す よ うに,質 量 l kgの 物体 (水 1リ ッ

トル)を 重さのない車に乗せて力を加えたら,こ の車には lm/s2の 加速度が発生し たとする。 この ときに加えた力が単位の力 であ り,こ れを lN(ニ ュー トン)と い う .

lNと は図 1.10に 示すように,水 0■ 02リ ットルを重さの無視できるビーカー に入れ て手で持 ったときに手が受け る力 のことで,感 覚的 には,こ ちらの方がわか りやす い .

注意 :ニ ュー トンの第二法則から,力 =質量×加速度になる。この関係式に,単 位の力,質 量,加 速度 を代入すると lN=l kg× lm/s2が 得られる.実 は,lNは 1聰m/s2と 同じである

今 では学術 的 に用 い られな くな った重力単位系 (工 学単位系 )の 力 の単位があ る。 た だ,実 際には 日常 的に使 われているので,あ えて説明す る.図 1.11に 示す よ うに重 さの無視で きる ビーカーに 1リ ッ トルの水 を入 れて手で持 った とき,手 が受 け る力 が重力 単位系 の 力 の単位 であ る l kgf(1キ ロ グラ ムエフ)で あ る。た とえば,新 幹線 の座席 の前 の物 置 の棚 には「○ O kg以 上 の重 さの荷物 を置か な いで くだ さい 」 と書 かれてい る.fさ え付 いてい な いが ,こ の kgは 重力単位系 の力 の単位 であ る。 また

,

「私 の体重 は 65.5 kgで す」 の kgも fさ え も付 い て い ないが重力単位系 の力 の単位 で ある。仮 に,重 力単位系 の力 の単位 である kgf(fが 付かない場合 が多 い)を 絶対単位 系 (SI)の 力の単位である Nに 直す必要がある場合 は,l kgfを 9.8Nと すれば よい こ とを知 っていて 欲 しい

.

前述 の よ うに,SIで は長 さの単位 として は mを 用 い ることになってい る.こ の場

合,応 力の単位がN/m2(Pa,パ スカル)で 表される.「 l m2当 たり何 Nの 力が働い てい る」 と表示 されることになる

.

5

1.1 応力および単位

lN

と翌奎年加速度 水

水 lJ

水 0.102J

:lι

l kgm/s2=lN(ニ ュー トン

l kgf

)

図 1.10

図 1.9

長 さの単位 と して cmや

図 1.11

mmが 用 い られ る場合 もある.こ の とき,応 力 の単位 は

N/cm2や N/mm2で 表され る.多 くの場合 ,困 ることはないが ,問 題 などに質量 lkgl が出て くる場合 は注意 しなければならない.た とえば,遠 心力 =質 量 ×半径 ×(角 速 度)2で あ るが , この とき,半 径 の単位 に cmを 用 い れば,計 算 された力の単位 は N :kgm/s21に はならない.混 乱を防ぐためには,問 題などに質量 [kg]が 出 ー [ニ ュ トン てきた場合 は,長 さの単位は,必 ず mで 表す ことにすればよい

.

表 1.1に 力 の換算表 を,表 1.2に 応力 の換算表を示 してお く。なお,106を ガ),lo9を G(ギ ガ)と いってい る。 表 1.1 カの換算表

N

kgf

(ニ ュー ト ン)

工学単位 〔



1.2応 力の換算表 ヽ4Pa

N 1

10-4

104

1

106

102

10-6

2    鵬 ・

1

9.8× 104

9.8

1.02

1.02

x 10-5 x 10-1

L0.2 1

図 1.12に 示すように外径45 cm,内 径 35 cm 0.52 MNの 圧 縮荷重 を加 える とき,管

例題 1.1

kgf/cln2 (]I学 単位)

)

0.102 9.80

0_52 MN

の管 (パ イプ)に

に生 じる応力 を求め よ。 解答

45cm

管 の 横 断面積 (単 に面積 といって もよい )ス は

45 cmを 0.45m,35 cmを 0.35mと

35 cm

直 して ,以 下

となる

.

/1=二 (0.452_0.352)=0.0628318m2 ′

図 1.12

4`

荷重

M(メ

Pは ,以 下 となる

.

P:=-0.52 MN==-0.52× 106N よって式 (1.1)よ り ,

MPa σ=二 =二≦昼22■ ≡1=-8.276× 106N/m2=_8.276 ′ ノ 1 0.0628318 となる.す なわち,管 には 8.276 MPaの 圧 縮 応力が生 じる .

6

第 1章

応力,ひ ずみおよび単位

_」

注意 :数 値計算 の際,単 位は必ずそろえること.力 い.ま た,最 終結果の有効数字 は 4桁 程度でよい

例題 1.2

:N,長

図 1.13に 示す ように,厚 さt=2

板 にポ ンチ を用 い て,直 径

d=8mmの

さ :mを 用 い ることを習慣 づ けてお くとよ

mmの 鉄

P

円孔 をあ けた

Pは い くらか 。 た だ し 鉄板 に 392.O MPaの せ ん 断応 力が生 じた とき,鉄 板 は 破 断す る もの とす る.ま た ,ポ ンチ に生 じる垂 直応 力 い.ポ ンチ に加 えるべ き荷 重

はい くらに な るか

,

.

ポ ンチ で打 ち抜かれ る と き,鉄 板がせ ん 断 の作用 を受 け るのは,図 1.14に 示す 蟷 部分 で ある。 この 部分 の面積 は

解答

図 1.13

,

スs=(円 周 の長 さ)× (板 厚 )=π & となる.こ の 部分 に荷重 せ ん断応 力 τは

Pが働 くので,生 じる

,

T==一

P

πdt

図 1.14

となる.こ の値が,392.0× 106N/m2に なれ ば,板 は破壊 す る .

すなわち

,

p

三l__:=392.0× πat

106.

I.P=:7rdι

× 392.0×

を得 る。 長 さの単位 を mに して,数 値 を代 入 す れ ば P==‐

106

,

3.141592× 0.008× 0.002× 1392.0× 106:=:1.970× 11041、T

を得 る。 ポ ンチ に働 く荷重 は圧 縮荷 重 であるので引張荷 重 とすれば,(― )を つ けて,-1.970× 104Nと な る.断 面積 は ,

スη=年 二 4 =π ⊇i旦4 竪二=5.02655×

10-5

とな る .よ っ て ,ポ ンチ に生 じる垂 直応 力 σ =三 二L聖 壁ヒ笙土土―‐=-3.919×

5.02655× 110-5

108N/m2=_391.9 MPa ′

を得 る。 注意 :数 値計算をするとき,π いる値 を用 いること .

=3.14と しないこと.π =3.141592を 用 いるか電卓に入 って

.■卜

│■

1.1 応力および単位

_‐

7

lの 丸棒①が左側の剛性壁 (変 形で 回匡瓢1目 図 1.15(a)に 示すように,直 径 αl,長 さι きない壁)に 接着されていて,さ らに右側に直径 a2,長 さ J2の 九棒②が接着されてい る.丸 棒②の右側に引張力 Pが 働 くとき,丸 棒①に働 く応力 σlと 丸棒② に働 く応力

σ2を 求め よ .

丸棒①を切断して,そ の右側の部分を図 1.15(b)に 示す.切 断面には σl(応 力) 目目 × 41(面 積)で 与え られる力 σlス 1が 働 くので,切 り出し部分 に働 く力のつ り合いを 考えれば次式を得る(右 に向かう力を(+)と する). _σ l■ 1+P=0, _■ α12× σl+P=0 4

・・



P

4P

πα12 同様に,丸 棒②を切断して,そ の右側部分を示せば,切 断面には図 1.15(c)に 示す ようにσ2■ 2の 引張力が働 くので,力 のつ り合いより次式を得る。 σ 242+P=0, 一 二a22× σ2+P=0 (π /4)a12

P σ

2

4P

(π /4)a22

πα2

dl



d2②

P

(a)

otAt

:(D

ご2②

P

o2A2

(b)



P

(c) 図 1.15

注意 :式 (1.1)よ り,切 断面には垂直応力 ×面積で与えられる力が働 く,棒 には引張応力が働 く と仮定 したので, 図 (b)と (c)の ように, 面 を引 く方向に力の矢印が描かれている.こ の問題で は丸棒の長さが与え られているが,解 答 には無関係であった .

8

第 1章

応力,ひ ずみおよび単位

P

P

d― λ′



P



d

ld+λ

C

P

J―

Z+λ

ι

図 1.16

1.2

図 1.17

ひずみ

(1)縦 ひずみ と横 ひずみ 部材 に荷重が働 けば,伸 びた り縮 んだ りする。す なわち,変 形す る.こ の 変形 の 度 合 を示す量がひずみ である.ひ ずみ は,つ ねに

,

ひずみ =

変形後 の長 さ ―元の長 さ

伸 びた量

元 の長 さ

元 の長 さ

で 定義 される

.

図 1.16に 示す よ うに長 さ J,横 幅 αの断面一様 な棒 を引っ張った場合 ,棒 は荷重方 向に 入 (ラ ム ダ)だ け伸 び ι十 人になる。 この とき,単 に荷重方向に伸 びるのみではな ′ く,荷 重方向 と直角方向に縮む。 この縮み の長 さを 入 とすれば横幅 は α―λ′になる .

す なわち,ひ ずみは荷重方向のひず みだ けでな く,直 角方向にも生 じることになる

.

荷重方向の変形 の度合 を示す量 である縦ひずみ ε(イ プシロン)は 次式で定義 される

.

rl Q` ‐ ・υノ ヽ

J+塾 2整 三 星―【 J ) JJ― △ VF=」 元皇 の長 さ

′ 同様 に荷 重 と横 方 向 の 変形 の度合 を示 す横 ひずみ ε は ′ ′_(α ― メ )一 d_― λ ´

C

,





/1ハ

■ 仕ノ ・ ヽ

で定義 される.ε とε′はつねに符号 を逆にする。す なわち ,

′ ε× ε