世界のカメ類 / Sekai no Kamerui / Turtle and Tortoise of the World 4829972246, 9784829972243

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世界のカメ類 / Sekai no Kamerui / Turtle and Tortoise of the World
 4829972246, 9784829972243

Table of contents :
目次
Contents
はじめに
曲頸類と潜頸類
カメ類の分布と気候区
カメの体
生息環境
採食
繁殖時の求愛行動と交尾
産卵と卵
孵化と仔ガメ
I!類
リクガメ属(Geochelone)
ヶヅメリクガメ
インドホシガメ
ビルマホシガメ
チャコリクガメ
ヒョウモンガメ
へサキリクガメ
ホウシャガメ
ソリガメ
シモフリヒラセリクガメ
ノコへりヤブガメ
テントヤブガメ
パンケーキガメ
ベルセオレガメ
ホームセオレガメ
モリセオレガメ
クモノスガメ属 (Pyxis)
クモノスガメ
脱走したカメなど野外で見かけないカメを見つけたら…
雷04 常.:i
ヒラオリクガメ
フチゾリリクガメ
ギリシャリクガメ
エジプトリクガメ
セレベスリクガメ
トラバンコアリクガメ
エミスムツアシガメ
インプレッサムツアシガメ
テキサスゴファーガメ
アナホリゴファーガメ
ヌマヨコクビガメ
ウスグロノ\コヨコクビガメ
アダンソンノ\コヨコクビガメ
トウルカナハコヨコクビガメ
モリハコヨコクビガメ
ヒメノ\コヨコクビガメ
クリイロハコヨコクビガメ
キバラノ\コヨコクビガメ
シロガオハコヨコクビガメ
ゥペンバハコヨコクビガメ
ヘンゲノヽコヨコクビガメ
セウネノ、コヨコクビガメ
ノコへリノ、コヨコクビガメ
クロノヽコヨコクビガメ
ウィリアムズノ\コヨコクビガメ
オカバンゴノ、コヨコクビガメ
オオヨコクビガメ
ズアカヨコクビガメ
ムッコブヨコクビガメ
モンキヨコクビガメ
サノ Tンナヨコクビガメ
マダガスカノレヨコクビガメ
オオアタマヨコクビガメ属
(Peltocephalus)
オオアタマヨコクビガメ
オオアタマへビクビガメ
トゲモモへビクビガメ
ブチハラヘビクビガメ
クロハラヘビクビガメ
ブラジルへビクビガメ
ギザミネへビクビガメ
ヒメカエルガメ
ヴァンデルヘーゲカエルガメ
ヒラリーカエルガメ
ギアナカエルガメ
アマゾンカエルガメ
カンムリカエルガメ
コシヒロカエルガメ
マタマタ
マッコードナガクビガメ
カンナガクビガメ
チモールナガクビガメ
オーストラリアナガクビガメ
コウヒロナガクビガメ
チリメンナガクビガメ
ブランダーホルストカブトガメ
ノコへりカブトガメ
マニングカブトガメ
カメの選びかた
アカミミマゲクビガメ
カクレガメ
メキシコカワガメ
トウブドロガメ
ドロガメ属(Kinosternon)
ミスジドロガメ
キイロドロガメ
アリゾナドロガメ
ヒゲナガドロガメ
ハーレラドロガメ
サラドロガメ
ハリスコドロガメ
ザラアシド□ガメ
ハナナガドロガメ
クリーザードロガメ
オアノヽカドロガメ
サソリドロガメ
ニオイガメ属 (Sternotherus)
ミシシッピニオイガメ
カブトニオイガメ
ヒメニオイガメ
ヒラタニオイガメ
オオニオイガメ属 (Staurotypus)
スジオオニオイガメ
サЛ/ヴィンオオニオイガメ
条ッキガメ
カミッキガメ属
(Chelydra)
チュウベイカミッキガメ
ナンベイカミッキガメ
ワニガメ
(Macroclemys)
オオアタマガメ
(Platysternon)
アジア産のカメ類について思うこと
セネガノレフタスッポン
ザンベジフタスッポン
オーブリーフタスッポン
インドハコスッポン
ビルマハコスッポン
インドコガシラスッポン
ハナガラマルスッポン
カントールマルスッポン
ミヤビスッポン
ヒラタスッポン属 (Dogania)
ヒラタスッポン
イボクビスッポン
ナイルスッポン属 (Trionyx) I
ナイルスッポン
ZXリカスッポン属
(Apa lone)
フロリダスッポン
トゲスッポン
スッポンモドキ属 (Carettochelys)
スッポンモドキ
アオウミガメ
アカウミガメ
ヒメウミガメ
I類IIA類
タイマイ
オサガメ属 (Dermochelys)
オサガメ
ヨーロッパヌマガメ
ブランディングガメ
ブチイシガメ
モリイシガメ属 (Glypyemys)
モリイシガメ
カロリナハコガメ
ニシキハコガメ
アミメガメ
アミメガメ属 (Deirochelys)
ニシキガメ
リバークーター
ペニンシュラクーター
テキサスクーター
フロリダアカハラガメ
キタアカハラガメ
アカミミガメ
亜種キバラガメ
プラトーアカミミガメ
ジャマイカスライダー
ハイチスライダー
ニカラグアクジャクガメ
アゴブチクジャクガメ
ミナミクジャクガメ
チズガメ属
ヒラチズガメ
バーバーチズガメ
アラバマチズガメ
アーンストチズガメ
ギボンズチズガメ
ケイグルチズガメ
テキサスチズガメ
ニセチズガメ
ミシシッピチズガメ
ワモンチズガメ
キマダラチズガメ
キスイガメ
バタグールガメ
カラグーノレガメ属 (Callagur)
カラグールガメ
オオセタカガメ
ニシキセタカガメ
アッサムセタカガメ
テクタセタカガメ
テントセタカガメ
ハミルトンガメ
カンムリガメ属(Hardella)
カンムリガメ
メダマガメ属(Morenia)
ボルネオカワガメ
マレーニシクイガメ
リーブスクサガメ
カントンクサガメ
ニホンイシガメ
アンナンガメ
カスピイシガメ
ギリシャイシガメ
ハナガメ
セマルハコガメ
アジアハコガメ属(Cuora)
モエギハコガメ
ヒラセガメ
マレーノ\コガメ
ミスジハコガメ
コガネハコガメ
ノコへリマルガメ
ニシキバラマノレガメ
ヒガシキバラマノレガメ
ミナミクロハラマノレガメ
オルダ厶マルガメ
インドクロハラマルガメ
オオヤマガメ属 (Heosemys)
オオヤマガメ
ヒラタヤマガメ
ヒジリガメ
シロアゴヤマガメ
ムツイタガメ
ジャノメイシガメ
クロヤマガメ
ミッウネヤマガメ
ホオジロクロガメ属 (Siebenrockiella) |
ホオジロクロガメ
フィリピンヤマガメ
リュウキュウヤマガメ
スペングラーヤマガメ (シュペングラーヤマガメ)
アシポチヤマガメ
ミゾヤマガメ
カンムリヤマガメ
ハラスジャマガメ
クロムネヤマガメ
アカスジヤマガメ
ルビダヤマガメ
カメ類の飼育
カメ類の飼育
飼育ケースの条件とサイズ
野外飼育の場所
翻晦як

陸(床材)
温度計または水温計
暖房機器
暖房•冷房の方法
飼育するうえでの餌
世界のカメ類

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атаом

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4 0 31s i o m o -

目次

004

Contents

はじめに 005

曲頸類と潜頸類

006

カメ類の分布と気候区

008

カメの体

010

生息環境

012

採食

014

繁殖時の求愛行動と交尾

016

産卵と卵

018

孵化と仔ガメ

020世界のカメ 022

リクガメ科

gnv anmn

060

曲頸亜目(ヨコクビガメ科・ヘビクビガメ科)

124

潜頸亜目(カワガメ科•ドロガメ科・カミッキガメ科・ オオアタマガメ科•スッポン科•スッポンモドキ科)



18!

潜頸亜目ウミガメ科

186

潜頸亜目ヌマガメ科

23?

潜頸亜目イシガメ科(バタグールガメ科)

30Уカメ類の飼育

コラム 043

脱走したカメなど屋外で見かけないカメを見つけたら

059

カメの入手方法

119

カメの選びかた

123

これまで行ったカメ類の交雑個体の繁殖実験

160

アジア産のカメ類について思うこと

318

カメに関する法律

はじめに

人気が高く、広く市民権を得ている。仔ガメと なると、その小さい体つきや仕種の愛らしさ、

一般的に敬遠されがちな爬虫類の中で 、力

成体以上の色模様の美しさでさらに人気は高

メの仲間はわれわれ日本人に最も親しまれて

い。特に日本では「鶴は千年、亀は万年」と

いるように感じる。その独特な外*見によるもの

長寿信仰の対象として、また、「ウサギとカメ」

なのだろう。彼らの多くは体全体が硬い甲羅

の童話の影響からもよく知られた対象であり、

で被われ、背甲が種によってドーム状や扁平

親近感が持たれ人気を底上げしている。東洋

•な形状をしていたり、1〜3本の大小のうねが

区においても、神仏化や縁起物•漢方薬とし

入る、または縁甲板の縁に突起を持つものな

て扱われるほか、食用とする民族も多く、カメ

どがいる。腹甲が前後に分かれて可動し、背

は古来から世界の東西を問わず、人類にとって

甲と合わさって箱状になるカメも知られている。

身近な存在となっている。

色彩や模様もいろいろで、頭部•四肢・甲羅に

カメ類の出現は爬虫類の中では最も古く、

入るそれらは種や個体ごとで多様であり、外

三畳紀後期には基本的に現生のカメ類とあま

観だけとってみてもじつにさまざまだ。それゆ

り変わらない姿形を持ち、硬い甲羅で身を守

え、広く好まれ、ペットとしてまたはコレクショ

るという他の動物では見られない特殊化した

ンの対象として、他の爬虫類とは別扱いされ、

防御法を進化の過程で見い出し、現生のカメ

004 Turtle and Tortoise of the World

対に引き継がれている。重く硬い甲羅は一見

頸を縦に曲げ、S字型に甲羅内に引き込み収

不都合に見られるが、水中ではその重さはさ

めるグループのこと。曲頸類は原始的なグルー

はど問題なく、身を守ることを優先した進化と

プ(ヨコクビガメ科•ヘビクビガメ科)で主に

いえる。現在、種としては他の動物群に比べ

南半球に分布する。潜頸類はより進化したグ

小グループであるものの、極寒地を除き世界

ループで世界中に広く分布し、種数も多く繁栄

に広く分布し、多様化した形態•生態で繁栄

している。ただし、その中には引き込みがで

してきた。一方で、特殊な甲羅を持っているお

きない種(ワニガメ・オオアタマガメ・ウミガメ

かげで多くは移動能力に乏しく、さらに急激

類など)も含まれる。日本においては潜頸類

な環境変化に弱く、人類の環境破壊や乱獲に

の種(クサガメ・ニホンイシガメ •リュウキュウ

より、近年急激に減少しているのも実状だ。

ヤマガメ・ヤエヤマイシガメ・タイリクミナミイ

シガメ •ヤエヤマセマルハコガメ •キョクトウスッ

曲頸類と潜頸類

ポン•ミシシッピアカミミガメ)しか生息して

いないため、曲頸類は馴染みがなく、動物園 現生カメ類は、曲頸類と潜頸類からなる。

や爬虫類専門店でしか見ることができない(探

曲頸類とは頸を横に曲げ、背甲と腹甲の間

タイリクミナミイシガメとミシシッピアカミミガメ

に収めることのできるグループで、潜頸類とは

は外来種)。

齒頸類の顔(カブトニオイガメ)

Turtle and Tortoise of the World 005

カメ類の分布と気候区

ることからその行動は外気温によって左右さ

れる。そのため、熱帯から温帯地域にその多 現生カメ類は世界に300種ほどが知られ、

くが集中している。

ツンドラや両極島を除き世界に広く分布する 。

潜頸類より古い曲頸類(ヨコクビガメ科•へ

カメ類も爬虫類の一員であり、変温動物であ

ビクビガメ科の2科のみ)は主に南半球に分布

006

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

し、ヨコクビガメ科は熱帯アフリカ•南アメリ

ア大陸のアジア•アメリカ合衆国から中米にか

力中北部に、ヘビクビガメ科は南アメリカ(南

けて、多様な種ふ繁栄している。ウミガメ類は

端部を除く)•オーストラリアやニューギニアと

太平洋•大西洋・インド洋の熱帯から温帯域

その周辺の島々に分布する。

に主に分布する。

一方、潜銀類は世界中に分布し、ユーラシ



У

大西洋



]熱帯 雨林気;候 4

ナ気候

]地 中海性気候 ]西岸海洋性気候

]熱帯モンスーン

□亜 寒帯湿!潤気候 :

]砂漠気候

□高 山気候

]温暖湿潤気候

沖ラ気候

Turtle and Tortoise of th e World 007

カメの体

ガメやオオアタマガメなどは頸を甲羅内に引き 込み大きく強固な頭で蓋をする。オール状の四

カメ類の体の外部構造は、甲羅•四肢•頭部・ 尾からなる〇

肢を持つウミガメ類やスッポンモドキなどは 、

頭部を完全に甲羅内に引き込まず、四肢は体

多くの種は一般的に甲羅が体の大部分を占

に沿わせ、尾は伸ばしたまま(陸上では多少

め、四肢を折り畳み、頭部は横に曲げるか縦

左右に曲げる程度)となる。甲羅は、肋骨が

にS字型に引き込み、尾は左右どちらかに曲

板状に変化した骨状甲羅の外側に、皮膚が角

げることで甲羅内に隠す構造を持つが、ワニ

質化した薄い甲羅の上下ニ重構造で、両甲羅

【腹甲後部】

008 Turtle and Tortoise of the world

ともいくつかの小さな甲板から形成されるが、

その先端に鼻孔が開く。

上下の甲板の接合部は合わさらない。甲羅は、

四肢は生息場所により、指間に水搔きの発

背甲と腹甲に大きく分けられ、背甲と腹甲はい

達するもの(スッポン類•ヌマガメ類など多くの

くつかの甲板からなる橋甲板により繋がる 。ま

カメ類)や、ないか小さなもの(ヤマガメ類な

た、各骨状甲羅の接合部は非常に複雑な形状

ど陸棲傾向の強いヌマガメ類やリクガメ類)、

に組み合い、いったんばらけると元の状態に

オール状(ウミガメ類•スッポンモドキなど)、

組み合すことは困難。一方、スッポン類は皮

ゾウのような太い四肢を持つもの(リクガメ類)

膚が角質化した甲羅を持たず 、吻は細長く、

などに分かれる。

◎さまざまな形状の四肢 ①オール状(ウミガメ)②発達した水搔き(スッポン)③太い棒状(リクガメ)④小さな水搔き(ヌマガメ類)

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

009

生息環境

域よりも、河川の中流域以上で流れのゆるやか な水域や池•沼•湿地などの水辺に集まっている 。

カメ類は、動物全体からみて小グループな

その一部は湿潤な森林内やその周辺部に進出

動物群である。しかし、その特殊な構造を持

し、流れの細い沢や狭い湿地で生息することが

つ体でありながら、進出した生息環境に自ら

でき、森林内の平地や急斜面を活動の場として

の体の形態を変え、多様な形状と模様を作り

いる。リクガメ類の一部は乾燥地の灌木地や岩

上げ、世界の極寒地を除く寒冷地から熱帯に

場の荒地へ進出し、気温の下がる晩はブッシュ

広く進出してきた。'

内や岩の割れ目•他の動物が掘った穴などに潜

凌温動物であるためにカメ類の分布域は熱帯

り込み、時には自分で穴堀りする(地中lm以

から温帯域に集中し、さらに水への依存度が高

上に達することもある)ものもいる。温帯域の力

い種が多く、流れの速い水域や川幅の広い河口

メ類は冬の低温期には水中や水辺に穴を掘り、

【カメ類の暮らすさまざまな環境】

砂漠

湿地帯

010 Turtle and Tortoise of the world

乾燥地の水場周辺

乾燥した林

冬眠することはよく知られているが、熱帯域など

降雨量•自然植生•地形•土壌などが、そこに

の乾季で雨量の少ない時期や高温期には、低

生息する動物に少なからず影響を与えている。

温期と同様に穴に潜り夏眠する種も珍しくない。

これまで、それらを知ることは個々の資料集め

ウミガメ類も熱帯から温帯域の海洋に広く分布

角門機関に問い合わせるなど困難を有したが

し、若い個体は陸に近い海域を生息の場とし、

(地図帳が最も良い参考書ともなったが)、近年

成体では非常に広い海洋を回遊するようだが 、

はインターネットにより、多くの労力や時間を費や

その実態は不明な点が多い。オサガメがベーリ

すことなく比較的簡単に検索でき、目的の動物

ング海峡という冷水域で目撃された事例もある。

の気象環境や地形・地質・植物相・動物相など

カメ類の生息環境には、世界の気候区で示し

が分りやすくなっており、それらの資料を応用す

た種々の気候区の中でもその地域により、さまざ

ることで飼育環境は整えやすく、飼育技術も格

まな環境を有する。たとえば、標高•温湿度・

段に伸びてきている。

河川周辺

池や湖

田んぼ周辺

Turtle and Tortoise of the World 011

採食

では魚や甲殻類など、陸上ではバソタ類やカエ

ル類•トカゲ類など)を簡単に捕食できず,水

カメ類の食性は、草食性・雑食性・肉食性

中だと貝類や水棲昆虫、その卵と幼虫、水面

があり、うち、雑食の中にはさらに草食傾向

を漂う果実や昆虫類の死骸などを食べており、

の強いもの、肉食傾向の強いものに分けられ

陸上では動きの遅い地表動物や軟体動物•昆

る。また、乾燥地などの餌の少ない地域では

虫類の幼虫が採食の多くを占める。動物の死

哺乳類や草食動物の糞食を行うことが知られ

骸などには多くの個体が群がり、前肢で死骸

るが、乾燥地以外の陸棲種または陸棲傾向の

を押さえ込んで肉を食いちぎって丸呑みする。

強い種などでも糞食を行うこともある。草食性

草食のカメ類にしても、草の葉や茎•花のみを

の種といっても、草類と共に軟体動物や陸棲

食べているわけでなく、特に水棲種は岸辺で

貝類•幼虫類を食べており、飼育下では肉類

水に洗われる草の根や地下茎までも食いちぎ

を食べるもの(良い悪いは別として)も多い。

り、大型種ほど硬い根や地下茎も食べる。り

採食の多くは日中活動し、餌を探し出し、

クガメ類は枯れた落ち葉などもよく食べ、果実

呑み込みやすい大きさに食いちぎって食べる力

のなる時期には木の下に集まりそれらを口に入

メが多いが、肉食性のスッポン類やへビクビガ

れ、森林内など低草類が少ない場所ではキノ

メ類•カミッキガメ類などは待ち伏せ型で、獲

コ類もよく食べている。ウミガメ類は胃の内容

物が射程距離に入ると一気に頸を伸ばして水

物から、イカや甲殻類•海草類を食べること

と一緒に吸い込んだ後、水のみを吐き出す。

が知られるが、動きの速いイカなどをどう捕食

雑食性や肉食性の種は、動きの速い餌(水中

するのかは知られていない。

012 Turtle and Tortoise of th e World



Turtle and Tortoise of the World 013

繁殖時の求愛行動と交尾

背甲板全部に嚙み付き揺さぶる「揺さぶり型」、 メスの頭部を含む前部へ鼻汁を 「飛ばし型」

動物の交尾そのものは比較的単純であり、

やこれらの複合型など、同じようなやりかたで

交尾に至るまでの求愛行動は種により千差万

も種により多少異なる。いずれの方法であって

別で興味深いものがある。

も最終的にはオスが上に登るために、メスを静

カメ類のオスの求愛行動にしても、水棲種

止させるのが目的となる。この求愛行動は一度

では「ダンス型(オスがメスの前でダンスのよう

や二度でメスに受け入れられることはなく、オ

な仕草を行う)」や、メスの後から近づく「忍

スも相手を変えながらいく度となく繰り返し行

び型」といった優しい求愛から、メスの甲羅

うことがほとんどだ。

の上に乗って頸に嚙み付く乱暴な求愛行動、

メスがオスを受け入れる場合、陸上や水底

陸棲種ではメスの前での「頸振り型」、メスの

ではメスが後肢をやや突つ張るようにし 、体

◎交尾行動 ①コロンビアクジャクガメ②シャムハコガメ③カブトニオイガメ④アルダブラゾウガメ

014 Turtle and Tortoise of the World

の後部を上げると、オスはメスの後部から馬乗

があって、その溝を伝って精子がメスの体内に

りになり(すでに上に乗っているオスがいたら

入ることで、オスのヘミペニスの先端部はメス

後ずさりする)、尾をメスの腹部の下に潜り込

の生殖器の中で大きく膨張し、たとえメスが

ませて交尾を行う。交尾中、メスは動かず静

動いて旁スが引きずられようと簡単に外れるこ

止するが、何かのきっかけで動くと、オスは仰

とはない。

向けに水中や陸上を引きずられ、ユーモラスな

交尾時間は確実にメスの生殖器内に精子を

格好となる。一般にカメの背中は山型で安定

送り込むため比較的長い。ウミガメ類は、広い

が悪いが、ヌマガメ類の一部やリクガメ類のー

海洋中で雌雄が会う確率は低く、繁殖行動は

部ではオスの腹甲が窪み、安定しやすい構造

産卵する沿岸に集結後、交尾行動•交尾を行

をしている(このオスの腹甲のへこみは、雌雄

い、その後メスのみが上陸し、産卵する。

判定の目安になる)。オスのへミペニスには溝

へミペニスを出すエロンガータリクガメ

Turtle and Tortoise of the World 015

産卵と卵

メスは交尾終了から約1〜2カ月前後(早い

もので15日程度)で産卵するものが多く、水

産卵は、熱帯域だと雨季に集中し、遅くとも

から上陸したメスは、地表に鼻先でにおいを

乾季の初めには終了する。亜熱帯では早いも

嗅ぐような仕草を繰り返しながら徘徊し 、時折

ので4月下旬から始まり5〜6月にピークを迎

前肢で地表を引つ搔き、ここぞと思う場所を見

え、9月初旬頃まで続く。温帯地域では梅雨

つけると後肢で穴掘りを行うが、途中で気に

明けから7〜8月にかけてがピークとなる。亜

入らない場合や石や木の根などが立ち塞がっ

寒帯で温帯域であっても標高の高い地域では

て掘れない場合は中止し、他の場所を探す。

夏に産卵する〇

産卵場所の選択には数日かかる場合もあり、

一方、南半球ではこれらの時期は逆転する。

中には水辺からかなり離れる場合もある。こ

産卵は全て陸上で行われ、その多くは水辺で

の時期に水辺の道路上で見られる櫟死個体は

産卵するが、降雨などにより河川や池沼の水

ほぼメスで、人目にもよく付き、拾われる個体

位が増水する高さよりもさらに高い位置で行わ

も多い。

れ、陸棲傾向の強い種や陸棲種では水はけの

良い場所などで主に産み落とされる。

◎産卵シーン ①シャムハコガメ②③ワニガメ④八ナガメ

016

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

産卵用の穴掘りはその多くが壷状の穴形状 で、深さはメス個体の後肢の長さよりやや深い

程度となるが、一部の陸棲傾向の強いヌマガ

卵数は種により異なり、1回の産卵数の少

メ類(マレーハコガメやセマルハコガメ、リュウ

ない種では1〜3個、多い種では100個を超

キュウヤマガメなど)の中には深く掘ることが

える。また、"1シーズンの産卵回数は1〜4回

できない種もおり、そうした種は森林内の柔ら

程度である。カメの卵はげつ歯類(ネズミ類・

かく水はけの良い腐葉土の中や深い落ち葉中

イタチ類•アライグマ•オオトカゲ類など)の

に潜り込んで産卵する。ウミガメ類やカワガメ

良い餌にもなり、産卵穴を掘り返しされ、多く

類などの砂地に産卵する種では柔らかく崩れ

が捕食されることもある。そこで、筆者も過去

やすい表層の砂を、前肢や後肢を利用して砂

に多くのミシシッピアカミミガメの産卵に立ち

を除け(ボディピット)、その下に産卵穴を掘る。

会った中で数回経験したように、産卵後の個

そのため、表層から60cm前後の深い位置に

体全てがするわけではないが、産卵穴の近く

産み落とされる。産卵された多くの種の卵殻は

に浅く穴を掘り、そこに小さな未熟卵を1、2

硬く、多くは長楕円形の卵だが、スッポン類や

個産むことが知られている 。

カミッキガメ類、ウミガメ類などは円形に近い

楕円形。カミッキガメ類•ウミガメ類の卵殻は 比較的柔らかく弾力性がある。’

Turtle and Tortoise of the World 017

孵化と仔ガメ

亜寒帯や標高の高い地域では夏に産卵し、 卵のまま冬を越すものや、亜熱帯から温帯域

卵は通常2〜3カ月程度で孵化する種が多

だと産卵時期が遅かったものや標高の高い場

い。しかし、リクガメ類では10〇〜150日前後、

所などでは、地中で孵化した仔ガメがそのまま

オオニオイガメ類だと約20〇〜250日もの日数

穴の中に留まって越冬し、翌年の春以降に地

を要する。

表に出てくることもある。卵は、孵化が近くな

018 Turtle and Tortoise of th e World

る時点で卵内にタンパク質分解酵素が分泌さ

精卵などを除き)は孵化し、地表に向かって

れ、硬い卵殻を脆くする。卵内の仔ガメは吻の

土や砂を崩しながら這い上がってくるが、地表

下に卵歯を持ち、その卵歯や四肢を動かすこ

が固く崩されない場合などは雨などで地表が

とで卵膜や卵殻を破り孵化する〇

柔らかくなるのを待ち、地表に出る。

孵化した時点では甲羅は比較的柔らかく、

地表に出た仔ガメは天敵(各種肉食•雑食

甲幅は内側にやや巻き込む。リクガメ類では体

性の小型哺乳類・サギ類•小型猛禽類•一部

が中央で折れ曲がる状態で 、孵化後や孵化途

のヘビ類•中型オオトカゲ類•肉食•雑食性の

中から甲羅が伸び始める。卵黄も孵化時点で

水棲カメ類•カニ類など)が多い。水棲種の

は完全に体内で吸収していないことも多い。

仔ガメは近くの水場に急ぎ、陸棲種は物陰や

仔ガメは、孵化した時点ではすぐに動かず静止

落ち葉下、ブッシュ内に身を潜める。特に水

して甲羅の成長や卵黄の吸収を待つ。産卵穴

棲種は同種であっても敵となり、水草の茂る

の中では1〜2日程度で全ての卵(腐卵や未受

水際を主な生活の場としている。

成体(メス)と幼体(生後】年)の比較(ミナミイシガメ)

Turtle and tortoise of the World 019

ガラパゴスゾウガメに次いで大型になる

アルダブラゾウガメ

リクガメ。背甲はドーム状に高く盛り上が

学名:Dipsochelys dussumieri

り、小型の項甲板を持つことでガラパゴス

分布:アルダブラ諸島

ゾウガメと区別でき、一様に暗褐色か黒色

甲長:120cm前後(最大甲長:123cm)

に近い。メスはオスより小さく、甲長80cm

前後。オスの腹甲の中央部は大きく窪むの 022 Turtle and Tortoise of the World

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ア/レダブラゾウガメ属 (Dipsochelys) アルダブラゾウガメ(Dipsochelys dussumieri)ゝ セーシェルヒラセゾウガメ(D. arnoldi),セーシェ ルセマルゾウガメ (D.hololissa)の3種で構成さ

れるグЛ/ープ。このグループはワシントン条約附 属書Iに掲げられており、厳重に保護され、一般

的に飼育は規制されている。

ワシントン繡 附属書

I!類 に対し、メスはほぼ平ら。海岸近くから内

は13個前後だが、メス親の栄養状態で産卵

陋部の低木の茂みや草地で、水溜りゃ湿地

年や産卵回数・卵数は異なる。

がある場所に多い。比較的涼しい朝夕に活 動し、日中は暑さを避け茂みや水浴で体温

開整して過ごす。交尾行動は雨季に主に行 い、乾季に産卵する。1シーズンの産卵数

Turtle and Tortoise of the World 023

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

リクガメ属(Geochelone)

ヶヅメリクガメ、インドホシガメ、

I

ビルマホシガメの3種で構成される グルーフ;

ワシントン!》

I!類



ヶヅメリクガメ 学名:Geochelone sulcata 分布:セネガルからエチオピアのサハラ砂漠

周辺 甲長:70cm前後(最大甲長83cm)

名の由来である、臀部の蹴爪状・

幼体

の鱗

ゾウガメ類に次いで大型になる種。生息地

は広く、主に砂漠周辺の荒地やサバンナ。日

平均15卵。卵は固い卵殻で球形に近く、孵化

中の高温や夜間の低温を避けるため、他の動

日数は孵化温度に左右され、約85〜170日。

物の掘った穴を利用したり自ら穴掘りを行う

餌はイネ科の植物や多肉植物を主に食べる。

こともある。活動は日の出後の数時間と、日 没前後の数時間に集中する。背甲はドーム型

の褐色で模様はない。腹甲前部の喉甲板は突

出し、左右臀部に大きな鱗が蹴爪に発達す る。産卵は秋から冬に主に産卵し、1シーズ

・飼育のポイント 比較的丈夫な穫であるが、販売されている個体の多 くは人工繁殖個体の幼体であり、複数販売されている

場合はできるだけ大きな個体を選んだほうが無難 。温 度管理をしっかりと。比較的大型になり、室内飼育には 不向き。

ンに1〜6回の産卵があり、1回の産卵数は 024 Turtle and Tortoise of the World

インドホシガメ 学名:Geochelone elegans

分布:インド南東部•北西部、スリランカ 甲長:最大甲長38cm (通常はずっと小型で、 オスで最大20cmほど)

背甲は高く盛り上がるドーム状で、頂甲 板•肋甲板の各甲番の盛り上がりは丸みを帯 び、その頂部は平らになる。腹甲の放射模様

が多く(7〜12条)、黒色部は小さく分断。主

腹甲

に200m以下の低地の灌木林内やその周辺・

農地などで暮らす。雨季には活動が活発にな

ども食べる〇

り、繁殖行動も行われる。産卵は年2〜4回

ほどで、1回の産卵数は1〜10個。卵形は長 楕円形が多く、10〇〜150日前後で孵化する。

・飼育のポイント 本種も本来は比較的丈夫な種であるが、輸入される状

態が悪いことが多く、国内で人工繁殖された個体を選ぶ

のが無難。温度管理をしっかりと行うこと。

草類・木の葉・多肉植物のほか、果実•花な Turtle and Tortoise of the World 025

ビルマホシガメ 学名:Geochelone platynota

分布:ミャンマー西部•中部 甲長:32cm以上 背甲は高く盛り上がるドーム状だが、頂甲

板・肋甲板の各甲番はインドホシガメより丸 みがなく突き出ており、盛り上がる傾向が見 られる。腹甲の放射模様は1〜2条ほどで黒 色部は大きい。熱帯モンスーン気候の落葉林 内に主に生息する。繁殖行動はまだ不明な点

が多く、6〜7月の雨季に孵化幼体が多く見 られるようである。野生ではキノコ類を好ん で食べるとされ、飼育下では野菜・果実や人

エフードも食べる。 腹甲

026

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

ワシントン辅

レッドリスト

附属書

絶滅危惧種

I類

IA類

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae) *・ノベノ[・わ・ ・逢

|ガラパゴスゾウガメ種群からなるアカ 、1アシガメがタイプ種の属で、14種(絶

(Chelonoidis)

丁ノへ"ソフ刀ア廣

|滅種2種を含む)が知られている

サンタクルスゾウガメ 学名:Chelonoidis nigrita 別名:ガラパゴスゾウガメ 分布:ガラパゴス諸島のサンタ・クルス島

甲長:130cm前後(最大甲長135cm)

ガラパゴスゾウガメ種群(12種)中、陸棲 種では世界最大。ダーウィン研究所のある島

で、日本を含む世界でガラパゴスゾウガメと いわれる飼育下のゾウガメは本種が最も多

い。背甲に項甲板がなく、若い個体は一様に

卵を1回に3〜26個産む。卵は、10〇〜200日

ドーム型だが、オスの成体では鞍型に近い。

前後で孵化する。多肉植物や低木•草類の葉

甲羅は雌雄共灰色や暗褐色・黒色に近い色で、

を主に食べ、それらの花•果実も好む。

オスの腹甲の中央は大きく窪む。乾燥した荒

地や草地、低木林内などに生息し、水場を好 む。6〜12月に1〜4回産卵し、球形に近い TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

027

バルバドス産

甲長:35cm前後(最大甲長51cm)

中型からやや大型の種。背甲は淡黒色で各

7個を複数回産み落とす。卵形状は球形に近

甲板の中央部は黄褐色。頭部や四肢の大きな

い楕円形、150日前後で孵化する。雑食;傾向

鱗は赤褐色から赤色。オスの成体では背甲の

が強く、草類や果実•花・キノコ類などを主

側面が顕著にくびれる個体が多い。本種は分

に食べるが、動物の死肉・陸棲貝類なども食

布域が広く、地理的変異が見られ、現在4夕

べる。

イプほどに分けられている。熱帯雨林など比

較的湿度の高い林縁部を主に、キアシガメと 分布が重なる地域では多湿なサバンナに生息

・飼育のポイント 毎回の給餌でなくともよいが、半月に一度くらいは動 物性の餌を与える。特に体力の落ちる冬季には、レバー

など血液を多く含む餌を与える。

する。産卵は6〜9月に行われ、1回で2〜 028 Turtle and Tortoise of the World

キアシガメ 学名:Chelonoidis denticulata

分布:コロンビア、ベネズエラからギアナ、ブ

ラジル、エクアドル、ペルー北西部、ボ リビア中北部、パラグアイ北部

甲長:60cm前後(最大甲長82cm)

やや育った幼体

新大陸では最大のリクガメ。アカアシガメ

に似るが、背甲はやや褐色に近く各甲板のっ

卵。卵形状は球形に近い楕円形、130日前後

なぎ目とその周囲は暗褐色。頭部や四肢の大

で孵化する。草類や果実•花•キノコ類など

きな鱗は黄褐色。オスの成体ではアカアシガ

植物質が主だが、動物の死肉や陸棲貝類など

メのようなくびれがないなどで区別でき、メ

の動物質も食べ雑食傾向も示す。

スはオスより大型になる。熱帯雨林内の多湿

部に多く、オリノコ川やアマゾン川では上流 域の内陸深くまで生息する。繁殖は年間を通

・飼育のポイント 毎回の給餌でなくともよいが 、半月に一度くらいは動

物性の餌を与える。特に体力の落ちる冬季には、レバー など血液を多く含む餌を与える。

して見られ、1回に4〜6個の卵を年数回産

Turtle and tortoise of the world 029

孵化した仔ガメは地中で冬を越し、翌年に地

チャコリクガメ

表に出る。サボテンや多肉植物を種に食べる。

学名:Chelonoidis petersi 分布:ボリビア南東部、パラグアイ西部、ア ルゼンチン北部

甲長:25cm前後

南米種のリクガメ類では最小。背甲はやや 高いドーム型で褐色だが各甲板の接合部は暗 色。尾の先端は1枚の大きな鱗からなること

で区別できる。低地から標高1500m以下の低 山地に分布。砂漠や半砂漠の周辺の低木や藪

の点在する環境や平原、チャコ湿原周辺など

生息環境は広い。地表に深い穴(2m前後) を掘り、熱気や冷気を避け、南部では冬眠も 行う。産卵は夏から初秋に年1〜3回産卵し、

1回の産卵数は1〜8個。卵は長楕円形で、 030 Turtle and tortoise of th e world

・飼育のポイント 穴を掘る性質があるので、床材を厚く敷くと良い。

:

1

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ヒョウモンガメ属 (Stigmochelys)

1属1種で構成されるが、分布城が広く、)

I

アヒョウモンガメ(S. p. pardalls),バブコック ヒョウモンガメ (S. p. babcockl)の2亜ИН: 分かれるという説もある。

ナミビアヒョウモンガメ

ヒョウモンガメ 学名:Stigmochelys pardalis

分布:エチオピア・スーダン南部以南のアフ

リカ大陸東部•南部 甲長:60cm前後(最大甲長?2cm)

バブコップヒョウモンガメ

1属1種のリクガメ。背甲は黄褐色から 褐色で、初生甲板以外に黒色や暗褐色の大小

され、4カ月〜1年以上かかる場合があるよ

の不定形な斑紋が散在する。海岸線から標

うで、仔ガメが地表に出てくるのに半年以上

高3000mのなだらかな高地にまで生息。主に

かかることもある。イネ科の植物や低草類を

比較的開け、乾燥したサバンナや平原などに

主に食べる。

点在する低木林や藪などに生息する。産卵は

1回に5〜30個ほどで、1シーズンに2〜7 回行う。卵は長楕円形(球形に近い場合もあ

♦飼育のポイント 蒸れや多湿に弱い傾向があり、梅雨時期は注意。比 較的大型になり、室内飼育には不向き。

る)で、孵化日数は生息地や気象条件に左右 Turtle and Tortoise of the World 031

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ホウシャガメ (Astrochelys radiata)とへサキ

マダガスカルリクガメ属

リクガメ (Astrochelys yniphora)の2種で構 成される。両種が別属という説もあるが、今日

(Astrochelys)

では同属であるという説が主流。

レッドリスト

絶滅危惧種

IA類

へサキリクガメ

布していたようだが、現在は乱獲などで海,岸 に面した林縁部や隣接する藪や草地に点在'す

学名:Astrochelys yniphora

るのみとなり、厳重に保護されている。

分布:マダガスカル北西部(バリー湾沿岸の

一部) 甲長:40cm前後(最大甲長44.6cm)

中型のリクガメで、背甲は著しくドーム状 に高くなる。背甲は褐色だが、各甲板の接合

部は暗褐色となり、各甲板には黄褐色の三角

模様が入る。腹甲は大型で左右の喉甲板は融 合し、成長と共に前方に舟の舶先のように長

く突き出る。過去には乾燥地に比較的広く分 032

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

雨季に活発に活動し、灌木の葉や草類を主 に食べる〇

動し、乾燥状態が長く続くと岩や倒木の下に

ホウシャガメ 学名:Astrochelys radiata

分布:マダガスカル南部、マスカリン諸島 够入)

穴を掘り活動を停止する。

繁殖は栄養状態で異なるが、飼育下で1回 の産卵数は1〜9個の球形に近い卵を産み、

年間5〜6回産卵する。

甲長:最大甲長40cm

背甲には項甲板がなく、高いドーム型。背 甲は黒色で、各甲板の初生甲板より淡黄色の

放射状模様が美しく入るが、成長に伴い色は

薄れ、成体では全体的に暗色になり不明瞭と なる。半砂漠地帯林の乾燥した森林やその周 辺の岩場の多い荒地に生息。雨天後によく活

Turtle and tortoise of the world 033

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ソリガメ属

(Chersina)

1属1種で構成され、ヒラセリクガメ属 (Homopus)やヤブガメ属(Ps日m/поЬヨres)

1

に近縁とされる。

前部と後部の左右はやや広がる 。海岸沿いの

ソリガメ

低地で湿った低木林内に多く生息するが、乾

学名:Chersina anguiata

燥地でも見られる。交尾は周年行われ、産卵

分布:南アフリカ共和国南西部から南部

は1回1〜2個で複数回行われ、卵は楕円・形

甲長:最大甲長27.2сш (オス)

で孵化日数は通常180日以上。主に低草類を

最大甲長21.6cm (メス)

食べるが、果実、死肉類なども食べる。

1属1種の中型のリクガメ。腹甲板の喉甲 板は左右融合し、ヘサキリクガメに似て1枚 の甲板となり、前方に突き出すが、ヘサキリ

クガメとは形態や色彩が異なる。背甲はドー ム型に盛り上がり、通常項甲板はないが個体

により小さな項甲板があるものもいる。各椎 甲板や肋甲板は幅広い黒色に縁取られ、中央

部は黄褐色やオレンジ色だが初生甲板とその 周囲は暗色。全体的に細長いが背甲の縁甲板 034 Turtle and Tortoise of the World

・飼育のポイント 高温多湿の日本では保温飼育を奨める 。

潜頸亜目(Cryptodira)

ヒラセリクガメ属は、オウムヒラセリクガメ(H.日畑〇仙刖)、

リクガメ科(Testudinidae)

ナミビアヒラセリクガメ(H.

ヒラセリクガメ属

セリクガメ

(Homopus)

5種で構成される。

so/us)、ブーランジ玉ヒラ

(H. boulengeri)、オオヒラセリクガメ(H femoralis)、シモフリヒラセリクガメ(H. signataus)の

シモフリヒラセリクガメ

種知られ、本種は2亜種に分類される。背甲

は比較的低いドーム型で、頂部の甲板は平ら

学名:Homopus signataus

になる。各甲板には淡褐色で、大小の不定形

亜種:キタシモフリヒラセリクガメ

な斑紋が霜降り状に入る。標高1000m以下の

(H. s. signataus)

主に砂漠や荒地などで、降雨時のみ小さな流

ミナミシモフリヒラセリクガメ

れの生じる川沿いや岩の多い斜面などで活動

(H. s. cafer)

し、雨の多い冬になるとより活発になり、高

分布:南アフリカ共和国西部の小ナマクアラ

ンド周辺 甲長:8〜9cm

ヒラセリクガメガメ種群は本種の他に4

温で乾燥する時期には活動は低下する。産卵

は年1〜4回、1回の産卵は1〜2個、卵は 長楕円形で孵化は人工下で110日前後の例が ある。主に草類や多肉植物などを食べる。 Turtle and tortoise of the World 035

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ホシャブガメ(R geometricus)、ノコへり

ヤブガメ属

ヤブガメ(R оси lifer)

(Psammobates)

чテントヤブガメ(R

tentorius)の3種で構成され、ノコヘりヤブ ガメのCB個体が稀に輸入される。

〜2回産卵。低草類を主に食べ、野生動物か

ノコへりヤブガメ 学名:Psammobates oculifer

分布:カラハリ砂漠とその周辺の南アフリカ 共和国北部、ナミビア、ボツワナ

甲長:最大甲長14.7cm ヤブガメ属は本種の他に2種知られるが、 日本への輸入は稀。背甲は高いドーム状で、

各甲板は暗色で淡褐色の放射状模様が入る〇

縁甲板の前後部は鋸歯状。砂漠や乾燥したサ

バンナのまばらな藪などに生息する 。繁殖は

12月前後に楕円形の卵を1回1〜2個、年1 036 Turtle and tortoise of the World

糞も食べる〇

様の形状、本数などは亜種や個体により変異

テントヤブガメ

がある。標高900m以下の平地や斜面•低山

学名:Psammobates tentorius

地で砂質の砂漠•低木の密生地•乾燥したサ

亜種:ケープテントヤブガメ(P t. tentorius)

バンナの周辺部に生息する。個体群によっ

ニシテントヤブガメ(P. t. trimeni)

ては低木の根元や砂地で堆積した枯れた植物

キタテントヤブガメ (P. t. verroxii)

の中、哺乳類の古い巣穴などで冬眠や夏眠す

分布:南アフリカ共和国、ナミビア南部

甲長:最大甲長14.5cm

3亜種で構成される。背甲は高くドーム状

る。産卵は9〜11月に行われ、産卵回数は年

1回。1回の産卵数は1〜3個。卵はやや球 形に近い楕円形で、硬くてもろい白色の卵殻

に盛り上がり、個々の椎甲板や肋甲板は初生

を持つ。孵化は4〜5月。多肉植物や草類を

甲板を頂点として円錐状に突出し、そこから

食べる植物食。

黄褐色の放射模様が数本伸びる 。その放射模 Turtle and Tortoise of the world 037

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

パンケーキガメ属

1属1種。チュウカイリクガメ属に近縁とされ 、 弾力のある甲羅を利用し 、岩の隙間に潜り込 むという特殊化した進化を遂げたカメ 。

(Malacochersus)

パンケーキガメ 学名:Malacochersus tornieri 分布:ケニア北•南西部からタンザニア北•中



甲長:最大甲長17.8cm

背甲

腹甲

1属1種の小型のリクガメ。甲羅はきわめ

する。産卵は7〜8月に1回で1〜2個の楕

て扁平で弾力があり、天敵などに出会うとす

円形の卵を年に複数回産卵すると見られ、孵

ばやく岩の割れ目に入り込み、体を膨らませ

化日数は土壌温度に大きく左右される。主に

るだけでなく四肢を突つ張るため、引き出す

朝夕に活動し、草類や落ち葉・多肉植物を主

ことは困難になるという形態•生態の特殊化

に食べる。

したリクガメ。背甲•腹甲の各甲板には放射

状模様があり、色彩は暗色から明色まで個体 変異が多い。標高1800m前後の内陸部で岩場 の多い丘陵地•低山地•サバンナなどの乾燥

・飼育のポイント 扁平な石を複数枚組み上げたシェルターを設置する

と良い。

した藪地や潅木がまばらに生えた環境に生息 038 Turtle and Tortoise of the World

潜頸亜目(Cryptodira) リクガメ科(Testudinidae)

・ベルセオレガメ(K. belliana)、ロバツイセオレガメ(K. lobntulnn)入 ・ピークセオレガメ(к. spekii)、ナタールセオレガメ(K. nntnloiiHifi).

加ゴ し・ 工百 !モリセオレガメ(K. erosa).ホームセオレガメ (K. homeana)の6權

p勺кл/лж [で構成され、いずれの種も背甲後部に蝶番があり可動性を持つ特

(kinixys)

!殊化したグルーフ;

ベルセオレガメ 学名:kinixys belliana 亜種:ヒガシベルセオレガメ (K. b. belliana)

ニシベルセオレガメ (K. b. nogueyi) 分布:サハラ砂漠以南のアフリカ東部(ヒガ

シベルセオレガメ)、サハラ砂漠以南の アフリカ中西部(ニシベルセオレガメ) 甲長:最大甲長22cm セオレガメ属の中で最も分布が広く、現時

は雨季から乾季の初めに1回2〜4個の楕円 形の卵を産卵する。幅広い食性を持ち、草類

点では2亜種からなる。背甲は細くドーム型

や多肉植物・果実•キノコ類•昆虫類・陸棲

で後部は急に落ち込み、後部縁甲板が可動す

貝類•死肉といった雑食性を示す。

る。分布が広いことで色彩や模様に変異が多 い。生息環境は多様で、乾燥から高湿の低木

林•灌木林•草地•熱帯雨林などに生息し、

・飼育のポイント 雑食性の傾向が強いので 、多様な餌を給餌する。

生息地の環境により夏眠や冬眠を行う 。産卵

Turtle and tortoise of the World 039

ワシントン翔

附属書

II類

ホームセオレガメ

生息する。繁殖は年間を通し行われ、1回に

2〜4個の長楕円形の卵を年1〜2回産卵す

学名:kinixys homeana

る。雑食性で多様な植物やその果実、地表動

分布:シエラレオネ南部からギニア湾諸国の

物、死肉などを食べる。

南部、カメルーン南部、コンゴ民主共

和国北西部 甲長:最大甲長22.3cm

背甲の幅はやや細く、比較的高いドーム型 で後部は急に落ち込む。背甲後部の蝶板は

よく発達し可動する。第1椎甲板の中央に

はキールがあり、第2〜4椎甲板のキールは

目立たずほぼ平ら。前部縁甲板は外側に広が り、後部縁甲板の広がりは小さいものの反り

返り、縁は鋸歯状となる。熱帯雨林やサバン

ナの低地常緑樹林の比較的湿度の高い環境に 040 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント 蒸れは禁物。通気の良い飼育環境を用意する 。

繁殖期におけるメスの負担は大きい。雑食性

モリセオレガメ

で多様な植物から果実、キノコ類、地表動物、

学名:Kinixys erosa

死肉なども食べる。

分布:セネガル南部からのギニア湾岸諸国 、

コンゴ民主共和国とその周辺国の一部 甲長:最大甲長37.5cm セオレガメ属の最大種。背甲の幅はやや広 いドーム型で後部は急に落ち込む。前部縁甲

板の縁は外側に広がり、その中央部先端は反

り返る。後部縁甲板の広がりは小さいものの

反り返り、その縁は鋸歯状。喉甲板は前方に 突出する。熱帯多雨林内やサバナ林といった 高温多湿な環境を好み、森林内の湿地•沼地

的な環境で生活する。卵は長楕円形で、1回

・飼育のポイント 感染症や寄生虫症の治療をしっかりと。

の産卵数は1〜4個。オスはメスより大きく、

Turtle and Tortoise of the World 041

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

クモノスガメ属

(Pyxis)

キバラクモノスガメ

クモノスガメ 学名:Pyxis arachnoides

亜種:キバラクモノスガメ(P a. arachnoids) ミナミクモノスガメ (P. a. oblonga)

キタクモノスガメ (P. a. brygooi)

ミナミクモノスガメ

キタクモノスガメ

分布:マダガスカル南部•南西部

甲長:最大甲長15cm

溜まった落ち葉の下や岩・倒木の下などに潜

マダガスカル固有種で、3亜種が知られる

り、活動を止める。繁殖については不明な点

小型のリクガメ。背甲は高いドーム型で後部

が多い。主に植物食だが家畜の糞を食べるこ

は急に落ち込む。腹甲の肩甲板と胸甲板の間

ともある。乾燥期には食物から得られた水分

に蝶板(蝶板を持たないものもいる)があり 、

を膀胱に蓄えることもできる。

前部のみ可動性がある。低地の乾燥した林や

多肉植物などの林、藪、荒地などに生息して

いる。朝夕に主に活動するが、降雨時やその

直後にもよく行動する。低温や乾燥が続くと 042

TURTLE AND TORTOISE OF TH E WORLD

脱走したカメなど野外で見かけないカメを見つけたら…

常.:i

雷04

脱走はいかなる動物でもあってはならないの が原則だが、多くのカメは人畜無害のものが多

い。しかし、特定動物に指定されているカミツ キガメ科のカミツキガメやワニガメは気性が荒

く、濁水中などで誤って踏みつけたり 、頭の前

へ手や足を急に出すことにより 、嚙みつかれる 場合も想定される。法的にも定められているこ

ともあり、近くの交番や動物愛護センターなど の関係部署へ届け出よう。その他、ニホンイシ

ガメやクサガメ、スッポン、ミシシッピアカミ ミガメといった日本国内で広く見られる種以外

フトマユチズガメ(左)とミシシッピアカミミガメ(右)

のカメを野外で見つけた場合、たとえば、クー

ター類 •ドロガメ類・ニオイガメ類などは小型 個体であっても気性が荒いことが多い。頭の前 や周囲に手を出さず、保定する場合はカメの後 部を摑まえ、容器に入れて関係機関へ届ける。 カミッキガメ

ニホンイシガメ(日本固有種)

Turtle and Tortoise of the World 043

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

ヒラオリクガメ属 (Acinxys)

ヒラオリクガメ 学名:Pyxis planicauda

分布:マダガスカル中西部

甲長:最大甲長13.7cm

マダガスカルの中西部沿岸の熱帯雨林内の 高温で乾燥した、林床の落ち葉などが大量に

堆積した環境を主に好み、雨季に活発に行動

する。背甲はやや低いドーム型 。椎甲板や肋 甲板は黒色の地色で、初生甲板の周囲や各甲

板の周囲は淡黄色や褐色に縁取られ、初生甲 板から数本の放射状の模様が入る。尾は名前 のとおりやや扁平の尾となる。雨季に交尾し、

年に数回産卵するが、1回の産卵数は1〜2

個で、卵は球形に近い長楕円形。植物食で落 044 Turtle and Tortoise of the World

葉や低草類の葉•果実を主に食べる。

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

チチュウカイリクガメ属 (Testudo)

オオフチゾリリクガメ

フチゾリリクガメ 学名:Testudo marginata ペロポネソス

亜種:オオフチゾリリクガメ(T m. marginata)

Jフチゾリリクガメ

ペロポネソスフチゾリリクガメ (てm. weissingeri)

別名:マルギナータリクガメ

は全体的に暗色で、椎甲板、肋甲板の初生甲

分布:ギリシャ、アルバニア最南部(オオフチ

板とその周囲は褐色だが、老齢個体では黒色

ゾリリクガメ)、ギリシャ(ペロポネソス

となる。開けて乾燥したまばらな灌木林など

半島の一部/ペロポネソスフチゾリリ

に主に生息する。雨の多い冬季(地中海性気

クガメ)

候の特徴)には活発な採食行動をとる。食性

甲長:最大甲長39cm

はギリシャリクガメに似る。

2亜種が知られるが、一般的に基亜種オオ フチゾリリクガメをフチゾリリクガメとして

扱われている。背甲は高いドーム型で、成体

のオスでは後部縁甲板は外側に広がる。甲羅

・飼育のポイント 流通するのはCB個体が多く、比較的飼育しやすい カメだが、やや乾燥気味とし、水入れは全身が入れる 程度の大きさのものを用意する。

Turtle and tortoise of the world 045

ヒガシヘルマンリクガメ (J. h. boettgeri) ダルマティアヘルマンリクガメ

別できる。標高150От前後までの開けた林内

(Г h. hercegovinensis)

を好むが、乾燥したまばらな草地や潅木のあ

分布:スペイン東部からのヨーロッパ側地中

る丘陵地などでも見つかる。産卵は年に2〜

海沿岸諸国のトルコ西部までとルーマ

3回で総数約20個を産卵し、卵は楕円形。60

ニア南部以南 甲長:20cm前後(最大甲長35cm)

日前後で孵化する。草類を主に食べるが、果

実や少量の動物質も食べる。

3亜種からなる。似通ったギリシャリクガ メとは左右臀甲板が融合しない 、前肢に大き

な鱗はない、大腿部にイボ状鱗がない、尾の

先端に鈎爪の大きな1枚の鱗を持つなどで区 046 Turtle and Tortoise of the World

・飼育のポイント フチゾリリクガメとほぼ同様。

ムーアギリシャリクガメ

ギリシャリクガメ 学名:Testudo gracea

亜種:ムーア(アルジェリア)ギリシャリクガメ (T g. graeca)

アナ厶ールギリシャリクガメ (T g. anamurensis) アンタキアギリシャリクガメ(7: g. antakyensis)

アルメニアギリシャリクガメ (T g. armeniaca) カスピギリシャリクガメ (T. g. boxtoni)-キレナイカギリシャリクガメ (7: g. cyrenaica)

レバントギリシャリクガメ (7: g. floweri) •コーカサスギリシャリクガメ (7: g. ibera) ランバートギリシャリクガメ (7: g. lamverti) •モロッコギリシャリクガメ (7: g. marokkensis) チュニジアギリシャリクガメ (T g. naveulensis) ニコルスキーギリシャリクガメ(7: g. nikolskii)-ダゲスタンギリシャリクガメ (7: g. pallasi) ザグロスギリシャリクガメ (工g. perses)・スースギリシャリクガメ (7: g. soussensis)

アラブギリシャリクガメ (7: g. terrestris) •イランギリシャリクガメ (7: g. zarudnyi) 分布:北アフリカのリビア以西 、スペイン南部、ギリシャからイラン、シリア北部からイスラエルなど 甲長:最大甲長16〜38cm

Turtle and tortoise of the World 047

分布が広く現在17亜種に分類されるが、今

回の産卵数や産卵回数・卵サイズは亜種によ

後再編の余地を残す。背甲は比較的高いドー

り大きく異なる。主に草類や木の葉・果実・

ム型で甲板にはキールがなく滑らかだが、亜

花などを食べる。

種により色彩や模様はさまざま。低地から標

高2700m前後の山地まで、主に荒地のまばら な灌木林、藪、乾燥草地などに生息している。

環境により冬眠や夏眠する個体群もいる 。1

・飼育のポイント

WC個体より、CB個体を勧める。

アナムールギリシャリクガメ

アンタキアギリシャリクガメ

048 Turtle and Tortoise of the world

:

分布が広域で亜種により飼育の難易度が異なる 。:

キレナイカギリシャリクガメ

:



レバントギリシャリクガメ

コーカサスギリシャリクガメ

ランバートギリシャリクガメ

モロッコギリシャリクガメ

チュニジアギリシャリクガメ

ザグロスギリシャリクガメ

スースギリシャリクガメ

アラブギリシャリクガメ

Turtle and Tortoise of the world 049

ニシヘルマンリクガメ

エジプトリクガメ 学名:Testudo kleimanni 分布:リビア、エジプト、イスラエル南部

甲長:最大甲長14.4cm チチュウカイリクガメ属中 、最小種。ギリ

シャリクガメに似るが前肢の大型鱗がより

大きく 3列あり、また、後肢の大腿部に大き

な円錐型の鱗を持たない、尾先に大きな鈎爪 状の鱗があるなどの形質で区別できる。砂漠

やステップ、灌木林など乾燥した環境に生息

し、乾季には穴を掘り夏眠する。乏しい草類 や多肉植物を主に食べ、雨季など草類が芽吹 050 Turtle and tortoise of the World

く時期には冬季でも活発に活動する。

ヨツユビリクガメ 学名:Testudo horsfieldii

亜種:アフガニスタンヨツユビリクガメ (T h. horsfieldii) パキスタンヨツユビリクガメ

(T h. baluchiorum) カザフスタンヨツユビリクガメ

は比較的扁平で背甲の幅は広く、四肢の爪は

4本。通常、背甲は褐色から暗褐色で初生甲 板とその周囲は暗色だが、その暗色斑紋の大

きさや濃さは個体や亜種により変異する 。標 高4000mの寒冷地から低地の乾燥した岩の多 い荒地•ステップなどが主な生息地だが、耕 作地や牧草地などにも餌を求め侵入する 。生

(Г h. kazachstanica)

息環境により、穴を掘れる場所では深い穴を

トルクメニスタンヨツユビリクガメ

掘り、夏眠や冬眠を行う。主に草類や果実・

(T h. rustamovi) 別名:ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ

花を食べる。繁殖生態は亜種間や生息環境で

大きく異なるとみられる〇

分布:イラン、ノヾキスタン、アフガニスタン、ト

ルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキ スタンなど

甲長:最大甲長28cm

・飼育のポイント 近年流通する多くはCB個体で飼育しやすいが、生 後約3年間は冬季、室内飼育し、暖かい沖縄であっても シートヒーターなどを使用する。

Turtle and Tortoise of the World 051

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

インドリクガメ属 (Indotestudo)

エロンガータリクガメ

エロンガータリクガメ (/. elongata)、セレベス

I

リクガメ (I. forstenii)、トラバンコアリクガメ (/. travancoria)の3種で構成され、トラバン

コアリクガメの流通はほとんどない 。

産卵回数は年1、2回。1回の産卵数は1〜

7個で、球形に近い卵を産卵する。孵化まで

学名:Indotestudo elongata

は120日前後。草類や落葉、花、果実などを主

分布:ネパール南部、インド北部からミヤン

に、死肉やナメクジなども食べる。

マーと中国南部からマレーシア北部の 東南アジアー帯など 甲長:最大甲長36cm インドリクガメ属中最も分布が広い中型の

リクガメ。背甲はやや細長く高いドーム型で、 項甲板を持つ。前部縁甲板は前方に伸び(や

や上方に反る場合もある)、後部縁甲板はや や外側に広がる傾向を示し、縁は弱い鋸歯状

となる。臀甲板は左右融合し1枚。甲板の色

彩は灰褐色から褐色で中央に暗色模様が入る

が、大きさや模様の変異は大きい。低山地や 丘陵地の森林の比較的乾燥した地域に多い。 052

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

:♦飼育のポイント :

飼育環境に慣れれば、比較的低温にも強い傾向を示

:すが、長期間低温に晒さないほうが良い 。低温が続く

:と血行障害(?)を起こし、頭部の皮膚が黒ずむ。暖房 :または保温器具を用いて最低20°C以上を保つ。

る。食性はよく知られず、飼育下ではエロン

セレベスリクガメ

ガータに似て雑食性の傾向を示す 。

学名:Indotestudo forstenii

分布:スラウエシ島北部(インドネシア) 甲長:最大甲長27.2cm

エロンガータリクガメに似る中型のリクガ

メ。項甲板はあるものとないものがいる 。甲 板の色彩は黄白色や淡黄•淡黄褐色で、黒色 斑紋は大きく甲板全体が黒い個体もいる。甲

羅は細長くドーム状だが、頂部はやや平らな どの点で他種と区別できる。臀甲板は左右融 合し1枚。低山地や丘陵地の水はけの良い斜 面の林床に多く生息し、高温時は岩の割れ目

や落ち葉下などに潜る。飼育下での産卵は年

1、2回で、1回の産卵数は1〜4個の長楕

:・飼育のポイント : 流通する個体のほとんどがWCであり、購入時にヘル :ペスウィルスの感染に気をつける。

円形の卵を産み、孵化日数は101日の例があ

Turtle and Tortoise of the world 053

トラバンコアリクガメ 学名:Indotestudo travancoria

分布:インド南西部 甲長:約30cm (最大甲長35.5cm)

インド南西部の西ガーツ山脈周辺の固有種 で、450m以下の低山地熱帯樹林内の岩場が主 な生息地。甲は前2種より細長く、背甲板の

第2椎甲板で最も盛り上がり後部は徐々に下 がるドーム型。各甲板の初生甲板周囲には異

形の黒色斑紋が見られるが、成長と共に薄く

なる傾向がある。甲全体の地色は褐色。産卵

は年複数回で、1回の産卵は1〜7卵。卵は

楕円形で固い孵化日数は不明だが、飼育下で

147日前後の例がある。植物食の傾向が強い が小さな昆虫や小動物の死肉も食べる 。 054 Turtle and tortoise of the world

潜頸亜目(Cryptodira)リクガメ科(Testudinidae)

エミスムツアシガメ(M. emys).インプレッサ

ムツアシリクガメ属

ムツアシガメ(M. imoressa)の2 fitで横成さ れ、後肢と尾の間には数個の数個の尖った大

(Manouria emys)

型鱗を持つ。

の尖った大型鱗を持ち、斜面の移動時に滑り

エミスムツアシガメ

止めの役目としている。主に標高1000m以

学名:Manouria emys

下の産地の森林内に生息し、高温を嫌い比較

亜種:スマトラムツアシガメ(M. e. emys)

的湿度の高い環境を好み、年間を通し活動す

ビルマムツアシガメ(M. e. phayrei)

る。産卵は年1回、1回の産卵数は40個前後、

分布:インド北東部•バングラデシュ東部•ミヤ

卵は球形に近い楕円形で、70日前後で孵化す

ンマー南西部•タイ中西部(ビルマムツ

る。主に植物食だが、タケノコを好み、その

アシガメ)、マレーシア南部•スマトラ島・

時期には竹林に多く集まる。また、陸棲無脊

ボルネオ島(マレーシア領•インドネシア

椎動物などの動物食も食べる。

領西部)(スマトラムツアシガメ) 甲長:最大甲長60cm

レッドリスト

lb ビルマムツアシガメ /絶滅危惧種la類(バングラデシュ) 絶滅危惧種lb類(インド・ミャンマー •タイ)

類(インドネシア) 絶滅危惧種!!類(タイ•マレーシア半島•ボルネオ島)

スマトラムツアシガメ,絶滅危愼種

アジアのリクガメ科では最大の大型種で、

2亜種が知られる。背甲の幅は比較的広く、 やや扁平なドーム型で、明瞭な項甲板を持 つ。甲羅を含め前体に暗色な体色(スマトラ

・飼育のポイント

ムツアシガメは褐色)で、四肢の全部には大

高温には弱く、зо°сを超える場合は涼しい場所に移: す。比較的大型になり、室内飼育には不向き。 :

:

きな鱗が瓦状にあり、後肢と尾の間には数個 Turtle and Tortoise of the World 055

ガメより乾燥地を好み、山の斜面や嶺筋に多

インプレッサムツアシガメ

い。キノコ類を主に食べるが、一部の果実や

学名:Manouria imoressa

タケノコなども食べる。繁殖に関しては不明

別名:ベッコウムツアシガメ

な点が多い。

分布:ミャンマー南東部、タイ、マレーシア、

ラオス、ベトナム 甲長:最大甲長31cm 主にキノコ類を食べる中型のリクガメ。背

甲はやや扁平なドーム型で、各甲板はほぼ平

らに近く、甲板の接合部はやや盛り上がるた め、全体が角張っているように見える。前後

部縁甲板の縁は鋸歯状で 、後部縁甲板はやや 反り返る。背甲板は黄褐色または褐色の地色

に各甲板の縁取りは暗色になる。標高60〇〜

2000mの山地に生息するが、エミスムツアシ 056 Turtle and Tortoise of the World

幼体



潜頸亜目(Cryptodira) リクガメ科(Testudinidae)

ゴファーリクガメ属 (Gopherus)

アナホリゴファーガメ (G. polyphemus)^サバクゴファーガメ (G .agassizii)、テキサス&ファーガメ (G .berlandieri) s メキ

I

シコゴファーガメ(G .flavomarginatus)の4種で構成され、 アメリカ合衆国とメキシコ北部の乾燥気候帯に分布“ メキシ

コゴファーガメのみがワシントン条約附属書I類、テキサスゴフ アーガメ以外の3種はレッドリスト絶滅危惧種!!類に指定.

われ、1回の産卵数は1〜5個。卵は長楕円

テキサスゴファーガメ

形で、約100日前後で孵化する。主に植物食

学名:Gopherus berlandieri

で草類やサボテン類などだが、昆虫や糞•骨

分布:アメリカ合衆国テキサス州南部 、メキシコ

なども食べる〇

北西部 甲長:最大甲長24cm

ゴファーリクガメ種群は本種以外に3種知 られるが、全てアメリカとメキシコの乾燥気

候域に生息。背甲は比較的高いドーム型で、 甲羅は暗色で椎甲板・肋甲板の初生甲板とそ

の周囲は明褐色。乾燥した荒地に生息し、点

在する低木や藪などの下に浅い穴を掘り潜

・飼育のポイント 餌は野菜や果実などを含め 、多様に与える。

む。産卵は5〜6月に集中し、年1〜2回行 Turtle and tortoise of the World 057

アナホリゴファーガメ

状となる。穴の内部は一定温度に保たれ、高 温時では巣穴にこもり活動を停止する 。この

学名:Gopherus polyhemus

巣穴は他のネズミ類やフクロウ、ヘビ類、ヒ

分布:フロリダ半島を含むアメリカ合衆国南

キガエルなどに二次的に利用されることもあ

東部 甲長:23〜30cm (最大甲長38cm)

る。林縁部や草原の砂質の環境に生息し、繁 殖は巣穴内に5〜7月産卵する。1回の卵数

ゴファーガメ属4種の中で、アメリカ合衆

は2〜7個、卵は球形に近い楕円形で、硬く

国の固有種。背甲は長楕円形でドーム型に盛

もろい白色の卵殻を持つ。食性は草類や落葉、

り上がるが、他のゴファーガメ中では最も低

果実類を食べる植物食。

く、地色は黄褐色から暗褐色で各シームは暗 色で縁取られる。頭部は中型で模様は入らず

全体に暗褐色で吻端は丸みを帯びる。前肢は 平たくシャベル状で穴掘りに適した形状で、

10m以上の深さの穴を掘る。穴はほぼ真っす

・飼育のポイント 落ち着かせるためにシェルターを使用するか、床材

を深くして潜らせる。

ぐで枝分かれせず、最深部はやや広がり部屋 058 Turtle and Tortoise of the world

カメの入手方法

現在、どんな種のカメ類が

流通しているのか、自分の入

手したいカメが流通している かなどはその気になれば爬虫

類専門店や総合量販店(ホー ムセンターなど)に問しヽ合わ

せるか直接入店して店員に尋 ねることでだいたい把握でき

ることと思う。もちろん、ネッ 卜を検索すればいろいろと出

てくるだろうが、ネット販売

では爬虫類や哺乳類・鳥類は 基本的に対面販売以外法律に

より禁止されているのが現状で、入手したい時

どがあり、最近では上記以外の関連イベントも

は近くのショップなどを通し、入手©ることに

多数催されるようになった。201/年現在、ほ

なる。しかし、ショップによってはいろいろ条

ぼ毎月どこかの都市(東京・大阪・神戸•京都・

件を提示され、それをクリアしないと取り寄せ

名古屋・静岡•埼玉•福岡など)で行われ、そ

ができないこともあり、なかなか困難なことも

の場で購入や飼育方法も知ることができ、出展

十分考えられる。

動物も主催側のホームページを見れば確認もで

では、近くに専門店や量販店がない場合はど

うすればよいのだろうか。

最近は家畜以外の動物や爬虫類•両生類を中 心としたイベントが毎月のように日本の各地で

きる。年間のイベント予定などは爬虫類・両生

類の専門誌『クリーパー』や『ビバリウムガイ ド』などでも随時紹介されているので、ぜひご

覧になっていただきたい。

開催されている。ただし、開催地は主要都市で

行われているのが現状で、例をあげれば、毎年 春に九州レプタイルフェスタ(福岡)、初夏に大

阪レプタイルフィーバー、8月にはジャパンレ プタイルズショー(静岡)、9月はナコヤレプタ

イルズワールド、10月から11月にかけては、ブ

リーダーズイベント(国内での飼育下繁殖個体 の展示•即売会)として、ぶりくら市(神戸)や とんぶり市、нвм (東京)が行われている。冬

場にも、レプタイルズワールド(東京)や冬レ プことジャパンレプタイルズショー(静岡)な TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

059

マダガスカル、アラビア半島南端

ヌマヨコクビガメ 学名:Pelomedusa subrufa

亜種:アフリカヌマヨコクビガメ (P. s. subrufa)

甲長:20cm前後(最大甲長32.5cm)

アフリカ大陸に広く分布し、1種のみだが3 亜種に分けられることが多い。頭部や背甲は

クロヌマヨコクビガメ (P. s. nigra)

扁平で、腹甲に蝶番を持たないことで他のハ

オリーブヌマヨコクビガメ (P. s. olivacea)

コヨコクビガメ属の他種と区別できる。比較

分布:サハラ砂漠以南のアフリカ大陸全域と 060 Turtle and Tortoise of the World

的開けたさまざまな水域に生息し、乾季に干

ワシントン翔

附属書

皿類

曲頸亜目(Pleurodira)ヨコクビガメ科(Podocnomldldne) アフリカヨコクビガメ亜科(Pelomeduslnae)

ヌマヨコクビガメ属 (Dipsochelys) 1種のみで構成される。腹甲にハコヨコクビガメ属 のような蝶番を持たない。

クロヌマヨコクビガメ

オリーブヌマヨコクビガメ

アフリカヌマヨコクビガメ

上がる水場では泥中で休眠し、比較的低温に

昆虫だけでなく、死肉も食べる。また、水に落

も強い。肉食傾向が強く、両生類•魚類・甲

ちた果実も食べることもある。

殻類•貝類などや死肉も食べるほか、植物質 も食べる。春から夏にかけて交尾し 、産卵は

年1回。1度に1〇〜30個の白色で弾力のあ るほぼ球形の卵を産卵する。卵は80日前後で

:♦飼育のポイント :

:

環境への適応や餌食いの良い種で初心者向きだが 、:

:攻撃性が多少あるので他種との同居飼育は注意。

:

孵化する。動物食で、小型の水棲生物や陸棲 Turtle and tortoise of the world 061

曲頸亜目(Pleurodira)ヨコクビガメ科(Podocnemididae) アフリカヨコクビガメ亜科(Pelomedusinae)

小型から中型のハコヨコクビガメで18 種が知られ、いずれの種も前部(前葉)

ハコヨコクビガメ属

のみが可動し、後部は動かない。

(Pelusios)

体では不鮮明となる。背甲の色彩は灰色や才

ウスグロノ\コヨコクビガメ

リーブ色•暗褐色など変異に富む。オスは

学名:Pelusios subniger

メスよりやや小さく、甲幅が狭い。サバンナ

亜種:アフリカウスグロハコヨコクビガメ

の河川や池沼・湿地などの水域に主に生息す

(P. s. subniger)

るが、生息環境の異なる地域ではその環境に

セーシェルウスグロハコヨコクビガメ

合った水場に生息し、地域により夏眠する個

(P s. parietalis)

体群もいる。繁殖には不明な点が多く、南ア

分布:ブルンジ、コンゴ民主共和国南東部、

フリカ共和国では2〜3月に産卵し、1回の

タンザニア、モザンビーク、ザンビア、

産卵数は8〜12個、卵は弾力のある皮革状と

ジンバブエ、ボツワナ北東部、南アフ

いう程度。夜行性の傾向が高い。水棲昆虫や

リカ共和国北部、マダガスカル東部、

甲殻類・魚類・両生類・死肉・果実・水草な

セーシェル諸島

甲長:18cm (最大20cm)

ど肉食傾向の強い雑食性。餌はイネ科の植物

や多肉植物を主に食べる.。

ハコヨコクビガメ属の中では中型種 。背甲

はやや卵型でドーム状で、若い個体では中央

レッドリスト セーシェルウスグロハコヨコクビガメ/絶滅危惧種

に弱いキールが入るが、成長と共に薄れ、成 062

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

IA類

主に生息し、水棲傾向が強いが浅瀬を好む 。

アダンソンノ\コヨコクビガメ

繁殖に関しては情報不足。肉食傾向の強い雑

学名:Pelusios adansonii

食性。

分布:サハラ砂漠南部のセネガルからスーダ ン中南部の中央アフリカ

甲長:15〜18cm前後(最大18.5cm)

ハコヨコクビガメ属の中では比較的小型 種。背甲中央部のキールは若い個体では顕著

だが、成長と共に薄れ、第1〜4椎甲板以外 は目立たなくなる。背甲板の各甲板には、初

生甲板より細い暗色の放射模様が連続もしく は不連続に入るが、老齢個体では目立たなく

なる。頭部は幅広く、灰褐色で黄色の虫食い

・飼育のポイント 泳ぎはあまりうまくないので、飼育場に浅場を設置す

る〇

模様が入る。サバンナを流れる河川や池沼に

Turtle and Tortoise of the World 063

トウルカナハコヨコクビガメ 学名:Pelusios broadleyi

別名:ブロードレイハコヨコクビガメ 分布:ケニア北西部のトウルカナ湖南東岸部

甲長:14〜15cm前後(最大甲長15.5cm)

ハコヨコクビガメ属の中では小型種。ア ダンソンハコヨコクビガメに似るが 、背甲は

細長い卵形でやや扁平。各椎甲板の中央部 にキールがあり、特に第2〜4椎甲板後部の

キールは成体でも顕著に残る。腹甲の蝶番の 可動性は低く、ほとんど蓋をできないことな どで区別できる。頭部の額板は大型で特徴が

のみに生息する。繁殖に関しては情報不足。

ある。トウルカナ湖の沿岸やその周辺の水場

肉食傾向の強い雑食性。

064 Turtle and Tortoise of the world

ワシントン釉 附属・

モリハコヨコクビガメ 学名:Pelusios gabonensis

分布:ガボンからコンゴ共和国にかけてのア フリカ大陸中西部

甲長:約20cm ハコヨコクビガメ属の中では中型種 。幼体

の背甲は比較的丸く、椎甲板中央にはキール が入り暗色で繋がるが、成長に伴い背甲の形

状は比較的細長くなり、キールは目立たなく なって、背甲も暗色化することで暗色の縦条 が目立たなくなる。頭部中央には「Y」また

は M字型もしくはその中間的な暗褐色の模

林の河川やその周辺に生息するが、生態はよ

様が入り、その模様は成体でも残る。熱帯雨

く知られていない。肉食傾向の強い雑食性。 Turtle and Tortoise of the World 065

ヒメノ\コヨコクビガメ 学名:Pelusios nanus

分布:アンゴラ中央部、コンゴ民主共和国中 南部、ザンビア北部

甲長:最大甲長12cm 現生の曲頸類の中では最小種。背甲は細長 くやや扁平で、中央部のキールは弱く目立た

ない。背甲は褐色で個体によっては暗褐色の 筋状模様が入る。腹甲の蝶番の可動性は弱く、 ほとんど蓋はできない。頭部には暗褐色の細

かな虫食い模様もしくは細かな小斑が入る 。 湿潤なサバンナが点在する小さな池沼や周辺

の水場などに生息するが、生態は不明な点が 066 Turtle and Tortoise of the world

多い。雑食性と思われる。

では泥中などに潜り夏眠する。肉食傾向のや

クリイロハコヨコクビガメ

や強い雑食性で、水棲動物や果実、水草類な

学名:Pelusios castaneus

どの他に動物の死肉も食べる。

分布:セネガルからアンゴラ北部のアフリカ 大陸中西部 甲長:20cm前後(最大28.5cm)

ハコヨコクビガメ属の中では中型種。背甲

はやや卵型で厚みがあり、色は黄褐色から暗 色まで変異に富む。頭部背面は褐色から灰褐

色などの地に、暗色の細かな虫食い模様や黒 斑、それらの模様が不鮮明なもの、頭部全体

・飼育のポイント

:

輸入された当初は落ち着かせることで、鶏肉を中心:

が暗色なものと変異がある。生息地は広く熱

に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を:

帯多雨林から開けたサバンナの河川や池沼・

食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育: しやすいカメ。

:

湿地などの水域で、乾季で水が干上がる地域 Turtle and Tortoise of the world 067

はかなり短く蝶番は第5縁甲板の後端付近に

キバラノ\コヨコクビガメ

接することで区別できる。底が泥地の池沼・

学名:Pelusios castanoides

湿地・ゆるやかな小さな河川などの水域に生

亜種:アフリカキバラハコヨコクビガメ

息し、乾季で水が干上がる場所では泥中に潜

(P. c. castanoides)

り夏眠する。夜行性の傾向が強く、甲殻類や

セーシェルキバラハコヨコクビガメ

貝類、果実、水草などを食べる雑食性。

(P. c. intergularis)

分布:ケニア南部から南アフリカ北東部のア

フリカ大陸南東部、マダガスカル、セー シェル 甲長:20cm前後(最大23cm) ハコヨコクビガメ属の中では中型種。背甲

セーシェルキバラ ハコヨコクビガメ

の色彩も個体により変異に富む。頭部は大型

で厚みがあることなど、クリイ□ハコヨコク

レッドリスト セーシェルキバラハコヨコクビガメ絶滅危惧種

ビガメと似るが、腹甲は大型で幅広く、前葉 068 Turtle and tortoise of the World

IA類

シロガオハコヨコクビガメ 学名:Pelusios cupulatta

分布:コートジボアール南西部

甲長:20cm前後(最大21.4cm) やや小型の種。甲は細長く扁平で、背甲中 央に弱いキールが椎甲板甲縁部にのみ残り、 その中でも第4椎甲板のキールは明瞭。背甲

は灰褐色または褐色で、各甲板の縁は暗褐色 となる。頭部は通常、顎や喉の部位が白くな るが、個体によりその白い部位にはさまざま

内でも見かける。,生態や生活史は不明な点が

な変異が見られる。森林内の小さな小川や水

多い。

路・河川に主に生息し、雨季では浸水した林 Turtle and Tortoise of the world 069

オオノ\コヨコクビガメ 学名:Pelusios chapini 分布:ウガンダ、中央アフリカ共和国、コン

ゴ民主共和国、コンゴ共和国

甲長:最大385 ハコヨコクビガメ属の中では大型種 。背甲

はやや細長くやや低いドーム型で、第2〜4 椎甲板後部中央に弱いキールが入る 。頭部は 大型で厚みがありヽ頭部背面は褐色や暗褐色 で、暗色の不規則な斑紋が入るが、全体が暗

褐色な個体もいる。本種の生態や生活史は

不明な点が多く、ザイール川水域の水辺やア

:♦飼育のポイント

ルバート湖沿岸付近に生息していると見られ

• 輸入された当初は落ち着かせることで、鶏肉を中心 :に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を

る。飼育下での食性は肉食傾向が強く、甲殻

:食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育

類や貝類などのほか人工飼料なども食べる。 070

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

:しやすいカメ。

ゴハコヨコクビガメやヘンゲハコヨコクビガ

ゥペンバハコヨコクビガメ

メに似るとされ、食性は動物食に近いとみら

学名:Pelusios upembae

れる〇

分布:コンゴ民主共和国南東部のフングウェ

川•ルアラバ丿11水系 甲長:最大甲長23cm

中型のヨコクビガメ。やや細長い甲は扁平 で、頂部もほぼ平ら。背甲全体が暗褐色か黒 色に近い。腹甲は大きく蝶番はよく発達する。 ウペン国立公園のフングウェイ川とルアラバ 川の一部に生息し、主に深い水深域に見られ る。生態や習性は不明だが、近縁のオカバン

Turtle and Tortoise of the world 071

ヘンゲノヽコヨコクビガメ

する。肉食傾向の強い種だが、果実や水生植

物も食べる雑食性。

学名:Pelusios rhodesianus

分布:アフリカ大陸中南部(アンゴラ、コンゴ 民主共和国、ザンビア,ジンバブエなど)

甲長:22〜24cm (最大25.5cm) ハコヨコクビガメ属の中では中型種。背甲 はやや細長い卵型で滑らかなドーム型 。背甲

の色彩は黒や黒褐色・暗色で、中央のキール は成体だと不鮮明になる。頭部はやや小型で、

地域により色彩に変異がある。主に河川や池 沼・湿地に生息するが、さまざまな環境の水 域に見られる。オカバンゴデルタに生息する

ハコヨコクビガメ類は本種とオカバンゴハコ

ヨコクビガメのみ。産卵数は1回に11〜14

♦飼育のポイント 輸入された当初は落ち着かせることで、鶏肉を中心

に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を 食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育 しやすいカメ。

個。産卵期は9〜10月で、12〜1月に孵化 072 Turtle and tortoise of the world

息するほか、サバンナ地帯の河川などでも見

セウネノ、コヨコクビガメ

られ、そこではモリハコヨコクビガメと生息

学名:Pelusios carinatus

域が重なる。繁殖に関しては情報不足で、1

分布:ガボン、コンゴ共和国、コンゴ民主共

和国西部 甲長:20cm前後(最大26.3cm)

ハコヨコクビガメ属の中では中型種。背甲

回の産卵数は6〜12個。肉食傾向が強く、水

棲昆虫や貝類•無脊椎動物•魚類・カエル類 などのほか、果実や水生植物なども食べる雑

食性。

は比較的高いドーム型で、第2〜4の椎甲板

のキールは成体でも顕著に残る。色彩は黒色。

頭部はやや大型。頭部背面は褐色もしくは暗 色で、側面には灰色や黄色の細かな筋状や斑

紋が入る。熱帯雨林や熱帯モンスーン林中を

・飼育のポイント

:

輸入された当初は落ち着かせることで、鶏肉を中心: に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を:

食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育: しやすいカメ。

:

流れる、比較的大きな河川や林内の止水に生 Turtle and Tortoise of the world 073

ノコへリノ、コヨコクビガメ 学名:Pelusios sinuatus

分布:アフリカ大陸南東部(ソマリアから南ア フリカ共和国北東部)

や湖に生息する。1回の産卵数は7.〜25個、 卵は長楕円形。孵化日数は50日前後。肉食傾

向が強く、無脊椎動物や魚類・両生類•動勢 の死肉などの他に果実や水生植物なども食二

る雑食性。

甲長:35〜40cm (最大45cm)

ハコヨコクビガメ属の中では最大種。背甲

は細長い卵形でドーム状の上部を平らにし た形状をしており、黒色や暗灰色。頭部は大

型でやや厚みがありヽ色彩は地域により変異 し、黄灰色・オリーブ色・暗褐色などで、灰

色や黄色の細かな斑紋が入る。縁甲板後部に は若い個体であれば鋸歯状となるが、成体で

は目立たなくなる。水枯れしない大きな河川 074 Turtle and Tortoise of the World

:・飼育のポイント :

:

クリイロハコヨコクビガメと同様でよいが、やや大型:

:で、飼育容器はそれなりに大きなものが必要。低温で: :は体調を崩しやすい。

:

小さく、大小の虫食い模様の入るものから不

クロノヽコヨコクビガメ

鮮明なものまで変異に富む。年間を通し雨量

学名:Pelusios niger

の多いサバンナの水域に主に生息し、水底が

分布:アフリカ大陸のギニア湾から大西洋岸

泥質の止水やゆるやかな流れの河川を好む。

(コートジボアール南東部からアンゴラ

産卵回数は不明だが、1回の産卵数は1〇〜

北西部)

13個が多い。卵は長楕円形で、白色の弾力の

甲長:25〜30cm (最大34.7cm)

ハコヨコクビガメ属の中ではやや大型種。 背甲は細長くドーム型の上部を平らにした形

ある皮革状の卵殻を持つ。肉食傾向が強く甲

殻類や貝類・魚類などの他に水草類も食べる

雑食性。

状で、第2〜4椎甲板後部中央に比較的鮮明

なキールがあるが、老齢個体では目立たなく

・飼育のポイント

なる。背甲の色彩は通常、黒色や暗色だが、

に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を

淡褐色や黄褐色の個体も知られ、後者の個体

食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育

では正中線に暗色の縦条が入る。頭部はやや

輸入された当初は落ち着かせることで 、鶏肉を中心

しやすいカメ。

Turtle and Tortoise of the World 075

は細長く、比較的低いドーム型の上部を平ら

ウィリアムズノ\コヨコクビガメ

にした形状で、第2〜4椎甲板はやや窪み後

学名:Pelusios williamsi

部中央に弱いキールがある。頭部の背面は濃

亜種:ビクトリアハコヨコクビガメ

いオリーブ色や暗褐色の地に灰色•淡褐色•

(R w. williamsi) ローレントハコヨコクビガメ

黄褐色などの斑点や短筋状、虫食い模様がー

(R w. lourenti)

部もしくは全体に入る。生態・生活史には不

エドワードハコヨコクビガメ

明な点が多く、水棲傾向が強く、水深が深い

(R w. lutescens)

湖・河川•池沼とその周辺の沼地などに生息

分布:アフリカ大陸のビクトリア湖・アルバー

ト湖•エドワード湖とその周辺

甲長:2〇〜25cm (最大25cm)

ハコヨコクビガメ属の中では中型種。背甲 076 Turtle and Tortoise of the World

する。肉食性の強い雑食とみられている。

オカバンゴノ、コヨコクビガメ

21〜48個で、卵は長楕円形。卵殻は薄い皮 革質である程度である。肉食傾向が強く、水

学名:Pelusios bechuanicus

棲昆虫や貝類・甲殻類・魚類・カエル類・死

分布:アンゴラ南東部、ザンビア、ジンバブエ

肉などを食べる。

西部、ボツワナ北部、ナミビア北西部 甲長:25〜30cm (最大33cm) ハコヨコクビガメ属の中ではやや大型種。

背甲は卵型でドーム状、色彩は暗色や黒色。 頭部は大型で幅広く、頭部背面や側面には大

小の不規則な黄色斑紋が入る。比較的水量の

多い河川や池沼などに主に生息するが、オカ バンゴデルタなど乾季の水量の少ない時期は

湿原に残った浅い水場に移動する。繁殖に関

・飼育のポイント

:

輸入された当初は落ち着かせることで、鶏肉を中心: に餌付けることができ、餌付けができれば多様な餌を:

食べるようになる。狭い場所での同居は避ける。飼育:

しやすいカメ。

:

しては知見がほとんどなく、1回の産卵数は

Turtle and Tortoise of the world 077

曲頸亜目(Pleurodira)ヨコクビガメ科(Podocnemididae) アフリカヨコクビガメ亜科(Pelomedusinae)

オオヨコクビガメ (P. expansa)、ズアカヨコ

ナンベイヨコクビガメ属 (ヨツユビヨコクビガメ属)

クビガメ

(Podocnemis)

クビガメ(R erythrocephala)ムッコブヨコ

(P. sextuberculata)>モンキヨコク

ビガメ(P unifilis).サノヾンナヨコクビガメ(P

vogli)、マグダレナヨコクビガメ(P lewyana) の6種で構成され、南米大陸の熱帯域に生 息する。中型から大型の種が含まれる。

に薄れ消失する。泳ぎは巧みで水棲傾向が舉

オオヨコクビガメ

く、陸に上がることは稀で、比較的大きな河

学名:Podocnemis expansa

川に生息する。繁殖生態は情報不足。

分布:ボリビア以北からベネズエラのカリブ 海側 甲長:75〜90cm (最大107cm)

ヨツユビヨコクビガメ属中では最大種。背

甲は幅広く扁平で色彩は褐色や暗灰色・才

リーブ色。頭部の鼻腔後部から眼後を囲うよ うに、黄色や灰色の筋状模様が入るほか、頭

頂部とその左右に黄色斑紋が入り、その斑紋 の中央には小さな黒色斑が入るが、成長と共 078

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

水生植物や果実を主に食べる雑食性で、水 面に集まるプランクトンを濾過採食する行動

も知られる〇

ワシントン釉 附属

и

に生息する。繁殖生態は情報不足。

ズアカヨコクビガメ

植物食傾向が強く、果実や水生植物を主に

学名:Podocnemis erythrocephala

食べるが、水面に集まるプランクトンを濾過

分布:ブラジル北部、コロンビア、ベネズエラ

採食する行動が知られ、幼生時は動物質の餌

甲長:25〜30cm (最大32cm)

もよく食べる〇

ヨツユビヨコクビガメ属中では小型。背甲

はやや幅の広い卵形の比較的低いドーム状

で、腹甲は小さく細長い。吻端から眼上・眼 後・鼓膜周辺にオレンジ色から赤色の斑紋 があるのが特徴。この斑紋は仔ガメでは鮮明

だが、メスでは成長と共に薄れ褐色に近くな

る。熱帯多雨林のブラックウォーター(腐葉

土やビートが溶け出した酸性傾向の水質)の

:・飼育のポイント :

水中ヒーターで水温を上げると同時に、空気中に冷気

:が入らないよう考慮し、肺や気管を痛めないようにする 。

水域を好み、流れのゆるやかな河川や池•沼 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

079

ムッコブヨコクビガメ 学名:Podocnemis sextuberculata

分布:ブラジル、ペルー、コロンビア 甲長:25〜30cm (最大31.7cm)

ヨツユビヨコクビガメ属中では最小種。背

甲は幅広くやや扁平なドーム状。頭部は幅広

腹甲

く厚みがありヽ色彩は暗褐色や灰色で幼体で

は頭側部や吻端部に白色斑紋が入る 。幼体時

2回に分けて産卵するとされる。食性は植

の細長い腹甲の胸甲板•腹甲板・股甲板に名

物質を主に果実や水棲動物を捕食する雑食性

前の由来となる3対の瘤上突起が顕著に見ら

で、水面に集まるプランクトンを濾過採食す

れるが、亜成体までにはほぼ消失する。下顎

る行動も知られる〇

前方中央に1本のヒゲ状突起がある。熱帯多

雨林でやや酸性傾向の高い河川に生息し、泳 ぎはうまく水草類の比較的多い場所を好む。

・飼育のポイント 耐酸性の水質で、性格が神経質なことから水中にシェ ルターや流木を設置する 。皮膚が弱いことから甲羅干

しできる環境も整える。

繁殖生態は情報不足で、産卵は7〜22個を年 080

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD



L ! u類 1 u類

ワシントン条約 附属書

モンキヨコクビガメ

レッドリスト

絶滅危惧種

スでは消滅する。下顎前部にはヒゲ状突起が

あり、この突起はオリノコ川水域では1本、

学名:Podocnemis unifilis

アマゾン水域では2本となる。10月〜2月の

別名:テレケイヨコクビガメ

夜間に川辺の砂地に1回で14〜49卵を産卵

分布:ボリビア北部、ペルーから仏領ギアナ

する。産卵回数は年1〜2回。熱帯雨林の河

まで

甲長:4〇〜45cm (最大68cm) ヨツユビヨコクビガメ属中では大型種。背

川や池沼・湿地などに生息し、水棲傾向が強

いが日光浴もよく行う。主に植物食で水生植 物や果実を食べるが、水面上で口を開け、浮

甲はドーム状にやや盛り上がり、幼体では中

いた浮遊物や水面に集まるプランクトンを濾

央部のキールは顕著だが成長と共に目立たな

過採食する行動が知られる〇

くなる。背甲の色彩は黒褐色から暗灰色。頭 部はやや細長く、幼体では吻後部や側面•眼 の下・頭頂部・鼓膜後部などに黄色の鮮やか

:♦飼育のポイント :

:

水中ヒーターを使用するため、不要な残餌は早めに:

:取り除く。

:

な斑紋が入るが、成長と共に薄れ、成体のメ

Turtle and Tortoise of the world 081

サノ Tンナヨコクビガメ 学名:Podocnemis vogli

が、成長に伴い褐色や灰褐色に変色する,。オ リノコ川水系サバンナの草原を流れる河川や 渓流などに生息し、日光浴を好む。雨季の終

別名:リャノヨコクビガメ

盤から乾季に産卵し、1回の産卵数は5—20

分布:コロンビア、ベネズエラ

個。年間産卵回数は2〜3回。卵は長楕円

甲長:28〜32cm (最大36cm)

形で、白色の硬くもろい卵殻を持つ 。食性は

ナンベイヨコクビガメ属中では小型種。背

植物食傾向が強いが、魚類や甲殻類も食べる

甲は卵形で、幼体ではドーム状に盛り上がる

雑食性で、カピパラの糞に群がり食べる行動

が、成長するにしたがい扁平となる。背甲の

や、水面に集まるプランクトンを濾過採食す

色彩はオリーブ色から褐色で、幼体ではシー

る行動が知られる。

厶が黒く縁取られ、縁甲板の縁は黄色で縁取 られる。頭部は比較的幅広く、鼓膜が大きい。 頭部の色彩は灰色からオリーブ色で、幼体で

は吻端後部や鼓膜の前後に黄色斑紋が入る 082 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント 甲羅干しできる場所を設置する 。

曲頸亜目(Pleurodira)ヨコクビガメ科(Pelomedusidae) ・かつてはナンベイヨククビガメ属として扱 ナンベイヨコクビガメ亜科(Podocneminae) ・われたが、今日では間咽喉甲板が肩甲板に

/\PelusiOS) 'ハ=严' jz/

h々护ブ カ!し=!コりA护&區 !届かず、左右の咽喉甲板の後部は互いに接 ,朕・することなどから、マダガスカルヨコクビガ

1

[メ(E. madagascariensis) 種で構成され

I

る。マダガスカル固有種のやや大型のカメ 。

で、頭側面や顎周辺は黄色または黄褐色に、

マダガスカノレヨコクビガメ

黄褐色と暗褐色の細斑が入り、幼体の頭部で

学名:Erymnochelys madagascariensis

は細かな虫食い模様となる。熱帯気候の落葉

分布:マダガスカル西部

広葉灌木林内の比較的大きな河川や池沼など

甲長:4〇〜45cm (最大46.3cm)

に生息し、水棲傾向が強い。繁殖生態は情報

1属1種のヨコクビガメで、ナンベイヨコ クビガメ属やオオアタマヨコクビガメ属に近

不足で、産卵は複数回に分け産卵するとされ

る。食性は動物食傾向の強い雑食性。

縁。背甲は楕円形で低いドーム型、各甲板に

は放射状の皺が細かく入る。背面の色彩は オリーブ色や灰褐色•暗褐色で、幼体では背

面中央にキールが入るが、成長と共に消失す

♦飼育のポイント 泳ぎは達者で水深は深くてもよいが、日光浴を好む 傾向があり、陸場も設置する。

る。頭部は幅広く大型。色彩は赤褐色や褐色

Turtle and Tortoise of the world 083

曲頸亜目(Pleurodira)ヨコクビガメ科(Pelomedusidae) ナンベイヨコクビガメ亜科(Podocneminae)

ナンベイヨコクビガメ属に近縁とされ、かつ

オオアタマヨコクビガメ属

いたこともある。オオアタマヨコクビガメ(P

(Peltocephalus)

てはナンベイヨコクビガメ属として扱われて

dumerilianus)1種で構成される。

ている。前肢の鈎爪は5本。熱帯多雨林の常

オオアタマヨコクビガメ

緑広葉樹林内を流れるブラックウォーターの

学名:Peltocephalus dumerilianus

河川に主に生息し、水棲傾向が強い。,繁殖•生

分布:アマゾン川水系、オリノコ川水系、ギア

態は情報不足で、乾季の初期に産卵し、1回

ナ(仏領) 甲長:38〜44cm (最大44cm)

1属1種の大型種。背甲は卵形で比較的高

の産卵数は7〜25個。年間複数回産卵して いるとみられ、卵は長楕円形で、孵化日数は

100日以上だが、雨季のピークには孵化幼体

いドーム状で、幼体では背面中央部にキール

が地上に現れる。雑食性で水棲動物の他に、

を持つが、成長と共に不鮮明となる。色彩は

水生植物•果実類もよく食べる。

灰色や褐色・黒色で模様はなく、後部縁甲板 はひさし状に広がる。頭部は幅広で分厚く、 大型の鱗で覆われ、甲羅内には入らない。上

顎の先端は強く鉤状に曲がり 、吻端は突き出 084 Turtle and Tortoise of the World

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

トゲへビクビガメ属 (Acanthochelys)

南米東部から中部に分布するへビクビガメ類で4 種が知られている。頸部背面に点在する刺状突起

の鱗および後肢と尾の間に刺状の大型鱗があるグ ルーズ

数ある。熱帯から温帯に広く分布し、水棲傾

オオアタマへビクビガメ

向が強く、流れのゆるやかな河川や池沼•湿

学名:Acanthochelys macrocephala

地などに生息する。繁殖生態は情報不足。食

分布:ブラジル南西部、パラグアイ、ボリビア

性は肉食傾向が強く、貝類を中心に採食する

中部、アルゼンチン

甲長:18〜20cm (最大23.5cm)

ことで、特にメスの成熟個体では頭部が巨大

化する。

トゲへビクビガメ属中では大型種。背甲は

卵形で低いドーム型だが、背甲上部はやや平

らになり、色彩は主に黒褐色。頭部は幅広く 厚い。幼体の頭部は暗灰色で虫食い模様があ

るが、成長に伴い頭部背面は一様にオリーブ

色となる。頸部は比較的長く、同属のように 刺状突起ではなく、丸いイボ状の小突起が多 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

085

トゲモモへビクビガメ 学名:Acanthochelys pallidipectoris

分布:パラグアイ、アルゼンチン北部 甲長:14〜16cm

トゲへビクビガメ属中では小型種 。この 属中最も背甲が扁平で、中央部は浅い溝とな

る。背甲の色彩は灰褐色から黄褐色・オリー

ブ色など。頭部は比較的幅広ではなく扁平で 色彩は個体により変異に富む。頸部には多数

の刺状突起がある。両股の付け根には名前の

のゆるやかな流れの河川や沼地•湿地に生息

由来となる長く伸びた刺状突起がある。チャ

する。繁殖生態は情報不足。食性は肉食性で

コ湿原の暑く乾燥した盆地(グランチャコ)

両生類や節足動物を主に食べる。

086

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

が不規則に並ぶ。生態や生活史は不明な点めぎ

ブチハラヘビクビガメ

多く、ゆるやかな流れの河川で水草の茂った

学名:Acanthochelys radiolata

泥底の環境に生息するとみられる〇

分布:ブラジル南東部の大西洋沿岸部(ブラ

ジル固有種) 甲長:16〜18cm (最大20cm)

トゲへビクビガメ属中では中型種。背甲は 卵形で扁平、中央部は浅い溝となり、色彩は

暗オリーブ色から灰色•黒色で、各甲板には

放射模様が入る。頭部は不規則で細かな鱗が 数多く並び、頭部の幅はやや狭い。頭部の色 彩は暗配色や灰色などで暗色の細かな斑紋が

散在する。頸部背面には小さく先の丸い突起

・飼育のポイント 臆病な性格からシェルターなど隠れ場所のあるレイ

アウトをし、低温期は水温25°Cほどに保つ。

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

087

気候の草原の流れのゆるやかな河川などの水

クロハラヘビクビガメ

域で、水草の多い環境に生息する。主に水棲

学名:Acanthochelys spixii

動物を捕食する動物食。

分布:ブラジル南東部、ウルグアイ、アルゼン チン北西部

甲長:14〜15cm (最大17cm) トゲへビクビガメ属中では最小種。背甲は

やや細長い卵型で、中央部は浅い溝となり、

甲高は高く分厚い。色彩は暗灰色から黒色。 幼体では縁甲板裏や腹甲・喉下は鮮やかな赤

色だが、成長と共に変色し、成体では腹甲全

体が黒色に変色する。頸部の背面には比較的 長い刺状突起が数多く密生する。亜熱帯湿潤 088

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

・飼育のポイント 低温期は水温25°Cほどに保つ。

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

ナンベイへビクビガメ属 (Hydromedusa)

ブラジルへビクビガメ(H. maximilianl)4ギザ ミネへビクビガメ(H. tectifera)の2种が知ら

れ、第1縁甲板と第1椎甲板の間に大きな頂甲 板があるのが特徴。

明るいオリーブ色から褐色で滑らか。頸部側

ブラジルへビクビガメ

面には刺状突起が並ぶ。分布域が狭く、その

学名:Hydromedusa maximiliani

生態や生活史などはよく知られていないが、

分布:ブラジル南東部

岩が多い山地や森林内をゆるやかに流れる渓

甲長:18〜20cm (最大21cm)

流や河川に生息する。飼育下では魚や人工飼

ナンベイへビクビガメ属は左右の第 1縁甲

料を食べるという報告がある。

板が接し、その接した部分の上と第1椎甲板 に挟まれるように項甲板があるのが特徴で2

種が知られる。本種はその1種で、ギザミネ

へビクビガメより小型で 、左右の口角に1対 の軟骨突起を持つ。背甲はやや細長い楕円形

で扁平。全体に滑らかで、色彩は明褐色から

・飼育のポイント 水中より水底を活発に泳ぐことで、余裕のある飼育

ケージを準備する。

褐色。頭部はやや幅広く扁平で、頭部背面は Turtle and Tortoise of the world 089

ギザミネへビクビガメ

頂甲板が第1椎甲板と縁甲板の間にある特徴 を持つ。頭部は細長く扁平で頭部側面の吻端

学名:Hydromedusa tectifera

から頸部側面にかけて黒色の条線が入る。亜・

別名:アルゼンチンヘビクビガメ

熱帯湿潤気候の落葉広葉樹林の散在する草原

ナンベイへビクビガメ 分布:アルゼンチン北東部、ブラジル南東部、 ウルグアイ、ノヾラグアイ

甲長:25〜28cm (最大30cm) ナンベイへビクビガメ属2種のうちの1種

で、ブラジルヨコクビガメとは頭部の口角に

や、湿地の泥質の湖沼や流れのゆるやかな河 川などを主に生息する。また、生息地は標高 が高く低温期には水底の泥中に潜り冬眠も行

う。繁殖生態は情報不足。 食性は肉食傾向が強く、水棲昆虫や巻貝・

魚類などを主に食べる。

軟骨突起を持たない点、若い個体では背甲の

各甲板の初生甲板を中心に盛り上がることな

どで区別できる。背甲は卵形で比較的扁平で、

・飼育のポイント 比較的低温に強く冬眠もするが、飼育下では水温を 上げ、冬眠させない。

色彩は暗色から褐色。左右縁甲板が接合し、 090 Turtle and Tortoise of the World

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

カエルガメ属(Phrynops)

南米大陸の大部分に生息し、比較的短い頸で、20

I

~40cmと中型から大型の頭部が扁平なグループ。 13種ほど知られるが、分類には未だ混乱がある。

なる。分布が広く、地域により形質や色彩が

ヒメカエルガメ

比較的変異が大きく、別種や地域個体群とし

学名:Phrynops gibbus

て扱われたりする。熱帯多雨林でブラック

別名:ギバタートノレ

ウォーターの水域の河川や池沼に生息する。

分布:南米大陸北西部から北部

生態や生活史などは情報不足。夜行性傾向が

甲長:18〜20cm (最大23.3cm)

強いが日光浴もよく行い、肉食傾向の強い雑

カエルカメ属は構成種が多く 、本種はヒメ

食。

カエルガメ亜属Mesoclemmy (!亜属1種)を 構成する。カエルカメ属では小型種。背甲は 卵型でやや扁平。幼体では正中線のキール

は顕著だが、成長と共に薄れる。背甲の色彩 は暗褐色から褐色・黒色。頭部は小さく、頭

部背面は幼体では暗色斑紋があるものの、成

・飼育のポイント

:

日光浴用の陸場を設置し、水質は弱酸性から酸性に: 保つ。

:

長と共に細かな虫食い斑紋や一様に黒色と

Turtle and tortoise of the World 091

暗灰色から灰色でオレンジ色の虫食い模様と

ヴァンデルヘーゲカエルガメ

なる個体もいる。熱帯多雨林から亜熱帯の河

学名:Phrynops vanderhaegei

川や池沼などの水生植物の多い地域に生息す

別名:ヘーゲカエルガメ

る。繁殖生態は情報不足。

ヘーガーカエルガメ

肉食傾向の強い雑食。

分布:ブラジル中南部、パラグアイ、アルゼン

チン北部 甲長:23〜24cm (最大27cm)

本種はヴァンデルヘーゲカエルガメ亜属 Bufocephala (!亜属1種)を構成する〇カエ

ルカメ属では中型種。背甲は卵形でやや厚く、

椎甲板が浅く窪み中央のキールが低く残る。 背甲の色彩は暗色から黒色。頭部はやや幅が

♦飼育のポイント 飼育は比較的容易だが、水底を這うように活発に動 くため、飼育容器を考慮する。

広く、老齢個体では巨頭化する。頭部背面は 092 Turtle and tortoise of the world

ヒゲ状突起を1対持つ。熱帯多雨林から亜熱

ヒラリーカエルガメ

帯の湖や池沼などの水生植物の多い地域に生

学名:Phrynops hilarii

息する。肉食傾向の強い雑食。

別名:ハイイロカエルガメ 分布:ブラジル南部、ウルグアイ、アルゼンチ

ン北部 甲長:32〜35cm (最大40cm)

カエルガメ亜属(1亜属3種)の1種。力 エルガメ属中の最大種。背甲は卵型で扁平、 色彩は暗褐色から灰色•オリーブ色で、背甲 板の外周は細い黄色に縁取られる。頭部は幅

広く大型で、頭部側面の吻端から頸部側面に かけ細く黒い条線が入る。頭部背面の色彩は

:・飼育のポイント :

環境に馴れやすく、餌付きも良く飼育しやすい 。

灰色からオリーブ色。下顎には太くて目立つ

Turtle and Tortoise of the World 093

ジェフロアカエルガメ

ホオスジカエルガメ(ブラジルジェフロアカエルガメ)

学名:Phrynops geoffroanus

では左右の肋甲板にも入る。背甲の色彩は褐

別名:ジェフロイカエルガメ、ジョフロアカエルガメ

色や黒色で、暗色の斑紋が入る。縁甲板の裏

亜種:キタジェフロアカエルガメ (Rg. geoffroanus)

ホスジカエルガメ (ブラジルジェフロアカエルガメ)

から腹甲板は赤色からピンク色で暗色の迥規 則な模様が入り、幼体ではこの色彩は鮮明。,••頭

(R g. tuberosus)

部側面に吻端から頸部にかけやや幅広の条線

分布:南アメリカ大陸中部以北 (アルゼンチン

北東部以北) 甲長:3〇〜32cm (最大39.1 cm)

亜種名ブラジルジェフロアカエルガメとい

う名は分布上、妥当とはいえないようである。

が入るほか、眼下や下顎などにも短い条線が入 る。ただ、分布域が広く形態や色彩など調査不

十分で、地域個体群などでも変異があるとされ る。繁殖生態は情報不足で1回の産卵数は10

〜20個とされる。肉食傾向の強い雑食。

また、基亜種キタジェフロアカエルガメの名

も分布域は南西部であり、混同しやすい。力 エルガメ属中の大型種。背甲は卵形で扁平、

・飼育のポイント ヒラリーカエルガメ同様に飼育は容易で、低温にも

強い。

弱いキールが基亜種では中央部に 1本、亜種 094 Turtle and Tortoise of the World

下顎の咬合面が広く、下顎骨の形態はシャベ

ウィリアムズカエルガメ

ル状になっている。繁殖生態は情報不足。貝

学名:Phrynops williamsi

類のほか、水棲昆虫や甲殻類・魚類なども食

分布:ブラジル南東部、ウルグアイ、パラグア

べる。

ィ南部、アルゼンチン北東部

甲長:3〇〜33cm (最大35.5cm) カエルガメ属中の大型種。背甲は卵型で同

属より甲は高く、後部縁甲板はやや鋸歯状。

色彩は褐色で各甲板に放射状模様が入る 。頭 部側面には吻端から頸部にかけやや幅広の条

線が入るほか、頭部背面にほぼ左右対称の模 様が入る。下顎は白く本種特有のU字型また は馬蹄形の黒い模様が入る。森林内を流れる

岩場の多い河川に生息し、水底の巻貝を主に

・飼育のポイント 流れのある場所に生息することで 、水槽内に水流を 付けてもよい。立体的に活動するので、水槽内でも陸

地の高低差を設けると動きを楽しめるが、脱走に注意 すること。

食べているとみられ、同属の2種より上顎•

Turtle and Tortoise of the World 095

の場所に生息する。水棲傾向が強く、水中を

ギアナカエルガメ 学名:Phrynops nasutus

(Batrachemys nasutus) 別名:ガイアナカエルガメ 、カエルアタマガメ

泳ぐより水底を泳ぐように歩くことが多い。

陸にはあまり上がらない。繁殖生態は情報不

足。食性は貝類を中心とした肉食傾向の強い 雑食。

分布:ブラジル北東部、スリナム、ガイアナ、 仏領ギアナ 甲長:25〜28cm (最大31.7cm)

カエルガメ属中のやや大型種。背甲は卵形 で扁平、色彩は褐色からオリーブ色。頭部は 非常に幅広く大型で扁平。吻端部はやや突き

出ている。頭部背面の色彩は褐色もしくは灰 色で、上顎とその周辺や鼓膜部が黄色。熱帯

の常緑広葉樹林内の沼地や河川の川底が泥質 096 Turtle and Tortoise of the World

♦飼育のポイント やや皮膚病にかかりやすく水質に注意 。

色で若い個体では暗色の小斑が入るが、老齢

アマゾンカエルガメ 学名:Phrynops raniceps

{Batrachemys raniceps)

個体では体全体が暗色になる。アマゾン川や オリノコ川水系の上流水域で熱帯雨林の常緑

広葉樹林内の河川に生息する。泳ぎはうまく、

分布:ボリビア北東部、ペルー東部、コロン

泥質の水底を泳ぐように移動する。繁殖生態

ビア南東部、ベネズエラ南部、ブラジ

は情報不足で、産卵は1回に6〜8個とされ

ル北部から西部 甲長:25〜28cm (最大33cm)

る。食性は貝類を中心とする肉食傾向の強い

雑食性。

カエルガメ属中のやや大型種。背甲は卵形 で扁平、色彩は明褐色から暗褐色。頭部は非

常に幅広く大きく、他の頭部が大きいカエル ガメに比べて厚みがある。頭部側面の眼後

から暗色で細い条線があり、特に幼体では鮮

・飼育のポイント 弱酸性の水質を好み、流木などで水質を調整する 。

明。頭部背面の色彩は明オリーブ色から明褐

Turtle and Tortoise of the world 097

カンムリカエルガメ 学名:Phrynops heliostemma {Batrachemys heliostemma)

分布:ベネズエラ 甲長:25〜28cm (最大31cm) ギアナカエルガメの地域個体群とされてい

たが、2001年に新記載された。カエルガメと

字型のオレンジがかった明色の帯状模様が入

しては中型の種。アマゾンカエルガメとギア

るが、成長と共に薄れ消失する。生態的なも

ナカエルガメと類似し、判別が付きにくい。

のは不明な点が多い。

背甲の形状•色彩は前2種とほとんど変わり

ない。腹甲は淡褐色の地だが、周辺部を除く

大部分は暗色で覆われる。幼体の頭部には吻 端から目の上を通り、左右の顎側面にかけV 098

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

♦飼育のポイント 弱酸性の水質を好み、流木などで水質を調整する 。

コシヒロカエルガメ 学名:Phrynops tuberculatus

(Batrachemys tuberculatus)

分布:ブラジル東部、パラグアイ

入る。頸は比較的長く、小さな刺状またはイ

ボ状突起が多数並ぶ。ブラジル東部の常緑広

葉樹林域のサンフランシスコ川水系とその周 辺に生息する。生態や生活史などは情報不足。

食性は肉食傾向の強い雑食性。

甲長:2〇〜23cm (最大25cm)

カエルガメ属中の中型種。背甲は卵形で扁

平な他のBatrachemys亜属よりドーム型でや や高く、色彩は明褐色から黒色や暗色だが、

幼体では明るい色彩で各甲板には放射模様が 入る。腹甲後部は丸みのある幅広で、これが 和名の由来。頭部は巨頭ではなく、やや小さ

めで厚みがありヽ色彩は頭部全体が一様に暗

♦飼育のポイント 希少の荒い面があり、雑居や飼育容器の大きさに注 意。

色。幼体では頭部背面に暗色の虫食い模様が TURTLE AND TORTOISE OF TH E WORLD

099

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae) ■マタマタとは現地語で「皮膚」を意味する。独特

マタマタ属(Cheius)[な形態を持ち、俩種で構成される。

中心に盛り上がり、椎甲板と肋甲板の間に大

マタマタ 学名:Cheius fimbriatus

きな溝があるように見きる。頭部は眼後から 左右に大きなひだ状突ねがあり、頸部の左右

分布:南米大陸中部以北

にも中小のひだ状突起がある 。吻端はシュ

甲長:4〇〜45cm (最大47cm)

ノーケル状に突き出ており、鼻先のみを水面

!属1種の大型種。特異な外見をしており、

に出し呼吸を行うことができる。オリノコ水

背甲は細長く扁平だが、各甲板は初生甲板を

系とアマゾン水系では色彩や形態に変異が見

100 Turtle and tortoise of the World

られるが、同水系の個体でも色彩に多少の個

と卩因喉を開き、水と一緒に餌を飲み込むこと

体変異が見られる。熱帯雨林の水量が豊富で

が多い。夏に水辺近くで1回に12〜28卵を

流れのゆるやかな河川や池沼など、水底が泥

産卵し、7〜10カ月ほどで孵化する。主に魚

質で岸辺が草や流木など潜むが場所が多い環

などを餌とする肉食。

境を好む。遊泳はあまり行わず、水底を這う ことが多い。採食は待ち伏せが多く、射程距

離に入った餌を一気に頸を伸ばすと同時に口

:♦飼育のポイント :

1

入手当初は高水温で弱酸性の水質を好み 、水中ヒー:

:ターでзо°с前後を保つ。

:

Turtle and tortoise of the World 101

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

ヒラタへビクビガメ属

1属1種の小型種で2亜種が知られ、ヘビクビガメ 科としては最も頸は短い。

(Platemys)

別名:プラテミスへビクビガメ

亜種:ズアカヒラタヘメビクビガメ

短く、背面は粒状小突起の鱗で被われるがト ゲへビクビガメのようには発達しない。憨帯

(P. p. platycephala)

雨林内の浅い沼や湿地に生息する。水場なの

セグロヒラタへビクビガメ

動きは緩慢だが、陸上では比較的速い。繁殖

(P. p. melanonota)

生態は情報不足で、1回の産卵は大きな長楕

分布:南米大陸(太平洋沿岸部を除く)北部

円形(長径約60mm、短径約ЗОтт)の卵を1個の

甲長:14〜16cm (最大18cm)

み産み落とす。食性は肉食傾向が強く、浅瀬

やや小型のヘビクビガメで本種のみで本属 を構成する。背甲は細長く長楕円形で、椎甲板

や地表棲の無脊椎動物を主に、水生植物も食 べる雑食性。

の左右にキールがありヽその間は溝のように窪

む。背甲の色彩は明褐色の地に黒色の幅の広 い模様で一部が放射模様となる場合もあるが、

地理的変異は大きい。頭部は小さく扁平で頭 102

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

:・飼育のポイント :

:

餌の飲み込みは水中で行うとみられる。泳ぎは苦手:

:なことで、水深は甲羅の高さよりやや深めにとり、陸地:

:の面積も多めにとる。

:

曲頸亜目(Pleurodira)

|ニューギニア、オーストラリア、インドネシアの□ティ島に分布す

15

へビクビガメ科(Chelidae) ・るグループで 種ほど知られるが、その他の島々にも未確認の + *りレガ乂届 !この属に属する種が生息する可能性があり 、ニューギニア•オー

1 I

ノ "辰

(Chelodina)

ストラリア内でも新種や学名が未決の種が存在する。さらに、

・現在知られている種であっても分類の変更が行われる可能性が

あり、混沌としている属である。

や扁平。頭部の吻端や鼓膜•下顎は白い。頸

ニューギニアナガクビガメ

の長さは属中ではやや短く背甲長の半分から

学名:Chelodina novaeguineae

6割程度で、比較的細長い。常緑広葉樹林で

別名:シロハナヒメナガクビガメ

熱帯多雨林のゆるやかな河川や沼などに生息。

分布:イリアンジャヤ東端部(インドネシア) 、

食性は肉食傾向が強く、水棲動物を主に水生

パプアニューギニア南西部

植物も食べる。

甲長:18〜20cm (最大22cm) 同属中では小型。背甲はやや長い卵型で扁

平。背甲の第1縁甲板は第2縁甲板と同じか 大きい。色彩はほぼー様な栗色から暗褐色だ が、幼体では各縁甲板に三角状の黄色模様や

頭部眼間・吻端•頭側面•下顎などに不定形 で鮮明な黄色模様が入る。頭部の大きさは本

・御育のポイント 水温や外気温を高めに設定する。飼育は容易。

属中では幅は狭いグループで 、厚みはなくや Turtle and tortoise of the World 103

褐色から暗褐色で、背甲表面は細かな皺状と

マッコードナガクビガメ

なる。頭部はやや大きく幅は広く、頭部背面

学名:Chelodina mccordi

の色彩は暗灰色から暗褐色で下顎は白い。頸

別名:ニシマッコードナガクビガメ

部は同属ではやや短く、小さなイボ状突起が

(C. m. mccordi)

多数ある。ニューギニアナガクビガメとは背.

ヒガシマッコードナガクビガメ

甲の長さが背甲幅の76%以上(ニューギニア

(C. m. roteensis)

ナガクビガメでは74%未満)、第1椎甲板の幅

分布:ロティ島(インドネシア)

が第2椎甲板の幅の約半分などの違いがあ

甲長:18〜20cm (最大21cm)

る。生息地のエディ湖周辺は常緑広葉樹林で

同属中では小型。チモール島の東に位置す る□ティ島のみに分布する個体群で 、1994年

水面には水草が多く茂る。食性は肉食傾向が

強く、水棲動物を主に水生植物も食べる。

ニューギニアナガクビガメから分かれて独立

種となり、亜種ヒガシマッコードナガクビガ メは島の東にある工ディ湖周辺のみに生息。 背甲は卵形でなだらかなドーム型。色彩は茶 104 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント

:

現在は飼育も確立され 、繁殖個体が販売されており 、: 飼育も容易。

:

カンナガクビガメ

較的丸い。常緑広葉潅木を伴ったサバンナを 流れる河川やその周辺の池沼の泥底に生息。

学名:Chelodina canni

繁殖生態は情報不足で、産卵は4〜7月とさ

分布:オーストラリア北部

れる。食性は肉食傾向が強い。

甲長:2〇〜24cm (最大26cm)

2002年、ニューギニアナガクビガメのオー ストラリア北部に分布する個体群が独立種と

なった。背甲は幅広く円形に近い楕円形で、 なだらかなドーム型。色彩は暗褐色から暗色。

成体では2枚の臀甲板が接合部で上方に盛り

上がる。腹甲は短黄色から黄褐色で 、各腹甲 板の接合部が黒く縁取られる個体もいる 。頸

部は細いが幅広いがっしりした頭部に見え、 頭部は成長に伴い巨頭化する傾向がある。頸

部には小さなイボ状突起が多数ある吻端は比 Turtle and Tortoise of the World 105

水草が多く茂る。繁殖生態は情報不足。食性

チモールナガクビガメ

は肉食傾向が強く、水棲昆虫類や魚類を主に

学名:Chelodina timorensis

浮き草や水辺の植物なども食べる。

分布:東チモール北部

甲長:17cm前後

2007年、ニューギニアナガクビガメからチ モール島東端部の湖にのみ生息する個体群が

固有種として独立。背甲は卵形で滑らかでな

だらかなドーム型、色彩は明るい灰褐色。頸部 は長く甲長の2/3程度で、小さなイボ状突起が 多数ある。頭部や頸部の色彩はやや明るい灰 色。頭の幅はマッコードナガクビガメとニュー

ギニアナガクビガメの中間程度の細さ。吻端 は比較的丸い。眼の虹彩は白色と暗灰色の個

体がいる。常緑広葉樹林で湖周辺の水面には 106

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

グナレンナガクビガメ

が、その生態などは未知の部分が多い。

学名:Chelodina gunaleni

分布:イリアンジャヤ南西部(インドネシア) 甲長:2〇〜23cm

ニューギニアナガクビガメやライマンナガ

クビガメに近縁で、同属中ではやや中型。背甲

は卵形でやや低いドーム型で、メスはオスより

大型化する。色彩は暗茶褐から暗褐色。頭部 はやや幅広く、鼻孔は上向き。背甲の色彩は 暗灰色で背面ほど色濃く側面は薄い。喉甲板

と間喉甲板のシームが喉甲板と肩甲板のシー

ムに等しく、その両シームがきれいなW字を描

き、他種と判別される。熱帯常緑林の中で分 布域は狭く、低地の止水域に生息するようだ

幼体

Turtle and Tortoise of the World 107

多い浅い池沼などに生息する。その生態など

ライマンナガクビガメ 学名:Chelodina reimanni 分布:イリアンジャヤ南東部(インドネシア)、

パプアニューギニア南西部 甲長:18〜20cm (最大20.6cm) 同属中では小型。背甲は卵形で扁平、表面

に放射状の皺が入ることが多く、色彩は明褐 色から褐色。頸部は本属中、背甲長に対して

の比率は最も短い。頭部は大きく幅広で、色 彩は暗灰色から暗色で、吻端から上顎下部や

鼓膜は明灰色から灰白色。食性は甲殻類や貝

類など比較的動きの鈍いものを主に捕食する

ようで、ニューギニア島のメラウケ川流域に分 布する場所では、甲殻類や貝類などが比較的 108

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

は未知の部分が多い。

オーストラリアナガクビガメ

らないさまざまな水域に生息。産卵は9〜12

月で、1回の産卵数は6〜24個。年間産卵回

学名:Chelodina longicollis

数は1〜3回、孵化日数は11〇〜168Но水棲

別名:ヒガシナガクビガメ

傾向が強く、泳ぎは巧みで、捕獲されるなど危

分布:オーストラリア東部

険を感じると臭腺より異臭を出す。温度変化

甲長:15〜20cm (最大25cm)

には強い。

オーストラリアのナガクビガメ類では小型。 行甲はやや長い卵型で扁平、色彩は暗褐色か ら黒色。頭部は比較的小さく、頭部背面は灰

色から暗灰色。頸部の長さは同属中では中間

的で、小さなイボ状突起が多数ある。生息地 の東部と西部では背甲の形状や色彩は異なり、

曲部の個体のほうが背甲は幅広く、色彩は黒 くない傾向を示すようである。比較的乾燥し

・飼育のポイント 温度変化にこだわる必要はなく、水温を10°C以上に 保つ。

た常緑広葉樹林が点在するサバンナの干上が Turtle and Tortoise of the world 109

コウホソナガクビガメ

息する。産卵は9〜1月で、産卵数は25〜40

個を2〜3回に分け産卵し、孵化日数も2000

学名:Chelodina oblonga

以上かかるとみられる。食性は肉食傾向が強

分布:オーストラリア南西部

く、魚類や甲殻類・水棲昆虫・巻貝などを主

甲長:25〜30cm (最大40cm)

に捕食する。

オーストラリアのナガクビガメ類ではやや

大型。背甲は細い卵形で扁平、色彩は明褐色 で暗色斑紋が点在するものから、黒色で斑紋

がないものまで変異がある。背甲の表皮は薄 く多種に比べ傷つきやすいことや、腹甲が非

常に細長いことが本種の特徴。頭部は大型で 扁平。色彩は緑灰色からオリーブ色で暗色斑

がある。頸部は太く、背甲の75%以上と非常に

長い。比較的乾燥し、灌木の生える草原の池 沼や小さな河川などの水底が泥質の水域に生 110

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

・飼育のポイント 水温が18°Cを切ると餌を摂取しなくなるため、水温 は20°C以上に保つ。バスキングができるようにする。

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

ナガクビガメ属に比べ、水棲傾向が強く泳ぎは巧

オオナガクビガメ属

みで、陸上に上がることは稀。現在6種が知られ ている。

(Macrochelodina)

林を伴った草原の大きな河川などに生息する。

コウヒロナガクビガメ

よく発達した水搔きを持ち水棲傾向が強い。

学名:Macrochelodina expansa

産卵は3〜5月、1回の産卵数は5〜30個。

分布:オーストラリア南東部

年2度の産卵をし、孵化日数は産卵が冬季で

甲長:38〜42cm (最大48cm)

あることから200日以上かかるとされる。食性

オーストラリアのナガクビガメ類では最大 棟。背甲は卵形で幅広く、椎甲板中央にキー

は肉食傾向が強く、魚類や甲殻類・水棲昆虫•

カエル類などを主に捕食する。

ルがあり、後部縁甲板がひさし状に広がる場

合もある。背甲の色彩は褐色からオリーブ色。 頸部は太く、非常に長く背甲の75%以上ある。

:・飼育のポイント

嬪部は幅広く大型で扁平。頭部背面は暗灰色

: 飼育には低温には強いが、十分な広さ(180cm水槽サ: :イズ)と水深が求められる。 :

:

からオリーブ色。比較的乾燥し、常緑広葉樹

Turtle and Tortoise of the World 111

な河川や池沼などの生息し 、時には汽水域で

チリメンナガクビガメ

も見られることがある。分布は広く、オースト

学名:Macrochelodina rugosa

ラリアの個体群は3〜9月、1回の卵数]2個前

別名:ジーベンロックナガクビガメ

後、雨季終盤に浅瀬で水中産卵し、乾季に水

(ニューギニア産)

が干上がり陸地化すると卵の発生が進むとさ

分布:オーストラリア北部、ニューギニア島南部

れる。食性は肉食傾向が強く、魚類や甲殻類・

甲長:25〜30cm (最大40cm)

水棲昆虫・カエル類などを主に捕食する。分

ナガクビガメ類では大型。背甲はやや細い

卵形で比較的扁平。色彩は個体変異が非常に

類が流動的な種であり、特にオーストラリアの 個体群は今後再編成される可能性は高い。

大きいだけでなく、生息地により甲羅の形#tに

も変異が見られ、各背甲板の縮緬模様にして も全ての個体に入るわけでもない。頸部が長

く太いため、比較的大きい頭部も大きくは見え ない。熱帯の常緑広葉林を流れる比較的大き 112

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

・飼育のポイント 十分な広さと(180cm水槽サイズ)と水深が必要で、 水面には浮き草を浮かべ落ち着かせる 。また、幼体は

水温28〜30°Cの高水温で飼育する。

パーカーナガクビガメ

休眠する。水への依存度は高く、陸に上がる

ことは少ない。繁殖生態は情報不足だが、チ

学名:Macrochelodina parkeri

リメンナガクビガメと同様に水中産卵すると

分布:オーストラリア南西部

みられ、人工繁殖されている。食性は肉食傾

甲長:2〇〜25cm (最大27cm)

向が強く、魚類や甲殻類・水棲昆虫・カエル

オオナガクビガメ属では最小種。背甲は卵

類などを主に捕食する。

形で扁平。色彩は褐色から暗褐色で、黄褐色 から淡褐色の細かな虫食いや網目模様が入る

ことがある。頭部は比較的大きく、色彩は暗灰

色から黒色の地に黄褐色から淡黄色の小さな

1U食い模様が入る。この虫食い模様は幼体で は明瞭で大きく、成長と共に細かくなる。比較 的乾燥した灌木林の点在する内陸の水底が泥

:・飼育のポイント : 幼体は高水温(30°С前後)でこまめな世話と、定期 :的に水を抜き、半強制的な甲羅干しを数時間行う。

竹の河川や池沼などに生息し、乾季は泥中で

Turtle and Tortoise of the World 113

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

カブトガメ属 (Elseya)

大型で頸の短いへビクビガメで、頭部は大型で1枚

I

の鱗がヘルメット型に覆われる。現在6種で構成 されるが、多数の隠蔽種を含むことから、将来は

分類変更や新種記載が行われる可能性が大きい 。

板の中央には暗色斑紋があることが多い。頭

ブランダーホルストカブトガメ

部はやや小さく、1枚の大型鱗で覆われ:色彩

学名:Elseya branderhorsti

は暗灰色から灰褐色。吻端は突き出ている。

別名:パプアカブトガメ

熱帯の常緑広葉樹林内の大きな河川や池沼じ

分布:ニューギニア島南部

生息する。繁殖生態は情報不足。食性は雑食

甲長:40cm前後

性で落下果実・水生植物を主に水棲昆虫•甲

カブトガメ属は、ヘビクビガメ科としては頸

殻類•魚類などを幅広く食べる。

の短いグループで大型のカブトガメ類。背甲

は若い個体は比較的丸いが成長と共に卵形に

なり、甲厚は扁平。項甲板はなく、同島に生息

するニューギニアカブトガメとの識別の目安

・飼育のポイント 気性が荒く、他種との同居は避ける。

になる。背甲の色彩は褐色から黄褐色で各甲 114 Turtle and tortoise of the World

ニューギニアカブトガメ

水棲昆虫•甲殻類•魚類などを幅広く食べる。

学名:Elseya novaeguineae

分布:ニューギニア島とその周辺 甲長:40cm前後 大型のカブトガメ類だが、体形や色彩は著

しく変異し、これらが個体差や亜種・別種なの

か分類が未決定であり、現在のところニュー

ギニア島と周辺のカブトガメの総称として ニューギニアカブトガメとしている 。生息環

境はブランダーホルストカブトガメに似るが、

頂甲板を持つことで区別でき、河川や湖沼・池 に生息する。繁殖生態は情報不足。昼行性で、

・飼育のポイント 気性が荒く、他種との同居は避ける 。

代性は雑食性で落下果実を主に、水生植物• Turtle and tortoise of the World 115

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

コガタカブトガメ属 (Wollumbina)

カブトガメ属と近縁種とされ、2群に分けられてい たグループで、新たにコガタカブトガメ属として分

I

割されたもの。カブトガメ属に比べ、肉食傾向が

強い雑食性。

こともある。背甲の色彩や他の部分にも個体

ノコへりカブトガメ

差や地域などで形状にも変異があるとみられ

学名:Wollumbina latisternum

る。頸部背面には刺状突起鱗は発達す・るが磨

分布:オーストラリア北東部

耗している個体もいる。比較的大きな河川や

甲長:2〇〜25cm (最大28cm)

池沼などに生息する。産卵は9〜1月。1回

コガタカブトガメ類もカブトガメ属同様に

の産卵数は9〜17個、年間複数回産卵し、孵,

頸は短い。オー次トラリア固有の属で、手足

化日数は60日前後。食性は肉食傾向の強い雑

は大型で遊泳力に優れ、頭部は巨頭化しない。

食性で、水棲昆虫や甲殻類•魚類などを主に

カブトガメ類としては小型。背甲は卵形で扁

水生植物なども食べる。オオヒキガエル Mo

平だが、幼体では比較的丸型で、椎甲板と左

marinus)の毒に対し、耐性を持つといわれる〇

右肋甲板にキールが入るが、成長と共に消失 する。逆に後部縁甲板には幼体時にはほとん

・飼育のポイント

ど見られない鋸歯状突起が亜成体以降に現れ

低温に対しての耐性が強いが、冬季は水温を18°C程 度まで加温したほうが無難。

る。ただ、老齢個体では磨耗し目立たなくなる 116

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

(ベリンジャー川流域)と区別できる。比較的

マニングカブトガメ

乾燥した常緑広葉樹林が点在する草原を流れ

学名:Wollumbina purvisi

る河川などの、水生植物が繁茂した場所など

別名:パーヴィスカブトガメ

に生息する。繁殖生態は情報不足で、飼育下

分布:オーストラリア(ニュー •サウスウェール

での産卵は4月、1回の産卵数は7〜23個、孵

ズ州)南東部

甲長:18〜20cm (最大23cm) マニング川流域のみに分布する小型のカブ

化日数は59日という例がある。食性は雑食性

で、水棲昆虫を好むほか、甲殻類・水生植物な

どを食べる。

トガメ。背甲は卵型で扁平、色彩は褐色から

黒色。頭部の吻端は突出し、吻端の下から眼 下を通り首筋まで黄色または淡黄色の条線が 入る。下顎下部の喉の中心部に黒色の条線が 入る。腹甲は黄褐色であるなどの特徴を持ち、

似通ったベリンジャーカブトガメ M. georgesi TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

117

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae)

マゲクビガメ属 (Emydura)

形態的にはカブトガメ属に似るが、頭部に1つのへ ルメット状の鱗で覆われることはない。半水棲種

I

近い。現在、7種で構成されるが、多数の隠蔽種 を含み、今後分類学的に再検討される予知を残す。

学名:Emydura macquarii

ているが、甲羅の形状や虹彩の色・背甲の色

亜種:マックオーリーマゲクビガメ (E m. macquarii)

などで分類され、その詳細は明確化されてい

クレフトマゲクビガメ (E. m. krefftii)

ない。比較的乾燥し常緑広葉樹林が点在する 草原を流れる河川やその周囲に生息する。気

クー >^ヾークリークマゲクビガメ (E. m. emmotti)

性は荒く、遊泳力に優れ、日光浴を好む匚産卵

フレーザーマゲクビガメ (E. m. nigra)

は11〜12月、1回の産卵数は15〜35個、孵化

別名:マクワリマゲクビガメ

日数は66〜85日。食性は雑食性だが肉食傾向

分布:オーストラリア東部

が強く、主に水棲動物などだが果実類や水生

甲長:15〜35cm (最大37cm)

植物も食べる。

4亜種からなるマゲクビガメ。背甲は幅広 い卵形で扁平。頸は短い。基亜種マックオー リーマゲクビガメ E m. macquariiの分布域は 広く、生息する水域で複数の亜種に分けられ 118 Turtle and Tortoise of the World

♦飼育のポイント 日光浴用のしっかりした陸地を設置する。気性が荒く、 複数個体の同居は向かない。

カメの選びかた

店頭に並ぶカメ類の多くは、その年生まれの

仔ガメであり、カメを飼いに来る初心者を見て し)ると、まず最も小さなかわしヽしゝ個体を選ぶ傾

向がある。次に発する言葉は「1匹では寂しそ う」で、複数購入する時は「ペアがいいね」と

パう。

ここで注意したいのは、その小さくてかわい

く見える個体は、複数匹いる中で最も弱く、十 分な餌を食べていないか他の個体に負けて餌を 十分に食べきれないことが多い。そのため成長

爬虫類店の店員さんにもよく相談のうえ購入したい

が遅れているのである。つまり、複数匹から選 べるのであれば、一番大きく、餌もガツガツと

食べていて目をはっきりと開け 、よく動き回る 個体を選ぶことを薦める。 次に爬虫類は基本的に孵化後、単独生活をす

るのが普通である。「寂しい」と考えるのは集 団生活をする人間的な発想で、複数飼育するこ

とで餌食いの良い個体につられて食いが良くな る個体も中にはいるが、1匹でも何ら問題はな

いのだ。

「ペアがいいね」と言われても、売る側とし

複数から選べる場合はよく観察してみよう

て一番困り、仔カメはある程度成長しないと雌 雄の違いは出てこないものである。経験の積 んだ専門家でさえ、経験上「たぶん、そうかな」

と口を濁す程度で、決して「これがオスで、こ れがメス」と断定©るようなことは言わないは ずだ。それと、成長の段階でオスのほうがメス

り得る。どうしてもペアを揃えたいのであれば、

より性成熟が早く、メスがまだ性成熟していな

先にメスから飼育を始め、オスは2年ほど遅ら

い段階から追い掛け回し、種によってはかなり

せてから入手することを薦める。仔ガメで購入

荒い行動を示すものもいる。メスが萎縮し餌を

した場合は、雌雄の判別がついた後に相手を探

食べなくなったり、傷ついた場所が化膿したり

してもよい。仔ガメを複数同時購入した場合は

感染症を起こす原因にもなりかねない。また、

飼育していくうえで強い個体を別に分けて飼育

無理やり交尾され、メスの骨盤がきちんと成長

するとよい(弱いほうを分けることは飼育環境

を伴わないことで産卵に支障をきたすことも有

の急な違いからストレスを受けやすい)。 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

119

学名:Emydura subglobosa

褐色で、吻端から眼上を通り鼓膜まで太い白

亜種:ニシキマゲクビガメ (E s. subglobosa)

色から淡褐色の太い条線が入り、幼体では鮮

ウォレルマゲクビガメ(E s. worrelli)

分布:オーストラリア北部(ウォレルマゲクビガメ)

ニューギニア島南部にシキマゲクビガメ) 甲長:18〜25cm 基亜種ニシキマゲクビガメはオーストラリ

ア以外に生息する唯一のマゲクビガメ。背甲

やかな条線となる。腹面はピンク色から赤色。

亜種ウォレルマゲクビガメはオーストラリア 北部のみに分布し、腹面が赤みを帯びないこ

とで区別できる。繁殖生態は情報不足。食性 は雑食で、ゆるやかな流れの河川や湖沼に生

息し、水草の繁茂した環境を好む。

は卵形でやや低いドーム型。色彩は褐色から

黒褐色や明褐色で、各甲板には縮緬状の皺が 入る。幼体時の背甲はやや丸く扁平で、中央に キールが入るが、キールは成長と共に消失す る。頭部は大きく厚みがある。頭部背面は黒 120 Turtle and Tortoise of the world

:・飼育のポイント :

活動的なカメで、水中を立体的に動くため最低90cm

: :

:水槽以上で、水深を40cm以上とって遊泳スペースに余: :裕を持たせる。 :

ニシキマゲクビガメ

淡赤色の条線が入る。腹面はクリーム色から

アカミミマゲクビガメ

淡黄色。繁殖生態は情報不足。食性は雑食で、

学名:Emydura victoriae

池沼やゆるやかな流れの河川に生息する。西

別名:ビクトリアアカミミマゲクビガメ

オーストラリア(キンバリー地方)の個体群は

分布:オーストラリア北西部

甲長が小さく

甲長:25〜30cm

(14cm程度)、キンバリーアカミ

ミマゲクビガメ (E. v. australis)として扱われ

やや大型のマゲクビガメ。背甲は卵形だが

ることもあるがまだ確定はされていない。便

後部が幅広で、中央部はやや高く、色彩は褐色

宜上、混同を避けるため、本種はビクトリアア

から暗褐色。幼体時の中央部にはキールが入

カミミマゲクビガメの和名が使われることも

り、後部縁甲板は鋸歯状となるが、いずれも成

ある〇

長と共に消失する。頭部は大きく厚みがあり、 メスの老齢個体では巨頭化する。頭部背面は

暗褐色で、吻端や眼後から上顎側面に幅広く Turtle and tortoise of the world 121

曲頸亜目(Pleurodira)ヘビクビガメ科(Chelidae) |本種1種で構成され、大型の頸の短いへビクビガメ。

カクレガメ属(Elusor)

を蓄え、その溶解酸素で粘膜呼吸が行え、長期

カクレガメ

間の水中生活が可能。常緑広葉樹林を伴う比

学名:Elusor macrurus

較的乾燥した草原のゆるやかな流れの君や沈

分布:オーストラリア西部

水木の多い河川などに生息する。泳ぎは巧み

甲長:35〜38cm (最大40cm)

で、水棲昆虫や貝類・水生植物•藻類などを

1属1種。背甲はやや細い卵型で低いドー

食べる雑食性。長らくその生息地は不明だっ

厶型。後部縁甲板は幅より長く 、ひさし状にな

たが、1994年ブリスベン近郊で生息地が発見

る。背甲の色彩は褐色から暗褐色。幼体の第2 •

される。

3椎甲板には後部が顕著に高くなるキールが 入り、後部縁甲板は鋸歯状となるが、成長と共

に小さくなる。頭部は比較的小さいが厚みが ある。オスの尾は非常に長く、甲長の70%に達 し、付け根も太い。総排泄腔内の粘膜囊に水 122 Turtle and tortoise of the World

これまで行ったカメ類の交雑個体の繁殖実験

カメを繁殖させる際は、同種同士で行うのが 原則だろう。しかし、スペースの関係や展示で、

どうしても異種間を同居させなくてはいけない 事態も起こることもある。特に水棲種で多い。 筆者の場合も沖縄の常設館に飼育員として着任

した過去(1975年以降)に例があり、日本のイ

シガメやクサガメ、外産のミナミイシガメ、ミ

シシッピアカミミガメ、ハナガメ、ヨコクビガ メ類を野外の飼育場で同居飼育したことがあ

セマルハコガメとリュウキュウヤマガメの交雑個体

る。その飼育場に池と陸地があり 、飼育開始し た翌年の4月頃からカメ類の産卵が見られ、イ

だ。その後、リュウキュウヤマガメが産卵し、

シガメ、クサガメ、ミナミイシガメ、ミシシッ

人工孵化を試みたところ2卵のうち1卵が孵化

ピアカミミガメ、ハナガメ類が産卵を開始した

に成功。数ヵ月後。研究者に仔ガメを見せたと

のだった。そして、7月には仔ガメが自然孵化

ころ、この幼体はおかしいということになり、

し始めた。当初はさほど気にもかけず、孵化し

特徴や産卵個体の経緯を交えて互いに考察の結

た仔ガメたちを回収し、施設内に収容して飼育

果、リュウキュウヤマガメとセマルハコガメの

していたが、数年後にふと、いろいろな模様の

異属間交雑個体であることがわかった 。その施

個体が混じっていることに気がつき 、その模様

設では一般からの持込爬虫類は全て収容してお

の特徴を観察したところ 、その特徴からクサガ

り、その中にはリュウキュウヤマガメとセマル

メとミナミイシガメ、クサガメとハナガメ、ミ

ハコガメも毎年15個体ほどもあったが、その中

ナミイシガメとハナガメとの交雑個体であるこ

にこの両種の交雑個体も見つかっていた 。他の

とがわかった。

観光施設に収容されている両種の中でも交雑個

当時はこういうことも起こり得るのかという

ことで、この交雑個体間で繁殖が可能かどうか

を確かめるべく、無差別に状態の良い個体を組

体がおり、さらに沖縄北部や南部でも自然界で

の交雑個体が発見されている。 その後、交雑個体同士・交雑個体とセマル八

み合わせを考えながら数ペアをピックアップ

コガメ・交雑個体とリュウキュウヤマガメでペ

し、繁殖実験に取りかかった。その間、別の施

アをつくって繁殖実験を繰り返した結果、いず

設のことだが、セマルハコガメとリュウキュウ

れのグループでも産卵が見られ、その卵の多く

ヤマガメを隣り合ったケージで飼育していたと

は発生したが、みな発生途中で発生が止まり 、

ころ、リュウキュウヤマガメ1個体が高さ1m

孵化には至らなかった。つまり、この異属間雑

ほどのコンクリートブロックを乗り越えて、セ

種では繁殖はできないということを示唆してい

マルハコガメのケージに入り込んだことがあっ

る。ちなみにクサガメ、ミナミイシガメ、ハナ

た。おそらく 2、3日はそこにいたかもしれな

ガメとの異種間雑種の間の組み合わせグループ

いが、発見した時点ですぐに元の飼育場へ戻し

では、いずれも繁殖はできている。

Turtle and Tortoise of the World 123

メキシコカワガメ

下縁甲板を持つ原始的な系統のカメで1 属1種。背甲は細長い卵形、背高はドーム状。

学名:Dermatemys mawii

背甲、腹甲共に表層の甲は薄く滑らかで 、非

別名:チュウベイカワガメ

常に傷つきやすい。成体では各甲板の繋ぎ

分布:メキシコ南部、グアテマラ北部、ベリーズ

目は薄れ、滑らかな状態になる。背甲の色彩

甲長:55〜60СП1(最大65cm)

は単一のオリーブ色から褐色・暗褐色。頭

124 Turtle and tortoise of the World

潜頸亜目(Cryptodira) カワガメ科(Dermatemydidae)

カワガメ属 ヽ

(Dermatemys)

0

| ; 唯

1属1種で構成される。甲板が非常に薄く、 皮革状となる。

部は小さく、吻端が瘤上に突き出ており、幼

などに生息し、河口の汽水域でも見かける。

体では眼後に細い黄色の筋模様が入る。四

産卵生態は情報不足だが、卵は水中産卵さ

肢の水搔きは非常に発達しており、遊泳は巧

れることもあり、水没中は発生が停止し、卵

みで完全な水棲種に近く、日光浴も水面に浮

は乾季に水没の状態が解消し始めると発生

いて行う。陸上へは、産卵期にメスが上陸す

が進むとされる。食性は植物質の餌を好み、

るのみ。主に流れのゆるやかな大きな河川

成体になるとその傾向は顕著になる 。

Turtle and Tortoise of the World 125

иии1им>им|»мм||иимм1м8ммиинивдвимиии|ии8ймммамимммма1имим

トウブドロガメ

アメリカ合衆国の固有種で、ドロガメ属では

小型。背甲は卵形で、背高は比較的高いドー

学名:Kinosternon subrubrum

ム状で第 2 〜 4椎甲板はほぼ平ら。 色彩は黄

亜種:ペンシルバニアドロガメ (K. s. subrubrum)

褐色からオリーブ色・暗褐色。腹甲は大きく

ミシシッピドロガメ (K. s. hippocrepis)

蝶番を持ち、オスの腹甲は中央で大きく窪む 。

フロリダドロガメ (K. s. steindachneri)

頭部はやや大きい。色彩は亜種や個体により

分布:アメリカ合衆国東部から南東部

変異が大きい。上顎の先端は鉤状となる。交

甲長:8〜10cm前後(最大12.5cm)

尾は3月半ば〜5月、産卵は4〜9月で1回

126

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

潜頸亜目(Cryptodira)ドロガメ科(Kinosternidae) ドロガメ亜科(Kinosterninae)

ドロガメ属(Kinosternon) 18種で構成される。腹甲の前部に蝶番があり、 可動する特徴を持つ。分布はアメリカ合衆国中・ 南部から南米中部と広く、メキシコに最も多く分 布する。

ミシシッピドロガメ

ペンシルバニアドロガメ

の産卵数は2〜7個。,年間3回以上産卵する。

フロリダドロガメ

卵は長楕円形で、孵化日数は100日前後。温帯

域から亜熱帯域の低地で水量が比較的安定し た水場の、水底が泥や腐植が堆積した環境を 好む。北部の個体群は冬季に冬眠し 、南部の

個体群は夏眠する。食性は雑食性。

・飼育のポイント 飼育しやすいカメ。日光浴を好むためしっかりした陸 地を設置する。気性は荒く、同居飼育は避ける。

Turtle and Tortoise of the World 127

■ишиииммимишимиммтммиишмммииммиммш—

下から鼓膜下に2本のやや幅広の条線が入る〇

ミスジドロガメ

上顎の先端は鉤状となる。産卵は晩秋〜秋が

学名:Kinosternon baurii

ピークで、1回の産卵数は1〜7個。年間1〜

分布:アメリカ合衆国東南部

3回産卵する。卵は長楕円形で、孵化日数は

甲長:8〜12cm前後(最大13.8cm)

80 ~145日前後。温帯から熱帯域と広域に分

アメリカ合衆国の固有種で、ドロガメ属では

布し、低地の湿潤な環境の林内から汽水域な

小型。背甲はやや幅広い卵形で、背高はゆる

どのさまざまな水場で水底が泥や腐植が堆積

やかなドーム状。椎甲板と左右肋甲板に、名

した環境に生息する。北部の個体群は冬眠し、

の由来となる3筋の条線がある。背甲の色彩

南部の個体群は夏眠する。食性は雑食性。

は灰褐色から黄褐色・黒色と変異がある。腹

甲には蝶番を持ち、オスの腹甲は中央で大きく

窪む。頭部はやや小型で、灰褐色から暗褐色 の地色に、吻端から眼上を通り鼓膜までと眼 128 Turtle and Tortoise of the World

・飼育のポイント トウブドロガメと同様。性質は温和で複数飼育は可能 。

キイロドロガメ 学名:Kinosternon flavescens

分布:アメリカ合衆国南部、メキシコ北西部 甲長:9〜14cm前後(最大16.8cm)

ドロガメ属では中型。背甲は幅広い卵形で、

域•熱帯域と分布は広く、比較的開けた乾燥 地の草原や灌木林が点在する環境の小規模な

水場を主な生息地とし、陸棲傾向が強い。産 卵期は5〜8月で、1回の産卵数は通常2〜4 個。卵は長楕円形で、孵化日数は100日前後。

食性は肉食傾向の強い雑食性。

TFi岛は低いドーム状。色彩は黄色から黄褐色• 褐色などで、背甲は黄色みがかることが名の 山来。各甲板の接合部は暗色に縁取られる。

腹中には蝶番を持つ。頭部は中型で、本属で

はやや扁平。頭部背面の色彩は黄褐色からオ リーブ色・褐色で、側頭部や顎周辺に暗色の

細斑が点在することがある。温帯域から乾燥

・飼育のポイント トウブドロガメと同様だが、気性の荒い面を持ち、同 居に注意して広めの水槽と陸地を広くする。

Turtle and Tortoise of th e World 129

い。乾燥地の丘陵や低地のさまざまな水場や

アリゾナドロガメ

その周辺に生息し、ドロガメ属中最も陸棲傾

学名:Kinosternon arizonense

向が強い。アリゾナ州では産卵期が7〜8月

分布:アメリカ合衆国アリゾナ州南部、メキ

で、1回の産卵数は1〜5個。年間産卵回数は

シコ北部ソノラ州中部

2〜3回。卵は長楕円形で、孵化日数は人工

甲長:14〜16cm前後(最大18.2cm)

孵化で300日以上。食性は主に水棲昆虫などで、

キイロドロガメの亜種とされていた種で、本 属では中型。背甲は幅広く角張った卵形で、 背高は低くゆるやかなドーム状だが第2〜4 椎甲板はほぼ扁平。色彩はオリーブ色から黄

褐色で、各甲板の接合部は暗色に縁取られる。

頭部は中型でキイロドロガメと同様にやや扁

平。頭部背面は黄褐色から暗褐色で無斑が多 130 Turtle and tortoise of the world

肉食傾向の強い雑食性。

では3本の低いキールが入るが、成長と共に

ヒゲナガドロガメ

目立たなくなる。背甲の色彩はオリーブ色か

学名:Kinostemon sonoriense 別名:ソノラドロガメ 亜種:ソノラヒゲナガドロガメ

ら暗褐色。頭部は中型でやや扁平。眼上後方

と上顎後方に明色の縦条があり、頭部背側面

(K. s. sonoriense)

ソノイタヒゲナガドロガメ

(K. s. longifemorale) 分布:アメリカ合衆国南西部(主にアリゾナ 州南部)、メキシコ北東部 住にソノラ

州中西部)

には灰色の地に細かく不定形な暗色斑が入る 。 比較的乾燥した内陸の低山地や高地の灌木林

や、平原の河川や池沼などの水底が泥底の環 境を好む。水棲傾向が強く、冬季は冬眠する。 産卵は5~9月、1回の産卵数は1〜11個で、

年間産卵回数は1〜4回。卵は長楕円形。食 甲長:14〜16cm前後(最大17.5cm)

性は幅の広い雑食性。

喉に目立つ3〜4対のヒゲ状突起を持ち、ド

口ガメ類では中型。背甲はやや細長い卵形、

・飼育のポイント 水棲傾向が強く、水深を深めにする。

柠高は低くゆるやかなドーム型で 、若齢個体

Turtle and Tortoise of the World 131

平で、頭部背側面は淡黄褐色や灰褐色・オリー

ハーレラドロガメ 学名:Kinostemon herrerai

分布:メキシコ中部大西洋側

甲長:14〜16cm前後(最大17.2cm)

ブ色で暗色の虫食いや小斑模様が多い。サバ

ンナ気候の海岸付近から低山地•丘陵地の水 域に生息し、川沿いなど水場周辺に帯状にあ

る林の泥底で水草が繁茂した環境を好み、水

メキシコ固有種で中型。背甲はやや幅の広

棲傾向が強い。1回の産卵数は2〜4個で、年

い卵形、背高は低くゆるやかなドーム状で、幼

間産卵回数は不明。卵は長楕円形で、白色の

体では3本のキールを持つが、成長と共に中

硬くもろい卵殻だが、その他は調査不足で不

央の1本のみ残る。背甲の色彩はオリーブ色

明。食性は無脊椎動物や果実などの雑食性。

から褐色•暗褐色で、色の薄い個体では下の

甲骨板が透けて見える。腹甲は他種のドロガ メ類と大きく異なり小さく、蝶番こそあるもの

♦飼育のポイント 明るすぎる環境を嫌う。

の可動性は低い。頭部はかなり大きくやや扁 132 Turtle and tortoise of the World

色彩の変異に富み、無紋の個体が多いが、淡褐

サラドロガメ 学名:Kinosternon integrum 分布:メキシコ北東部から中部(大西洋岸を

除く) 甲長:15〜18cm前後(最大20.2cm)

色の虫食い模様や小斑模様が広がる個体もい る。他のドロガメ類は鱗の一部が棘状や錐状

に変化しザラザラした皮膚を持つが、本種に

は少なくほぼ滑らかな皮膚を持つ。1回の産

卵数は1〜8個で、年に複数回行われ、卵は長

分布は広く、属中では大型。メキシコ固有

楕円形。繁殖期は6〜10月とされるが、分布

M(o背甲は細長い卵形で、第2〜4椎甲板は

が広く詳細は不明。海岸付近から高地にかけ

ほぼ平らな低いドーム状。幼体時の3本のキー

広く分布し、水の枯れない水域に主に生息す

ルは、成体では中央の1本のみが弱く残る。背

る。食性は多種に渡り、雑食性。

屮の色彩は黄褐色やオリーブ色•暗褐色で、

色の薄い個体では下の甲骨板が透けて見える。

腹中は大型で可動性の高い蝶番を持つ 。頭部 は大型でやや厚みがあり、頭部背面や側面は

・飼育のポイント ドロガメとしては大型で、最低90cm水槽を使用する。

TXJRTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

133

腹甲には蝶番を持つが後部の可動性はやや低

ハリスコドロガメ

い。頭部は中型で、頭部背•側面は黄色から

学名:Kinosternon chimalhuaca

淡黄色・黄褐色のほかオレンジ色や黄色の虫

分布:メキシコ中部太平洋岸側(ハリスコ州、 コリマ州) 甲長:12〜14cm前後(最大15.7cm)

食い模様が入る。熱帯夏季少雨気候の低地に

分布し、乾季でも水は枯れない、流れのゆるや

かな水生植物の茂った水域を好むd産卵は7

1997年に新記載されたメキシコ固有種で、

〜8月以降とみられ、1回の産卵数は2〜5

属中では小型。背甲はやや細長い卵形で、背

個、卵は白色の長楕円形と情報は少ない。食

高はなだらかなドーム状または頂部がやや平

性は肉食傾向の強い雑食性。

らとなり、幼体時の3本のキールは、成体では

中央の1本のみが弱く残る。背甲の色彩は淡 黄褐色から褐色・オリーブ色•暗褐色で、色

・飼育のポイント 同種の同居は好ましくない。

彩の薄い個体では下の甲骨板が透けて見える。 134 Turtle and tortoise of the World

МИМШИИШИ—И——W

6亜種からなるやや大型のドロガメ類で、

ザラアシド□ガメ

ビックベンドドロガメのみ比較的分布が広く、

学名:Kinostemon hirtipes

一部はアメリカ合衆国南部の一部まで分布し、

別名:ゴッアシドロガメ

その他の亜種は狭域に生息する 。オオアタマ

亜種:メキシコバレードロガメ (K. h. hirtipes)

チャバラドロガメ

(K. h. chapaense)

ドロガメは絶滅したものとみられている。背 甲はやや細長い卵形で、背高は低いドーム型。

マグダレナドロガメ (K. h. magdalense)

第2〜4椎甲板はほぼ平らで、色彩は明褐色

オオアタマドロガメ(K. h. megacephalum)

からオリーブ色・暗褐色•やや黒色など非常

ビックベンドドロガメ (K. h. murrayi)

に変異がある。腹甲の蝶番は可動性がよいも

バックアロドロガメ (K. h. tarascense)

のの完全には閉じない。頸部や前肢の背面・

分布:メメキシコ中央部の北部から中部

甲長:1〇〜17cm前後(最大18.5cm)

四肢の付け根は、錐状に突出したザラザラし

た鱗で被われており、これが名の由来となる。

Turtle and Tortoise of the World 135

頭部の色彩や斑紋模様は亜種による変異が著

る乾燥した草地で、枯れない水場に多く生息

しく、上・下顎の角質部は灰色または淡黄色

する。産卵は生息地によって異なるが、産卵

で暗色や黒色の縦筋模様が多く入る個体が多

期は約5〜9月。年間産卵回数は2〜4回で、

い。内陸部の低山地や高原などで藪が点在す

1回の産卵数は1〜7個。卵は長楕円形で、孵

136

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

ビッグベンドドロガメ

化日数は200日前後とされる。食性は非常に肉 化傾向が強い。

・飼育のポイント 一般的なドロガメ類の飼育に順ずる。

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

137

の由来となる。頭部の色彩は灰色から暗褐色

ハナナガドロガメ

の地に黄褐色や赤みがかった虫食い模様で覆

学名:Kinostemon acutum

われる。主に熱帯モンスーン気候のカリブ海

分布:メキシコ南東部、グアテマラ北東部、

沿岸やその内陸の徨地で、林内の干上がらな

ベリーズ 甲長:9〜12cm前後(最大12cm)

本属では小型。背甲はやや細長い卵型。背

高はゆるやかなドーム状で、中央に低いキー ルが入り、後部縁甲板はややひさし状に広が

る。背甲の色彩は変異が著しく、部分的に色 の濃淡はあるが模様はない。腹甲には前後に

蝶番があり、ほぼ完全に閉じる°,頭部は中型か やや大型で、幅は広く、吻端は長く突出し、名 138 Turtle and tortoise of the World

い種々の水場に生息し、乾季には夏眠を行う。 繁殖に関しての詳細は不明。食性は肉食傾向

の強い雑食性とされる。

模様が入る。サバンナ気候のカルスト地形の

クリーザードロガメ

林内で、比較的湿度の保たれた場所の水たま

学名:Kinostemon creaseri

りゃセノーテ内の池などに生息する。繁殖に

分布:メキシコユカタン半島中•北部 甲長:9〜■Ис(п前後(最大12.5cm)

関しての詳細は不明。食性は肉食傾向の強い

雑食性とされ、乾季には夏眠する。

メキシコ固有種で、形態はハナナガドロガメ

に似て小型。背甲はやや細長い卵形、背高は ゆるやかなドーム状で、頂部は平らになり、中 央には弱いキールが入る。背甲の色彩は褐色

や暗灰色•暗褐色で、各甲板の接合部は暗色

に縁取られる。腹甲板には前後に蝶板があり、

町励性は良い。頭部は中型かやや大型で、頭 部廿面の色彩はオリーブ色や暗褐色・暗色で、

仙Miの色彩は薄く、白色、淡黄色などの虫食い

Turtle and tortoise of the World 139

る。腹甲には前後に蝶番があり、後部蝶番は

オアノヽカドロガメ

直線状ではなく、尾側に湾曲し可動性はやや

学名:Kinosternon oaxacae

劣る。頭部はやや小型だが、オスの成体では

別名:ワーハーカドロガメ

分布:メキシコ南部(オアハカ州南部•ゲレー

ロ州東部)

甲長:14〜16cm前後(最大17.5cm)

主にオアハカ州南部に分布する、メキシコ

巨頭化することもある。色彩は褐色や暗灰色 で、頭部背面には黄褐色や灰褐色の細斑紋で 被われ、側頭部では虫食いや網目模様などと

なる。サバンナ気候の低地から低山地の、泥 底の濁った乾季でも年間を通して水の涸れな

固有種。背甲はやや長い楕円形で、前縁部が

い水場に生息する。繁殖の詳細は不明で、食

やや幅広い。背高は低く左右肋甲板のキール

性は雑食性。

を挟む頂部は平らで、中央には低いキールが

入る。背甲の色彩は褐色や暗褐色・暗色で 各甲板の接合部は地色より暗色で縁取られ 140 Turtle and Tortoise of the world

学名:Kinosternon leucostomun

亜種:キタシロクチガメ (К. I. leucostomun) ミナミシロクチガメ (к. I. postinguinale)

分布:メキシコカリブ海側の西部からニカ ラグア西部(キタシロクチドロガメ)、 ニカラグア南部からコロンビア東部・ エクアドル東部(ミナミシロクチドロガメ)

甲長:15-17cm前後(最大17.4cm)

2亜種が知られ、ニカラグアでの分布は重

部は中型で、吻端の突出は短く、色彩は灰褐色 や暗褐色・黒色で、暗色小斑や黄色の斑紋が

多数あり、頭側面の眼後方から顎にかけ黄色

の太い条線が入る。通常上、下顎は灰白色で 名の由来となる。前者はサバンナ気候や熱帯 モンスーン気候、後者は熱帯多雨林気候で、低

地の多様な流れのゆるやかな水場や止水域に 生息し、水底が泥底で水草が多い環境を好む。 産卵期は生息地により異なり、1回の産卵数

なりない。本属ではやや小型から中型 。背甲

は1〜3個で、年間複数回産卵し、卵は長楕円

はやや細長い卵型で、背高は基亜種が高く、ミ

形。孵化日数は130日前後。食性は多様な動植

丿[シロクチドロガメの頂部は平らになり低

物を食べる雑食性。

い,,背甲の色彩は暗褐色や黒色。腹甲の前後 の!喋裤は可動性がよく、ほぼ完全に閉まる。ミ 丿;シロクチドロガメのほうが腹甲の幅は狭

・飼育のポイント 比較的低温にも強いが、幼体時は保温する。同居も

可能と思われる。

く、队蹊甲板の前端部はより後方にある 。頭

Turtle and Tortoise of the World 141

アマゾンドロガメ

北部•太平洋側のメキシコ南西部から

サソリドロガメ

エルサルバトル(ホオアカドロガメ)

学名:Kinosternon scorpiodes 亜種:アマゾンドロガメ(K.

s. scorpiodes)

甲長:2〇〜25cm前後(最大27cm)

ドロガメ属では中型から大型で、亜種中で

チアバスドロガメ (K. s. abaxillare)

はアマゾンドロガメが最大。種としては広域

ノドジロド□ガメ (K. s. albogulare)

に分布し、亜種や個体差などにより、形態は著

ホオアカドロガメ (K. s. cruentatus)

しく異なる。アマゾンドロガメは最も広く分

分布:中米西部からブラジル中部までと南米

布し、背甲に3本のキールが明確に入る。チア

中央部(アマゾンドロガメ)、メキシコ

バスドロガメは腋下甲板がなく、背高の頂部

中央部(主にチアバス州)(チアノヾスド

は平ら。ノドジロド□ガメは頭部が小さく、頭

ロガメ)、ホンジュラス西部からパナマ

側面の顎にピンクの斑模様が入り、下顎から

南東部(ノドジロド□ガメ)、カリブ海

頸の下面が淡白色。ホオアカドロガメの背高

側メキシコ南西部からホンジュラス東

はドーム状で、眼の後部から後頭部にかけ赤

142 Turtle and Tortoise of the World

ノドジロドロガメ

色からオレンジ色の虫食いや小斑•網目など

は産卵地の気候風土により大きな幅がある。

種々の模様が入る。サバンナ気候から熱帯域

食性は幅広い雑食性。

の気候に含まれ、多様な水場や水底が泥質の

場所の低地から高地に生息し、乾季がある地 域では夏眠を行う。産卵期は生息地で異なり、

1回の産卵数は2〜10個。年間産卵回数は4

・飼育のポイント 飼育はシロクチドロガメに順ずるが、気性が荒く同居 飼育は避けたい。

回未満。卵は長楕円形から卵形で、孵化日数 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

143

酒甥亜目(Cryptodira)ドロガメ科(Kinosternidae) ドロガメ亜科(Kinosterninae)

4種で構成される。小型種で、腹甲は小さく可

ニオイガメ属

その断面は二等辺三角形に見える。

(Sternotherus)

動性はない。幼体では背甲は高く盛り上がり、

ミシシッピニオイガメ 学名:Stemotherus carinatus

分布:アメリカ合衆国東部から南部・カナダ

南東部 甲長:1〇〜13cm前後(最大15cm)

ニオイガメ属中では小型。背甲はやや細長

い楕円形。背高は比較的低いドーム状で、幼 体時に見られる3本のキールは中央部のみが 痕跡程度に残ることもある。背甲の色彩は灰

褐色や暗褐色。頭部はニオイガメ属中では小

15個、年間産卵回数は2〜4回。卵は卵形で

さく、吻端は尖り、頭側の上下に吻端から頸に

孵化日数は80日前後。水底を這うように活動

かけて淡黄色の細い条線が入るのが一般的 。

し、種々の餌を食べる雑食性。

主に温帯から亜熱帯の気候帯に分布し 、水底 が泥質や植物の堆積物で水深が浅い場所であ れば多様な水域に生息する。生息域が広く産

・飼育のポイント 性格は温和で複数個体の同居飼育は可能。なお、幼 体は皮膚炎を起こしやすいため、水質の悪化を防ぐ。

卵期は地域により異なり、1回の産卵数は1〜 144

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

カブトニオイガメ 学名:Sternotherus carinatus

分布:アメリカ合衆国中南部 腹甲。 喉甲號がないのが特徴

甲長:1〇〜15cm前後(最大17.6cm)

ニオイガメ属の最大種で、アメリカ合衆国 固有種。背甲はやや長い楕円形で、背高は中

質などや柔らかい堆積物のある、水生植物が

央部で高く盛り上がり、正面から見ると三角形

繁茂した水深が1〜2mの流れのゆるやかな

に見える。頂甲板や肋甲板の後部はその後ろ

水域に生息する。春に交尾を行い、4〜6月に

の甲板の前部に瓦状に重なる。背甲の色彩は

産卵する。1回の産卵数は1〜6個で、年間産

明褐色やオレンジ色で暗色の放射模様が入る

卵回数は1〜2回。卵は長楕円形で、孵化日数

が、老齢個体は暗色化し、模様は薄くなる傾向

は65〜120日前後。食性は水棲昆虫や貝類を

がある。腹甲の喉甲板は本属で唯一ない。頭

好む雑食性。

部は大型で巨頭化する場合もある。色彩は灰 褐色や暗褐色で、頭部背面には暗色の小さな

・飼育のポイント 気性は荒く、同居飼育は避ける。

斑紋で被われる。温帯から熱帯域の水底が泥

Turtle and Tortoise of th e World 145

オオアタマヒメニオイガメ

甲長:9〜13cm前後(最大13.5cm)

ヒメニオイガメ

アメリカ合衆国固有種で属中では小型 。背

学名:Stemotherus minor

甲は、基亜種ではやや細長い楕円形で、スジク

(S. m. minor)

ビヒメニオイガメはやや幅広の楕円形。背高

スジクビヒメニオイガメ(S. m. peltifer)

は、基亜種ではドーム状で頂部は平らだが、ス

亜種:オオアタマヒメニオイガメ

分布:アメリカ合衆国北西部を除くジョージ

ジクビヒメニオイガメはゆるやかなドーム状 。

ア州から南部を除くフロリダ州(オオア

色彩は淡黄色や黄褐色・褐色・暗褐色で、暗

タマヒメニオイガメ)、テネシー州東部

色の細斑や筋模様が入り、各甲板の接合部は

からミシシッピ州、アラバマ州東部(ス

暗色で縁取られる。基亜種の頭部は大型で巨

ジクビヒメニオイガメ)

頭化することが多く、スジクビヒメニオイガメ

146 Turtle and tortoise of the World

オオアタマヒメニオイガメの幼体

オオアタマヒメニオイガメの腹甲

スジクビヒメニオイガメの幼体

岩底を好み、こうした環境では多様な比較的 浅い流水域に生息する。水棲傾向が強く、水 から上がって日光浴することは少ない。産卵 スジクビヒメニオイガメ

期は4〜7月で、1回の産卵数は1〜5個。年

は大型なものの巨頭化は稀。吻端はやや突出

化日数は6〇〜120日ほど。食性は主に貝類を

し、頭部背面に基亜種では大型の斑紋などが

中心に動物食の強い雑食ti。

間産卵回数は2〜5回で、卵は長楕円形。孵

入り、スジクビヒメニオイガメでは虫食い模様 で被われるが、両者とも中間的なものもいる。

温帯から熱帯域に生息し、基亜種は水底が堆

:・飼育のポイント :

:

深めの水深で飼育し、大きめの流木などで水深の変:

:化や暗所を作る。無加温飼育も可能。

:

積物など、スジクビヒメニオイガメは沈水木や Turtle and Tortoise of th e World 147

突出ており、やや大型で巨頭化する。頭部背

ヒラタニオイガメ

面には細かい虫食い模様で被われる。温帯域

学名:Stemotherus depressus

で標高が高く、水温が低い透明度の高い清流

分布:アメリカ合衆国アラバマ州西部

で沈水木や浮石など身を隠す場所の多い水底

甲長:8〜10cm前後(最大12.5cm)

の河川に生息する。日光浴を好み、冬季は水

アメリカ合衆国固有種で属中最小種 。背甲

中で冬眠するとされる。産卵は6~7月で、産

はやや長い楕円形。背高は非常に扁平。幼体

卵回数は1〜2回。産卵数は1〜4個で、卵は

の背甲には高いキールを持つが成長と共に扁

長楕円形で硬くもろい。それ以外は調査不足。

平になりキールは消失する。背甲の椎甲板や

食性は主に水棲の巻貝や2枚貝などの肉食傾

肋甲板の後部はそれに続く甲板の前部に被さ

向の強い雑食性。

り、瓦状になる。色彩は黄褐色や褐色・暗褐

色で、暗色の細斑や筋模様が入り 、各甲板の接 合部は暗色で縁取られる。頭部の吻端はやや 148 Turtle and Tortoise of the world

潜頸亜目(Cryptodira)ドロガメ科(Kinosternidae) オオニオイガメ亜科(Staurotypinae)

2種で構成される。ドロガメ科中では大

オオニオイガメ属

腋下甲板と鼠蹊甲板がある。

型で、腹甲に蝶番を持ち、やや大型の

(Staurotypus)

スジオオニオイガメ 学名:Staurotypus triporcatus 別名:ミツゥネオオニオイガメ

分布:メキシコ南東部からホンジュラス北西 部の大西洋側

甲長:3〇〜35cm前後(最大37.9cm)

ドロガメ科の中では最大種。背甲はやや細

ける。比較的小型の腹甲で前部に蝶番を持つ。

頭部は幅広の大型で厚みがあり、下顎のみ先

端は鉤状で鋭く尖る。頭部背面の色彩はオリー ブ色から灰色で、一般的に暗色斑が入るが、個 体変異が著しい。熱帯域の標高300m以下の低 地で、主に大型河川やその周囲の水深が深く 、

水生植物が繁茂する湖池・湿地に生息する。 自然下での繁殖生態はよく知られていない。 水棲傾向が強く、食性は肉食傾向の強い雑

長い楕円形、背高は幼体時では比較的扁平だ

が、成長と共にゆるやかなドーム状となる。背

食性。

面中央とその左右に3本の発達したキールは

老齢個体でも明瞭に入る。背面の色彩は褐色 から灰褐色で、各甲板には暗色斑や放射状模

:・期育のポイント :

大型で嚙む力も強いことでサルヴィンオオニオイガメ

1

:

:と同様に取り扱いには注意。また、水槽を常に清潔に:

:

:保つ。

様が入るが、個体差があり無紋の個体も見か TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

149

前部に蝶番を持つ。頭部は大型で厚みがあり、

サЛ/ヴィンオオニオイガメ

下顎のみ先端は鉤状で鋭く尖る。頭部背面の

学名:Staurotypus salvinii

色彩は褐色から暗褐色で、黄色やオレンジ色

分布:メキシコからエルサルバドノレの太平洋側

甲長:18〜24cm (最大25cm)

ドロガメ科の中では大型種。背甲はやや細 長い楕円形、背高は幼体時では比較的扁平だ

の細斑で被われる。熱帯域の低地の河川や周

辺の池沼で水底が泥質で水生植物の多い環境 に生息する。繁殖期は調査不足で詳細は不明。 食性は幅広く肉食傾向が強い雑食性。

が、成長と共にゆるやかなドーム状となる 。背 面中央とその左右に3本のやや発達したキー ルがあり、老齢個体では目立たなくなる。背

面の色彩は暗褐色からオリーブ色•灰褐色で、

各甲板には暗色斑や放射状模様が一般的だが、

無紋の個体も見かける。比較的小型の腹甲で 150 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント

:

低温には強いといわれるが、冬季には少なくとも:

20°C以上に加温する。

:

潜頸亜目(Cryptodira)ドロガメ科(Kinosternidae) オオニオイガメ亜科(Staurotypinae)

ノ\フガケガメ属(Claudius)

ラ北部、ベリーズ北部

甲長:13〜16cm前後(最大18cm)

■1種で構成される。腹甲はより小さく、橋はほと ・んどないに等しく腹板は腹掛型。

|

状に曲がり、その両横には牙状突起を持つ。 スジオオニオイガメと同所的な分布だが 、本

1属1種で構成される小型のカメ。背甲は

種はより小規模な、水底が泥質の川幅の狭い

やや細長い楕円形で、背高は扁平に近く、3本

河川や乾季に干し上がるような池沼などに生

のキールは不明瞭。色彩は暗褐色や黄褐色•

息し、乾季には水場を移動するか 、泥中で夏眠

明灰色などで、各甲板には暗色の条線や断続

する。自然下での繁殖生態は調査不足。食性

な放射模様が一般的。背甲と腹板の間に甲板

は肉食傾向の強い雑食性とされる。

はなく靭帯で繋がり、腹甲が幼児の腹掛けの

ように見えることが名の由来。頭部は幅広の

大型で、色彩はオリーブ色や黄褐色で暗色の

♦飼育のポイント オオニオイガメよりノj、型だが、動きはすばやく活き餌 を好む傾向があり、同居飼育は向かない。

斑紋模様が入る。頸は長く、上顎の先端は鋸 Turtle and tortoise of the World 151

ホクベイカミッキガメ

カミッキガメ属では最大。背甲はやや丸

条ッキガメ

く、背高は扁平で中央と左右肋甲板に3本 学名:Chelydra serpentina

亜種:ホクベイカミッキガメ(C.

の低いキールを持つ。第3椎甲板の最大幅

s. serpentina)

は全椎甲板中央の長さの33%未満。背甲の

s. osceola)

色彩は褐色やオリーブ色。頭部は小さく、

フロリダカミッキガメ(C.

分布:カナダ南東部、アメリカ合衆国ロッキー

山脈以東の中•東部

甲長:35〜45cm

152

(最大49.4cm)

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

頸部背面には先端が丸い小突起がある。四 肢は太く、発達した鋭い爪を持ち、尾は長

い。分布は広く、河川や池沼などの水底が

潜頸亜目(Cryptodira) カミッキガメ訶(Chelydridae)

カミッキガメ属 (Chelydra) 3種から構成され、カナダ南部から南米 コロンビア、エクアドルに広く分布する,

上縁甲板を欠き、上顎の先端は鈎状では ない。尾の腹側に2列の大型鱗が並び、

背側中央に稜状の大型鱗が並ぶ。

フロリダカミッキガメ

泥質や砂質で水草類が多い場所に主に生息

し、1回の産卵数は通常2〇〜40個で年に2

し、汚染にも比較的強い。水深lm前後の

回産卵する場合もある。卵は皮革状で弾力

比較的浅い場所を主に積極的に活動し、幅

がありヽ球形に近い。孵化日数は55〜125

広く餌を漁る肉食傾向の強い雑食性。主に

日ほど。

5〜6月、水辺近くの柔らかい場所に産卵 Turtle and Tortoise of the Wori i> 153

(日本)

た長い棘状小突起がある。生活史は不明な点

チュウベイカミッキガメ

が多く、産卵は4〜6月で、卵はほぼ球形で皮

学名:Chelydra rossignonii

革状で弾力がある卵を2〇〜30個産卵する。産

分布:メキシコ大西洋側南部、グアテマラ北

卵回数は年1回。比較的浅い場所の水底を活

西部、ホンジュラス中西部 甲長:3〇〜35cm (最大38.9cm)

カミッキガメ科ではやや小型 。背甲は丸み

を帯び、3本のキールはカミッキガメ属中最も 発達する。第3椎甲板の最大幅は全椎甲板中

央の長さの25%以上。後縁部の背甲には鋸歯 状突起を有する。甲の色彩は褐色やオリーブ

色で、各甲板には放射状筋模様が不規則に入 る。頭部は大型で、頸部背面には先端が尖っ 154

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

発に活動し、幅広く餌を漁る肉食傾向の強い

雑食性。

チュウベイカミッキガメ "ホンジュラン”

ナンベイカミッキガメ 学名:Chelydra acutirostris

分布:ホンジュラス西部、コスタリカ、パナマ、コロンビア、工 クアドルの太平洋岸側の低地 甲長:41cm

カミッキガメ科ではやや小型で、背甲長は2〇〜30cmを超え ないされる。他種に比べ甲はやや丸みを帯び、背甲の3本の

キールは成体で不明瞭な個体もいる。第3椎甲板の最大幅は 全椎甲板中央の長さの25%未満。背甲の色彩は灰色からオリー

ブ色•褐色•黒色と変異は著しく、幼体では各甲板に放射模

様や白色の小斑が入るが、成体になるにつれ消失する。頭部 は比較的大きく、吻端は突き出て、頸部背面にはイボ状の小突 起が多数ある。生態については他種ほど分かってはいないが、 低地の池や流れのゆるやかな細い水路で、泥底の流木が多く、

水草が少ない場所を好む。硬い殻のほぼ球形の卵を2〜3月

に産卵する。水棲動物やその死骸を主に食べる雑食性。 将定外来種

(日本)

Turtle and Tortoise of th e world 15 5

3本の大きなキールを持つ。原始的な特徴

ワニガメ

を持ち、肋甲板と縁甲板の間に通常3枚の

学名:Macroclemys temminckii

上縁甲板がある。背甲の色彩は黄褐色や暗

分布:アメリカ合衆国のメキシコ湾に注ぐ河川

褐色で、各甲板に暗色の放射状筋模様が入

流域やその周辺 甲長:5〇〜70cm

(最大80cm)

ることもある。頭部は大きく甲羅内に入ら

ず、頸部には比較的長い棘状突起が並ぶ 。

新大陸中、淡水棲のカメ類の中では最大

四肢は太い。主に温帯から亜熱帯の水底が

種。背甲は長方形で比較的角ばり、背面に

泥質で比較的水深が深く、水草が繁茂した

156

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

潜頸亜目(Cryptodira) カミッキガメ科(Chelydridae)

ワニガメ属 (Macroclemys) 1種のみで構成される。背甲の縁甲板 と肋甲板の間に3〜8枚の上縁甲板があ り、上顎の先端は鈎状に強く曲がり 、そ

の先端は尖る。背甲の3本のキールは 大きく明確。尾の背側には3列の稜状

の大型鱗が並ぶ。

幼体

環境を好む。水棲傾向が強く、水底で長時

日数は120日前後。食性の幅は広く、肉食傾

I川丨1を開け、ミミズ状に変化した舌を動か

向の強い雑食性。

し、魚類を誘う仕種は有名。産卵期は4〜

7 Иоほぼ球形に近い卵を1回に8〜52個 廉卵する。年間産卵数は2回ほどで、孵化 Turtle and Tortoise of the world 157

縁甲板と胸甲板•腹甲板の間に3枚の下

オオアタマガメ

縁甲板がある特徴を持つ。背甲は長楕円形

学名:Platysternon megacephalum

亜種:チュウゴクオオアタマガメ

(P. m. megacephalum) ビルマオオアタマガメ (R m. peguense) ベトナムオオアタマガメ

(P m. shiui)

分布:中国南部、ベトナム中•北部、タイ西.

北部、ラオス、ミャンマー南•東部 甲長:18〜23cm

(最大21.5cm)

158 Turtle and Tortoise of the world

だが前部中央は幅広く大きく湾曲するよう に窪む。背高は顕著に扁平で、各甲板の表

面は滑らか。背甲の色彩は亜種や個体によ

り変異が大きく、黄褐色からオリーブ色で、

明色の小斑や虫食い模様が入る場合もあ

る。頭部は大きく分厚いため、頭部は扁平 な甲羅内に収容できず、頭部背面は1枚の

潜頸亜目(Cryptodira) オオアタマガメ科(Platysternidae)

オオアタマガメ属 (Platysternon) 1種のみで構成され、3亜種に分類される。 大型の甲羅に収納できない頭部と扁平な甲

羅、長く巻き付く能力のある得意な尾を持つ。

人きな鱗でほとんど覆われ、色彩や模様も は甲とよく似る。山間部の谷間など岩場を

流れる比較的浅く、水量の少ない流水域を ド•な生息地とする。自然下での繁殖生態は

悄報不足。食性は肉食性だが稀に果実など

も食べるようである。

ビルマオオアタマガメ

Turtle and tortoise of the world 159

アジア産のカメ類について思うこと

今回この図鑑を執筆していて気がついたことが

1つある。話は、35年ほど前に遡る。

ほど前になると、注文分を引き上げて水も入って いない囲いに入れられ、時々水をかけられるだ

それはホオジロクロガメ (Sieberirockiella

け。注文があればペット用として輸出もされ、麻

crassicollis)のことで、私が故高田榮一先生と

袋に詰められさらに木箱に入れられて送られる。

マレーシアに行ったおり、先生の友達がマレーシ

そう言えば、日本で1袋に3〇〜50匹ほど入って

アの中部で動物業を行っており、そこに1週間ほ

いたことを思い出す。当時マレーハコガメはそ

ど滞在していろいろと経験してきたことがあっ

うでもなかったが、ホオジロクロガメは弱いカメ

た。仕事の合間、建物の入口に椅子を出して座っ

で、状態をなかなか立ち上げができないカメの1

ているだけでも付近の住民がいろいろな爬虫類を

っで飼育が難しいとされていた。ついでに言えば、

持ち込んでくる(ほとんどがカメだが)。見てい

現地での運送はガタガタのトラックで、道路事情

るだけでも楽しいのだが、入口と道路の間には幅

も悪いなか送られてくるのである 。日本のわれ

32mほどの用水路があり、水は色が黒っぽく変色

われのところにまで到着する間、ストレスどころ

してメタンガスの泡が時々出ているほど悪いもの

か、劣悪な状態で生きているのが不思議なほどで

だった。その用水を仕切った中に、カメが100匹

ある。ヘビにしてもひどい時には3重の脱皮不全

では収まらないだろうほど投げ込まれているので

を起こしており、生きているのがやっとという状

ある。このカメをどうするのかと訊ねてもらう

態のものも多くいた。それを、水に浸けてていね

と、ほとんどが食用だという。今思えば、その大

いに少しづつ脱皮皮を取〇除いて仕事をしていた

半がホオジロクロガメとマレーハコガメ (Cuora

ものである〇

amboinensis)であった。それらは出荷1週間

当時を思えばたしかに、東南アジアの地方では

交通事情も悪く、飛行

機に載せるまでには日 数もかかる。当時飼育 が難しいとされていた

爬虫類の多くは、本来 そうでもなかったので

はないだろうか?



思いたくなる。今では 取り扱いはともかく交

通事情が数段良くなり、 到着した時の状態もだ いぶ向上している。当

時を知っている筆者と

しては、現在、元気で届 く爬虫類に会うとたい ホオジロクロガメ

160 Turtle and Tortoise of the world

へん嬉しくなる。

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) フタスッポン帝科(Cyclanorbinae)

フタスッポン属

セネガルフタスッポン(C. senegalensis)と

ヌビアフタスッポン(C elegans)の2種で構 成され、頭部から頸部に縦筋状の模様はな

(Cyclanorbis)

く、後骨板上にある後硬板は未発達か小型 。

※別属名:キタフタスッポン属

頸部背面には黄色小斑が多数入る。熱帯多雨

セネガノレフタスッポン

林のゆるかな流れの河川や支流・湖沼などに

学名:Cyclanorbis senegalensis

主に生息するが、その生活史はよく知られて

分布:セネガルからチャド南部、南スーダン

いない。食性はほぼ肉食性。

甲長:35cm前後

腹甲の前葉部が稼動し、蓋をする。背甲は

卵形で、前縁部の皮膚には小さな粒状突起が

点在するが全体に滑らか。背高はスッポン科

ではやや厚みがある。色彩は褐色からオリー

ゾ色で、暗色の不規則な斑模様が入る。頭部 は吻端がやや突き出ておりヽ褐色の頭部背面

:・飼育のポイント :

水質の安定に努め、汚れの溜まる細かな砂より目の粗

:い砂を使用し、導入当時は水槽内部を暗くするか浮き :草を入れて落ち着かせる。

には黄色や淡緑色の小斑や虫食い模様があり、

Turtle and tortoise of the world 161

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) フタスッポン亜科(Cyclanorbinae)

スジクビフタスッポン属

ザンベジフタスッポン(C. frenatum)とオーブ

リーフタスッポン(C aubryi)との2種で構成さ れ、頭部から頸部に細い暗色の縦筋状の模様が

あり、後骨板上にある後硬板はやや大型。

(Cycloderma) ※別属名:ミナミフタスッポン属 レッドリスト 近 絶滅危惧種

ポンほど発達しない。生活史などの詳細は不

ザンベジフタスッポン

明で、熱帯の落葉広葉樹林内を流れるゆるや

学名:Cycloderma frenatum

かな河川や湖とその周辺の池など、硬度の高

分布:アフリカ中西部(タンザニア南部、マラ

い弱アルカリ性の水域に生息する。1回の産

ウィからモザンビーク) 甲長:最大56cm

背甲は卵形だが、オーブリーフタスッポンよ

卵数は15〜25個、卵は白色の硬い卵殻でほぼ 球形。孵化日数は8〜11カ月ほど。食性はほ ぼ肉食性。

り前部がやや突き出る。背高は滑らかにやや 盛り上がり、色彩は褐色から緑灰色で暗色の

不定形な帯状や斑模様が入る。頭部は扁平で、

吻端はやや長く、頭部から頸部に6本ほどの 条線が入る。口角のヒダはオーブリーフタスッ 162 Turtle and tortoise of th e World

・飼育のポイント 弱アルカリの水質を好み、導入当時は水槽内部を暗く するか浮き草を入れて落ち着かせる。

端は長くシュノーケル状。生活史などの詳細

オーブリーフタスッポン

は不明で、熱帯雨林の透明度の少ない水域に

学名:Cycloderma aubryi

生息するとみられ、酸性度の高い水を好むと

分布:アフリカ中南部(コンゴ民主共和国、

される。食性はほぼ肉食性。

中央アフリカ共和国、ガボン)

甲長:3〇〜55cm

頭部から頸部に鮮明な5本の条線が入り、 これが属名の由来。背甲はやや長い卵形で、 卅而中央に弱いキールが入り、そのキール部 分は黒色の条線となる。背甲の色彩は暗褐色 や赤褐色で暗色斑が複数入る。頭部はやや大

・飼育のポイント

:

広葉樹の枯れ葉などを入れ水質を安定させ 、導入当時:

は水槽内部を暗くするか浮き草を入れて落ち着かせる。:

、く扁平で、上顎の口角はヒダ状に発達し、吻 Turtle and Tortoise of the World 163

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) フタスッポン龙科(Cyclanorbinae)

1属2種で構成され、南アジアのほぼ全域に生 息する。腹甲前部が可動し、さらに腹甲後部に

ハコスツポン属

1対のフラップを持ち、これらを可動させて背 甲と蓋状に閉じることができる。

(Lissemys)

ミナミインドハコスッポン

色や褐色だが、キタインドハコスッポンでは灰 綠色から暗灰色の時に不定形な黄斑が頭部や 屮背而に多数入る。腹甲の前葉に蝶番が、後 ミナミインドハコスッポンの腹甲キタインドハコスッポン

部には鰭状のフラップを持ち、それらを可動さ せて蓋をすることができる。頭部はやや小さ

インドハコスッポン

く吻端は突き出ており、頭部背面の色彩は背

学名:Lissemys punctata

甲と同色かやや濃い。低地や高地の水底が泥

亜種:ミナミインドハコスッポン(L. p. punctata)

質や砂質の流れのゆるやかな河川や池沼など

キタインドハコスッポン(L. p. andersoni) 分布:インド南部•スリランカ(ミナミインド

ハコスッポン)、パキスタン東部•ネパー ル南部•バングラディシュ•インド北部

(キタインドハコスッポン)

甲長:25〜35cm (最大37cm)

に生息する。泳ぎは巧みで夜間に主に活動し、

乾季で水が干し上がると泥中に潜って夏眠す るが、水場を求めて移動する場合もある。産卵

はほぼ9〜11月。1回の産卵数は2〜16個で、 年間2〜3クラッチ。孵化日数は長く、24〇〜

409日ほど。食性はやや肉食傾向の強い雑食性。

2亜種が知られる。背甲はほぼ卵形で、背 高は皮下の骨甲板がドーム状に盛り上がり、 それを覆うように皮膚が被さって甲縁部では

♦飼育のポイント 十分な大きさのアクアリウムでの飼育となるが、バス

キングを好むことで、しっかりした陸上も設置すること。

外側に広がる。背甲の色彩は単色のオリーブ 164 Turtle and Tortoise of th e World

ビルマハコスッポン 学名:Lissemys scutata 分布:ミャンマー、タイ南西咅8 甲長:22〜25cm

(最大28cm)

インドハコスッポンとは腹甲骨の配置が異 なる。背甲は卵形で、背高はドーム状。色彩

腹甲

はオリーブ色や褐色とミナミインドハコスッ ポンに似るが、腹甲の色は本種では白く、ミナ

にもよく上がる。食性はやや肉食傾向の強い

ミインドハコスッポンはピンクがかることで

雑食性。

判別の目安になり、幼体では不明瞭な暗色斑 が入ることもあるが、成体ではより不明瞭とな

る。水底が泥底や砂底の比較的浅い河川や池

・飼育のポイント 前穫と同様だが、シェルターも工夫する。

沼を好み、遊泳能力は高く活発に活動し 、陸上 Turtle and Tortoise of the World 165

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) |1属1種で構成される。大型で東南アジアに スッポン亜科(Trionychinae) ・広く分布し、種内変異が大きいことから複数 インドシナオオスッポン 属]の種を含む可能性がある。

(Amyda)

インドシナオオスッポン 学名:Amyda cartilaginea 分布:インドネシア半島、マレー半島、インド

ネシア、ボルネオ島 甲長:5〇〜60cm

(最大83cmを超す)

では背面や頭部・四肢などに黄色の小斑が多

数入るが、成長と共に消失する。低地から高 地の水底が泥や砂質で透明度の低いゆるやか

な流れの河川や湖•池沼に生息する。分布域

スッポン科では大型種。背甲は卵形や円形

が広く、産卵期は地域によって差はあるが主に

に近く、背高は扁平で、背面には皺状の隆起

12月。1回の産卵数は20〜28個で、年間産卵

が入る。色彩は広域分布することで、灰色気

回数は1回。卵は球形に近い。食性は肉食傾

味のオリーブ色から緑褐色の地に多数の暗色

向の強い雑食性。

斑紋や虫食い模様が入るなど、地域個体群で

変異が見られる。背甲後縁部は分厚く強靭で、

ナイフで突き朿I]し、ロープを通してぶら下げて

:・飼育のポイント :

1

幼体は水質管理に気をつけ、バスキングが十分できる:

:環境を用意する。大型化することで、取り扱いには十分注: :意が必要であり、アクアリウムも大型な設備が必要となる。:

も切れない。頭部の吻端は比較的長い。幼体 166 Turtle and tortoise of the World

潜頸亜目(Cryptodira) スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

コガラシスッポン属 (Chitra)

インドコガラシスッポン(C. indica)、スジクビコガラ

I

シスッポン(C. chitra),ビルマコガラシスッポン(C.

vandijki)の3穫で構成される。吻端は短く突出し、頸の 皮膚は後頭部から前肢の付け根に向けて幅広く広がり、 背面も背甲に被さるように繋がる 。背甲との境は段差程

度で、頸には頭部から繋がる筋模様が入る特徴を持つ。

学名:Chitra chitra

亜種:タイコガラシスッポン(C. c. chitra)

ジャワコガラシスッポン(c. c. javanensis)

に向けて幅広く広がり、背面も背甲に被さるよ うに繋がって背甲との境は段差程度で、筋状

分布:タイ、マレーシア、インドネシア

模様は背面の模様に繋がる。生活史の詳細は

甲長:10〇〜130cm

不明で、水底が砂質の濁った大型河川に生息

(最大140cm)

2亜種で構成される。非常に大型になる

し、水棲傾向は強く産卵時以外は上陸しない。

スッポン。背甲はやや短い卵形で、背高は扁

タイコガラシスッポンでは産卵は2〜4月、1

平。色彩は明褐色から黄褐色で 、暗色に縁取

回の産卵数は6〇〜117個で年間の産卵回数は

られた筋状で淡黄色の斑模様が入り、甲縁部

不明。卵の卵殻は硬くてもろく、ほぼ球形で白

は白っぽく縁取られる。頭部は小さく吻端は

色。孵化日数は6〇日前後とされるが、ジャワコ

やや短い。頸の外見は一般的な細長い頸には

ガラシスッポンでは不明。食性は甲殻類や魚

見えず、頸の皮膚は後頭部から前肢の付け根

類などの肉食1*生とされる。

Turtle and Tortoise of the world 167

な生息場所。水底が砂底で比較的透明度のあ

インドコガシラスッポン 学名:Chitra indica

分布:パキスタン、インド、ネパール、バング ラアッシュ 甲長:9〇〜100cm

淡水棲のカメ類中最大。各部の形状はスジ クビコガラシスッポンに似るが、背面はオリー

る環境を好むとされ、産卵期のメスのみ陸に

上陸する。インド中部では8〜9月に産卵す る。産卵数は65〜187個で、年間の産卵回数 は不明。孵化幼体は10月後半に見られる。砂 に潜り、視覚による待ち伏せ型の採食行動を

行うようで、貝類や甲殻類・魚類・死肉などの

肉食性とされる〇

ブ色から灰褐色、緑褐色などで、筋状模様は細

く、複雑な虫食い模様は成体であっても比較 的鮮明だが老齢個体では多少薄れる。本種の

:・飼育のポイント :

水底には細かな砂を敷き潜らせるようにし、高水温の

:安定した水質にする。

生活史も詳細は不明で、大河川の中流域が主 168 Turtle and Tortoise of the World

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

マルスッポン属

ハナガラマルスッポン(R bibroni)、カントール

マルスッポン(P. cantorii),ゴマダラマノレスッポン (R signifera)の3種で構成される。非常に扁平 で真上から見るとほぼ円形に近い形状。

(Pelochelys)

ひだ状に広がる。生活史などの詳細は不明で、

ハナガラマルスッポン

淡水の大きな河川やその支流に主に生息し、

学名:Pelochelys bibroni

その周辺の湖沼などでも見られる。水棲傾向

別名:ハナマルスッポン•ビブロンマルスッポン

分布:ニューギニア島南部 甲長:90cm前後(最大102cm)

大型のマルスッポン属3種中の1種で、体

が強く、繁殖期以外上陸しないとされる。食性 は幅の広い水棲動物などの肉食性。ニューギ

ニア島北部には同属のゴマダラマルスッポン

(2? signifera)が生息する〇

型や模様はコガラシスッポンに似る 。背甲は 卵形だが、前部はやや直線的でこの部分と外

縁部を中心に背面全体に小さなイボ状突起が 多数入る。背面と頭部はオリーブ色から褐色

・飼育のポイント 飼育環境に慣れるまで、不慮の事故や健康状態の急 変などに注意すること。

のほぼ同色。頭部の吻は比較的長く、口角は

Turtle and Tortoise of the World 169

は幅広で短く、吻も短い。口角のひだはやや広

カントールマルスッポン

がる程度。生活史などの詳細は不明で、大きく

学名:Pelochelys cantorii

水深のある河川に主に生息するが、汽水域や

別名:マルスッポン

海水域での観察例もある。繁殖は2〜3月で、

分布:中国南部からマレーシアの東南アジア 、 フィリピン、インドネシア、インド

甲長:笛〇〜120cm前後(最大129cm)

1回に2〇〜28個産卵する。卵は白色で固い卵 殻を持ち、ほぼ球形。分布が広く、形態に変異 が大きいなど将来的に分割される余地を残す。

マルスッポン属中最大種。背甲は非常に扁

平で、背面は滑らかなことで突起物は目立た

ずハナガラマルスッポンと区別できる。背面

や頭部背面の色彩はオリーブ色から褐色で斑

・飼育のポイント 幼体の飼育には水底に細かな砂を身を隠せる程度敷 く。

紋などはなく、色の濃淡が多少あるのみ。頭部 170

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

ミヤビスッポン属 (Nilssonia)

ミヤビスッポン(N. formosa)、ガンジススッポン

I

(Л/. gangeticus)クジャクスッポン(N. hururi)4 リーススッポン(N. leithii)、クロスッポン(M nigricans)の5種で構成され、いずれも幼体時 に美しい文様•色彩を持つ。

い模様的に入る。生活史などの詳細は不明で、

ミヤビスッポン

大型の河川などに生息する。食性は水棲動物

学名:Nilssonia formosa

や両生類などの肉食性。

分布:ミャンマー 甲長:4〇〜50cm

(最大65cm)

ミャンマー固有種で1属1種の大型種。背

甲は卵形で、背高は扁平だが、中央部がやや隆

起する。背面の色彩はオリーブ色がかった灰 色から褐色で、幼体では鮮明な眼状模様が2

〜3対入るが、成長と共に薄れる。頭部はや

や大きく吻は長い。頭部背面の色彩は背面と

:・飼育のポイント :

:

比較的に環境変化への対応能力は優れているとされ:

:る。

:

ほぼ同様で、暗色に縁取られた黄色斑が虫食

Turtle and Tortoise of the World 171

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

1属1種から構成される。イボクビスッポン 属に近いとされるが、サイズは小型で、胸腹

ヒラタスッポン属

硬板は後硬板ほど発達しない。

(Dogania)

て条線が入るほか、吻端横から眼の中央を通

ヒラタスッポン

る条線など数本の条線が入る。幼体時から若

学名:Dogania subplana

個体までは頭部側面の眼後方に不定形な赤色

分布:ミャンマー南部、タイ南西部からマレー

シア半島、ボルネオ島、フィリピン、シ ンガポール、インドネシア 甲長:3〇〜35cm

1属1種の小型種。背甲は卵形で、背高は

斑が入るが、成体では消失する。丘陵地や山 地などの透明度のあるゆるやかな流れの小川•

渓流などで、流木や平たい岩の下・岩の隙間

に入り込むことができる環境を好む。繁殖生

態は不明。食性は肉食傾向の強い雑食。

扁平、色彩は黒色やオリーブ色•暗褐色。背 面に中央には黒色の細い条線が入り 、幼体時

には眼状班が2〜3対入るが、成長と共に消

:♦飼育のポイント

失する。頭部は大きく、吻端が長く、色彩は背

:

面と同様で吻端から頭部中央を通り頸にかけ 172 Turtle and Tortoise of th e World

:

購入当時は水質の変化に影響されやすいが、日光浴:

:をこまめにさせる。

:

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

イボクビスッポン属

1属1種で構成される。他のスッポン属よりやや大 型で、頸部にあるコブ状突起を持つのが特徴。ヒ ラタスッポン属に最も近い属とされ、胸腹硬板は

後硬板は同程度に発達する 。

(Palea)

まで伸びる黄色斑や背面に黄色で縁取られた

イボクビスッポン 学名:Palea steindachneri 別名:コブクビスッポン 分布:中国南部からベトナム北部、ラオス北

東部 甲長:35〜40cm

中小の黒斑が複数見られるが、いずれも成長 に伴い消失する。標高150Отほどの高地にあ

る河川などの、水底が泥質や堆積物の溜まる

場所に生息する。ハワイ諸島やモーリシャス 諸島に移入定着し繁殖している個体群は、低

(最大44.5cm)

地の池沼や水路・溜池が主な生息場所となり、

1属1種の中型種。背甲は幅広い卵形で、

周年活動が見られる。繁殖成体は不明な点が

背面中央に弱いキールが入り、イボ状突起が

多いが、中国南部個体群では5〜7月に産卵

散在する。背面の色彩は褐色や灰褐色・オリー

する。1回の産卵数は2〜28個、年間1〜4

ブ褐色。頭部の吻は長く突き出ており 、頸の付

回産卵が見られる。卵の卵殻は白色で固く、ほ

け根には和名の由来となるイボ状突起が多数

ぼ球形。孵化日数は70日前後。食性は水生動

固まる。幼体は頭部の眼の後ろから頸部側面

物などの肉食性の強い雑食。 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

173

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

キョクトウスッポン属は、現在外部形態やミトコ

キョクトウスツポン属

ン、ヒメシナスッポン、ニホンスッポンの4種に分 けるのが主流だが、今後の研究によりさらに再分

(Pelodiscus)

化される可能性が高い。

本、東南アジアなど 甲長:3〇〜35cm前後(最大30cm以上)

ンドリアDNAなどでシナスッポン、コナンスッポ

染度の高い水場でも見かけられる。分布が広

く産卵期などは地域により異なり、1回の産卵

国内では最も馴染み深く、食用や薬用とし

数は5〜40個程度、年間産卵回数は2〜3回。

て使用されるカメ。背甲は卵形で、背高は扁

卵は球形に近い楕円形で、孵化日数は6〇〜80

平。背面は滑らかで、色彩は主に灰色から褐

日。食性は幅の広い淡水動物など肉食傾向の

色・オリーブ色だが、分布域は広く色彩や模

強い雑食性。温帯域や寒冷地では冬眠する。

様は、地域により非常に変異に富む。頭部はや

や大きく、吻は長い。頭部背面の色彩は背甲と

ほぼ同様。水底が泥質や砂質の流れのゆるか な河川や小川•池沼などに生息し、比較的汚 174 Turtle and Tortoise of the world

♦飼育のポイント 幼体は冬季には保温し、水温を上げて(20°Cほど) 飼育する。

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

ナイルスッポン属

(Trionyx)

.1属1種で構成される。大型で分布域も広い ・スッポン。

I

水域でも観察されることがある。産卵は春に

ナイルスッポン 学名:Trionyx triunguis

分布:アラビア半島、アフリカ大陸中•北部、 トルコ、ギリシャ東部など 甲長:4〇〜60cm

行われ、1回の産卵数は約25〜60個。卵は球

形に近い楕円形で、孵化日数は78日前後。食 性は幅広い水棲動物などの主に肉食性の強い

雑食性。

(最大95cm)

大型種でアフリカ大陸では最大 。背甲は卵 型で、背高は扁平。色彩は暗褐色からオリー

ブ色で、暗色に縁取られた明色の小斑が多数

入るが、個体によってはないものもいる。頭部 はやや小さく吻は長く突き出る。頭部の色彩 はほぼ背面と同様で、背面と同様の小斑また

は虫食い模様が入る。ゆるやかな流れの大型

河川や池・湖に主に生息するが、汽水域や海 Turtle and tortoise of the world 175

潜頸亜目(Cryptodira)スッポン科(Trionychidae) スッポン亜科(Trionychinae)

フロリダスッポン(4 ferox)、スベスッポン(4 mutica)、トゲスッポン(A spinifera)の3種で構

ZXリカスッポン属

成され、唯一新大陸のカナダ南部からアメリカ合

衆国、メキシコ北部に分布する。

(Apalone)

やけた色抜けの状態で残る。水深があって、

フロリダスッポン

樹木が覆い被さり、水底が泥質や砂質の環境

学名:Apalone ferox

を好むが、多様な水場に生息する。日中は浅

分布:アメリカ合衆国フロリダ半島を中心と

する南東部

瀬の水底の中に身を隠し、頭部のみを出して いることが多い。産卵は6〜7月がピークで、

甲長:15〜50cm前後(最大60cm)

アメリカ合衆国固有種で大型種。背甲はや

1回の産卵数は4〜22個。年間複数回産卵す る。卵は球形に近い楕円形で卵殻は固くもろ

や細長い卵形で、背高は非常に扁平。前縁部

い。孵化日数は60日前後。食性は水棲動物を

にはコブ状突起が密に並ぶ。色彩は褐色から

主とした肉食傾向の強い雑食性。

淡黄褐色で不定形の暗色模様が入るが、幼体 時は黒褐色の斑紋が入り、甲縁部は濃いオレ

ンジや淡黄色で縁取られるが、成長と共に薄 れる。頭部はやや大きく吻は長く突き出て、幼

体時の黄色模様や条線の部分は白っぽく、ぼ

176 Turtle and tortoise of the World

:♦飼育のポイント :

導入時には生餌のほうが餌づきやすい。幼体は低温

:に弱い傾向がある。

亜種:ミドランドスベスッポン(A m. mutica) ガルフコーストスベスッポン(A m. calvata)

分布:アメリカ合衆国中•南部 甲長:15〜32cm前後(最大35cm)

アメリカスッポン属では小型種。背甲の形

フコーストスベスッポンでは条線はない)、眼 の後方から頸部側面にも条線が入る。産卵は

5~?月。1回の産卵数は4〜33個で、年間 産卵回数は1〜3回。卵は球形に近い楕円形

状はトゲスッポンと似るが、背面は滑らかで突

で硬くもろい白色の卵殻を持つ、孵化日数は

起物はないことで区別できる 。背面はオリー

70日前後。食性は水棲動物などの肉食性。

ブ色から黄褐色。外縁部は黄色く縁取られ、 その内側に黒く細い筋状の模様が一周する〇

頭部はやや大きく吻は長く突き出ており、吻端

・飼育のポイント 皮膚病が出やすく、バスキングできる陸地を設置す

る〇

側面から眼の間に細い条線があり(亜種ガル

Turtle and Tortoise of the World 177

ウスイロトゲスッポンと思われる個体

178

TURTLE AND TORTOISE OF TH E WORLD

トゲスッポン 学名:Apalone spinifera

亜種:ヒガシトゲスッポン(A

s. spinifera)

ガルフコーストトゲスッポン(A

テキサストゲスッポン(A.

s. aspera)

s. emoryi)

グアダルーベトゲスッポン

(Д. s. guadalupensis) ニシトゲスッポン(A

s. hartwegi)

ウスイロトゲスッポン (A

s. pallida)

分布:アメリカ合衆国中央より東部(フロリダ

半島•北東部を除く)、メキシコ北東部、 カナダ南東部 甲長:18〜46cm前後(最大54cm)

アメリカ合衆国で最も分布が広いアメリカ

スッポン属で、6亜種で構成される。背甲は比 較的丸い卵形。背高は扁平で細かなイボ状突 起があり表面はざらつく。前縁部に名前の由

来となる刺状突起が並ぶ。背面の色彩はオリー

ブ色から淡褐色だが、模様は亜種により大き く変異する。主に流れのゆるやかな河川に生

息するが湖沼などでも見かけられ、水底が泥

底や砂底の水生植物が繁茂し、隠れ場所が多 い環境を好む。産卵は5〜8月。1回の産卵 数は4〜32個を年間複数回産卵する。卵はほ ぼ球形の白色で硬くもろい卵殻を持つ 。孵化 は8〜10月だが、北部ではそのまま越冬し翌

年の春、地上に現れる。食性は水棲動物など

の肉食性。メキシコの一部に別種クロトゲスッ ポン(Л. ater)(ワシントン条約附属書I類) が生息する。

・飼育のポイント 比較的他の種より丈夫で飼育しやすいが、大型にな り、大きなアクアリウムが必要になる。 頭部

Turtle and tortoise of the World 179

潜頸亜目(Cryptodira) スッポンモド4・科(Carettochelyidae)

スッポンモドキ属

1属1種で構成され、淡水棲のカメ 類の中で、最も水中生活に特殊化し

(Carettochelys)

たカメである。

と同様。前肢はオール状で第1• 2指には爪

スッポンモドキ

がある。水が澄み、流れのゆるやかな河川や

学名:Carettochelys inseculpta

湖•湿地などに主に生息し、河口の汽水域で

分布:ニューギニア島、オーストラリア北部 甲長:4〇〜50cm前後(最大甲長56.3cm)

見つかる場合もある。繁殖はオーストラリア

の例で7〜11月(乾季中)。1回の産卵数は4

オーストラリアに生息する唯一の潜頸亜目

〜39個で複数回産卵する。卵はほぼ球形で白

で1属1種。背面や腹面には甲羅がなく、甲骨

色の硬くもろい卵殻を持つ。孵化日数は孵化

板の上を皮膚が覆う。背面はやや長い楕円形

温度30°Cの人工孵化で70日前後。食性は植物

でドーム状に持ち上がり、幼体に見られる背

質傾向の強い雑食性で、水草や藻類・果実な

面中央の連続した瘤上のキールや背面外縁部

どを主に食べる。

の鋸歯状の突起は成長と共に消失する。背面

の色彩は一様なオリーブ色や灰色で、外縁部

は白色や淡黄色で細く縁取られる。頭部は大

♦飼育のポイント 外見に似合わず、希少の荒いカメで同居飼育は望め ない。また、大型穫であり、十分な遊泳を必要とし大規 模なアクアリウムが必要となる。

型で吻端は瘤上に突き出ており、色彩は背面 180 Turtle and Tortoise of the World

アオウミガメ1種で構成され、体脂肪が緑色であることに由来 する。この属にヒラタアオウミガメとして分類されていた種は、

現在はヒラタウミガメ属 (Natator)ヒラタウミガメ (Natator

depressus)として独立している(本書では取り扱わない)。

アオウミガメ

陸の沿岸部で比較的浅い海域に生息するが、

アオウミガメ 学名:Chelonia mydas

亜種:アオウミガメ(C. m. mydas)

クロウミガメ(C. m. agassizii) 分布:熱帯から温帯域の各海域 甲長:8〇〜100cm前後(最大甲長107cm)

1000km以上も離れた餌場と産卵場を回遊す ることもある。国内では5〜8月に産卵する。

1回の産卵数は3〇〜160個。年間産卵回数は 2〜4回。卵はほぼ球形で白い弾力のある皮. 革状の丈夫な卵殻を持つ。孵化日数は5〇〜70

日。メスはほぼ3年に1度産卵するとされるJ

軟骨と内臓周囲の脂肪の色が緑っぽく、名

食性は海藻類を主とする雑食。亜種のクロウ

の由来となる。背甲は後部先端が尖り気味の

ミガメは東太平洋(メキシコ東部沿岸•ガラパ

ミノ形。背面は滑らかで各甲板は互いに重な

ゴス諸島・ハワイ諸島など)に主に分布し、形

らない。背甲の色彩は青緑気味の灰褐色から

態や生態などはアオウミガメに似るとされる

暗褐色で、淡褐色の不揃いな放射斑紋などが

が、背面の色彩は一様に黒く、アオウミガメの

多数入る。頭部は小さく、色彩は背甲とほぼ同

ように背面の各甲板の接合部は淡黄色で縁取

様で、各甲板の接合部は淡黄色で縁取られる。

られない。近年は日本の八重山諸島などでも

上•下顎の縁辺部は目の粗いヤスリ状。主に

観察例が増加している。 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

181

潜頸亜目(Cryptodira)ウミガメ科(Cheloniidae)

アカウミガメ属

(Caretta)

!アカウミガメ1種で構成される。温帯から亜熱帯

|域に広く分布する。

アカウミガメ 学名:Caretta caretta 分布:熱帯から温帯域の各海域

甲長:69〜103cm前後

成長過程で海流に乗り、長距離を移動する

頭部

背甲

ことが知られる。背甲はミノ形で後部先端は アオウミガメに比べやや丸い。背面は滑らか

で各甲板は互いに重ならない。幼体では椎甲 板や肋甲板に目立つキールを持つが、成長と 共に消失する。背面の色彩は赤褐色から黄褐 色。頭部は大きく上顎の角質化した歯はアオ ウミガメより前方に出る。温帯の海域でも多

く見られ、時には汽水域などで観察されること

もある。日本国内では産卵地域の沖合いで交

若い個体

尾を行う。産卵期は5〜8月で、1回の産卵数

は10〇〜120個。年間産卵回数は2〜5回。卵 はほぼ球形で白い弾力のある皮革状の丈夫な

卵殻を持つ。孵化日数は5〇〜75日。メスは1

〜4年おきに産卵する。食性は甲殻類や貝類、 軟体動物などを主とする雑食性。 182 Turtle and Tortoise of the World

徳島県美浜町「大浜海岸のウミガメ及 び産卵地」•静岡県御前崎市「御前崎 ウミガメ及び産卵地」の産卵地•上陸 個体

潜頸亜目(Cryptodira)ウミガメ科(Cheloniidae)

ヒメウミガメ属

| 2種で構成される。沿岸性が強く、集団

(Lepidochelys) |

い"バタ)を行う。

コからコスタリカの太平洋側、北東インド、ス

ヒメウミガメ 学名:Lepidochelys olivacea 別名:タイヘイヨウヒメウミガメ ・オリーブヒ

メウミガメ

リナムなど。産卵は日中に2、3日の集団産卵 (アリバダと呼ばれる)を行い、年間産卵回数 は2〜7回、年間産卵数は約110個。食性は海

底の甲殻類や軟体動物などの肉食傾向が強い。

分布:南アメリカ北部、西アフリカ、インド洋、 オーストラリ只東南アジアなどの沿岸部 甲長:65〜72cm前後

ウミガメ類中では小型種。背甲はやや短い ミノ形で後部先端は丸く、甲高は分厚い。縁辺 部はわずか反り返り、亜縁甲板には小孔(フェ

ロモン腺)がある。幼体では背面中央とその 両サイドに顕著なキールが入るが,成長と共に

薄くなり、成体では中央のキールが弱く残る程 度。背面の色彩はオリーブ色。頭部は幅広で やや大きく、背面の色彩は暗褐色から灰褐色 だが、頭側部は淡黄色。生息海域は広いが、一

部で採食場と産卵地の間を大群で回遊する行

動が観察されるのみで、その生態は不明な点

ケンプヒメウミガメ

学名:Lepidochelys kempii 分布:北大西洋西部のメキシコ• アメリカ合衆国沿岸 甲長:55〜75cm

ヒメウミガメに似る。背甲は扁

ワシントン翔 附属書

I類 レッドリスト 絶滅危惧種

IA類

平で丸みを帯び、肋甲板が5対、椎甲板が5

枚とヒメウミガメより少なく、縁甲板は13枚

であることが多い。背面の色彩は明黄褐色。

繁殖生態はよく知られないが、4~6月の風 の強い日中にメキシコのランチョヌエボで集

団産卵(アリバダ)することが知られ、1回

に8〇〜140個産卵する。孵化日数は60日前後。 食性は甲殻類が主。

が多い。産卵地は主に中央アメリカのメキシ Turtle and Tortoise of the world 183

潜頸亜目(Cryptodira)ウミガメ科(Cheloniidae) タイマイ属

(Eretmochelys)

|タイマイ1種で構成される。サンゴ礁が発達した | '毎'羊に生息し' 外/羊に出るのは稀。

ワシントン繍!レッドリスト 附属書#絶滅危惧種

I IIA 類



のキールが明確に入るが、成長と共に消失す

タイマイ

る。頭部は細長く、上・下顎共、嘴のように前

学名:Eretmochelys imbricate

方に突き出す形状となる。産卵場所は主にサ

分布:主に熱帯海域の沿岸部 甲長:7〇〜90cm

1属1種で構成される。特徴のある嘴を持

ンゴ礁海域の砂浜で行われ、産卵は6〜8月。

1回の産卵数は10〇〜150個、年間産卵回数は 複数回で、卵は球形に近い楕円形。孵化日数

つ。背甲は滑らかで、各甲板は屋根瓦のよう

は5〇〜80日、メスは2〜3年ごとに産卵する。

に重なりヽ色彩は黄色の地に黒褐色や赤褐色

食性は海綿類を主とし、甲殻類や軟体動物な

が複雑に重なり合い、放射模様や大理石模様

どの肉食性。アカウミガメとの交雑個体が確

を構成するが、個体によりその変異は著しい。

認されている(2013年)。

後部縁甲板の縁は鋸状となる。幼体時は3本 184 Turtle and Tortoise of th e World

潜頸亜目(Cryptodira) オサガメ科(Dermochelyidae)

オサガメ属

(Dermochelys)

オサガメ1種で構成される。現生カメ目最 大種。遊泳力が高く、長距離を回遊する。

写真圖詫間俊一

オサガメ 学名:Dermochelys coriacea

分布:インド〜太平洋と大西洋の熱帯海域から温

帯海域 甲長:最大甲長185cm

背甲は細長く後部先端は突出している。背面

には7本、腹部には5本の顕著なキールが前後 に入り、背面および腹部には鱗板はなく滑らか

な皮膚で覆われ、多数の小さなモザイク状の骨

片となり皮膚に埋もれているが、孵化幼体は星

状の鱗板で覆われている。四肢は幅広いヒレ状 に変化し皮膚で覆われている。亜北極海でも稀

に見られるが、周囲の海水温より数。C高く体温

を保つことができる。繁殖生態はよく知られな いが、卵は球形で熱帯の海岸に 10日ほどの間隔 で5〇〜170個ほどの卵を産卵する。孵化日数は

60日前後。食物はクラゲ•甲殻類・貝類などの 肉食性とみられる。 ワシントン繡 ・レッドリスト ■絶滅危惧種 附属書

I類

1IA類

インド洋南西部 太平洋東部•西部 大西洋南西部個体群

若い個体

Turtle and tortoise of the World 185

サルディーニャヌマガメ

イタリアヌマガメの幼体

イタリアヌマガメ

オブストヌマガメ

ヨーロッパヌマガメ

(E. 〇・ hellenica)

学名:Emys orbicularis 亜種:キボシヌマガメ

(E 〇. orbicularis)

コルキスヌマガメ

(E. 〇. colchica)

アイセルト(エイゼル)ヌマガメ (E 〇.

e/se/t/)

イタリアヌマガメ (E. 〇. galloitalica) コルシカヌマガメ

(E・ 〇. ianzai)

サルディ­ ニャヌマガメ (E 〇. capolongoi)

サボナヌマガメ

(E 〇・ ingauna)

キタアフリカヌマガメ(E 〇. occidentalis) スペインヌマガメ(E. 〇・ hispanica)

186 Turtle and tortoi se of the world

(E. 〇, fritzjuergenobsti)

アドリアヌマガメにシトルコヌマガメ)

クラヌマガメ

(E・ 〇. iberica)

ペルシャヌマガメ(E 〇, persica)

アメイロヌマガメ

(E.o. luteofusca)

分布:中緯度湿潤気候帯(亜寒帯以南)から中

緯度半乾燥気候帯(熱帯以北)のヨー

ロッパを中心とした黒海、カスピ海沿岸 部、ロシア南部からアラル海沿岸部の力

ザフスタンなど 甲長:13〜23cm

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜科(Emydinae)

ヨーロッパヌマガメ属 (Emys) ヨーロッパヌマガメ(E orbicularis)とシシリー ヌマガメ(E trinacris)の2種で構成される。 腹甲の胸甲板と腹甲板の間に蝶番が存在する

が、蝶板より後ろはある程度可動するものの背 甲と接するほどではなく、蝶板より前はより可動

性は低い。

アドリアヌマガメ

サルディーニャヌマガメの幼体

分布が広く、現在14亜種ほどで構成される

水底は泥や砂の水辺などに多く生息する 。産

が、今後変更の余地を含む。背甲は卵形で、背

卵期は生息域によって異なるが、主に5〜6月

高はやや高いドーム型。背甲の色彩は暗色で、

に行われ、1回の産卵数は3〜16卵。年間産

各甲板には黄色や明褐色の条線や小斑が放射

卵回数は1〜2回。卵は長楕円形、孵化日数は

状に入るのが一般的だか、多数の小斑で被わ

60〜70日で、寒冷地では翌年の春に地上に出

れるか無地の亜種もいる。頭部はやや細長く、

る。食性はやや肉食傾向の強い雑食性。

頭部や四肢には背面と同色の不規則な小斑が 比較的密に入る。中緯度湿潤気候帯(亜寒帯

以南)から中緯度半乾燥気候帯(熱帯以北)の 主にヨーロッパを中心とした、流れのゆるやか

・飼育のポイント 環境への適応は高く、低温にも強い。

な小河川や池沼•湖などの岸辺が草で被われ 、

Turtle and tortoise of the world 187

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜初(Emydinae)

1種で構成される。ヨーロッパヌマガメ属より、腹甲 の可動性は高いが、その可動性の範囲は個体により

ブランディングガメ属

かなり差がある。また、やや長めの頸を持つ。

(Actinemys)

し、暑さに弱い。水深が浅く、水の透明度の良

ブランディングガメ 学名:Emydoidea blandingii

分布:カナダ南東部、アメリカ合衆国北東部 甲長:13〜26cm

(最大28.4cm)

アメリカ大陸では最も北限に生息する種の

い水生植物の繁茂する水域の小河川や池沼 •

湿地などに生息する。産卵は5月下旬から7 月下旬に見られ、1回の産卵数は通常1〇〜15 個。年間産卵回数は1〜2回で、卵は長楕円

形で硬くもろい卵殻を持つ。孵化日数は73〜

1つ。背甲は楕円形で、背高はドーム形で各

112日だが、気温により翌年の春に地上へ出る

甲板は滑らか。背甲の色彩は黒色で黄色や

場合もある。食性は多様な水棲動物を主に食

クリーム色の小斑や放射•虫食い模様などで

べる肉食傾向の強い雑食性。

覆われる。腹甲の前部に弱い蝶板を持ち可動 できる。扁平な頭部や長い頸部はアミメガメ

{Deirochelys reticularia)に似る。頭部背面の

色彩は黒色の地に黄色やクリーム色の小斑や 虫食い模様で覆われる。寒冷地の気候に適応 188 Turtle and Tortoise of the world

・飼育のポイント

:

幼体は高温に弱いので、高くても28°C程度に抑え、: 急激な温度変化にも注意する。 :

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜科(Emydinae)

ブチイシガメ属

■1種のみで構成される。ヨーロッパヌマガメ !属やブランディングガメ属に近縁だが、腹甲

(Actinemys)[に明瞭な蝶番は持たない。

暗色斑が入るものもいる。頭部は中型で頭部

ブチイシガメ

背面には暗色の虫食い模様や小斑が点在する

学名:Actinemys marmorata 亜種:キタブチイシガメ

(/L m. marmorata)

ミナミブチイシガメ

(A m. pallida)

分布:アメリカ合衆国西部からメキシコ(バハ カリフォルニア半島北西部)北西部

甲長:12〜18cm

(最大24.1cm)

ヨーロッパヌマガメ属やブランディングガ メ属に近縁で2亜種から構成されるが、今後

場合が多い。生息地は比較的温暖な気候帯が 多く、河口から高地(標高1800m)の河川域を

主に、その周辺の池沼などにも生息し、水生植

物の多い環境を好む。産卵期は5〜7月がピー クで、 1回の産卵数は通常1〜13個。年間産

卵回数は1〜2回で、卵は長楕円形。孵化日数 は9〇〜12600食性は多様な餌を食べる雑食

性。

さらに細分化される可能性を含む。背甲は幅

広い楕円形で、背高は比較的扁平。背甲の色

彩は褐色からオリーブ色などで、各甲板には

・飼育のポイント 雌雄の同居飼育は好ましくない。

通常黄褐色や黄色の虫食い模様や小斑が入り、

Turtle and Tortoise of the world 189

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜科(Emydinae)

キボシイシガメ属

|!種のみで構成されるが、分類にはいまだ ・不確定な要素が含まれる。

(Clemmys) |

キボシイシガメ 学名:Clemmys guttata 分布:カナダ南東部(ヒューロン湖東部)など、

アメリカ合衆国東部 甲長:8〜12cm

(最大14.3cm)

ヌマガメ科の小型種で1属1種。背甲は楕

高温や乾燥地では夏眠を行う。産卵期は生

息地によりずれるが、主に5〜7月に産卵す

円形で、背高はやや盛り上がる程度で背面に

る。1回の産卵数は2〜6個で、年間産卵回

はキールなどもなく滑らか。背面の色彩は黒

数は1〜2回。卵は長楕円形で弾力のある皮

色から漆黒色で黄色斑が点在(名の由来)す

革状の卵殻を持つ。孵化日数は5〇〜9〇0〇寒

るが、成長するにしたがい黄色斑の数は増え

冷地では翌年の春に地上に出る 。食性は多様

る。頭部は中型で頭部背面は背甲とほぼ同色

な餌を食べる雑食性。

で黄色斑も点在する。主に低地性で浅い水域

や湿地の水溜りなどで、水質が良く、水生植

・飼育のポイント こまめな飼育管理が必要。

物が豊富な場所を好む。寒冷地では冬眠し、 190

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜科(Emydinae)

モリイシガメ属

(Glypyemys)

モリイシガメ(G. insculpta)、ミューレンバ

ーグイシガメ(G. muhlenbergii)の2種で構 成される。

オレンジ色と個体差や性差などで変異が大き

モリイシガメ

い。主に比較的湿度が高い林床などの湿地に

学名:Glypyemys insculpta

好んで生息し、幼体は水棲傾向が強く、亜成

分布:カナダ南東部、アメリカ合衆国北東部

甲長:15〜20cm

(最大23.4cm)

体以降は陸棲傾向が強くなる。産卵は5〜7

月で、1回の産卵数は通常7〜10個。年間産卵

背甲は幅の広い楕円形で、背高は比較的低

回数は通常1回。卵は長楕円形で硬く薄い卵

く、中央には低いキールが入る。背面の灰褐

殻を持つ。孵化日数は42〜82日で、孵化幼体

色から暗褐色で、各甲板には成長輪と初生甲

の多くは翌年の春に地上へ出る。食性は多様

板からの放射畝が明確にあり、表面はごつご

な動植物を食べる雑食性で、死肉も食べる。

っした形状。縁甲板の外縁部は上向きにやや 反り返り、後部縁甲板は鋸歯状となる。頭部

はやや大型で頭部背面は主に黒色で、頸部

・銅育のポイント 低温に強いが、可能なかぎり広いスペースに多様な 環境を用意する。

側面や四肢の付け根は黄色から黄褐色 •濃い TURTLE AND TORTOISE OF THE WORED

191

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) ヌマガメ亜ね(Emydinae)

アXリカハコガメ属 (Terrapene)

カロリナハコガメ(7: calorina)、ニシキハコガメ

I



ornata)、ネルソンハコガメ(7: nelsoni)、ヌマハコガ メ (T. coahuila)の4種で構成される。腹甲には蝶番 を持ち、前葉と後葉の可動性は良く 、背甲とほぼ完全

に蓋ができる。

分布:アメリカ合衆国中部•東部•南部、メ

カロリナハコガメ

キシコ東部、ユカタン半島

学名:Terrapene calorina

亜種:トウブハコガメ(7: c. calorina) ガルフコーストハコガメ(丁 c. major) ミツユビハコガメ

(T c. triunguis)

フロリダハコガメ(Г c. bauri)

甲長:1〇〜20cm

(最大21.6cm)

6亜種で構成される。ガルフコーストハコ ガメのみが22cm近くなり、他の亜種は20cmを

超えない。背甲は卵形で、背高は高いドーム 型。腹甲は前葉と後葉に蝶番で繋がり稼動

ユカタンハコガメ( T. c. yucatana)

し、背甲と蓋ができる。頭部は大型。背面の

メキシコハコガメ(Г c. mexicana)

色彩は個体や亜種により大きく変異する。ミ

192 Turtle and Tortoise of the World

ツユビハコガメ、フロリダハコガメ、メキシコ

ハコガメの後肢の指に爪は 3本、それ以外の 亜種は4本の爪が基本。やや湿度の高い林床

や草地の開けた環境に主に生息し、陸棲生活 だが高温時には浅い水にも入る。産卵は5〜

7月で、1回の産卵数は通常4〜5個。年間 産卵回数は2〜3回。卵は長楕円形でやや硬 い卵殻を持つ。孵化日数は79〜80日。食性は

・飼育のポイント 単一な餌に偏らず、可能なかぎり多様な餌を与える 。

幅広い雑食性で、死肉も食べる。

Turtle and Tortoise of the world 193

ガルフコーストハコガメ

194

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

ワシントン条約レッドリスト 附属書! 準

II類

絶滅危龐

キタニシキハコガメ

ニシキハコガメ 学名:Terrapene ornata

ミナミ ニシキハコガメ

亜種:キタニシキハコガメ(Т 〇・ ornata) ミナミニシキハコガメ

(7L 〇, luteola)

可動し背甲と蓋ができる。頭部は大きい。低

分布:アメリカ合衆国中•南部、メキシコ北部

地から標高200Отの高地の乾燥した草原や砂

甲長:1〇〜13cm

(最大14cm)

漠周辺などに生息し、北部の個体群は冬季に

2亜種で構成される小型種。背甲は卵形

冬眠する。産卵は5〜7月で、1回の産卵数

で、背高は盛り上がるドーム形。キタニシキ

は1〜8個。年間産卵回数は1〜2回。卵は

ハコガメは黒色の地に幅広い淡黄色や黄色の

長楕円形で、孵化日数は7〇〜80日。食性は無

条線が放射状に数本入り、ミナミニシキハコ

脊椎動物や爬虫•両生類などを食べる強い肉

ガメは淡褐色や褐色の地に幅の狭い黄色の条

食傾向を示す雑食性。

線が放射状に数多く入ることで区別できる。

後者の黄色条線は老齢個体では消失する個体

・飼育のポイント やや乾燥した環境を好む。

もいる。腹甲には蝶番があり、前葉と後葉は Turtle and tortoise of the world 195

アミメガメ亜科中では小型から中型種。背

アミメガメ

甲は卵形で、背高は扁平かやや盛り上がる

学名:Deirochelys reticularia

ドーム形。幼体時に入る中央のキールは成長

亜種:ヒガシアミメガメ(D r. reticularia)

と共に消失する。色彩は淡褐色からオリーブ

フロリダアミメガメ(D r. chrysea)

色で、淡黄色の網目模様(名の由来)が入る

ニシアミメガメ(D r. miaria)

が、亜種により色彩や形状は異なる。背甲の

分布:アメリカ合衆国南東部から南部

外縁部は黄色に近い色で縁取られることが

甲長:11〜20cm

多い。低地棲で、湖や池沼などの止水性が強

(最大25cm)

196 Turtle and Tortoise of the world

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメガメ更科(Deirochelyinae)

アミメガメ属

(Deirochelys)

1種で構成される。非常に長い頸を持ち、その 長さは腹甲長にほぼ等しい。

フロリダアミメガメ

ニシアミメガメ

く、水生植物が繁茂し、日光浴ができる場所 の多い環境を好む。産卵は初春と初冬にピー

クがあり、1回の産卵数は2〜19個で、年間 産卵回数は2〜4回。卵は長楕円形で白色の

弾力のある皮革状の卵殻を持つ。孵化日数 は、22も以下では発生せず、その年の気温で 大きく左右される。食性は多様な生物を食べ

:・飼育のポイント :

:

広めの水槽で十分な水深をとり、バスキングのできる:

:陸地を用意する。

:

る肉食傾向の強い雑食性。

Turtle and Tortoise of the World 197

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメガメ亜科(Deirochelyinae)

ニシキガメ属

(Chrysemys)

1種で構成され、4亜種に分類される。カナダ 南部からアメリカ合衆国内に広く分布し 、甲の 一部や頭部には派手な斑紋を有する。

セスジニシキガメ

ニシキガメ 学名:Chrysemys picta 亜種:トウブニシキガメ

(C. p. picta)

セイブニシキガメ

(C. p. bellii)

セスジニシキガメ

(C. p. dorsalis)

フチドリニシキガメ

(C. p. marginata)

分布:アメリカ合衆国北部•中央部•東部・ 中南部、カナダ南部

甲長:11〜20cm

(最大25cm)

4亜種で構成され、北米大陸のカメでは最 198 Turtle and tortoise of the World

も広く分布する。背甲はやや細長い楕円形、

よくできる場所などがある、ゆるやかな流れ

背高はかなり扁平。幼体は中央にキールが入

の小河川や水路、止水の池沼、湿地などを好

るが、成長と共に消失する。背面の色彩は黒

む。産卵は6〜7月がピークで、1回の産卵数

色から濃暗緑色•オリーブ色で、各甲板の接

は2〜23個(亜種により異なる),年間産卵回

合部は暗オレンジ色から暗淡黄色の幅の不揃

数は2〜4回で、卵は長楕円形。孵化日数は

いな帯で縁取られる。亜種により各甲板内に

72〜80日だが北部の個体群では翌年春に地上

赤みの強い条線や不定形な筋・斑模様など

に出る。昼行性で、肉食傾向の強い雑食性。

変異が大きい。頭部は中型で、亜種により異 なるが、頭部側面の眼後部や後下部、下顎側 面などにやや幅広の黄色や淡黄色の条線が

:.飼育のポイント :

1

温和な性格をしており、他種と同居させるのは避け:

:たほうが好ましい。やや深い水深をとり、バスキング: :のできる陸地を設置する。

:

入る。水生植物が繁茂する浅瀬で、日光浴が Turtle and tortoise of the world 199

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメガメ壷科(Deirochelyinae)

クーター属 (Pseudemys)

200 Turtle and tortoise of the World

クーター類と呼ばれるリバークーター(P concinna)^

I

リオグランデクーター(P. gorzugi)、ペニンシュラクー

ター(P peninsulars)、テキサスクーター(P texana)

の4種と、アカハラガメと呼ばれるアラバマアカハ

ラガメ (P. alabamensis)>フロリダアカハラガメ

(P.

nelsoni).キタアカハラガメ(P. rubriventris) の3種から構成されるが、今後再編される可 能性を残す。

リバークーター 学名:Pseudemys concinna 亜種:コンキンナリノヾー(カロライナ)クーター

(P. c. concinna) フロリダクーター(Р スワニークーター(P

с. floridana)

c. suwaanniensis)

分布:アメリカ合衆国東南部、フロリダ半島

甲長:15〜41cm

(最大43.7cm)

4アメリカ合衆国固有種、クーターガメ属 中最大種。背甲はやや長い卵形で、背高はゆ

るやかに盛り上がるドーム型。幼体は中央に キールが入るが、成長と共に不鮮明か消失す る。色彩は濃緑色やオリーブ色の地に暗黄色

や暗オレンジ色の不定形な輪・ U字・波模様な

どが複雑に入り、亜種や個体・地域などでも 変異に富む。頭部は中型で、頭部は暗褐色か ら褐色•オリーブ色の地で、頭部全体に淡黄

色や黄色の幅の不揃いな筋模様が 、頸部に及

ぶものを含め、いく筋も入る。水底が岩質で

水生植物や倒木•岩場が多い河川、その周囲 に主に生息し、日光浴を好む。産卵は亜種や

生息地によって異なり、5〜10月。1回の産卵

数は9〜29個で、年間産卵回数は不明だが複 数回とされる。卵は楕円形で弾力のある皮革

状。孵化日数は8〇〜100日。食性は植物食傾向 が非常に強い雑食。

:・飼育のポイント :

成長と共に植物食傾向が強くなり、野菜類や水草類

:を多くし、バスキングがよくできる飼育環境を用意す :る。 'テネシークーター”

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

201

ペニンシュラクーター 学名:Pseudemys peninsularis

分布:アメリカ合衆国フロリダ半島 甲長:19〜40cm

(最大40.3cm)

頭頂部や眼後部や眼下にやや幅の広い条線が

数本入るが、特に左右後頭部から頸部に伸び る淡黄色のU字模様が特徴的。低地で水生植 物が繁茂する止水や、ゆるやかな流れの河川 の河底が泥質な場所に主に生息し、日光浴を

アメリカ合衆国フロリダ半島の固有種で 、

好む。産卵は1年を通し行われ、1回の産卵

リバークーターにつぐ大型種。背甲は卵形

数は1〇〜29個、年間産卵回数は複数回。卵は

で、背高はゆるやかに盛り上がるドーム型

やや長い楕円形で弾力のある皮革状の卵殻を

で、幼体は中央にキールが入るが、成体では

持つ。孵化日数は8〇〜150日。食性は植物食傾

後部椎甲板に弱く残る程度か消失する。背甲

向の強い雑食性。

の色彩は暗褐色からオリーブ色の地が多く、

各甲板には暗黄色で幅が不揃いで不定形な条

線やリング模様が複数入る。頭部は中型で、 202 Turtle and Tortoise of the World

:・飼育のポイント :

幼体は特に低温に弱く、加温飼育する。

[ :

部•四肢には長短の幅の不揃いな条線や斑

テキサスクーター

紋が多数入る。生息域は比較的温暖な地域

学名:Pseudemys texana

で、比較的流れのゆるやかな河川やその周辺

分布:アメリカ合衆国テキサス州中央部から

水路、池沼などに生息し、日光浴を好む。情

南部 甲長:19〜32cm (最大33cm)

テキサス州の固有種で、クーター類では中 型。背甲は卵形で、背高はゆるやかなドーム

型。幼体時の背面中央のキールは、成体でも

報は少なく、産卵は5〜6月に、卵は白く、

長楕円形で弾力のある皮革状の卵殻を持つ。

生息地の中南部では8〜9月に仔ガメが見ら れる〇 食性は植物食傾向の強い雑食性とされる。

弱く残る。後部縁甲板は鋸歯状。背甲の色彩

は褐色やオリーブ色で、各甲板には淡黄褐色 の環状模様が2個以上入り、一見ケイグルチ

・飼育のポイント

:

リバークーターより高めの温度で飼育する 。バスキン: グも十分できる環境を用意する。

:

ズガメに似る。頭部は中型で、頭部全体や頸 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

203

が複数入る。頭部は中型で、全体に淡黄色や

リオグランデクーター

黄色の条線がいく筋も入るが、眼後方の斑紋

学名:Pseudemys gorzugi

が特徴的。よく調査されておらず、水の澄ん

分布:アメリカ合衆国テキサス州からメキシコ 北西部

甲長:19〜35cm

だ河川やその周辺の池沼などにも生息し、日

光浴を好む。繁殖も不明な点が多く、食性は (最大約40cm)

植物食傾向の強い雑食性とされる。

リオ・グランディス川水系の固有種。背甲 はやや細長い卵形で、背高はややゆるやかに

盛り上がるドーム型。後部縁甲板は鋸歯状だ が老齢個体では目立たない。背甲の色彩は

幼体では緑がかり、成長と共に緑褐色からオ リーブ色になるが、赤褐色の個体もいる。各

甲板には赤褐色や暗赤色の不定形な環状模様 204 Turtle and Tortoise of the World

・飼育のポイント

:

低温にやや弱く、冬季は20°C前後に加温し飼育する。:

にも同様の筋模様が数本入る。水生植物や倒

フロリダアカハラガメ

木が多い池沼•湿地などの止水や、流れのゆ

学名:Pseudemys nelsoni

るやかな場所に主に生息し、日光浴を好む〇

分布:アメリカ合衆国南東部(フロリダ半島) 甲長:2〇〜30cm

(最大34cm)

産卵は年間を通し行われるが、ミシシッピア

リゲーターの巣をよく利用することが知られ

アメリカ合衆国固有種で、ヌマガメ科の大

る。1回の産卵数は6〜31個で、年間産卵回

型種。背甲は高いドーム型で分厚い 。色彩は

数は3〜6回。卵は長楕円形で、皮革状の白

黒色で、肋甲板には赤褐色や暗赤色の幅広

く弾力のある卵殻を持つ。孵化日数は6〇〜75

の条線模様が入り、老齢個体では不明瞭とな

0〇食性は植物食の傾向が強い雑食。

り、メラニズムする個体が多い。腹甲板は通

常赤みの強いオレンジ色。頭部は中型で、黒 色の地に頭頂部や頭部側面に淡黄色の頸部

・飼育のポイント 関東以南であれば、冬季は無加温でも可能だが、日

光浴を好む傾向がありバスキングできる環境づくりを 考慮する。

まで続くやや幅広の筋模様が数本入り、下顎

Turtle and Tortoise of the World 205

※アカハラガメ亜属には、アラバマ州のモビール湾と底に流れ込むアラ

バマ川の下流域とその周辺にアラバマアカハラガメ【レッドリスト絶滅

危惧樽IB類】が生息するが、ここでは狭域な種であることから省く。

キタアカハラガメ 学名:Pseudemys rubriventris

分布:アメリカ合衆国北東部 甲長:25〜35cm (最大40cm)

ンジ色’,加部は中型で、頭頂部や側面に淡黄

色の筋;|^模様が数本入る。低地性で水底が泥 質で水牛榊物が多い大型河川や湖 •池沼・湿

地などに4:.息し、日光浴を好む。産卵は5〜7 力で、1同の産卵数は1〇〜17個。年間産卵回

アメリカ合衆国固有で保護種に指定される 、

数は不明。卵は長楕円形で弾力のある皮革状

ヌマガメ科の大型種。背甲はやや幅広い卵形

で白い。孵化日数は7〇〜100日だが、地域に

で、背高はやや盛り上がるドーム型。背面の色

よっては翌年の春に地上に出る。食性は植物

彩は濃いオリーブ色から褐色・暗褐色の地に、

食を好む雑食性。

肋甲板にはオレンジ色や黄色•赤色のやや幅

広の条線(第2肋甲板が目立つ)が入るが、大

型の老齢個体では背面全体が黒化(メラニズ

・飼育のポイント 雑種化しやすく、異種間の同居は避ける。

厶化)する個体もいる。腹甲は赤みの強いオレ 206 Turtle and tortoise of the World

:

他のクーター属も同様だが 、本属同士の同居飼育は: :

カシバーランドキミ'ミガメ

漏目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメすヌ亜科(dfein)chely^ae)

スライダF メ属

П惑直駅

は列參 戸カミミガメ仕 陵]クジャクガメ(7: 喩お够 わ、ニカラグアク

• [T. callirostris)^ 殳ミクジャクガメ(力

•decussata)\ ジャ

decorata)の*15種で構成さ °体が暗色化現象を起こす。

がい古い甲板剥がれ落ちる。背甲の色彩は亜

アカミミガメ

種間で異なるが、その多くは加齢と共に暗色

学名:Trachemys scripta

亜種:キバラガメ

化の傾向を示す。水棲傾向の強い種で日光

(I s. scripta)

ミシシッピアカミミガメ(てs. elegans)

カンバーランドキミミガメ

(I s. troostii)

浴を好む。多くの淡水水域に生息し、特にミ シシッピアカミミガメは高温低温に強いだけ でなく、比較的汚染度の高い水質にも強いた

分布:アメリカ合衆国北東部

め、世界の亜寒帯から亜熱帯に広く帰化し、

甲長:18〜25cm

(最大28cm)

その地域の生態系に多大な影響を与えつつあ

現在3亜種で構成される。スライダーガメ

る。食性は非常に幅の広い雑食性。アカミミ

属では中型。背甲は幅広の卵形で、背高はゆ

ガメ属は上記の3亜種で構成されるが、リオ

るやかなドーム型。幼体では中央にキールが

グランデアカミミガメ (T. s. subsp.)が新たに

あるが成長と共に薄れ、老齢個体では消失す

追加される公算が強いとされる。

る。後部縁甲板の縁は鋸歯となる。甲板表面

:・飼育のポイント

は比較的滑らかで、本種を含むアミメガメ亜

:

1

この種は他のスライダー属や他亜種と容易に雑種化:

:することで、同居飼育は避ける。

:

科の多くは背甲・腹甲の各甲板は成長にした Turtle and tortoise of the World 207

亜種キバラガメ 学名:Trachemys scripta scripta

分布:アメリカ合衆国南東部(バージニア州南 東部からフロリダ州北西部) 甲長:2〇〜25cm

(最大28cm)

アカミミガメ属は3亜種で構成され、本種が

ほぼ同様、頭部側面の眼と鼓膜の間に黄色で

幅の広いS字模様が入る。低地性で流れのゆる やかな河川やその周辺の池沼の止水に生息す

る。産卵は地域により異なるが、1回の産卵数 は2〜23個ほどで、年間産卵回数は2〜4回

程度。卵は長楕円形で、孵化日数は6〇〜80日。

食性は幅の広い雑食性。

基亜種。背甲はやや長い楕円形、背高は扁平 だが、各甲板はやや盛り上がり傾向がある。背

甲の色彩は濃緑色からオリーブ色の地に、肋 甲板には黄色の幅広の条線が目立つ。.腹甲は 黄色の単一色だが、左右喉甲板に暗色小斑紋

・飼育のポイント 成体の飼育は容易だが、幼体はやや低温に弱く、冬季

は加温して飼育する。

が1対のみある。頭部は中型で、色彩は背甲と 208 Turtle and tortoise of the world

亜種ミシシッピアカミミガメ 学名:Trachemys scripta elegans

分布:アメリカ合衆国中央部から中南部 甲長:2〇〜25cm

(最大28cm)

世界の亜寒帯から熱帯に広く多数移入され (日本では幼体が「ミドリガメ」の名で有名)、

幼体(ミドリガメ)

定着している。背甲はやや細長い楕円形で、背

高は扁平。背甲の色彩は淡緑色から暗緑色で、

緑色から緑色・濃緑色などで、側頭部の眼後

各甲板には黄色の細い条線が数本入るほか、

部に赤色や濃いオレンジ色で幅広の条線 (名

筋状の条線が多数複雑に入る。オスは老齢化

の由来)が入るのが特徴。その他頸部や四肢・

に伴いメラニズム化(黒化)する傾向が強く、

尾も頭部とほぼ同色で幅の不揃いな黄色の筋

別種のように見える。頭部は中型で、色彩は灰

模様が多く入る。生態は基亜種とほぼ同様。

Turtle and Tortoise of the world 209

は咒なる。頭部は中型でほぼ背甲と同色で、

プラトーアカミミガメ

鼓膜のやや上にオレンジもしくは黄色の目立

学名:Trachemys gaigeae

つ斑紋があり、その斑紋と眼の間に同色の小

亜種:ビックベンドアカミミガメ(T. g. gaigeae)

斑紋が入るのが特徴。オスの爪は伸長しない。

ナザスキミミガメ (T. g. hartwegi)

分布:アメリカ合衆国(テキサス州•ニューメ キシコ州の一部)、メキコ北部

甲長:18〜22cm

(最大30cm)

2亜種で構成され、アカミミ属では中型種。

主に河川周辺の池沼などに生息し、河川には 少ない。産卵は調査不足で、6月前後に行わ れる。1回の産卵数は6〜11個で、卵は長楕

円形とされる。食性は雑食性。ナザスキミミ ガメの生息環境、生態に関しては情報不足。

背甲はやや幅の広い楕円形で、背高はやや扁

平。色彩はオリーブ色から濃緑色で、各甲板 には比較的小さくオレンジ色や暗色の不定形 な曲線や斑紋が入るが、亜種によりその形状 210 Turtle and Tortoise of th e World

・飼育のポイント 幼体は冬季、20°C前後に加温して飼育する。

メキシコクジャクガメ 学名:Trachemys ornat

分布:メキシコ中部太平洋沿岸 甲長:25〜35cm

(最大38cm)

の低地に分布し、河川やその周辺の池沼など に生息する。生態は情報不足で、食性は雑食

性とされる。生息地の南部個体群は形態に異

なる点が多く、将来的に亜種とされる可能性 がある。

アカミミガメ属中では大型種。背甲はやや

細長い楕円形で、背高はやや高いドーム型。

幼体時は緑色の地に各肋甲板や縁甲板に1個 の黄色いリングの中央に暗色の小斑が入る\ 目立つ眼状模様がある。成長するにつれ背甲

の地色がオリーブ色や暗緑色に変化すると肋 甲板の眼状模様は薄れるが、縁甲板の眼状模

・飼育のポイント

:

同属の穫に比べやや低温に弱く 、多少加温して飼育: する。

:

様は暗色斑として比較的残る。標高300m以下 Turtle and Tortoise of the World 211

甲長:28〜35cm (最大39cm)

アカミミガメ属中では大型種。背甲はやや

湿地など安定した水量がありヽ水生植物や倒

細い卵形で、背高はやや盛り上がるドーム型。

木・岩が多い場所などで主に暮らし、日光浴

背甲の色彩はオリーブ色や褐色•緑がかった

を好む。産卵は4〜7月で、1回の産卵数は2

灰褐色などで、幼体では眼状模様や筋模様が

〜7個。年間産卵回数は1〜3回。卵は長楕

薄く入るが、成体では無紋となるのが一般的。

円形で、孵化は孵化温度に左右されるがほぼ

頭部はやや大型で、色彩は背甲とほぼ同様。

55〜75日。食性は幅広い雑食性。

眼後方の幅広い斑紋は幼体では黄色やオレン ジ色だが、成体ではくすんだ灰褐色となる。オ

スの前肢の爪は長く屈曲し、高い確率でメラ

ニズム化する。低地の河川やその周辺の池沼• 212 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント 丈夫な種であり、飼育しやすい。

通。オスの背甲のメラニズム化は黒ぐならず、

ジャマイカスライダー

灰白色でシームのみが暗色となる。水底が泥

学名:Trachemys terrpen

質で浮き草や水生植物が多い小河川や水深の

分布:ジャマイカ、バハマ諸島の一部に移入・ 定着

甲長:28〜35cm

浅い池沼・貯水池など多様な環境に小息し、 汽水域でも見られる。産卵は5〜6〃で、1I川

(最大32cm)

の産卵数は2〜6個。年間産卵回数は複数I川

ジャマイカ島固有種の中型種。背甲はやや

で、孵化日数は55〜75日ほど。食性は雑仗件,

幅の広い卵形、背高はやや盛り上がるドーム 型で、幼体で見られる中央のキールは成体で

も弱く残る。背甲の色彩は灰褐色や暗配色で、

・飼育のポイント 同属の種に比べやや低温に弱く、多少加温して飼胃 する。

幼体時の背甲や腹甲の模様は消失するのが普

Turtle and Tortoise of гш Wori d 21]

イナグアスライダー(Г

s. malonei)

分布:プエルトルコ、イスパニオラ島の北部・ 東部、バハマ諸島など

甲長:18〜24cm

(最大27.3cm)

眼後方に赤褐色やオレンジ色のやや幅広の条 線を有する。水生植物の繁茂する流れのゆる

やかな河川や止水域のさまざまな環境に生息

現在、3亜種で構成されるやや小型種。背

し、汽水域でも観察される。産卵は4〜7月で、

甲は卵形で、背高はやや盛り上がるドーム型

1回の産卵数は3〜14個。年間産卵回数は1

で、幼体時は中央にキールを持つが 、成体では

〜2回。卵は長楕円形で、孵化日数は55〜80

消失する。背甲の色彩は灰色から褐色・オリー

日とされる。食性は雑食性。

ブ色で、幼体時の薄い眼状模様や筋模様は成

体では消失する。オスの成体はメラニズム化

し、色彩は濃くなるか黒色となり、前肢の爪は 長い。頭部はやや大きく灰色やオリーブ色で 、 214 Turtle and Tortoise of the World

・飼育のポイント

:

導入時は、飼育環境に慣れるまでシェルターを使用:

する。

:

黄緑色の明色条線は比較的幅は狭いが、成体

ハイチスライダー

でも残る。汽水域を含む低地のみに分布し、

学名:Trachemys decorata

水底が泥質で水生植物・浮き草が多く、水深

別名:イスノヾニオラスライダー

分布:ハイチ西部•南部からドミニカ共和国 南西部

甲長:2〇〜28cm (最大34.1cm)

のある流れのゆるやかな河川や河口 、その周

辺の池沼などに生息し、日光浴を好む。産卵 は4〜7月で、1回の産卵数は6〜18個。年

間産卵回数は1〜4回。卵は長楕円形で弾力

イスパニオラ島固有種で中型種。背甲はや

のある皮革状の卵殻を持つ。孵化日数は6〇〜

や楕円形で、背高はやや盛り上がるドーム型

80日程度とされる。食性は幼体は動物質食の

で、幼体時に見られる中央のキールは成体で

傾向が強いが、成体では植物質食が主となる

は消失する。背甲の色彩は灰褐色から褐色・

雑食性。

濃いオリーブ色で、幼体時の眼状模様は成体 では消失する。頭部は中型で、頭部背面は灰

色で幼体時の緑色が薄く残ることもある。頭

・飼育のポイント 気性が荒く、取り扱いには注意。複数飼育も注意が

必要である。

側面上部の眼後方から頸部に伸びる淡黄色や Turtle and tortoise of the World 215

チュウベイクジャクガメ 学名:Trachemys venusta

亜種:タバスコクジャクガメ(丁 v. venusta) ベラクルスクジャクガメ

(T v. cataspila)

グアテマラクジャクガメ

(T v. grayi)

ウーリグジャクガメ(T v. uhrigi)

ユカタンクジャクガメ

(Г v. iversoni)

パナマクジャクガメ(丁 v. panamensis) 分布:中米、コロンビア北西部

甲長:25〜45cm

(最大60cm)

現在は6亜種に分類されるが、今後の調査

により、より多くの亜種に分割される可能性は 高い。特に基亜種のタバスコクジャクガメが 最も分布が広く、北部個体や南部個体での形

態の差や南部個体群の中でも地域ノミが認めら れる。中型から大型のスライダー類で、グアテ

マラクジャクガメが最も大型で最大甲長60cm

とされ、ベラクルスクジャクガメでは最大甲長

33cmと亜種中では最も小型とされる。背甲は やや扁平なものから比較的高いなだらかなド

ーム型で、幼体時の肋甲板には明瞭な眼状模 様が入るが、成長と共に薄れる。オスは成長

に伴うメラニズム化が起こらず、メスはオスよ り大型化し、体高は厚くなる傾向がある。頭部

グアテマラクジャクガメ

は中型で眼後部から伸びる明色の条線は亜種

や地域差によって異なる。比較的流れのゆる やかな大きな河川やその周辺の湖などに生息

し、日光浴を好むとされるQ 一般的に雨季に交 尾を行い、乾季に産卵するとされ、1回の産卵 数は8〜30個ほど。年間産卵回数は1〜6回

ほどで、卵は長楕円形で。孵化日数は7〇〜90 日ほど。食性の情報は少ないが、植物食傾向

が強い雑食性とみられる 。 •••••••••••••••••••••••••••••••••••••

:・飼育のポイント :

i

幼体は低温に弱く、20°C前後を保ち加温飼育する。: ウーリグクジャクガメ

216 Turtle and tortoise of the World

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

217

他の甲板の眼状模様は崩れる。成長に伴い背

ニカラグアクジャクガメ 学名:Trachemys emolli 分布:ニカラグアのマナグア湖とニカラグア

からコスタリカのニカラグア湖、および その周辺部の水域

甲長:28〜35cm

(最大37.2cm)

やや大型のスライダー。背甲は楕円形で、

甲の色彩は濃くなり、模様は薄れるが比較的

よく残る。頭部はやや大型で、側頭部の眼後

方の目立つ幅広の条線は途切れることが多く、

楕円の斑紋となる場合もある。湖や河川の浅 い水深で、水底が泥質の水生植物の多い環境 を好むとされる。産卵は乾季で、1回の産卵数

は15〜25個.その他は情報不足。

背高はやや盛り上がり、幼体時は濃緑色や才

リーブ色の地に、明色のオレンジ色や黄色の

・飼育のポイント 幼体は室内で加温飼育する。

太い模様がある。肋甲板のみ眼状模様が入り、 218 Turtle and tortoise of the world

コロンビアクジャクガメのメスベネズエラクジャクガメ

色化する。頭部は大型で側頭上部に濃オレン ジ色や赤褐色の幅の広い条線模様が入り、吻

アゴブチクジャクガメ

端下部に黄色の斑紋模様や短い筋模様が入る

学名:Trachemys callirostris

が、亜種により異なる。多様な熱帯性気候の、

亜種:コロンビアクジャクガメ (丁 c. callirostris)

湖,•池沼などの止水域で倒木や岩場を好んで

ベネズエラクジャクガメ (! 〇. chichiriviche)

生息し、日光浴を好む。産卵は12〜4月で、1

分布:コロンビア北部、ベネズエラ北西部

回の産卵数は9〜25個。年間産卵回数は2〜

甲長:25〜30cm (最大32.5cm)

4回。卵は一般的な卵型で、弾力のある皮革

スライダー類では中型。背甲はやや細長い

状の卵殻を持つ。孵化日数は65〜92日。幼体

楕円形で、背高はやや盛り上がり、大型のメス

では肉食傾向が強く、成長と共に植物食が多

の成体では分厚い。幼体時は濃緑色やオリー

くなる雑食性。

ブ色で、各甲板にはオレンジ色から黄色・黄緑 色の模様が入り、各肋甲板は眼状模様となる

:・飼育のポイント :

幼体は室内で加温飼育する。

1 :

が、成体では濃オリーブ色から褐色•暗褐色 Turtle and Tortoise of the World 219

るが、消えることはない。頭部は中型で、側頭

ミナミクジャクガメ

上部の暗オレンジ色や暗黄色の幅広い条線は

学名:Trachemys dorbigni

後部で細くなり、頸部へ繋がる。下顎口角付

亜種:アルゼンチンクジャクガメ (T.d. dorbigni)

近には1対の黒色に縁取られた明色斑紋が特

ブラジルクジャクガメ (Hd. brasiliensis)

分布:アルゼンチン北東部、ウルグアイ、ブラ ジル南部

甲長:18〜24cm

徴。生息地は温暖湿潤気候の、低地から丘陵

地を流れる河川や湖•池沼などの、ゆるかな流 水域で水生植物が多い場所を好んで生息する。

(最大26.7cm)

スライダー類では中型で、アカミミガメ属

日光浴を好む。繁殖に関しては情報不足。食 性は肉食傾向の強い雑食性とされる。

中、最も南に分布する。背甲は楕円形で、オス の背高は扁平だが、メスは比較的高いドーム

型。幼体は濃緑色や暗褐色などで、肋甲板の

眼状模様は第1肋甲板で明瞭だがその他では ないか小さく、成体では暗化し、模様は薄くな 220

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

・飼育のポイント 低温には強いが、幼体は冬季、室内で20°C前後に加 温飼育する。

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメガメ走科(Deirochelyinae)

チズガメ属

吨〇

色斑が入る。水棲傾向が強く、流れのゆるやか

ヒラチズガメ

な河川やその周辺の水場で倒木などの隠れ場

学名:Graptemys geographica

所の多い環境に生息し、日光浴を好む。寒冷地

分布:カナダ南東部、アメリカ合衆国中部か

ら北東部 甲長:11〜24cm

では冬眠する。産卵は5〜7月で、1回の産卵

数は9〜17個。年間産卵回数は2回。卵は長 (最大27cm)

楕円形で薄く弾力のある白い皮革状の卵殻を

チズガメ属中では比較的大型種。背甲は卵

持つ。孵化日数は75日前後。食性は水棲昆虫

形で、背高は明瞭なキールを持つが、その断面

や甲殻類・貝類など動物食傾向の強い雑食性。

は低い屋根型。後部縁甲板の鋸歯状突起は小 さい。背甲の色彩は、褐色やオリーブ色の地に

細く淡黄色の不定形な網目状模様(幼体では

明色)に覆われる。頭部は大きく、頭部から頸 部に繋がる黄色の細い筋模様で覆われ、眼後

部の側頭上部に三角もしくはおにぎり形の明

:・飼育のポイント :

チズガメ類は全体に日光浴を好み 、十分なバスキング

:ができ、水の澄んだ環境が必要。 • .... 一^ ,

…”

Turtle and Tortoise of the World 221

きく、吻端と眼をくりぬいた形にマスク状の

バーバーチズガメ

模様が入るのが特徴。水への依存度が強く、

学名:Graptemys barbouri

豊富で澄んだ水量の比較的流れのある河川

分布:アメリカ合衆国南東部

で、岩場が多く水面に露出する倒木など身を

甲長:9〜30cm

(最大33cm)

潜める場所が多い水域などの、日光浴ができ

チズガメ属中の最大種で、メスは巨頭化す

る場所を好んで生息する。産卵は6〜7月で、

る。背甲は卵形で、断面はやや高い屋根型。

1回の産卵数は8〜9個、年間産卵回数は2

幼体時は各椎甲板のキール後部の突起が顕著

〜4回。卵は長楕円形で、薄く弾力のある白

で、突起先端は黒い。この突起はオスでは比

い皮革状の卵殻を持つ。孵化日数は60日前後

較的残るが、大型のメスでは残りにくい。縁

とされる。食性は肉食傾向の強い雑食性。

甲板後部の鋸歯状突起も幼体では大きく顕著

だが、成体では小さい。背甲の色彩は褐色や オリーブ色の地に、各甲板に淡黄色の変形し

たи形やC形の模様が大きく入る。頭部は大 222 Turtle and Tortoise of the World

:・飼育のポイント :

幼体期は昆虫類を好む。

成長と共に薄くなり、縁甲板には細い同色の眼

アラバマチズガメ

ヨ犬模様が入る。頭部は大きく、特にメスでは巨

学名:Graptemys pulchra

頭化する。バーバーチズガメとは形状は異な

分布:アメリカ合衆国

(アラバマ州•ジョージア州) 甲長:1〇〜25cm

(最大27.3cm)

チズガメ属中では比較的大型種。背甲はや

るが、吻端と眼をくりぬいた形のマスク状の模 様が入る。生息環境はバーバーチズガメと同 様。産卵は5〜8月で、1回の産卵数は4〜6

個。年間産卵回数は6〜7回。卵は長楕円形で、

や長い卵形で、背高は低く断面は屋根型。幼

io月に孵化が見られるようだ。食性は調査不

体では各椎甲板のキール後部に顕著な暗色の

足だが、動物食傾向の強い雑食性とされる。

コブ状突起があるが、成体ではほぼ消失する。

背甲の色彩は濃いオリーブ色の地に薄い暗色

で囲まれた淡黄色の細い網目模様が入るが、 Turtle and Tortoise of the World 223

成長と共に薄くなる。各縁甲板には同色の太

アーンストチズガメ 学名:Graptemys ernsti

分布:アメリカ合衆国

(アラバマ州•フロリダ州) 甲長:9〜25cm

(最大28.5cm)

いL字型模様が入り、後部縁甲板は幼体では鋸

歯状になるが、成体では目立たなくなる。頭部

は大型で、特にメスは巨頭化する。頭上部の 眼間の黄色斑紋の吻側はフォークのように3

本に枝分かれするのが特徴。生息地はバーバー

チズガメ属中では比較的大型種。背甲はや

チズガメとほぼ同様。産卵は4〜7月で、1回

や長い卵形で、背高はやや低いドーム状。幼

の産卵数は4〜7個。年間産卵回数は6〜7

体では各椎甲板のキール後部に顕著な暗色の

回。卵は長楕円形で、薄く弾力のある白い皮

コブ状突起があるが、成体ではキールのみ残

革状の卵殻を持つ。孵化日数は74〜79日の例

る。背甲の色彩は濃いオリーブ色の地に薄い

がある。食性は肉食傾向の強い雑食性。

暗色で囲まれた淡黄色の虫食い模様が入るが、 224 Turtle and Tortoise of the World

甲の色彩はオリーブ色で、各縁甲板には同色

ギボンズチズガメ 学名:Graptemys gibbonsi

分布:アメリカ合衆国

(ミシシッピ州、ルイジアナ州)

甲長:9〜25cm

(最大29.5cm)

チズガメ属中では比較的大型種。背甲は高

の太いL字またはI字模様が入り、後部縁甲板 は鋸歯状突起になる。頭部は大型で、特にメ

スは巨頭かする。頭部の眼後部の模様は眼に

沿う模様と鼓膜上部の斑紋に分岐する。生態 や繁殖などの生活史は情報が少なく、アラバ マチズガメとほぼ同様とみられている。

く盛り上がり、中央はキールとなるドーム型。

幼体は各椎甲板のキール後部に刺状突起が顕 著で暗色だが、成長と共に低い瘤状となり、暗

色でキールの暗色は残る。各肋甲板には黄色 の虫食い模様(с形模様となることもある)背

Turtle and Tortoise of the World 225

ケイグルチズガメ 学名:Graptemys caglei

分布:アメリカ合衆国(テキサス州中南部) 甲長:9〜18cm

色のリング模様が2〜3重(縁甲板には1個) に入る。頭部は比較的小型で、濃オリーブ色

から緑色。頭部背面には黄白色のV字模様が 入り、その両端は眼後部から下方や下部まで

湾曲する。比較的温暖な生息地で、冬季でも

チズガメ属中では小型種。背甲は卵形で、

暖かい日には活動する。河川周辺の池沼や支

背高は比較的扁平。中央のキールは幼体では

流のおだかな流域で、倒木などが多く、日光浴

比較的発達するが、突起は小さく、成体では目

がよくできる環境を好み、水棲傾向が強い。産

立たない。後部縁甲板の後縁部の鋸歯状突起

卵は晩春から初夏に見られ、1回の産卵数は1

も、成長と共に鈍化する。背甲の色彩は明緑

〜6個。年間産卵回数は2〜3回。晩夏から

色で、各甲板には淡黄色の暗色に縁取られた

秋に孵化するとされる。食性は水棲昆虫食の

複数の不定形の網目模様があり、その中心は

傾向が強い。

より薄い黄色の長い楕円形斑紋で、間には同 226 Turtle and Tortoise of the World

ング模様が入り、この模様は老齢個体であっ

テキサスチズガメ

ても比較的残る。後部縁甲板の後縁部の鋸歯

学名:Graptemys versa

状突起は、成長と共に鈍化する。頭部は比較

分布:アメリカ合衆国(テキサス州中部)

甲長:8〜15cm

(最大21.4cm前後)

的小型で、色彩はほぼ背甲と同様で、頸部に向 かう細い条線が複数入り、特に眼後部に明黄

チズガメ属中では小型種。背甲は卵形で、

色でやや幅広の条線がくの字形に入る。生態•

背高は比較的扁平。中央のキールは明瞭だが、

食性などはケイグルチズガメに似るとされる

成体ではコブ状の突起などはない。各甲板は

が、分布は重ならない。繁殖は情報不足。

盛り上がり、特に前部のシーム溝が深く目立

つ。背甲の色彩はオリーブ色の地で、各甲板に は黄色で不揃いの網目模様が複数入り 、網目 模様の中心には小さな黄色斑を囲むようにリ

Turtle and tortoise of the world 227

が入る。頭部はやや小型で、背甲よりやや濃い

ニセチズガメ

同色に、淡黄色や灰白色の細い筋模様が入る〇

学名:Graptemys pseudogeographica

頭頂部の両サイドに入る明淡黄色でやや幅広

別名:キタニセチズガメ 分布:アメリカ合衆国中北部

甲長:14〜25cm

(最大27cm前後)

の斑紋は、その内側両端から細い筋模様が後

頭部へV字を描くように入るが繋がらず 、頸部 に流れる。流水を好む傾向があり、水草の多

小頭型のチズガメ属中では最大。背甲は卵

い河川を主に、周辺の池沼などにも生息。日光

形で、背面中央のキールは幼体では高いが 、成

浴を好む。産卵は5〜7月で、1回の産卵数は

体ではなだらかなる。キール後部には小さい

8〜22個。年間産卵回数は通常2回。卵は長

ものの明瞭な暗色の刺状突起を持つが、成体

楕円形で、薄く弾力のある白い皮革状の卵殻

では鈍化する。後部縁甲板の後縁部の鋸歯状

を持つ。孵化日数は52〜85日。食性は雑食性。

突起は、成体でも比較的残る。背甲の色彩は オリーブ色や灰褐色で、各甲板には細く薄い

淡黄色の網目模様が入り、各甲板には暗色斑 228 Turtle and tortoise of the world

:・飼育のポイント :

昆虫類のほか、水草類もよく食べる。

[ :

ぜ­ 11»

ミシシッピチズガメ 学名:Graptemys kohnii

分布:アメリカ合衆国(テキサス州中南部)

甲長:13〜25cm

(最大25cm前後)

チズガメ属で唯一、瞳孔に暗色横帯がない。

甲の形態はニセチズガメに類似し、二セチズ

茂する流れのゆるやかな河川やその周辺の止 水域などを主な生息場所とし、特に日光浴や

産卵に適した砂地を好む。産卵は6月前後で、

1回の産卵数は2〜8個以上。年間産卵回数 は2〜3回。卵は長楕円形で、薄く弾力のある 白い皮革状の卵殻を持つ。孵化日数は52〜85

0〇食性は雑食性。

ガメとの比較では、背甲の色彩は淡灰色に近

い地色で、幼体ほどその傾向は強い。背面の 淡黄色の網目模様は幼体では明瞭だが、成体 では不鮮明になる。頭部の眼後部の比較的幅

広い1対の明彩模様は、一般的に模様下部は

眼下部まで伸び、頭頂部側は細く頸部に向か

・飼育のポイント 水草類のほか、野菜類も食べる。

う。眼の虹彩は白色や灰白色。水生植物が繁 Turtle and Tortoise of the World 229

ウォシタチズガメ

フトマユチズガメ 学名 :Graptemys ouachitensis 亜種 :ウォシタチズガメ

(G・ 〇・ ouachitensis)

サビーン チズガメ

サビーンチズガメ(G. 〇. sabinensis)

分布:アメリカ合衆国中南部 甲長:1〇〜24cm

(最大24cm前後)

な網目模様が入るが、成長に伴い不明瞭とな る。頭部はやや小型で、眼後部には幅広の明

2亜種に分類される。サビーンチズガメは

彩色は細長い楕円形で、サビーンチズガメで

基亜種ウォシタチズガメよりやや小型 。背甲

は楕円形や円形模様となる。生息環境や食性

は卵形で、背高はミシシッピチズガメやニセ

はミシシッピチズガメやニセチズガメに似る 。

チズガメよりやや高く、椎甲板のキールは明瞭

産卵は5〜6月で、1回の産卵数は8~1?個。

で、キール後部には刺状突起を持ち、キールも

年間産卵回数は2〜3回。卵は長楕円形で、

しくは刺状突起部は暗色。背甲の色彩はオリー

薄く弾力のある白い皮革状の卵殻を持つ。孵

ブ色や褐色で黄色や淡オレンジ色のやや大き

化日数は6〇〜75日前後。

230 Turtle and tortoise of the World

の2種との区別は容易。頭部は小型で、頭部

ワモンチズガメ

背面の筋模様は個体変異に富むが、通常左右

学名:Graptemys oculifera

対称。泳ぎはうまく、比較的流れが速く、日光

分布:アメリカ合衆国 (ミシシッピ州、アラバマ州)

甲長:8〜22cm

(最大22cm前後)

浴や産卵に適した砂が堆積した場所を好む。

産卵は主に6月で、1回の産卵数は2〜4個。

年間産卵回数は約2回。卵は長楕円形で、薄

ワモンチズガメ•キマダラチズガメ・クロ

く弾力のある白い皮革状の卵殻を持つ。孵化

コブチズガメの3種で、ワモンチズガメグルー

日数は6〇〜70日。食性は昆虫食傾向の強い雑

プを形成するとされる中の1つ。背甲は卵形

食性。

で、背高はやや低くキールがあり、特に第2 •

3椎甲板のキール上の黒色突起は大きく 、鋸 歯状の先は後方に曲がる。背甲の色彩はオリー ブ色気味の灰褐色で、各肋甲板には黄色や才

レンジ色の太いリング模様が明瞭に入り、他 Turtle and tortoise of the world 231

モンチズガメに似るが、特に水中倒木の多い

キマダラチズガメ 学名:Graptemys flavimaculata

分布:アメリカ合衆国(ミシシッピ州) 甲長:8〜17cm

(最大17.5cm前後)

ワモンチズガメグループの 1種。形態はワ モンチズガメに似る。背甲の色彩はオリーブ

色や濃茶色の地に、各背甲板に黄色やオレン

ジ色の大型斑紋が入り、他の2種との区別は 容易。第1〜3椎甲板のキール後部の黒色突 起は太い鋸歯状で、後部縁甲板も鋸歯状。頭

部は小型で、眼後部の明彩色の斑紋は頭頂部

側の端から細い条線で頸部に繋がるのが一般 的。主に河川の本流に生息し、生息環境はワ 232 Turtle and Tortoise of the World

場所を好むとされる。繁殖の知見は少なく、産

卵は5〜8月に見られ、1回の産卵数は3〜9 個。年間産卵回数は通常1回だが2回の場合 もある〇

キタクロコブチズガメ

ミナミクロコブチズガメ (デルタクロコブチズガメ)

亜種:キタクロコブチズガメ

(G. n. nigrinoda)

ミナミ(デルタ)クロコブチズガメ

(G. n. delticola) 分布:アメリカ合衆国 (ミシシッピ州•アラバマ州)

甲長:1〇〜15cm

の不規則な筋模様がいく筋か入る。第1〜3 椎甲板のキール後部の後方に向く黒色突起は

コブ状でその先端はやや尖る。生息環境はワ モンチズガメなどに似るが、より深く流れがお

だやかな河川などに多い。産卵は6月で、1回

ワモンチズガメグループの1種。2亜種で

の産卵数は3〜7個。年間産卵回数は通常2

構成され、チズガメ類では最小種。形態はワ

回だがそれ以上の場合もある。卵は長楕円形

モンチズガメに似て背甲の色彩は暗オリーブ

で、薄く弾力のある白い皮革状の卵殻を持つ。

色で、各背甲板には大きな黄色の細い輪状斑

孵化日数は6〇〜68日。食性は雑食性。

紋が入るが、成長に伴い不鮮明になる。頭部 は小さく、暗褐色や黒色で、やや幅の広い頭頂

部にはY字模様があり、その両端は眼の後部を

・飼育のポイント

:

小型のチズガメ類の幼体には、昆虫類を中心に与え: る。

:

通り鼓膜上部に湾曲し、その周囲にほぼ同様 Turtle and Tortoise of the World 233

潜頸目(Cryptodira)ヌマガメ科(Emydidae) アミメガメ亜科(Deirochelyinae)

チズガメ属に最も近縁で、1種で構成され、7亜 種に分類される。最も汽水域に適応した種で、ア

キスイガメ属

メリカ合衆国固有種。

(Malaclemys)

分布:アメリカ合衆国北東部から南部にかけ

キスイガメ

ての沿岸部

学名:Malaclemys terrapin

甲長:11〜23cm (最大23.8cm)

別名:ダイヤモンドガメ

亜種:キタキスイガメ

チズガメ類に近縁で、ほぼ完全な汽水棲の

(M. t. terrapin)

カロリナキスイガメ

(M. t. centrata)

テキサスキスイガメ(M. t. littoralis)

ニシキキスイガメ(M. t. macrospilota)

ミシシッピキスイガメ(M" t. pileata)

ドーム型でゆるやかに盛り上がり、どの亜種 の幼体では中央にはっきりとしたキールがあ る。キール後部にコブ状の突起を持つが、キ タキスイガメ・カロリナキスイガメの両亜種

マングローブキスイガメ

(M. t. rhizophorarum) ヒガシフロリダキスイガメ

カメ。背甲はやや細長い卵形で、背高はやや

(M. t. tequesta)

234 Turtle and tortoise of the World

の成体では低く残る程度で、他の亜種も個体

や年齢で変異の差が見られる 。背甲の色彩や

斑紋においても亜種間や同亜種でも変異があ

〜5回。卵は長楕円形で、薄く弾力のあるピ

り、識別は困難。頭部は中型で厚みがある。

ンク色がかった白い皮革状の卵殻を持つ。孵

頭部の色彩は通常吻端から頭頂部付近まで暗

化日数は6〇〜!0400食性は肉食傾向の比較的

色で、その他の部分は明灰色で、数多くの暗

強い雑食性。

色や黒色の細斑紋や小斑紋がある。比較的塩 分濃度の高い水域を好み、沿岸部の満潮時に

海水が流れ込む池沼や入り江・小湾•河口・

・飼育のポイント

潟などに主に生息する。産卵は4〜7月で、

を多くし、バスキングがよくできる飼育環境を用意する 。

成長と共に植物食傾向が強くなり 、野菜類や水草類

1回の産卵数は4〜22個。年間産卵回数は2 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

235

236 Turtle and tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(ノヾタグールガメ)科(Geoemydidae)

バタグールガメ属 (Batagur) 1種力みで構成され、カラグールガメ属やセタカ ガメ属に近縁。

ワシントン翔 附属書

レッドリスト

I類

IA類

絶滅危惧種

やや小型で、後頭部のみ細かな鱗で覆われる。

バタグールガメ

吻端は突出し、四肢の指は長く、水搔きが発達

学名:Batagur baska

し、前肢の爪が4本であることから近縁の他

別名:ヨツユビカワガメ

種と区別できる。汽水域の河口や、やや内陸

分布:インド東部からベトナム南部、マレー

のマングローブ林に主に生息する。産卵は乾

半島、スマトラ島 甲長:50cm前後(最大60cm以上)

1属1種で、大型になる水棲ガメ。背甲は やや細長い卵形、背高はゆるやかなドーム型。

背甲表面は滑らかで、老齢個体では各甲板の 接合部は目立たず、色彩は灰褐色やオリーブ

季に集団で行われ、1回の産卵数は5~60個。 年間産卵回数は1〜3回。卵は長楕円形で硬

く白い卵殻を持つとされる。孵化日数は68〜

112 日。 食性は水生植物や岸辺の植物などの葉や茎・

根などを中心に水棲動物も食べる雑食性 。

色・暗灰色で模様や斑紋などはない。頭部は TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

237

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

カラグーノレガメ属

(Callagur)

1種で構成される。バタグールガメ科で最 大種で、甲長76cmに達するとされるが、通

常では60cm以下。バタグールガメ属に特に 近縁とされる。

オスは吻端から頭頂部にかけ赤褐色で、繁殖

カラグールガメ

期には鮮やかな赤色に変色する。中•大型河

学名:Callagur bonneoensis

川の河口に広がるマングローブ林の汽水域に

分布:マレー半島、ボルネオ島、スマトラ島 甲長:35〜60cm

主に生息するが、幼体は塩分耐性が弱く、淡水

(最大У6cm)

域に移動し過ごすとされる。繁殖地が開発な

1属1種の大型の水棲ガメ。背甲はやや長

どで激減しデータ不足。産卵は集団で行われ、

い卵形で、背高は比較的扁平で、椎甲板と肋甲

1回の産卵数は12個前後、年間産卵回数は複

板に弱いキール(肋甲板のキールは消失する

数回とされる。

場合も)がある。背甲の色彩はメスでは暗褐

色だが、オスは淡褐色の地にキール部が暗色 の条線や斑紋模様で、各縁甲板には1個の暗 色の斑紋が入る。頭部はやや小型で、吻端は

♦飼育のポイント

を維持し、幼体は体の乾燥のための陸場が必要で、初:

心者向きではない。

突出し、メスは一様な灰色やオリーブ色だが、 238 Turtle and Tortoise of the world

:

大型の水槽が必要となり 、水深も必要。水質の安定: :

潜頸目(Cryptodira) イシガメ (バ&グールガメ)科(Geoemydidae)

セタカガメ属 (Kachuga)

オオセタカガメ(К. dhongoka),ニシキセタカガメ(K.

I

kachuga)、ビルマオオセタカガメ(K. trivittata)の3 種で構成される。最大甲長は40С1Пを超え、甲は比較 的細長く扁平で、全体に滑らか。背甲は第2椎甲板が

最も高く、第4椎甲板は前方で収束せず、幅が広い。 ノヾタグールガメ属に特に近縁とされる。

頭部はやや大型で吻端はやや尖り上へ反り返

オオセタカガメ

る。頭部後部は細かな鱗で覆われ、眼の上部

学名:kachug dhongoka

から鼓膜上部に黄色の細い条線が入る。大型

分布:インド北東部、バングラデシュ、ネパー

ル南部 甲長:2〇〜40cm前後(最大48cm)

河川の標高500mまで分布し、水深が深く、澄

んだ河川やその周辺部の水域に生息する。繁

殖はデータ不足で、インドでの産卵は3〜4月

近年、セタカガメ属(Kachuga)を抹消し、

に行われ、1回の産卵数は16〜35個、卵は長

本種はバタグール属に編入する説が有力。背

楕円形で、硬い卵殻を持つが、弾力を持つ卵殻

甲は卵形。背高は比較的扁平で、中央に弱く

の場合もある。孵化日数は55〜90日ほど。食

キールが入り、特に第2椎甲板にはキール後

性は植物食傾向の強い雑食だが、成体のメス

部に突起がある。幼体では椎甲板と肋甲板に

は植物食になる。

キールが入り、成長と共に各肋甲板はやや盛

り上がる程度で、椎甲板の第2椎甲板以外は

弱く残る程度となる。背甲の色彩はオリーブ

♦飼育のポイント

:

大がかりな施設が必要で、甲羅を傷つける突起や角:

のあるレイアウトは避け、多様な餌を与える。

:

色で、キール部が暗色条線や斑紋として残る。 Turtle and Tortoise of the World 239

к

や大型で、吻端の突出は弱く反り返りも弱い。

ニシキセタカガメ

頭部の色彩は雌雄で異なり、メスは青灰色や

学名:Batagur kachuga

青みのあるオリーブ色で、頸部には幅広で明

別名:インドセタカガメ

灰色の条線が5本ほど入る。一方、オスでは

分布:インド北東部、バングラデシュ、ネパー

ル南部 甲長:3〇〜50cm前後(最大56cm)

吻端から頭頂部が赤みを帯び 、頸部の条線は

黄褐色や赤色で、繁殖期にはより鮮やかとな る。標高30〇〜500mほどの流れが速く、水深

オオセタカガメと同様に、本種もバタグール

の深い大型の河川で、砂質の土手のある水域

属に編入する説が有力。形態はオオセタカガ

を好む。繁殖はデータ不足で、産卵は3〜4月。

メに似るが、第2椎甲板のキール後部突起は

1回の産卵数は15〜30個。卵は長楕円形で5

オオセタカガメより幅が狭く鋭く見え、他の弱

〜6月に孵化。食性は植物傾向が強いが、幼

いキールも同様。背甲の色彩はオリーブ色や

体は肉食傾向の強い雑食とされる。

暗褐色で特徴的な模様などはない。頭部はや 240 Turtle and tortoise of the world

潜頸目(Cryptodira) イシガメ (バ&グールガメ)科(Geoemydidae)

コガタセタカガメ属 (Pangshura)

スミスセタカガメ(P smithii)、アッサムセタカガメ (P. sylhetensis)、テクタセタカガメ (P. tecta)テントセ タカガメ(P tentoria)の4種で構成され、最大でも甲

長は26.5cmを超えない。背甲中央に1本の縦条が入 り、第3椎甲板が最も高くなり、後部中央は突起状に 飛び出すが、第4椎甲板は細長く、前方でほぼ尖るよ

うに第3椎甲板と接する。

学名:Pangshura smithii

ショクセタカガメは腹甲に大きな黒斑があり、

亜種:カッショクセタカガメ(P. s. smithii)

四肢や頭部・生殖器は暗色で、シロアシセタ

シロアシセタカガメ

(P. s. pallidipes)

分布:パキスタン、インド北部、ネパール南部、 バングラデシュ

甲長:18〜20cm

カガメの腹甲には黒斑がなく、四肢や頭部•生

殖器は明色で区別されるが、どれも一様とは いえない。比較的浅く流れのゆるやかな泥底

(最大23cm)

の河川や、その周辺水域の池沼に生息し、日光

名称は動物学者サー・アンドリュー・スミ

浴を好む。繁殖はデータ不足で、産卵は8〜

ス博士に由来する。2亜種で構成される小型

11月。1回の産卵数は3〜11個で、年間産卵

のセタカガメ。背甲はやや細長い卵形で、背高

回数は2回以上。卵は球形に近い楕円形とさ

は他種と異なり扁平で中央のキールは明瞭だ

れる。食性は雑食性だが、メスの成体では植

が、キール上にある突起は低い。背甲の色彩

物食傾向が強い。

は亜種間や産地•個体により変異が大きいが、 カッショクセタカガメは暗色でシロアシセタ

:・飼育のポイント :

[

低水温にせず、陸場にはホットスポットを常設する。:

カガメは明色傾向が見られる。両亜種ではカッ

Turtle and Tortoise of the world 241

アッサムセタカガメ

夜行性傾向が強く、標高300m以下の丘陵地 帯の河川やその周辺の池沼などで水生植物の

学名:Pangshura sylhetensis

多い場所に生息する。繁殖生態は不明で、食

分布:バングラデシュ北部、インド北東部

性はスミスセタカガメに似るとされる。

甲長:15〜20cm

(最大20cm)

ヒメセタカガメ属中、最も小型。背甲は卵形

で、背高は高く盛り上がり、中央にはキールが あり、断面は高い三角屋根型。第3椎甲板で

最も高く、キール後方に突起が突出する。後部 縁甲板は明確な鋸歯状となる。頭部はやや小

型で、吻端は突出し、色彩はオリーブ色や褐色 で、後頭部から眼下に向かう薄いピンク色から

・飼育のポイント スミスセダカガメと同様。

濃いピンク色・黄色などのくの字模様が入る。 242

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

テクタセタカガメ 学名:Pangshura tecta 分布:パキスタン南部、インド北部、バングラ デシュ

甲長:15〜23cm

われる。色彩は背甲とほぼ同色で、眼のほぼ 中央から眼を囲むように赤色や赤褐色の模様

が後頭部中央へ流れる斑紋が入り、頸部には 黄色から黄褐色の筋模様が多数入る。比較的

流れのゆるやかな泥底の小河川や池沼•湿地 (最大23cm)

で水生植物の多い水域に生息する。産卵期は

小型のヒメセタカガメ。背甲はやや細長い

生息域により異なり、1回の産卵数は3〜14

卵形、背高は滑らかなドーム型で中央のキー

個。年間産卵回数は複数回。卵は長楕円形で、

ルは明瞭。第3椎甲板で最も高く、やや幅広の

白く硬い卵殻を持つ孵化日数は7〇〜144日と

低い突起が後方へ突出し、断面はやや高い三

される。食性はスミスセタカガメに似るとさ

角屋根型。背甲の色彩は褐色で、第1〜3椎

れる〇

甲板のキール部はオレンジ色や黄色 。頭部は

中型で吻端は突出し、後頭部は大型の鱗で覆

Turtle and Tortoise of the World 243

ホオアカセタカガメ

眼後部や後頭部にある不定形な赤斑は亜種に

テントセタカガメ

より異なる。後頭部は比較的大型の鱗で覆わ

学名:Pangshura tentoria

れる。生息環境は3亜種により熱帯域・温帯域・

亜種:ホオアカセタカガメ(P t. tentoria)

乾燥域と気候帯は異なるが、比較的流れのゆ

ベニマワリセタカガメ

キバラセタカガメ

(P. t. circumdata)

(P. t. flavienter)

分布:インド北部•東部、バングラデシュ

甲長:18〜25cm (最大26.5cm)

るやかな泥底の小河川や池沼 •湿地の倒木• 岩場・土手などで日光浴を好む。繁殖生態は 不明なことが多く、産卵期は1〇〜1月。1回

の産卵数は3〜12個。卵は長楕円形で、白く

ヒメセタカガメ属中では最大で、3亜種から

硬い卵殻を持つ。食性は幼体では雑食傾向を

構成される。形態はテクタセタカガメに似る

示すが、成長の段階で多様な植物食傾向が強

が、第3椎甲板のキール上後部の幅広の突起

くなる。

は比較的大きい。背高や頭部の色彩・斑紋•

模様は亜種間で異なる。後縁部の鋸歯になら

・飼育のポイント スミスセダカガメと同様 。

ず滑らか。頭部は中型で、吻端の突出は弱く、 244 Turtle and Tortoise of the World

Turtle and Tortoise of the world 245

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

ハミルトンガメ属

1種で構成され、バタグールガメ属に近 縁とされる。

(Geoclemys)

全体が黒色で白色やクリーム色•黄色・オレ

ハミルトンガメ

ンジ色などの小斑紋や放射模様が多数入る。

学名:Geoclemys hamiltonii

頸部や四肢・尾は白色や黄色のより小さく多

分布:パキスタン、インド北部、ネパール南部、

バングラデシュ

甲長:2〇〜35cm

数の小斑紋で覆われる。頭部は大型で、色彩

や小斑紋は背甲と同様。ゆるやかな流れの河

(最大39cm)

川やその周辺の池沼などで水が比較的澄み、

1属1種で構成される半水棲種。背甲は楕

水生植物の多い水域に生息する。年2回の産

円形で、背高はゆるやかなドーム型 (メス)か

卵期があるとされ、1回の産卵数は26〜36個。

やや扁平(オス)で、椎甲板と左右肋甲板に明

卵は球形に近い楕円形で、硬くもろい卵殻を

確なキールを持つ。幼体ではこの各キール後

持つ。孵化日数は74日前後。食性は水棲昆虫

部が後方に突出するが、成長に伴い消失し、3

や甲殻類•貝類などの肉食性とされる。

本の大きな畝状のキールとなる。色彩は甲羅 246 Turtle and Tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

1種で構成され、バタグールガメ属に近縁とさ れる。

カンムリガメ属(Hardella) レッドリスト 絶滅危惧種

I!類

ク I

.占簷л

f

眼間、眼後部上から頸部へ流れる模様を持つ。

カンムリガメ

両亜種は背面中央のキールの明瞭差や、各肋

学名:Hardella thurjii 亜種:ガンジスカンムリガメ

甲板のキール状の盛り上がりなどで識別する

(H. t. thurjii)

インダスカンムリガメ (H. t.

/nd/)

分布:インド北部、バングラデシュ、パキスタ

ン南部

甲長:15〜50cm

が、疑わしいとされる。ゆるやかな流れで泥底

の河川や、その周辺の池などで水棲植物の繁 茂する水域の生息し、水棲傾向が非常に強い。 産卵期は地域により異なり、1回の産卵数は14

(最大61cm)

〜19個。年間産卵回数は不明。卵は鶏卵型で

大型種だが、メスが最大甲長61СП1に対し、

硬い、孵化日数も不明。食性は雑食性だが、メ

オスは最大甲長17.5cm前後と雌雄差が極端。

スの成体は植物食の傾向が強いとされる〇

背甲はやや長い楕円形で、背高はドーム状に

盛り上がり、中央にはキールを持つ。背甲の

色彩は暗灰色や暗黒色で、外縁部は黄色で縁 取られる。頭部は中型で、やや幅の広い黄色

:・飼育のポイント :

特に腹甲は傷つきやすく、水槽内に突起物や角のあ

:るものは避ける。カルシウムやビタミン類、ミネラルの

:多く含んだ植物を与えると良い 。

や淡黄色の条線が吻の下の眼間、眼上前部の Turtle and Tortoise of the World 247

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

メダマガメ属(Morenia) ピーターズメダマガメ(M. petersi)、ビルマメ ダマガメ(M. ocellata)の2種で構成され、背 甲の各肋甲板上に眼状斑もしくは輪紋模様を

持つ。バタグールガメ属に近縁とされる。

ピーターズメダマガメ 学名:Morenia petersi

別名:ピーターズモレニアガメ

分布:バングラデシュ、インド北東部 甲長:15〜20cm (最大22.2cm)

メダマガメ属は本種とビルマメダマガメ

(M osellata)の2種で構成される。背甲は丸 みのある楕円形で、背高はやや高いドーム形

状で、幼体では中央部の各椎甲板上の後方に

突き出たキールは顕著だが、高齢個体では目

立たなくなる。背甲の色彩は緑がかる濃黒褐

ビルマメダマガメ 学名:Morenia ocellata

別名:ワモンモレニアガメ、 ビルマモレニアガメ

色で、椎甲板や肋甲板にはクリーム色の輪紋

分布:ミャンマー南咅8

や馬蹄型、U字型の模様が1個づつ入るが、成

甲長:15〜20cm (最大22cm)

%トン紬 附属書

I類 レッドリスト 絶滅危惧種

II類

長に伴い不鮮明になりヽ消失することもある。

川は幅広で円形に近い楕円形。背甲は幼

頭部はやや小型で黒褐色、吻は尖り、頭側の吻

体時は中央のキールが盛り上がり、断面は二

端から頸部にかけ黄色の条線が数本入る。水

等辺…:角形に見えるが、成体ではゆるやかな

生植物の密生した止水域の浅い池沼、水路な

ドーム型となる。第2 • 3椎甲板の後部は幼

どに生息し、日光浴を好む。繁殖生態は情報

体では顕著な瘤状となるが成体では目立たな

不足で、産卵は12月末〜1月末で、1回の産卵

数は1個。年間産卵回数は2回という例が知 られ、卵は長楕円形で硬く、孵化日数は不明。

食性は主に水生植物食。

くなる。背甲は褐色で椎甲板、肋甲板の中央 には暗褐色で周囲が黄褐色の大きな目玉模

様が1個ずつ入り、老齢個体では不鮮明とな

る。頭部は小型で吻端は比較的丸く 、甲頭部 は細かな鱗に覆われる。頭部から頸部にか け、白く細い3対の縦条模様が入る。大河川

・飼育のポイント

周囲の小河川や水路•池沼•湿地に生息する。

十分な広さと水深の他に水質管理、高水温(30°С前 後)が必要で、さらに同居には向かない種でもある。

繁殖生態は情報不足。食性はほぼ植物食。

248 Turtle and Tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

|1種のみで構成され、バタグールガメ属に

ボルネオカワガメ属(OHitia)

ボルネオカワガメ 学名:Orlitia bomeensis

分布:マレー半島南部、ボルネオ島、スマトラ 島

甲長:6〇〜70cm

・含まれる

|

く、大型の河川や湖沼や河口近くまで生息し、

水搔きはよく発達し遊泳力は強い。繁殖期な ど不明な点が多く、1回の産卵数は12〜15個

で、年間産卵回数は不明。卵は長楕円形で長

径80пип、短径40mniと大きく、硬くもろい。孵化 (最大80cm以上)

イシガメ科中最大種。背甲は楕円形、幼体

時は甲が高くドーム形で、成長と共に甲幅が広

日数は不明で、孵化個体の甲長は約60mm。食

性は雑食性で水生植物や水棲動物を主に食べ

るとされる。

く、背高は低く扁平になる。背甲の色彩は暗灰

色や暗褐色・黒色。頭部は比較的大型で幅が

広く厚みもある。吻端はやや尖り、成体は一様 な暗色となり、模様などはない。水棲傾向が高

Turtle and Tortoise of the world 249

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

ニシクイガメ属

マレーニシクイガメ (M. macrocephala )、インドシ

ナニシクイガメ(M. subtrijuga)の2種で構成される が、両種の差異は比較的小さく、将来的に亜種とされ る可能性がある。バタグールガメ属に近縁とされる。

(Malayemys)

マレーニシクイガメ 学名:Malayemys macrocephala 分布:タイ西部からマレー半島

甲長:15〜16cm

(最大20cm程度)

頭部の斑紋の違いなどで2種に分割される

後方から鼓膜を通るという3本の白色に近い 明瞭な条線を持つ。②は吻端で①に繋がらず、

吻下の縦縞は2〜4本であるのが特徴。水底 が泥質で流れのゆるやかな小河川や池沼、水

路などで水生植物の多い水域に生息。産卵は 乾季の12〜3月に行われ、1回の産卵数は3

が、将来的には亜種となる可能性もある。背甲

レ4個で、年間産卵回数は不明。卵は長楕円

は楕円形で、背高はやや盛り上がりのあるドー

形で硬い、孵化日数は平均167日ほど。食性は

ム型で、椎甲板と左右肋甲板に明瞭なキール

主に巻貝や二枚貝食。

を持つ。背甲の色彩は赤褐色や明褐色・暗褐

色で、外縁部は黄色や灰色•白色などの縁取 りが入る。頭部は大型で、①黒色の地に頭部

:.飼育のポイント :

:あっても注意する。臆病でもあり、シェルターや浮き草: :で落ち着かせる。

側面の上部②吻端上部から眼下部を通る③眼 250 Turtle and Tortoise of the World

1

甲羅が傷つきやすく、他種との同居は避け、同種で: :

インドシナニシクイガメ 学名:Malayemys subtrijuga 分布:タイ東部、カンボジア、ベトナム南部、 ジャワ島

甲長:15〜16cm

(最大20cm程度)

外部形態はマレーニシクイガメとほぼ同様。 頭部側面の明瞭な条線が吻端横で①と②が繋

がり、吻下の縦縞が6本以上とされ、両種の識

別となる(①と②は前項マレーニシクイガメの

解説参照)。生活史は調査不足で、主に低地の 池沼•水田・水路などの止水域に生息し、食

♦飼育のポイント マレーニシクイガメと同様。

生はマレーニシクイガメとほぼ同様とされる。 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

251

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

イシガメ属

(Mauremys)

過去のクサガメ属、ハナガメ属は分類の再編により、

I

イシガメ属に含まれ、イシガメ属は9種で構成され る。種間雑種ができやすく異種間同居は避ける。

い。加部はやや大型だが、メスの一部では巨

リーブスクサガメ

頭化する個体もいる。頭部の色彩は暗褐色や

学名:Mauremys reevesii

灰褐色が一般的で、頭部側面には淡黄色の不

別名:クサガメ

定形な筋模様や斑紋が点在する。低地性が強

分布:中国東部から北東部、韓国、日本、台湾 甲長:18〜23cm

(最大30cm程度)

く、比較的開けた流れのゆるやかな河川や池 沼などで、岸辺に植物が多い環境を好み生息。

分類がいまだ混沌としており、今後変更の

産卵は6〜8月。1回の産卵数は4〜13個。

余地を残す。背甲はやや長い楕円形で、背高

年間産卵回数は1〜3回。卵は長楕円形で硬

は比較的扁平だが、メスはやや高いドーム型

い、孵化日数は6〇〜80日前後。

になる。椎甲板と左右肋甲板にはキールがあ

り、幼体では顕著だが成体でも残る。背甲に 色彩は灰褐色から暗褐色が一般的で 、オスの

♦飼育のポイント 幼体はやや皮膚が弱く、水質汚染で皮膚病を起こしゃ

すく、新鮮な水と十分に体を乾かせる陸場を設置する 。

成体では全身メラニズム(黒化)する個体が多 252 Turtle and tortoise of the world

出現するが、リーブスクサガメのオスのように

カントンクサガメ

全身の黒色化はしない。頭部はやや大型だが、

学名:Mauremys nigricans

メスの一部では巨頭化する個体もいる 。山地

分布:中国南部(ハイナン島を含む)、ベトナム

北部(中国との国境付近) 甲長:15〜20cm

(最大24cm程度)

形態はリーブスクサガメに似るが、リーブ

スクサガメより甲幅が広く 、甲高は雌雄共やや

傾向が強く、低山地や丘陵地の小河川などに

主に生息。繁殖に関しては調査不足で、飼育 下では1回の産卵数は2〜9個。卵は長楕円

形で硬く、孵化日数は51〜55日。食性は雑食 性。

盛り上がりのあるドーム状で、幼体は椎甲板・ 左右肋甲板のキールは比較的顕著だが、肋甲 板のキールは比較的早い段階で消失し、椎甲

板のキールのみとなる。背甲の色彩もりーブ

・飼育のポイント リーブスクサガメと同様。

スクサガメに似る。メラニズム化は雌雄共に TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

253

ニガメ」と称し販売されている。背甲はやや

ニホンイシガメ

長い楕円形で、背高は扁平で各椎甲板中央に

学名:Mauremys japonica

キールを持つ。幼体では肋甲板にも弱いキー

分布:日本(本州、四虱 九州とその属島)

ルを持つが、成長と共に消失する。背甲の色

甲長:14〜20cm

彩は黄色から黄褐色•灰褐色•暗褐色など変

(最大22cm程度)

日本固有種。本来「ゼニガメ」の名は本種

異に富み、暗色のぼやけた細斑紋が多数入る 。

の幼体を示すが、現在はクサガメの幼体を「ゼ

頭部はやや小型で、吻はやや突出し、頭部側

254 Turtle and tortoise of the World

ワシントン条約 附属書

11類

1/ッドリスト 準 觸危惧種



面の眼後方の上下に黄褐色や赤みがかった破 線状の筋模様が数本入る。主に河川の中・上 流の流水やその周辺の水田などに生息。産卵

若い個体

は6〜8月。1回の産卵数は1〜12個で、年

間産卵回数は1〜3回。卵は長楕円形で硬い、

・飼育のポイント

孵化日数は70日前後。食性は雑食性。

低温に強く、新鮮な水と十分な日光浴ができる環境を 整える。

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

255

部下而に向かう線など、3対のやや幅広い淡

アンナンガメ

黄色の条線が目立つが、個体により条線の幅

学名:Mauremys annamensis

や入りかたには変異がある。生活史は調査不

分布:ベトナム中部

足だがミナミイシガメに似るとされ、低地の小

甲長:18〜20cm

河川や池沼などに生息。食性は雑食性。

(最大28.5cm程度)

ベトナム固有種。背甲はやや長い楕円形。 背高はやや扁平かゆるやかなドーム型で、通 常背面に3本のキールを持つが、老齢個体で

は椎甲板のみに残る場合もある。背甲の色彩

は暗灰色や濃い暗褐色などで、明確な斑紋な

どはない。頭部は中型で、吻端から頭部背面

:♦飼育のポイント

の外周から頸部に向かう線、吻端から眼を横

:

切り頸部に向かう線、吻端から眼下を通り頸 256 Turtle and Tortoise of the World

:

比較的飼育はしやすいが、水質汚染に気を付け、十分:

:な日光浴を考慮する。

:

ワシントン繃 附属書



F黔:

タイリクミナミイシガメ

ミナミイシガメ 学名:Mauremys mutica

亜種:タイリクミナミイシガメ

(M. m. mutica)

ヤエヤマイシガメ(M. m. kami)

分布:中国南部、台湾、ベトナム北部、

日本(八重山諸島) 甲長:18〜20cm

(最大20.5cm程度)

ヤエヤマイシガメは、本来の生息地ではな

ヤエヤマイシガメ

頭部は中型で、眼の後にやや幅の広く淡黄色 や褐色の条線が鼓膜上まで入る。温帯から亜 熱帯の温暖湿潤な地域で、低地から低山地の

い沖縄本島やその周辺離島の一部に移入・定

さまざまな水域に生息する〇 一般的に6〜7

着している。背甲はやや長い楕円形、背高は

月に産卵し、1回の産卵数は1〜6個。年間産

扁平やゆるやかなドーム型で、背甲面は非常

卵回数は1〜3回。卵は長楕円形で硬く、孵化

に滑らか。幼体では3本のキールを持つが、成

日数は6〇〜80日前後。食性は雑食性。

体までに椎甲板のキールが弱く残るだけとな る。背甲の色彩は灰色や明褐色•暗褐色で部

分的に明暗となるが、亜種間や個体差に富む。

・飼育のポイント 繁殖期に攻撃性を増し、オスの複数飼育は避ける。

Turtle and Tortoise of the World 257

ヒガシカスピイシガメ

褐色やオリーブ色•暗褐色で、各甲板には複

カスピイシガメ

雑な明色の網目模様を持つが、ギリシャイシ

学名:Mauremys caspica

ガメよりは不鮮明。頭部は小型で、頭側面に

別名:コーカサスイシガメ

頸部に繋がる細い淡黄色や黄色の筋模様を5

亜種:ヒガシカスピイシガメ (М.

ブチハラカスピイシガメ

с. caspica)

(M. c. ventrimaculata)

ジーベンロックカスピイシガメ

(M. c. siebenrocki) 分布:カスピ海中•南部沿岸、イラン、イラ久 シリア北部、トルコ東部など

甲長:2〇〜23cm

(最大25cm程度)

本以上持つ。多様な水域に生息でき、その中

には汽水域も含まれる。日光浴を好む半水棲 種。産卵は6〜7月で、1回の産卵数は4〜6

個。年間産卵回数は2回。卵は長楕円形で硬 くもろレゝ。孵化は秋の降雨後、地上に出る。食

性は動物食とされるが、飼育下では果実•葉

野菜なども食べる。

3亜種で構成され、ギリシャイシガメや亜種 間との交雑個体も見られる。背甲は細長い楕

円形で、背高は扁平で、椎甲板に弱いキールを

持ち、幼体では肋甲板にもキールが比較的鮮 明に入るが早期に消失する。背甲の色彩は黄 258 Turtle and Tortoise of th e World

:・飼育のポイント :

新鮮な水と十分日光浴のできる陸場の設置が必要で

:ある。

つれ不明瞭となる。頭部は小型で、頭部側面

ギリシャイシガメ

の眼後方には5本以上の黄色筋模様が頸部に

学名:Mauremys rivulata

続くが、分布域が広く、東部や西部で色彩など

別名:リブラータイシガメ

分布:クロアチア南部からバルカン半島、ブル ガリア南部、トルコからイスラエル北部 の地中海沿岸部

甲長:25〜30cm

(最大35cm程度)

が異なる。生息地は主に温暖な地中海性気候 で、低地の多様な水域(汽水域を含む)で見ら れ、日光浴を好む。年間を通し水の枯れない

水域に主に生息する。繁殖生態や食性はカス ピイシガメに似るとされる。

カスピイシガメに似るが、イシガメ属中では 大型。形態はカスピイシガメに似て、色彩はオ リーブ色や灰褐色•暗褐色。幼体では、カスピ

イシガメより小さく不定形で、オレンジ色など

・飼育のポイント カスピイシガメと同様。

の明色な網目模様が各甲板に入るが、成長に

Turtle and Tortoise of the World 259

サハライシガメ(M.

/. saharica)

分布:スペイン、ポルトガル、フランス南西部、

モロッコからリビア北西部の地中海沿 岸部

甲長:18〜20cm

各屮板には明色や暗色の不定形な斑紋が不規

則に入る。頭部は中型で、頭部側面の眼と鼓

膜の間に明色で丸い小斑が入るものや複雑な 筋模様など変異の大きな模様がある〇主に乾

(最大25cm程度)

季でも水が枯れない、多様な(汽水域を含む)

色彩変異が大きく、過去には8亜種に分類

水域に生息し、日光浴を好む。産卵は5〜6月

されるとされたが、現在は上記の2亜種に分

で、1回の産卵数は4〜13個。年間産卵回数

類されるのが主流。形態はカスピイシガメに

は不明。卵は長楕円形で硬く、孵化日数は65

似て、色彩はオリーブ色や灰褐色・暗褐色で、

〜75Bo食性は肉食傾向の強い雑食性。

260 Turtle and Tortoise of the World

甲色とほぼ同色で、頭部両脇から頭部側面の

ハナガメ

吻端から頸部にかけ、多数の淡黄色の筋模様

学名:Mauremys sinensis 分布:中国南部、台湾、ベトナム北部

甲長:18〜25cm

(最大27cmほど)

が入る。水底が泥質で、流れのゆるやかな河 川やその周辺の池沼などに生息する 。産卵は 地域により異なり、筆者の飼育経験では1回の

1属1種。背甲はやや長い楕円形で、背高

産卵数は2〜18個、年間産卵回数は2〜3回。

は比較的扁平で、椎甲板と肋甲板にはキール

卵は長楕円形で硬く、孵化日数は60日前後。

がありヽ幼体では比較的鮮明だが、成長につれ

食性はやや動物質を好む雑食性。

椎甲板のキールは弱いものの比較的残り、肋

甲板のキールはより弱く断続的になる。背甲

の色彩はオリーブ色や褐色•黒色で、キール 部が明褐色やオレンジ色などの不定形な明斑 紋となる。頭部は小型で、頭頂部の色彩は背 Turtle and Tortoise of the world 261

比較的高いドーム型。背面中央にはやや明瞭

セマルハコガメ

なキールを持ち、左右肋甲板にも弱いキール

学名:Cuora flavomarginata

亜種:チュウゴクセマルハコガメ

(C. f. flavomarginata) ヤエヤマセマルハコガメ

(C. f. evelynae)

分布:中国南部、台湾、日本(石垣島•西表島)

甲長:15〜17cm

(最大19cm前後)

がある。背甲の色彩は暗褐色で、初生甲板周 囲は赤褐色となり、中央のキール部は黄色や 淡黄色。頭部はやや大型で、頭部背面は暗褐 色やオリーブ色だが変異がある。眼の後部よ

り後頭部を囲うように明黄色のやや幅広の筋 模様があるが、個体により後頭部中央で筋模

亜種ヤエヤマセマルハコガメは日本国指定

様が切れる個体もいる。森林内の湿地を主な

天然記念物。背甲は卵形や楕円形で、背高は

生息地とし、その場所から森林周辺などの草

262 Turtle and tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

アジアハコガメ属(Cuora) セマルハコガメ (C. flavomarginat・、モエギ ハコガメ(C. galbinifrons)、ヒラセガメ(C.

mouhotii).マレーハコガメ (C. amboinensis)> ミスジハコガメ (C. trifasciata)、コガネハコガ メ (C. aurocapitata)、ジェンシーハコガメ(C. pan。、マコーRハコガメ (C. mccordi)、クロハ ラハコガメ (C. zhoui)、ユンナンハコガメ(C. yunnanensis)の9種で構成される。腹甲は

前葉・後葉に別れ、蝶番にて繋がれ、前葉・後 葉とも高い可動性があり、頭部•尾•四肢を引

つ込めて完全に蓋ができるアジア産のハコガメ 類。しかし、主に頭骨形態の基づき、陸棲傾向

の強いセマルハコガメ、モエギハコガメとヒラ

セガメを別属と提案する傾向もあり、分類的に 確定はしていない。

地や農耕地などにも出現する。陸棲傾向が強 く、泳ぎはうまくない。産卵は6〜9月で、1

回の産卵数は2〜6個。年間産卵回数は2〜

3回。卵は長楕円形で硬く、孵化日数は7〇〜 90日。食性は動物の死体に群がることもある、 肉食傾向の強い雑食性。

・飼育のポイント 基本的に湿地棲であり、甲羅が沈む程度の水深の出 入りのしやすい大きめの水入れを設置する。 台湾産セマルハコガメ

Turtle and tortoise of the World 263

イシガメ属中では中型種。背甲は卵形や楕

モエギハコガメ

円形で、背高は非常に高く盛り上がったドーム

学名:Cuora galbinifrons

型。幼体では背面中央に弱いキールを持つが、

亜種:ベトナム(クロハラ)モエギハコガメ

(C. g. galbinifrons) カンボジアモエギハコガメ

淡褐色の地に暗色や黒色の複雑な模様が入る

(C. g. bourreti)

分布:中国南部、カンボジア東部、ラオス南

部、ベトナム中部 甲長:16〜17cm

成体では消失することが多い。背面の色彩は

(最大20cm程度)

264 Turtle and Tortoise of the world

が、亜種間で変異が大きく、暗色模様がほとん ど入らないものから、多くの面積を占めるもの

がいる。ベトナムモエギハコガメは背甲の高 さが他の亜種に比べ低く、腹甲は黒色。カン

ワシントン辎 附属書

レッドリスト

II類

IA類

絶滅危惧種

カンボジアモエギハコガメ

ラオスモエギハコガメ

ボジアモエギハコガメは他の亜種に比べ、背

下で1回の産卵数は1〜3個。卵は長楕円形

甲は高く、腹甲の各甲板にやや大きな黒色の

で硬く、孵化日数は70日前後とされる。食性は

斑紋を持つ。ラオスモエギハコガメは前2亜

雑食性。

種の中間型であることなどが、識別の目安とな る。頭部は中型からやや大型で、色彩は亜種

により帯模様や虫食い模様などが大きく変異 する。低地から比較的高い山地の森林や低木

林、藪地などの湿地に主に生息し、陸棲傾向が

:.飼育のポイント :

1

野生個体の場合は駆虫を行い、他個体との同居飼育:

:は避ける。

:

強いとされる。繁殖や食性は知見がなく、飼育

Turtle and Tortoise of the world 265



二計越У

イシガメ属中では中型種。形態的にはリュ

ヒラセガメ

ウキュウヤマガメに似て、背面には3本のキー

学名:Cuora mouhotii

ルが明瞭に入り、縁甲板後部は鋸状となるが、

亜種:ムオヒラセガメ©, m. mouhotii)

背高はやや高く、やや幅広い楕円形。背面の

(C. m. obsti)

色彩はほぼ淡色の黄褐色から赤褐色、暗褐色

オブストヒラセガメ

分布:インド東北部、中国南部からミャンマー

などで、各甲板の接合部は細い暗色となる。

東南部、ラオス北部、ベトナム北部•中部

腹甲板には蝶番を持ち、可動性は良い。頭部

甲長:16〜18cm

266

(最大20cm程度)

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

はやや大型。後頭部背面は細かな鱗で覆われ 、

色彩は淡褐色や褐色で、一般的に暗色の細か な虫食い模様が全体に入る。丘陵地帯で森林

内の川沿いなど湿度の高い林床を好み 、陸棲

傾向が強い。繁殖・食性は知見がなく、飼育 下での産卵は6〜9月に行われ、1回の産卵数

は1〜5個。卵は長楕円形で硬く、孵化日数は

100日前後。食性は雑食性とされる。

:・飼育のポイント :

湿度を高めの環境に保ち、肉類(昆虫類を含む)•果実

:など多様な種類を与える。

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

267

ワシントン縄 附属書

U類

イシガメ科の中では最も広域に分布する。

マレーノ\コガメ

背甲は楕円形で、一般的に背高は高いドーム

学名:Cuora amboinensis

型。幼体では背面中央と左右肋甲板にキール

亜種:アンボイナハコガメ(C. a. amboinensis)

を持つが、成体では背面中央のキールは残る

ジャワハコガメ

(С. a. couro)

ものの、肋甲板のキールは痕跡程度か弱く残

シャムハコガメ

(С. a. kamaoma)

る。背甲の色彩は亜種や個体間で変異に富む 。

ビルマハコガメ

(C. a. liniata)

腹甲には蝶番を持ち、その可動性は強い。主

分布:インドから東南アジア(ラオス以南•フィ リピン•インドネシア以北)の広域 甲長:18〜20cm

(最大21cmほど)

268 Turtle and Tortoise of the World

に熱帯域の低地の水生植物が多い多様な水域

に生息し、水棲傾向が強いもののあまり泳が ず、水底を歩くように移動するほか、陸上でも

ジャワハコガメ

活発に活動する。産卵は4〜6月に行われ、1

回の産卵数は2〜3個。年間産卵回数は2〜

4回。卵は長楕円形で硬く、孵化日数は75日前 後。食性は肉食傾向の強い雑食性。現地では 食用とされる。

・飼育のポイント 幼体期は低温に弱く、保温飼育する。成体は比較的

環境に適応するが、水入れは甲羅が沈む程度の水深を 保つ。 ビルマハコガメ

Turtle and Tortoise of the World 269

ブ色やM•色で、頭部側面の眼と鼓膜間に褐色

ミスジハコガメ 学名:Cuora trifasciata 分布:中国南部、ラオス、カンボジア、ベトナ

ム北部

甲長:18〜20cm

の楫Iり模様が入り、上顎上にある黄色の条線 はIけり付近から幅広い模様になる。亜熱帯性 丸候の温暖湿潤な気候下で、低地から低山地

の比較的水が澄んだ水域やその周辺の林床や (最大21cm以上)

草地などに生息する。産卵は6〜7月がピー

イシガメ属中の中型種。背甲はやや長い卵

クで、1回の産卵数は4個前後。年間産卵回

形、背高は比較的扁平で、背面中央と左右肋甲

数は1回。卵は長楕円形で硬く、孵化日数は80

板上にキールを持つ。背甲の色彩はオレンジ

〜90Но食性は肉食傾向の強い雑食性。中国

色から赤褐色•褐色で、キール部や各縁甲板

では食用や薬用とされる。

の一部に暗色模様が入るほか、暗色の筋模様

が放射状に入る場合もあり、色彩・模様•甲

羅形状などは産地や個体間で大きな変異が見

・飼育のポイント 環境への適応は優れるが、餌のバランスが悪いと体

型を崩しやすく、多様な餌を用いる。

られる。頭部はやや小型で、頭部背面はオリー 270 Turtle and tortoise of the World

コガネハコガメ 学名:Cuora aurocapitata 分布:中国(アンホイ省南部)

甲長:13〜15以上(最大15.6cm)

イシガメ属中の小型種。背甲はやや長い卵

生息地は温帯性気候で、冬季は冬眠する。野

生下での繁殖は知られず、飼育下での1回の 産卵数は1〜3個(最大5個)。年間産卵回数

は2回前後。孵化日数は66日前後。食性も知 られず、飼育下では雑食とされる。中国では薬

膳として多く使用される。

形で、背高は扁平に近く、背面中央には弱い

キールを持つ。背甲の色彩は全体に暗色で、 椎甲板や肋甲板の一部が明褐色や赤褐色にな るが、その入りかたには個体差がある。頭部は 小型で、吻端はやや尖り、頭部全体が黄色や暗

黄色で頭部側面に細い筋状ラインが入る 。丘 陵地帯や低山地の澄んだ小河川やその周辺の

・飼育のポイント

:

環境への適応は優れるが、野生個体は導入時に駆虫:

する。

:

池沼などに生息し、陸上でも活発に活動する。 Turtle and Tortoise of the World 271

甲長:14〜16cm

(最大17cm)

生息地は温帯性気候で、冬季は冬眠する。野

イシガメ属中の小型種。背甲はやや長い卵

生下での繁殖は知られず、飼育下での1回の

形で、背高は扁平に近く、背面中央には弱い

産卵数は1〜3個(最大5個)。年間産卵回数

キールを持つ。背甲の色彩は全体に暗色で、

は2回前後。孵化日数は66日前後。食性も知

椎甲板や肋甲板の一部が明褐色や赤褐色にな

られず、飼育下では雑食とされる。中国では薬

るが、その入りかたには個体差がある。頭部は

膳として多く使用される。

小型で、吻端はやや尖り、頭部全体が黄色や暗 黄色で頭部側面に細い筋状ラインが入る 。丘

陵地帯や低山地の澄んだ小河川やその周辺の

・飼育のポイント する。

池沼などに生息し、陸上でも活発に活動する。 272 Turtle and Tortoise of the world

:

環境への適応は優れるが、野生個体は導入時に駆虫:

:

マコードハコガメ 学名:Cuora mccordi

分布:中国(江西省•壮族自治区) 甲長:14〜15cm

史は不明で、飼育下では陸棲傾向が強く、泳ぎ

はうまくないが、浅い水場にはよく入り、乾燥 は好まない。食性は無脊椎動物や果実を食べ

ることから雑食性とされる。

(最大16.5cm)

ペットの個体に基づき、アメリカ合衆国にて 記載され、正確な分布は不明。背甲は卵形で、 アジアハコガメ属中最も背高が高いドーム型。

背甲の色彩は赤褐色から暗褐色。頭部は小型

で、吻端は尖り、頭部背面は黄色や暗黄色で、 背面外周にはマレーハコガメに似て暗色で挟 まれた明黄色や赤みがかった色彩の模様が吻

・飼育のポイント

:

強い明かりを嫌うので弱めのバスキングライトを使用: し、暖房用のライトは光の出ないものを使用する 。

:

端から頸部に向かう。自然下での生態・生活

Turtle and tortoise of the World 273

活史は不明で、飼育下では水棲傾向が強く泳

クロハラハコガメ

ぎはうまい。薄暗い環境を好み、夜間性傾向

学名:Cuora zhoui

が強いとされる。食性は動物質や果実を食べ

分布:中国(広西省・壮族自治区・雲南省) 甲長:14〜18cm

る雑食性とされる。

(最大18cm)

マコードハコガメ同様、野生個体の採集記 録はなく、正確な分布は不明。背甲は卵形で、

背高は比較的扁平。背面中央と左右肋甲板に は弱いキールを持つが、成体では中央のみに

なる場合が多い。背甲の色彩は暗褐色や黒色 で、模様はない。頭部は小型で、吻端は尖り、

頭部背面はオリーブ色。頭部側面の上顎から 鼓膜にかけては淡黄色。腹甲の蝶番の発達は

・飼育のポイント 明るい場所を避ける傾向があり、浮き草などで暗所 を作ると良い。

弱く、完全に閉じることはできない。生態•生 274 Turtle and tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

属 (Cyclemys)

マルガメ

甲の形態や色彩、ミトコンドリアと核のDNАの塩基

配列からノコへりマルガメ C dentata)、ニシキ バラマルガメ(C. atripons)、ヒガシキバラマルガ

メ(C pulchristroata)^ミナミクロハラマルガメ(C.

enigmatica)、ビルマクロハラマルガメ (C. fusca)、イ ンドクロハラマルガメ(C gemeli).オルダ厶マルガメ

(C. oldhamii)の7種から構成される。しかし、これら のタイプ分けもまだ調査不足の面があり 、今後の調査 でいくつかの種が亜種に変わる可能性を残す。

ノコへリマルガメ 学名:Cyclemys dentata

分布:マレー半島南部、インドネシア(スマト ラ島・ジャワ島)、ボルネオ島、フィリピ

ン南西部の島々 甲長:18〜20cm

る楕円形で、背高は扁平で低いアーチ状。後

部縁甲板は鋸歯状だが、老齢個体では不明瞭

となる。背面の色彩は暗色や暗灰色で各甲板 には初生甲板を中心とした細い放射模様を持 つ。腹甲は淡褐色や黄褐色で、各甲板には黒

色の放射模様を持つ個体が多い 。頭部は中型

(最大21cm)

で、後頭部は細かな鱗で覆われ、頭頂部は背甲

マルガメ属中では小型種。背甲は丸みのあ

とほぼ同色で不規則な暗色小斑(不鮮明な場 Turtle and tortoise of th e world 275

色調の淡い個体

合もある)が散在し、頭側部から頸部にかけて 明瞭な細い褐色の筋模様を持つ。低地から丘 陵地の森林内を流れる浅い小河川や池沼•湿 地などに生息し、半水棲で主に夜間に活動す

る。繁殖や食性は調査不足で、飼育下では1 回の産卵数は2〜4個。年間産卵回数は4〜

5回。卵は長楕円形で硬い。食性は雑食性。

276 Turtle and tortoise of the World

・飼育のポイント 低温には比較的耐性はあるが、冬季は多少保温して

飼育する。

や赤みのある黄色でやや幅広の筋模様が数本

ニシキバラマノレガメ

入る。四肢は強く、後肢の水搔きはよく発達

学名:Cyclemys atripons

する。生活史や生態は不明な点が多く 、飼育

別名:マダラマルガメ 分布:タイ南東部、カンボジア南西部

甲長:19〜21cm

下では半水棲でやや陸棲傾向が強いとされる。

食性は雑食性。

(最大23.6cm)

背甲の形態はノコへりマルガメに似るが、ノ

コヘリマルガメよりやや細く大きい。背甲の

色彩は淡褐色やオリーブ色、栗色などで各甲 板には暗色の細い放射模様や小斑を持つ。頭 部は中型で、頭頂部は褐色や灰褐色で、細かく

不規則な小斑紋が散在する。頭側面には眼の 後部から頸部にかけ、比較的目立つ黄色や、や

Turtle and Tortoise of the world 277

赤みは全体的に薄い。四肢は強く、前肢より後

ヒガシキバラマノレガメ

肢の水搔きはよく発達する。生活史や生態は

学名:Cyclemys pulchristriata

不明。

分布:カンボジア東部、ベトナム中部から南部

甲長:19〜21cm

(最大22.7cm)

背甲の形態はニシキバラマルガメに似て、

ノコへリマルガメよりわずか大きい丸みのあ る楕円形。背甲の地色はニシキバラマルガメ

とほぼ同様で淡褐色やオリーブ色、栗色だが、 各甲板の暗色の放射模様は幅広く、小斑紋も やや大きい。頭部は中型で、頭頂部の色彩や

頭側部の筋模様もニシキマルガメに似るが、 278 Turtle and Tortoi se of th e world

中型で、頭頂部は模様がない銅色や淡褐色で、

ミナミクロハラマノレガメ

頭側部や頸部にも模様はない。生活史や生態

学名:Cyclemys enigmatica

は不明。この腹甲が暗色になるタイプは本種

分布:マレー半島南部、スマトラ島、ジャワ島

以外にインドクロノ、ラマルガメ(C. gm必)、

西部、ボルネオ島南部

甲長:19〜21cm

(最大23.5cm)

ビルマクロノ、ラマルガメ (C.fusco)、オルダム マルガメ (C. oldhamii)の3種が知られる。

ノコへリマルガメよりやや大きい程度で、形 態はニシキバラマルガメに似る。背面の色彩

は暗褐色や黒色で、やや赤みを帯びることも

あるが、通常は無紋。腹甲が暗褐色や黒色に なるタイプで、暗褐色の地に若個体に見られ

る黒色の放射模様を持つ個体もいる。頭部は Turtle and Tortoise of the World 279

ルントン辅 附属書

u



褐色、暗褐色に黒色の放射模様が多く入るこ

オルダ厶マルガメ

ともある。頭部は中型で、頭頂部の色彩は褐

学名:Cyclemys oldhamii

色や灰褐色で暗色の小斑紋は不規則に散在し、

分布:ベトナム中•北部、ラオス、ミャンマー

腹甲が暗色になるタイプの中で、小斑紋があ

中•南部、タイ中•北部、カンボジア中・

るのは本種のみの特徴。生活史や生態は不明。

北部

甲長:2〇〜22cm

(最大25.4cm)

マルガメ属中の最大種〇背甲は細長い楕円 形で、背高は扁平なアーチ状。背面中央のキー

ルは、 成体では他のマルガメ属と同様に不明 瞭となるのが一般的。背甲の色彩は暗褐色や 暗灰色•黒色で無紋が普通。腹甲は黒色や暗 280 Turtle and Tortoise of the World

無紋になる。頭部は中型で、吻端の突出は弱

インドクロハラマルガメ 学名:Cyclemys gemeli

分布:インド東部、バングラデシュ北部

甲長:最大甲長23.1 cm

マルガメ属中では大型。背甲はやや長い楕 円形で、背高は低いアーチ状。背面中央のキー

い。頭頂部には斑紋などはなく灰褐色もしく は褐色で、後頭部は細かな鱗となる。四肢の 水搔きは他のマルガメ属とほぼ同様に、前肢

の水搔きは中程度で後肢の水搔きは前肢に比 べやや発達している程度。生活史や生態は不 明。

ルは成体では、他のマルガメ属と同様に不明

瞭となる。後部縁甲板は明確な鋸状となるが、 老齢個体では磨耗し不明瞭となる個体が多い。 背甲の色彩は暗褐色から黒色で、幼体時に見

られる各甲板の細黒色の放射模様は、消えて Turtle and tortoise of the world 281

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

4種で構成される。ヒジリガメはかつてヒジ

オオヤマガメ属

の結果、本属に移された。

(Heosemys)

リガメ属とされたが、分子系統学的な研究

ワシントン条約 附属書

レッドリスト 絶滅危惧種

I!類

IB類

トゲヤマガメ 学名:Heosemys spinosa 分布:マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島、 フィリピン南東部の島々 甲長:18〜20cm (最大22.5cm)

若い個体

腹甲

に角ばった淡黄色やオレンジ色の斑紋と 、口

幼体や若個体の全縁甲板の縁には鋭い突起

角から後方に向け同色の条線が入るがヾ成体

を持つことで有名。背甲は丸みのある楕円形

では薄れるか消失する。低地から低山地の丘

で、背高は比較的扁平。中央に比較的明瞭で

陵地などの熱帯雨林や、熱帯モンスーン林内

淡褐色のキールを持ち、縁甲板は鋸歯状。特

の湿潤な林床に生息する。陸棲傾向が強い(幼

に幼体では大きな鋸歯状となり、その先端は

体は半水棲)。繁殖生態は不明な点が多く、食

針状に尖るが、老齢個体では目立たなくなる

性は果実を主にした植物食傾向の強い雑食性。

背甲の色彩は赤みの強い褐色や黄褐色。腹 甲各甲板には初生甲板から暗色の放射模様が

密に入る。頭部はやや小型で、頭部背面は褐 色や灰褐色•暗褐色で、若個体までは鼓膜上 282 Turtle and Tortoise of the world

♦飼育のポイント 単独飼育し、特に他種との同居は避ける。保温は必要 だが乾燥させない。

や灰褐色の地に黄褐色や淡褐色•灰褐色の不

オオヤマガメ

明瞭な大小の虫食い模様を持つ。海岸線から

学名:Heosemys grandis

低山地の丘陵地にかけての河川や池沼、湿地

分布:ミャンマー、タイ(北部を除く)、ラオス南

部、カンボジア、ベトナム南部、マレー 半島

甲長:35〜40cm

など多様なわりと浅い水域に生息し、水辺の 陸上でもよく見かけられる。自然下での繁殖

は不明で、飼育下では1回の産卵数が1〜8 (最大43.5cm)

日本ではよく知られているわりに生態など

の知見は少ない。背甲はやや細長い楕円形で、

個。年間産卵回数は複数回。卵は長楕円形で 硬くもろい白色の卵殻を持つ。孵化日数は100 日前後の報告がある。食性は雑食性。

背高は扁平。背甲中央のキールは成体でも明

確に残り、後部縁甲板は顕著な鋸歯状。背甲 の色彩は赤褐色や褐色で、各甲板の接合部は 暗色。腹甲各甲板には、初生甲板より暗色の

♦飼育のポイント

:

比較的低温には強いが、水温は15°C以下にさせない: ほうが好ましい。大型種で飼育にはそれなりのスペース: を与える。

:

細い放射模様が入る。頭部は中型で、暗褐色 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

283

い。常緑樹林や竹林内およびその周辺に生息

ヒラタヤマガメ

し、高湿度の環境を好む陸棲傾向の強い種と

学名:Heosemys depressa

される。生態や生活史は不明で、食性は飼育

分布:ミャンマー

甲長:22〜25cm

下で動物質を好む雑食性とされる。 (最大26.3cm)

ミャンマー西部のアラカン山脈周辺のみに

分布する同国固有種。背甲はやや長い楕円形 で、背高は比較的扁平。背甲中央に比較的明

瞭なキールを持ち、縁甲板後部は弱い鋸歯状。 色彩は明褐色の地に放射模様が基になる不定 形な種々の黒色模様を持つ 。頭部は中型で、

灰褐色や褐色•暗褐色をしており、頭頂部は

より暗色な傾向を示し、明確な模様などはな 284 Turtle and Tortoise of the World

つ。低地の比較的ゆるやかな流れの河川や池

ヒジリガメ

沼などの、岸辺が植物で覆われた水域に主に

学名:Heosemys annandalii

生息し、水への依存度は高い。自然下での繁

分布:ラオス南部、ベトナム南部、カンボジア、 タイ

甲長:4〇〜50cm

殖は不明で、飼育下(筆者)では産卵は12〜2

月、1回の産卵数は10個前後。年間産卵回数 (最大50.6cm)

オオヤマガメ属中最大で、唯一水棲傾向が

強い。背甲はやや長い楕円形で、背高は扁平

は2回ほど。卵は長楕円形で硬い。食性は植

物食傾向が強いが、飼育下では肉類も比較的

よく食べる。

もしくはゆるやかに盛り上がり、中央部に弱い

破線状か連続したキールを持つ。後部縁甲板

は弱い鋸歯状。背甲•腹甲共、色彩は全体が 黒色や黒褐色で、模様はない。頭部は中型で、

暗褐色の地に黄色の細かな斑紋に覆われるこ とで比較的明るい頭部に見え、眼の後部から

・飼育のポイント 浮き草を好んで食べる。

鼓膜上を通る濁黄色のやや幅のある条線を持

Turtle and Tortoise of the World 285

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

1種で構成され、オオヤマガメ属やマルガメ属に近 縁。

シロアゴヤマガメ属 (Leucocephalon)

を持つ。その模様変異は大きいものの、オオヤ

シロアゴヤマガメ

マガメ属のような放射模様ではない。頭部は

学名:Leucocephalon yuwonoi

やや大型で、色彩は灰褐色や暗褐色・暗色で、

分布:インドネシア (スラウェシ島北部ミナハサ半島) 甲長:28〜30cm

(最大30cm程度)

大小の暗色斑を持つが、その変異は大きい。

上顎・下顎の角質部は薄い淡黄色で、喉部は

白色になる。生態・生活史は不明で、二次林

スラウエシ島北部ミナハサ半島固有種で、1

内の河川流域の浅い水溜りで確認された記録

属1種。背甲はやや長い楕円形、背高は扁平

がある程度で、陸棲傾向の強い半水棲種とさ

で中央部に比較的明瞭なキールを持ち 、肋甲

れ、飼育下では果実を好む雑食性とされる。

板にも弱いキールが認められる。後縁甲板や 前縁甲板には鋸歯状突起を持つが、前縁甲板

の突起は成長と共に小さくなる。背面の色彩

・飼育のポイント 導入時は原虫や寄生虫が多く、駆虫が必要。若い個 体は昆虫類などもよく食べる。立体的な動きをし、飼育

ケージは必ず蓋をする。

は淡黄褐色や褐色•暗褐色で不定形な暗色斑 286 Turtle and Tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

ムツイタガメ属(Notochelys)

1

1種のみで構成される。成長と共に腹甲に蝶 番が発達してくるが、その可動性は低い。マル ガメ属に近縁と見られている。

ワシントン翔

レッドリスト

附属書

絶滅危惧種

II類

[!類

Ш

は中型で、色彩は灰褐色や暗褐色。眼の上か

ムツイタガメ

ら頭側上部•頸部と、口角から頸部に繋がる

学名:Notochelys platynota

分布:マレー半島、ボルネオ島(西部を除く)、

インドネシア(スマトラ島•ジャワ島) 甲長:28〜30cm

2条の不定形な黄褐色や淡褐色の条線を持つ 。 比較的標高の低い原生林や自然度の高い二次

林内を流れる、細流や浅い止水域などの周辺

(最大32cm)

に生息し、水生植物が多い環境を好む。幼体

椎甲板は他のカメが通常5枚であるのに対

は水棲傾向が強いが、成体ではほぼ陸棲とな

し、本種は6〜7枚(名の由来)。背甲はやや

る。生態・生活史は不明で、食性は飼育下で

長く丸みのある楕円形。背高は扁平で、幼体

は果実や水生植物を好む雑食性とされる 。

では中央部のキールは明確に目立つが 、成体

ではわずかな痕跡程度になり椎甲板はほぼ平 らとなる。また、幼体時に前•後縁甲板に見ら れる明瞭な鋸歯状の突起は、成体では後部縁

・飼育のポイント 他のヤマガメを飼う環境で飼育可能だが、本種も立

体的な行動をするため、飼育ケージには必ず蓋をする。

甲板のみに比較的発達した状態で残る。頭部 Turtle and tortoise of the World 287

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

ニセメイシガメ属(Sacalia)

■ 2種で構成され、マルガメ属やオオヤマガメ属

1

に近縁。

|

っう目の形が崩れる。雌雄でも背甲の色彩や

ジャノメイシガメ

頭部・頸部の模様の色彩・明暗などが異なる。

学名:Sacalia bealei

自然下での生態や生活史は不明な点が多く、

分布:中国南部

森林内の渓流や周辺部の湿地、湿原林内の浅

甲長:13〜15cm

(最大16cm)

瀬などに生息する。飼育下での観察では半水

マルガメ属に近縁のグループ。背甲はやや

棲の昼行性で、飼育下では1回の産卵数は2

細長く丸みのある楕円形で、背高は低く、背面

〜6個。卵は長楕円形で白色の硬くもろい卵

中央には弱いキールが残る。背甲の色彩は黄

殻を持つとの報告がある。食性は雑食性とさ

褐色や褐色・暗褐色の地に、小黒斑やそれら

れる〇

が繋がった虫食い模様となる。頭部はやや大 型で、頭部背面は黄褐色やオリーブ色。頭頂

部には暗色の細かな斑紋が密に入る。後頭部 背面後部には眼状斑紋を2対持つが、前部の

・飼育のポイント 比較的低温には強く、亜熱帯の沖縄では無加温で飼 育可能だが、幼体は室内飼育で多少加温する。気性が

荒い性格もあり、複数飼育や他種との同居は避ける。

眼状斑紋は後部の眼状斑紋より不明瞭で、ふ 288 Turtle and Tortoise of the world

ヨツメイシガメ 学名:Sacalia quadriocellata 分布:中国南部

甲長:13〜14cm

標高10〇〜400111の低山地や丘陵地の渓流やそ

の周辺に生息する。自然下での繁殖行動は不 明で、飼育下では半水棲の昼行性で、1回の産

卵数は2〜6卵の報告がある。食性は雑食性 (最大14.5cm)

とされる。

最大甲長ではジャノメイシガメより小型。

形態はジャノメイシガメに似るが、背甲の色彩 は褐色や濃いオリーブ色で 、各甲板には小黒

斑がまばらに散在するが、それがより少ない

個体も存在する。頭部はやや大型。頭頂部は 暗褐色や黒色で、斑紋などはない。後頭部背

面後部には眼状斑紋を2対持ち、前後の眼状 斑紋は同程度に明瞭。雌雄でも背甲の色彩や

♦飼育のポイント ジャノメイシガメと同様。

頭部・頸部の模様の色彩・明暗などが異なる。

Turtle and Tortoise of the World 289

ミナミインドヤマガメ

分布:インド、スリランカ、ネパール、バングラ

クロヤマガメ

デイシュ、ミャンマー

学名:Melanochelys trijuga 別名:クロハラヤマガメ

亜種:ミナミインドヤマガメ

甲長:3〇〜35cm

(最大38.3cm)

インドヤマガメ属は、クロヤマガメとミッ

(M. t. trijuga)

トラバンコアヤマガメ(M. t. coronata)

ビルマヤマガメ(M. t. edeniana) ベンガルヤマガメ (M. t. indopeninsularis)

(M.九parkeri) セイロンヤマガメ(M. t. thermalis)

パーカーヤマガメ

290 Turtle and Tortoise of the World

ウネヤマガメ

(M.tyicayinata)の2種で構成

される。背甲はやや細長い楕円形で、背高は 扁平。通常、中央と左右肋甲板とで3本の キールを持つが、老齢個体では肋甲板のキー

ルが弱くなる場合もある。背甲の色彩は茶褐

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

インドヤマガメ属 (Melanochelys) 2種で構成され、クロヤマガメ(M. trijuga) は水陸両棲種で、ミツウネヤマガメ(M. tricarinata)は陸棲種である。ここでは取り 上げないが、インドには本属以外に1種のみで 構成されるケララヤマガメ属(Vijayachelys) が知られている。

色や暗色•黒色で、キール部が明色や黄色•

孵化日数は12〇〜180日程度。食性は植物食

暗色がかることもある。頭部は中型で、頭部

傾向の強い雑食性。

背面は褐色や暗色•黒色で、亜種や個体によ り不定形な斑紋や幅広の条線などを持つ。熱

帯多雨林や熱帯モンスーン地帯の低地から

1000111前後の丘陵地の湿地や池沼などの、水 生植物が繁茂した水域を好み生息し、水棲傾

向が強い。1回の産卵は3〜8個で、年間産

:・飼育のポイント :

:

半水棲ガメの一般的な飼育法でよいが、強い耐寒性:

:はなく、多少保温の必要はある。繁殖期にオスの気性: :が荒くなる傾向があり、複数飼育には注意が必要。

:

卵回数は不明。卵は球形に近い楕円形で硬く 、

Turtle and Tortoise of the World 291

292

Гики I and Tortoise of the world

ミッウネヤマガメ 学名:Melanochelys tricarinata

分布:インド北東部、ネパール南部 甲長:最大17.4cm

インドヤマガメ属中では小型。背甲は長楕

ワシントン辅 附属書

レッドリスト 絶滅危慎種

I類

I!類

る。ガンジス川流域とブラマプトラ川流域の

低地や丘陵地、ヒマラヤ山脈の低山地などの 森林、林とその周辺部の草地などの湿度の高

い環境を好み生息する。生態や生活史は不明

な点が多く、飼育下では魚類、果実、野菜な どを食べた例があり、雑食性と推定される。

円形でゆるやかなドーム状に盛り上がり、第

2 • 3頂甲板は水平に近い。椎甲板の中央と 左右肋甲板には3本のキールがある〇背甲全

体は黒褐色で、甲縁部とキール部は黄褐色と なる。頭部は中型で背甲とほぼ同色だが、吻

端部後方から眼上後には濃褐色の条線が入

り、その後方に頸部に繋がる同色の条線が入

Turtle and Tortoise of the World 293

■ 2種で構成される。

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科 (Geoemydidae)

ホオジロクロガメ属

(Siebenrockiella) |

オス

ホオジロクロガメ 学名:Siebenrockiella crassicollis

メス

分布:インドシナ半島、マレー半島、ボルネオ 島、スマトラ島、ジャワ島

甲長:18〜20cm (最大20cm)

1属2種で構成される。飼育下では50年以 上生存した例がある〇背甲はやや長い楕円形、

若い個体

背高は扁平で、中央部と左右肋甲板にキール を持つが、肋甲板のキールは成長と共に消失

4〜6月に産卵が行われ、1回の産卵数は3

する。後部縁甲板は比較的発達した鋸歯状。

〜4個。年間産卵回数は複数回。卵は長楕円

背甲の色彩は黒色一色。頭部はやや大型で、

形で硬い。食性は水底で貝類や甲殻類などを

頭部背面は黒色や暗灰色。後頭部の左右に白

捕食する肉食傾向の強い雑食性。地域により

色の明瞭な斑紋を持つが、オスの成体では消

食用とされる。

失する。水棲傾向が強い。低地や丘陵地の運 河や小河川などの濁った泥底の環境を好み、

泳ぐというより水底を歩く。マレーシアでは 294

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

♦飼育のポイント 低温に弱く、飼育は水温を30°C前後に保つ。

フィリピンヤマガメ 学名:Siebenrockiella leytensis 別名:レイテヤマガメ

て入る白色のやや幅のある首輪模様の条線が 目立つ。森林内の流れのゆるやかな、比較的 水深のある河川•湖沼などに生息し、水棲傾

向が強く泳ぎはうまい。生活史や生態の知見

分布:フィリピン(パラワン島および周辺の島 )

は少なく、1回の産卵数は1〜2個で、卵は長

甲長:2〇〜25cm

楕円形で硬くもろい卵殻を持つ。食性は水棲

(最大30cm以上)

模式標本がレイテ島とされるが、レイテ島に

は分布しない。背甲は俵型で、背高はゆるや

動物を主に藻類や果実も食べる雑食性とされ る〇

かなドーム状で厚みがある。背甲の色彩は褐

色で、滑らかな背面には模様はない。後部縁

甲板は大きく鋸歯状。頭部は大きく、吻端は突

き出ており、側面にはピンクや赤みのある虫食 い模様が数個あり、後頭部から口角後にかけ

Turtle and Tortoise of the World 295

部縁甲板は鋸歯状となるが、老齢個体では磨

リュウキュウヤマガメ

耗することが多い。背面の色彩は変異に富む

学名:Geoemyda japonica

が、一般的には明褐色や暗褐色で、キール部の

分布:日本(沖縄諸島北部および渡嘉敷島・ 久米島)

甲長:12〜14cm

甲板に暗色模様が入ることが多い 。沖縄島で は一般的に「ヤンバルガーミ」と呼ばれ、背甲

(最大18cm以下)

に苔が付き黒っぽいものを「クロガーミ」、全

沖縄諸島の固有種で、唯一の在来種。背

体に赤みの強い個体を「アカガーミ」と呼び、

甲は卵形、背高は扁平で中央と左右肋甲板に

単に「ヤマガーミ」と呼ばれるものは沖縄島に

キールを持つが、特に中央のキールは顕著。後

帰化したヤエヤマイシガメを指すが、近年、そ

296 Turtle and Tortoise of the World

の名称は混同されつつある。頭部は中型で、頭

岩穴や隙間、シダ類のブッシュなどに潜り込ん

部背面の色彩は背甲と同色に近く、側面から

で越冬するが、一部活動する個体も見かけら

頸部にかけ断続的な条線や上顎に複雑な模様

れる。産卵は5月末〜9月初旬。うち、7~8

が入り、その色彩は黄褐色から褐色•赤褐色•

月がピークで、1回の産卵数は1〜3個。年間

赤色と、個体により大きく変異する。低地から

産卵回数は複数回。卵は長楕円形で硬く、孵

山地に広く生息するが、山地棲が強く丈夫な

化日数は80日前後。食性は雑食性だが、餌と

四肢でほぼ垂直な斜面なども登り、斜面を主

なる陸棲貝類や節足動物が極度に減る冬季に

な休息場所とする。夏季の高温時は沢などの

は、イチジク科の果実を主に果実食が強まる。

水辺に集まり、冬季の低温時は主に嶺沿いの TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

297

や幅広の黄色や白色の条線が後頭部まで入る

スペングラーヤマガメ (シュペングラーヤマガメ)

が、オスの成熟個体では消失する。山地や丘

学名:Geoemyda spengleri

陸棲傾向が強い。高温には比較的弱く、冬季

別名:オナガヤマガメ

分布:中国南部、ベトナム 甲長:1〇〜15cm

背甲はやや細長い楕円形。背高は非常に

扁平で、中央部と左右肋甲板にやや発達した

陵地の自然度の高い森林内の林床に生息し、

には冬眠するとされる。自然界での生活史や 生態は不明な点が多い。飼育下では1回に1

〜2個産卵し、孵化日数は7〇〜80日程度とさ れ、食性も飼育下ではいろいろな昆虫類や果 実類を食べることから雑食性と推測される。

キールを持つ。後部縁甲板は顕著な鋸歯状。

背甲の色彩は明褐色から黄褐色で、赤みを帯 びることもある。キールの側面は暗色や黒色。 頭部はやや大型で、頭部背面は暗色や暗褐色

♦飼育のポイント 涼しい環境を好み、夏の高温を避ける。地表昆虫を

好む傾向があり、そうした餌を使用する場合は定期的

に検便し、駆虫する。

が多く、若個体やメスには頭頂部の両側にや 298 Turtle and Tortoise of the World

潜頸目(Cryptodira) イシガメ(バタグールガメ)科(Geoemydidae)

アメリカヤマガメ属 (Rhinoclemmys)

アシポチヤマガメ (R. punctularia)^ミゾヤマガメ (R.

I

areolata).カンムリヤマガメ (R. diademata)、ハラ スジャマガメ (R. funerealクロムネヤマガメ (R. melanosterna)^ハナトガリヤマガメ (R. nasuta\ア カスジャマガメ (R. pulcherrima)>ネンリンヤマガメ (R. annulata),ルビダヤマガメ (R. rubida)の3グ ループ計9種で構成される。

を持つが、個体により頭頂部の模様先端が繋

アシポチヤマガメ

がり馬蹄形になることもある。頭側部には黄

学名:Rhinoclemmys punctularia

色の不規則な虫食い模様を持つ。四肢は黒色

別名:ギアナヤマガメ

で黄色の条線が細かく断続することが名の由

亜種:ギアナアシポチヤマガメ (R. p. punctularia)

来。森林の水辺周辺などのほか多様な淡水域

オリノコアシポチヤマガメ(R p. flammigerai)

に生息する。後肢の水搔きは発達し、泳ぎは

分布:南米北部沿岸部

うまいが、陸上でも活発に活動できる。生活史

甲長:2〇〜24cm

や生態の知見は少なく、1回の産卵数は1〜2

(最大24.8cm)

日本国内では「ギアナヤマガメ」として知ら

個。年間複数回産卵し、卵は大きな長楕円形

れ、2亜種で構成される。背甲はやや長い卵

で卵は硬くもろい卵殻を持つ。孵化日数は90

形。背高は高くドーム型で、背面中央にキー

日前後。食性は植物食傾向の強い雑食性。

ルを持つ。 幼体の背甲の色彩は赤褐色や黄褐

色・ブロンズ色だが、成長と共に暗色や黒色 になる。頭部は中型。頭部背面は黒色で、頭

・飼育のポイント 半水棲向けの設備で陸場を設置し、冬場の保温は しっかりする。

頂部と後頭部に赤やオレンジ色の八の字模様

Turtle and tortoise of the World 299

みがかった黄色条線が八の字模様に入るほか、

ミゾヤマガメ

下顎側面から頸部側面に不定形な暗色小斑が

学名:Rhinoclemmys areolata 分布:メキシコ南東部、ベリーズ、グアテマラ

北東部

甲長:18〜20cm

散在する。自然度の高い、森林に接するサバン ナの草地•藪地•低木林などに主に生息し、そ うした環境の湿地や浅い水場にも見られるが、

(最大20.7cm)

陸棲傾向が強い。繁殖生態は分布域が広く、調

アメリカヤマガメ属中では中型。背甲は卵

査不足だが、産卵は5〜7月で、1回の産卵数

形。背高はゆるやかなドーム型で、比較的滑ら

は1〜2個。卵は大きな長楕円形で硬くても

かな甲板を持つ。背甲の色彩は、幼体時は各甲

ろい白色の卵殻を持ち、産卵回数は複数回とさ

板に暗色に縁取られた赤色や黄色の小斑が入

れ、孵化日数は生息地の環境で変わると推定さ

ることもあるが、成長と共に消失し、全体に暗

れる。食性は植物食傾向の強い雑食性とされる。

褐色からオリーブ色•灰褐色となる。頭部は

やや小型で、吻端の尖りは弱い。頭部背面は暗

:・飼育のポイント

色や暗紫色で、眼の後上部から頸部側面と後

:

:広く浅い水入れを設置する。

頭部上部頸部にかけて、暗色に縁取られた赤 300 Turtle and Tortoise of the World

[

しっかり保温し、高湿度の環境を維持すると同時に 、: :

ることが名の由来。頭側の眼の後部にも連続

カンムリヤマガメ

または断続する同色の条線を持つ。森林内の

学名:Rhinoclemmys diademata

林床や周辺部の池沼や湿地の溜り、小河川な

分布:ベネズエラ、コロンビア

ど淡水域に生息する。後肢の水搔きは発達し、

甲長:2〇〜24cm

半水棲で泳ぎもうまい。生活史や生態は知見

(最大25.4cm)

アメリカヤマガメ属中、最も分布域が狭く、

が少なく、1回に細長く大きな卵を1〜3個産

ベネズエラのマラカイボ湖の北東側を除く沿

卵する。産卵は穴を掘らず、木の根元や草の

岸部と、コロンビア北東部にかかる地域の淡

茂みの中、地面の割れ目に直接産卵するとみ

水域に局所分布するのみ。背甲はやや長い楕

られる。食性は植物食傾向の強い雑食性とさ

円形で、背高はやや扁平で滑らかなドーム型。

れる〇

背甲の色彩は暗灰褐色や黒褐色。頭部は中型 で、吻端は尖らず丸い。頭部背面は黒紫色で、

頭頂部から後頭部にかけて黄色の不定形な馬

・飼育のポイント ミゾヤマガメと同様でよいが、バスキングできる環境

も準備する。同種や他種との同居は避ける。

蹄形模様が明瞭に入り、その模様が冠に見え

Turtle and Tortoise oe the World 301

来。熱帯雨林の低地で森林内の河川や渓流・

ハラスジャマガメ

池沼•湿地などに生息し、属中では水棲傾向

学名:Rhinoclemmys funerea

が強い。生活史や生態の知見は少なく、産卵

分布:ホンジュラス南部からパナマ

期は4〜7月で、1回の産卵数は2〜3個。年

甲長:25〜30cm

(最大33cm)

間産卵回数は1〜4回。卵は長楕円形で硬く

アメリカヤマガメ属中の最大種。’背甲はや

てもろい白色の卵殻を持つ。食性は植物食傾

や長い楕円形で、幼体ではかなり扁平な背甲

向の強い雑食性。

も成長と共に高くなる。背甲の色彩は暗灰色 や黒褐色。頭部は中型で、吻端は尖らず丸い。

眼の虹彩は黒色。頭部背面は黒色や黒紫色で、

頭部側面の眼後部から頸部側面に、暗色で縁 取られたオレンジ色や黄色の条線が入り、頸 部側面や下顎に暗色小斑が多数入る。腹甲は

♦飼育のポイント ルターを使用するのが好ましい。

黒色で、中央に明色の線が入ることが名の由 302 Turtle and Tortoise of the world

:

温和な穫だが、神経質な一面を持ち、導入時はシエ:

:

はサバンナ気候帯から熱帯モンスーン気候帯

クロムネヤマガメ 学名:Rhinoclemmys melanosterna

分布:パナマ北部、コロンビア北部•西部、工 クアドル北西部 甲長:23〜29cm

とさまざまだが、そうした気候帯のサバンナや

森林内の種々の淡水域に生息し、時には汽水

域で観察されることもある。水棲傾向が強く、 後肢の水搔きはよく発達する。生活史や生態

(最大29cm)

の知見は少なく、コロンビアでは産卵は周年行

アメリカヤマガメ属中ではハラスジャマガ

われるとされ、1回の産卵数は1〜2個。産卵

メに次ぐ大型種。背甲はやや長い楕円形で、

回数は年間複数回で、卵は大きな長楕円形で

背高はやや高いドーム型からやや扁平な個体

硬くもろい白色の卵殻を持つ。産卵穴は掘ら

もいる。背甲の色彩は灰褐色や黒色・黒褐色。

ず落ち葉や腐葉土を薄くかける程度といわれ

頭部は中型で吻端はやや尖る。頭部背面は黒

る。食性は植物食傾向の強い雑食性。

色や黒褐色で、吻端左右後部から頸部に繋が る明黄色の条線が入る。この条線の色は地域

により、黄緑色やオレンジ色・赤色と変異する。

:♦飼育のポイント :

半水棲向けの設備で陸場を設置し、冬場の保温は

:しっかりする。

眼の虹彩は黄色または緑がかった白色。本種

Turtle and Tortoise of the World 303

アメリカヤマガメ属中、最も色彩が豊かな

アカスジヤマガメ

種を含む4亜種で構成される。背甲は扁平で

学名:Rhinoclemmys pulcherrima 亜種:メキシコアカスジャマガメ

(R p. pulcherrima)

比較的幅広く、丸みのある楕円形のメキシコ アカスジヤマガメ・バーバーアカスジャマガ

グアテマラアカスジヤマガメ (R. p. incisa)

メ(両者共、メキシコ固有種)のうち、前者は

コスタリカアカスジャマガメ (R. p. manni)

一般的に灰褐色の背甲で、肋甲板には暗色に

バーバーアカスジヤマガメ (R p. rogerbarbouri)

囲まれた赤やオレンジ色の小斑を持ち、頭部

分布:メキシコ北西部からコスタリカ

の吻端に赤色の条線が複数入る。また、頭頂

甲長:16〜20cm (最大21.4cm)

部や頭側に同色の小斑が散在する。後者の背

304 Turtle and tortoise of the World

甲は褐色や暗色で、暗色の後頭部に赤色の細

が悪いこと、頭部に数本の条線が入ること、上

い八の字模様を持つ。グアテマラアカスジャ

顎に鈎がないことで区別できる。海岸線の低

マガメは北部・南部の個体群では甲高が異な

地から低山地の河川に隣接する森林の林床や

り、南部の個体群は甲が高い。コスタリカアカ

草地に生息し、陸棲傾向が強いが、比較的湿度

スジャマガメの背甲は高くドーム型で 、褐色や

の高い環境を好み、水中も積極的に利用する。

暗褐色の地色に各甲板には赤色や黄褐色の大

食性は植物食傾向の強い雑食性。

きく派手な目玉模様を1個持つ。頭頂部や頭 側部にも赤色の長短のある細い条線がいく重

・飼育のポイント 低温に弱く、十分な保温をする。

にも入る。また、他属とは指間に水搔きの発達

Turtle and tortoise of the World 305

頭部背面には同色の不定形なи字型模様や、中

ルビダヤマガメ

央に不連続の条線など個体差のある模様とな

学名:Rhinoclemmys rubida 亜種:オアハカヤマガメ

(R r. rubida)

コリマヤマガメ(/?./; perixantha) 分布:メキシコ南西部

甲長:15cm前後(最大23cm)

る。頭側も頸部に向かう同色の断続条線が複

数入る。太平洋側の海岸線近くの低地から低 山地•丘陵地の岩場混じりの林床の、比較的

乾燥した森林内に生息し、水にはほとんど入

らないが湿った環境を好む。陸棲傾向の強い

アメリカヤマガメ属中の最小種で、メキシ

種で、乾季には休眠し、雨季に活発に活動す

コ固有種。背甲はやや長い卵形で、背高はや

る。生活史や生態の知見は少なく、食性は植

や扁平。背甲の色彩は、椎甲板や縁甲板は明

物食傾向の強い雑食性。

褐色や暗褐色で肋甲板は濃暗色。各肋甲板の 初生甲板中央に黄色や褐色の小斑を持つ。頭 部は中型で吻端はやや突き出す。吻端には黄

・飼育のポイント 広く浅い水入れを設置し、ある程度乾いた環境と湿度

のやや高い環境を作る。

色や淡褐色•赤褐色などの2本の条線が入り、 306 Turtle and Tortoise of the World

カメ類の飼育

Turtle and Tortoise of the World 307

カメ類の飼育

そこで、数多く考えられる飼育手法やカメの 生態・形態などから、自分なりの飼育の楽し

動物を飼育するうえで最も重要なのは、「飼 疔ケース内を簡素化し、飼育しやすくすること」

みを見つけることが、飼育をより継続する糧に なるのではなかろうか。

に尽きる。そのためには、飼育個体に必要な

備品類の使用目的と必要性を知ることが大切

飼育ケースの条件とサイズ

である。 基本的にカメを飼育する際、準備しなけれ

ばならないのは、

たとえば、飼育ケースを単に市販の水槽を 使用するのではなく、水に依存度の高い水棲

種のカメであれば水深は最低でも甲長の長さ 、 ① 飼育ケース

陸地の面積は最低でも飼育個体の大きさ、飼

② 水入れ

育容器の高さは陸地の上面から飼育個体の全

③ 床材

長の2倍(蓋を被せるのであれば甲長の長さ)、

④水

水場の面積は飼育個体の面積の6倍を目安に

⑤ 最高最低温度計または水温計(サーモスタッ

する。一方、陸に依存度の高い種であれば、

トを含む)

飼育容器の高さは飼育個体の最低で甲長の

1.5倍(側面が金網の場合は必ず蓋を付ける)、 の5つ。もちろん、甲羅の形成に欠かせな

陸地面積は最低でも飼育個体の6倍、水入れ

い太陽光または爬虫類用ライトの照射も重要

は最低でも飼育個体の1.5倍が望ましい。水

だが、日光が当たる場所で飼う場合は不要で

深は、陸に依存度の高いヌマガメ類であれば

ある。

甲羅全体が水に浸る程度(甲羅の一部が常に

飼育ケース内は乾燥させて(水棲種は乾燥

乾燥状態では甲羅が日焼けを起こす原因とな

した陸地)、いつでも新鮮な水に浸ることがで

る)、リクガメ類であれば縁甲板が水に沈む程

きるようにセッティングする。毎日の世話その

度(飲み水だけでは脱皮に支障をきたす場合

ものは単調な作業だ。だからといって、日々、

がある)とする。

決まった時間に単一の餌をただ入れ、ケース

飼育ケースはこのような条件を満たすのもの

の底に砂や砂利を入れていたのでは 、そこが

であれば、自作してもいいし、身近な水の漏ら

雑菌類の温床なってしまい、結果、飼育環境

ない容器類(たとえば、衣装ケース・コンテナ

の洗浄が面倒になりがちですぐに飽きてしまう

ボックス・トロ箱:セメントをこねる容器など)

のは当然のことである。気がつけば、食べ残

を使用することができるだろう。加工も簡単で、

しゃフンが床材と入り混じり、カメの姿そのも

底に穴を開け、シンクの排水ホースや洗濯機の

のが見えにくくなったりするケースがよくあると

排水ホースなどと繋げることで水換えが容易に

いうことだ。

なる。水に依存度の高い種では水槽に 7分目

308 Turtle and tortoise of the world

水槽

爬虫類用ケース

衣裳ケース

コンテナボックス

飼育ケースの例

水に依存度の高いカメの飼育環境例

網蓋など

陸に依存度の高いカメの飼育環境例

ほど水を入れ、網蓋などを必ず設置すること

られるが、各々でスペース的にいろいろなケー

で蒸れが解消でき、水面には固定された陸場

スがあるだろう。ここでは、基本的な事柄に

を設けると良い。そうすることで、カメが水中

ついて述べる。

を自由に泳ぐ光景(水中に1カ所くらいは体を

休める場所をつくるのも良い)を楽しめる。

まず、屋上だが、一般的に周囲はコンクリー

トで固められており、夏は照り返しなどで極度

の高温になりやすく、冬はその逆で吹きさらし

野外飼育の場所

のなか極度な低温になりやすく、その他、い くらでも屋上で行うデメリットが考えられる。こ

カメを野外^で飼うといっても、さまざまな場 所が挙げられ、その方法も1つではない。野 外は大きく分けると屋上 、ベランダ'、庭に分け

ういった理由から、屋上は動物を飼育するうえ

で不向きな場所といえ、推奨できない。 ベランダはアパートからマンション・自宅と、

Turtle and Tortoise of the world 309

れも必要であり、放し飼いはおすすめできない。

ベランダで飼う場合はカメに与えられるスペー スを決めて仕切り(仕切りはカメが登れない材

料か、上面に内向きの忍び返しを設置する)、 床面には爪が磨り減らないゴムマットやベニヤ を敷き、水棲種の場合はトロ舟や風呂桶など

を使用すると良い。また、ベランダを紫外線を 爬虫類用飼育ケース例

通す壁材で囲み、丸ごと温室にする方法も挙 げられる。

なお、ベランダ飼育はスペースの関係でカメ のために広く使用することができない場合が多

い〇小型のカメ類は水場の横に陸場を設けや すいが、クサガメ程度のサイズになるとそうも

いかない。さらに、その中で繁殖を考える場 合は、下の水場と上の陸場を板 (最低収容す るカメの幅の大きさ)などで繋ぐ方式が良い。 自作のリクガメ飼育場

水場の上から10cm程度上げた位置こ、水場よ

り小さく産卵に必要な大きさの陸場の容器を これも各々でさまざまなスペースが考えられる

設置し、陸場の前後に'多少なりスペースを設け

が、一般的なアパート•マンションのベランダ

て、水場に太陽光が入るようにする。橋渡し

は狭く、中にはベランダで放し飼いをしている

の板は斜面(斜面の角度は45度以下とする)

という人をよく見かける。しかし、そこには洗

濯機や洗濯干し場があり、電気配線や洗剤・ 漂白剤を使用する場所にもなっており、カメ類 には危険が伴う。また、床はコンクリートであり、

カメ類の爪が磨り減りやすいという難点ばかり か、カメがベランダの角を登り、落下する事故 が多々見受けられる。さらに、隣家との仕切り

を押しのけ(甲長20cmほどのカメであればブ ロック1つくらいの物は比較的楽にどかされて

しまう)、隣家が大事にしている植物を食べて しまった例も何度か聞いたことがある 。糞尿の

ことも忘れてはならないし、比較的大きな水入 310

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

ベランダでの飼育例

ワイヤーメッシュの柵

як

翻晦 i ■■■■■腦 I»

ブロックで囲う(50cm以上埋めて)

庭での飼育例

となるが、登りやすくするために数本の細い桟

飼育している意味がないし、盗難や逃亡の原

を設けてやればカメも上り下りが楽になる。最

因となる。特に穴を掘る種では落盤による事

初にいく度かカメを上の陸場に置き、下の水場

故を起こし、生き埋めとなる可能性も考えられ

にいくようにカメを仕向けることで、自然と陸

る。イヌ•ネズミ•ネコ・猛禽類・カラス、最

場と水場を行き来するようになるだろう。当然

近ではハクビシンやアライグマなどによる被害

のことだが、その全体を金網などで囲み、逃

も考慮しておくことを忘れずに!さて、庭に

亡しないようにすると良いが、前面と上面は開

池を作る場合、多くの人は穴を掘るだろう。し

けられるようにすると作業がしやすくなる 。下

かし、それでは排水が困難で施工も厄介にな

の水場も配水や掃除がスムーズにできるように

るため、池は地表より「池の深さ+配水管径+

地面の高さより高い位置に上げておくことも忘

lOcmJほど上げて施工し、排水は水道管が5

れずに!水場の排水は、水場の底に穴を開

〜10сп!径のもの使い、水道管は90度の繋ぎ

けて水道管の繋ぎ部品を水中ボンドなどで固

でL型に組み立ち上げて、池の底にあたる位

定し、それに合った水道管を「水深+繋ぎ部

置に水道管の繋ぎ部品を付ける。「必要な水

品への挿入」の長さに切り、差し込むだけで

深+繋ぎ」に差し込みの長さに水道管を切っ

水位を保つことができる。こうすることで、排

て差し込めば水深が確保され、その上面から

水時はその管を抜くだけで楽に排水ができる

雨が降ってもオーバーフローとなり 、水深は保

ようになるわけだ。また、そのような排水がで

たれる具合である。排水する際は、水深を保つ

きない場合は、家庭用の水中ポンプを使用し、

ている水道管を抜けば一気に排水される 。池

ゴミなどはネットで掬い取っても良い。

の周囲と陸地のスペースはブロックで囲み、そ

庭での飼育もよく放し飼いにしている光景を

の周囲にワイヤーメッシュで柵を付ける。陸地

見かけるが、どこに行ったか分からないでは、

には、土を池より5cm程度低く入れることで、

Turtle and Tortoise of the World 311

雨天時でも池に濁った水が入り難く、囲いのワ イヤーメッシュの上に取り外し可能な網ネット

をかければ、他の動物からの被害も受けにくく

なろう。庭を直接仕切るには地表から深さ50

cmの溝を掘り、ブロックを並べて、その上に仕 切り用のワイヤーメッシュなどを設置し、埋め 戻すことで穴を掘っての逃亡をほほ防げる。さ

らに、飼育場には、冬季用に暖房の利かせら

毛足の短いマット。ホームセンターや1〇〇円ショップな どで入手できる

れる小屋(温室)の設置を薦めるが、仔ガメ の場合は生後2〜3年は室内飼育する。

であれば良い。水底によく入れる砂や砂利 は全く無意味で、逆に水換えが面倒なうえに、



雑菌類の温床となってしまうからだ。また、一 般的に使用される濾過器はゴミ類の除去には

水棲種の飼育に際し、よく「カルキ抜きはし

なるが、細菌類などの除去にはならない。陸

なくともよいのか?」「天然水はどうしたら手に

に依存度の強い種や陸棲種では滑らないもの

入るのか?」という質問を受ける。カルキ抜き

でかまわないが、陸で主に採食•糞尿を行う

や塩素を除去する必要のあるのは繊細な鯉、で

ため、砂や砂利・土などでは掃除が面倒にな

呼吸する動物(魚類や水棲甲殻類など)を飼

るだけでなく、繁殖を考えない場合は、吸水

育する場合で、肺呼吸を行う動物(哺乳類や

性が高く掃除が簡単で短時間の保湿性もあり 、

鳥類・爬虫類など)には必要なく、塩素濃度

歩きやすいという理由から、固めの毛足の短

の高い地域などで心配ならひと晚汲み置きして

いマット(人間用)をすすめる〇ペットシーツ

おくだけでよく、通常は特殊なカメ類を除き、

を使用するケースも見かけるが、すぐクチャク

水道水をそのまま使用しても問題はない。

チャになりやす、両面テープで固定するのは、 カメの誤食や粘着のおそれが高いことですす

陸(床材) 水に依存度の高い種の「陸」とは、

められない。

温度計または水温計

① 水から上がりやすい ② 体を安定させることができる ③ 乾燥しやすく、甲羅干しゃ日光浴などがで

きる(繁殖を考える場合を除く) ④ スペースは飼育個体数分の広さ(多少重な

り合ってもかまわない)

312 Turtle and Tortoise of the World

変温動物を飼育するうえで、飼育動物を取 り巻く温・湿度や水温を知らずに飼育している

人をかなり見受ける。変温動物は、その動物

を取り巻く生息環境の温度により体温が変化 する動物であり(一般に周囲の温度より体温は

温度計•湿度計

1〜2むほど高いとみられている)、生息環境

温湿度計

だ。一日の温度変化を知ることが重要で、一

により冬眠や夏眠を行う種も少なくない。よく

日の最高最低温度を計測できる 、最高最低温

誤解されているのは、日本などの温帯地域に

度計(ホームセンターや金物店で購入できる)

生息する変温動物は、一般的に冬季に冬眠す

の設置は、変温動物の飼育には欠かせない。”

ることが広く知られているのと同様に、熱帯地

爬虫類飼育用の温度計も専門店などで入手可

域の変温動物であっても寒くなれば冬眠する

能だ。温度計を設置する意味はその他に、飼

と思い込んでいる人もいる。しかし、熱帯地

育動物の最も餌食いに適した温度を知ること、

域や亜熱帯地域の変温動物は冬眠という生理

専門家などに飼育相談を行う際に必ず問われ

を持たないため、低温に長時間晒された場合

る、「脱皮の周期」「繁殖期の各工程」などに

は死に繋がってしまうのである。逆に、亜熱帯

必要不可欠な器具の1つである。

以北の変温動物は夏眠(全ての種ではないが) という生理を持ち合わせてはいない 。こうした

暖房機器

冬眠や夏眠は、人工的にその条件をつくり出

して行うことが一般的に困難で、冬眠する動

近年、暖冷房機器の多くは電気を使用する

物は暖房し、夏眠する動物は冷房もしくは涼し

製品が多く、動物飼育の世界でも無意識に電

い場所に移動して飼育することが無難。特に

気の使用に頼りきっているのが現状のように見

仔ガメ類の場合は、体が小さいが故に温度変

受けられる。そうした中で事故や自然災害が

化の影響を受けやすいことを念頭に置き、いく

多発している現在、電気の送電がストップす

ら低温に強い種であっても冬季は室内に収容

れば、長年大事に飼育していた動物飼育を止

し、飼育個体が餌食いの良い状態にして、生

めざるを得えない状態にもなりかねない事態

後3年くらいまではこの方法で飼育することを

に陥る。特に、冬季の停電は爬虫類にとって

すすめる。

は致命的になりかねないのだ。そのためにも、

こういった暖房や冷房器具の設置や可動さ

電気を使用しない石油ストーブ(灯油の買い置

せる時期を知るうえで必要となるのが温度計

きと販売店の確認が必要)や、一時的なもの

Turtle and tortoise of the world 313

陸場へ向けてスポットライトを設置する

爬虫類飼育用に市販されているシートヒーター

314 Turtle and Tortoise of the World

陸場や浮き島は乾いた状態に

水中用ヒーター(専用カバーをしているところ)

爬虫類用サーモスタット。使い勝手の良い製品

であればカイロ(24時間使用できるもの)を

な成長が得られなかったり、飼育水が悪化し

準備しておきたい。

がちで、飼育に楽しみが見出せない状況に陥 り、飼育を諦めてしまうことになることが多々

暖房•冷房の方法

あるのではないかと考える。私たちの身の回り

にある餌の条件とは、無添加物•調理してな 爬虫類が最も体調を崩しやすい時期は季節

い・灰汁や尿素が少ない・低脂肪など要するに

の変わり目であり、寒くなってから暖房を入れ

「生」•乾物類、が餌として使用できる食材で

るのでは遅く、暖房の設置は飼育動物の食い

ある。実例を挙げると、

が落ちる時期には設置し、暖房器具にサーモ

スタットを繋ぎ(最近はサーモスタット内蔵の

① 肉類

製品が多いが)、見落としがちな日の出前の低

骨付き鶏肉(胸肉・ササミを除く)・鶏レバー・

温時期に対応する。逆に、暖房を切る時期は

鶏ハツ・鶏砂肝・牛肉(アカ肉)•馬肉・ヒョコ・

食いが安定する最低温度になるまでとするの

ヒナウズラなどで、脂肪の少ないもの。

が良い。温風や冷風は直接飼育容器に当てず、

② 魚類

いったん壁などに当て間接的なものとする。

淡水魚•海水魚(小さなものは丸ごと、大き

なものは切り身とする)•各種魚卵などで、魚

飼育するうえでの餌

肉は脂肪の少ないもの。 ③ 乾物類

カメの餌は購入時、店頭で紹介された人工

ニボシ・乾燥エビ類などの小さなものをその

飼料のみがそのカメの餌と誤解している人や、

まま使用できる。

人間用に加工や調理したものも与えてよいと勘

④ 果実類

違いしている人が飼育相談時によく見受けら

リンゴ・ミカン・バナナ•イチジク・イチゴ・

れる。こうした誤解により、単調で決まった餌

モモ•スイカ•キーウィ•マンゴーなど、甘みが

を与えるだけでは、栄養バランスが悪く順調

ある季節の果実だが、人間用は完熟していな

Turtle and tortoise of the World 315

いものが多く、店頭で多少痛んだものとして販 売されているものが良い〇 ⑤ 野菜類

コマツナ•パクチョイ・キャベツ類•レタス

⑧ 野草類

休日など野タゝで採取できるもの。オオバコ・ カタバミ・タンポポ・ノゲシ類(キク科の野草類)•

水草•芝・クズ•アザミ類など。農薬や殺虫剤

類など。

の散布に気をつけ、郊外の公園などで採集し

⑥ 根菜類

たものでも、中性洗剤で洗浄してから与えるよ

サツマイモ•ジャガイモ・ヤマイモなどの蒸 かしたものやニンジンなど。 ⑦ キノコ類

キクラゲ・イグチ類・シメジ類などの食用キ ノコ類。

うにしよう。 ⑨ 花類

観葉植物の花類は多くのものが使用可能 。 ⑩ 昆虫類

バッタ類•カマキリ類・セミ類・トンボ類・

ミミズ。庭で放し飼いにしていると 、カメ自ら探して捕食 していることも

トンボ類も餌として使用できる

316 Turtle and Tortoise of the World

イトミミズ

ミノムシなど。

べるか、食いつきの良さはどうか、飼育個体

⑪水棲昆虫類

が好きか嫌いか、餌の合せかたなどを工夫す

ヤゴ類・カワムシ類・イトミミズ・アカムシなど。 ⑫両生類

カエル類。 ⑬魚類

ることで、興味や楽しみが湧くことに繋がって

くるだろう。人工飼料も悪いというのではなく、 こうした餌の1つとして使いたい。また、餌を ただ与えるというのではなく、何をどれくらい

各種川魚などが採集できる。寄生虫などが

の量を与え、食べた量はどれくらいかを把握し

心配な時は、いったん冷凍してから解凍後に

ておくことが重要で、記録しておくと後々役に

与える。

立つことになる。

このように、カメの餌として我々力£日常食用

としてや採集して多種の餌が得られ、これは食

餌用の金魚や川魚は専門店などで 市販されていることも多い

Turtle and Tortoise of the World 317

カメに関するj去律 ◎カメ類を購入•飼育するうえでの関連法律・条例 天然記念物…日本国内で触れることや捕獲 •飼育を禁じた法律。国指定•都道 府県指定などがある。

"国指定天然記念物

ヤエヤマセマルハコガメ•リュウキュウヤマガメ•クサガメ

リュウキュウヤマガメ【国指定天然記念物】

(山口県萩市見島のカメ生息地)・アカウミガメ(静岡県御前崎市御前崎のウミ

ガメおよび産卵地)(徳島県海美波町大浜海岸のウミガメおよび産卵地)

ー市町村指定天然記念物アカウミガメ(宮崎県の産卵地)

◎特定外来生物法…採集•飼養・譲渡•繁殖•運搬•輸入•野外放逐などが禁 じられている。 fカミッキガメ科(カミッキガメ •ワニガメ) カミッキガメ【特定外来生物法】

◎動物取り扱い業…動物を販売・保管•貸し出し•訓練•展示•譲渡を行う場合 には動物取り扱い業の登録が必要となる。また、対面販売を義務付けられ、通 信販売は禁じられている。

◎ワシントン条約…国際的な商取引を規制するもの 。日本国内で附属書I類に掲 げられている種の飼育には 、登録票が必要となる(ホウシャガメなど)。

ホウシャガメ【ワシントン条約I類掲載種】

【引用.参考文献資料]-------------- ----------安川雄一郎(2000〜2017):「カメ類の各属と自然史」爬虫•両生類

情報誌クリーパー(創刊号〜76号)/クリーパー社 エクストラ•クリーパー (2006〜2009) 01〜04号/クリーパー社

爬虫•両生類情報誌クリーパー (2000〜2017)創刊号〜77号/クリー パー社 海老沼剛(2011):Г爬虫両生類パーフェクトガイド水棲ガメ」/誠文 堂新光社 海老沼剛(2012) :「世界の爬虫類ビジュアル図鑑 」/誠文堂新光 社

海老沼剛(2014) :「フォトガイドシ丿一ズリクガメ」/誠文堂新光社

海老沼剛(2009) :「爬虫類•両生類ビジュアル大図鑑」/誠文堂新

光社 川添宣広(2010) :「爬虫•両生類飼育ガイドホシガメ」/誠文堂新

光社

千石正一監修(1996) :「爬虫類•両生類800種図鑑」/ピーシーズ 千石正一総監修(2005) :「HER・ PET・ OLOGY水棲ガメの世界3」 /誠文堂新光社

小家山仁(2000):「カメディカカメの家庭医学」/アートヴィレッジ 小家山仁•浅野龍司・浅野妃美•村杉栄治(1996) :「爬虫類•両 生類の臨床指針」/インターズー

徳永卓也(1996) :「カメの医•食•住」/どうぶつ出版 高田榮一(1973) :「爬虫類図鑑」/朝日ソノラマ

高田榮一(1976) :「大自然の驚異爬虫類生態図鑑」/朝日ソノラマ 高田榮一(1997) :「爬虫類ウォッチング」/平凡社

高田榮一 •大谷勉(2011):Г原色爬虫類•両生類検索図鑑」/北

隆館 当山昌直(1997) :「沖縄の帰化動物(36〜41р)」/沖縄出版 当山昌直(1987):「中国産セマルハコガメの計測値」FAKAMATAJ

49 /沖縄両生爬虫類研究会

318

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD

本多正尚(2009) :「ヤエヤマイシガメの藪地島からの記録」

[AKAMATAJ 20,38 /沖縄両生爬虫類研究会 ブリタニカ国際地図(1974) /TBS •ブリタニカ

THE HAMLYN PUBLISHING GROUP LIMITED (1972) ГТНЕ BOOK OF REPTILES」Hamlyn Rod Patterson (1987) Г REPTILES OF SOUTHERN AFRICAJ STRUIK J. C. DANIEL (1983)「INDIAN REPTILES」BOMBAY NATURAL HISTORY SOCIETY BILL BRANCH' S (1988) Г SNAKES AND OTHER REPTILES of SOUTHERN AFRICAJ New Holland INDRANEIL DAS (1985) Г INDIAN TURTLES A FIELD GUIDEJ WORLD WILDLIFE FUND-INDIA WIROT NUTAPHAND (1979)「THE TURTLES OF THAILANDj STAMFARM ZOOLOGICAL GARDEN ANGUS AND ROBERTSON PUBLISHERS (1978)「TORTOISES OFAUSTRALIAJ John Cann DR.PETER С. H. PRITCHARD (1979)「Encyclopedia of TURTLESJ T.EH. ROGER CONANT (1973) ГА FIELD GUIDE REPTILES AND AMPHIBIANS OF EASTERN/CENTRAL NORTH AMEMCAJ HOUGHTON MIFFLIN COMPANY ROBERT C. STEBBINS (1966) ГА FIELD GUIDE TO WESTERN REPTILES AND AMPHIBIANS」HOUGHTON MIFFLIN COMPANY JOHN し BEHLER (1979)「FIELD GUIDE TO NORTH AMERICAN REPTILES & AMPHIBIANSJ KNOPF

おわりに 本カメ図鑑を執筆するにあたり、私にとっては多少たりとも重い感はあったが 、幸いにも安 川雄一郎氏がクリーパー社の爬虫 ・両生類情報誌「クリーパー」でカメ類の「各属と自然史」

を連載中であり、ご本人の承諾を得て、これをおおいに引用や参考として利用させて頂くとと もに、主に分類はこれに従った。また、筆者が1971年に高田爬虫類研究所に入所後 、故高

田榮一先生が各種の爬虫類を海外より独自のルートで直接輸入されたものを 、惜しげもなく所

員であるわれわれに数多I託して頂き、その飼育を先生や先輩の方々に指導して頂くとともに 、 経験を積む中で、未熟ながら自分なりに試行錯誤しながら多種多様な爬虫•両主類の飼育・ 繁殖を行ってきたことヵら執筆が進むにつれこの種も飼った、あれも見たと徐々に思い出され たものだ。ただ、当時とは高田爬虫類研究所で使用していた和名と異なる種も多く、分類学 の進歩で分類も大きく変わるなか、種や亜種が細分化され、はたして過去に扱った種がどれ だったのか戸惑うことも多くあったが、形態や飼育法など忘れていたことが蘇り 、参考になる

ことは極力本書に反映させたつもりである 。 高田榮一氏が他界後、研究所の整理をお手伝いさせて頂いた時点で 、高田爬虫類研究所

所有の多くの遺品を御遺族より譲り受けたが、残念ながらその多くの動物写真は劣化が見られ

使用できなかった。そのため、本書の写真を掲載するうえで、川添宣広氏にその多くを快く提 供して頂き、それがなければこの図鑑は出版できなかった。この場をお借りして厚くお礼を申 し上げる。その他、現在の高田爬虫類研究所が主催する「沖縄爬虫類友の会」の会員が所

有するカメ類などを過去に撮影させて頂いたものや 、個人的に付き合いのある爬虫類の研究 者や愛好家の写真など過去に承諾を得てお借りしてある写真も 、一部使用させて頂いており、 ここに重ねてお礼を申し上げる 。

著◎大谷勉

text ◎ Tsutomu Otani

2013年11月、高田爬虫類研究所を継承。2000年より始めだ丿ユウキュウヤマガメの調査を継続中 。やんばるツアーなども精力的 に開催。専門誌『クリーパー』(グノーパー社)で連載するほか、著書に『爬虫・両生類ビギナーズガイド』シリーズをはじめ『爬 虫•両生類飼育ガイドヘビ]『日本の爬虫類•両生類飼育図鑑』(誠文堂新光社)、『日本の爬虫両生類157』(文一総合出版)、 『原色爬虫類•両生類検索図鑑』(北隆館)などがある。

編•写真◎川添 宣広

edition&photo ◎ Nobuhiro Kawazoe

1972年生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て2001年に独立(http://www.ne.jp/asahi/nov/nov/nov/HOME. html)o爬虫類・両生類専門誌をはじめ、『爬虫類•両生類ビジュアル大図鑑1000種』『爬虫類•両生類フォトガイドシリーズ 』『日 本の爬虫類•両生類フィールド観察図鑑』『フクロウ完全飼育』(誠文堂新光社)、『爬虫類・両生類1800種図鑑』(三才ブッ ・クス)など手がけた書籍、雑誌多数。

制作© freedom

協力◎青木一弘、アクアセノーテ、AsiAjp、安次嶺要、aLiVe、ESP、iZoo、いまそんふあ〜む、ウッドベル、エンドレスゾーン、 大久保智哉、大谷勉、沖縄海洋博美ら海水族館、オリュザ、Gai、加藤学、カメランドヒグチ、カフェリトルズー、河井雅典、

亀太郎、キボシ亀男、木下千尋、小家山仁、クリーパー社、KOBU JAPAN.櫻井トレーディング、スペクトラムブランズジャパン㈱ 、

高田爬虫類研究所沖縄分室、タートルファームヤットカメ、知念裕、ディノドン、どうぶつ共和国ウォマ+、鳥羽水族館、

戸村はるい、ドリフトウッド、永井浩司、仲間祐樹、成田卓爾、野毛山動物園、爬虫類倶楽部、爬虫類屋、ハープタイル刃ヾーズ、 花城さん、ビバリウムハウス、ビーボックスアクアリウム、プミリオ、ぶりくら市、松下亮、松村しのぶ、リミックスペポニ、レップジャパン、 レプタイルショップ、ワイルドスカイ、T-lanimak Hさん

世界のカメ類 2018年4月20日初版第1刷発行 大谷勉



編•写真川添宣広

発行者斉藤博 発行所

株式会社文一総合出版

〒162-0812東京都新宿区西五軒町2-5川上ビル

Tel:03-3235-7341(営業),03-3235-7342 (編集),Fax:03-3269-1402 印

http://www.bun-ichi.co.jp/

刷奥村印刷株式会社

©Tsutomu Otani & Nobuhiro Kawazoe 2018

ISBN978-4-8299-7224-3 NDC487

Printed in Japan

A5 (148 x 210mm) 320 ページ

乱丁 •落丁本はお取り替えいたします 。

「JCOP刃〈㈱出版者著作権管理機構委託出版物〉

本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています 。複写される場合は、そのつど事前に、社)出版者著作権 管理機構(電話03-3513-6969. FAX 03-3513-6979. ea-mail: [email protected])の許諾を得てください。また、本書を

代行業者等の第三者に依頼してスキャンやデジタル化することは 、たとえ個人や家庭内での利用であっても一切認められて

おりません。





カW o I dメ

属名

T h H o i s e o f ibe

= •

本書で使用した学名を,

and 世T u r t l e界

大谷勉“ 著川添宣広 編写真

学名索引……i

種小名 亜種名



の順に示した。1種のみの属は種小名を属名に続けている。



和名索引……V とめ,亜種名,別名から種名を参照できるようにした 。

ワシントン条約附属書掲載種……xiv



レッドリスト掲載種....... XV





\ーノ

保護•監視対象種など

Ik'



^





本書で使用した種•亜種の和名を示した。亜種は種の下にま

日本国内法規対象種...... xvi

学名索引 A Acanthochelys macrocephala 085

pallidipectoris 086

hartwegi 179

Caretta caretta 182

carbonaria 028

pallida 179

Carettocbelys inseculpta

denticulata 029

spinifira 179 Astrochelys

radiolata 087

radiata 032, 033

spixii 088

yniphora 032

Actinemys marmorata

В

189 marmorata 189 pallida 189

Amyda cartilaginea 166 Apalone

180

Cheius

Batagur

baska 237 kachuga 240

Batrachemys

fimbriatus 100

Chelodina

nigrita 027

petersi 030 Cbelydra

acutirostris 155

canni 105

rossignonii 154

gunaleni 107

serpentina 152

longicollis 109

osceola 152

mccordi 104

serpentina 152

mccordi 104

しhersina

roteensis 104

Chitra

anguiata 034

firox 176

heliostemma 098

novaeguineae 103

mutica 176,177

nasutus 096

oblonga 110

chitra 167

calvata 177

raniceps 097

reimanni 108

javanensis 167

mutica 177

tuberculatus 099

spinifira 176,179

C

aspera 179 emoryi 179

guadalupensis 179

Callagur bonneoensis

238

timorensis 106

Chelonia mydas 181 agassizii 181 mydas 181

Chelonoidis

chitra 167

indica 167,168 vandijki 167

Cbrysemys picta 198

bellii 198 dorsalis 198

Turtle and Tortoise of the world Index

marginata 198

D

picta 198 Claudius angustatus

chrysea 196

Cuora

miaria 196 reticularia 196

263, 268

Dermatemys mawii 124

amboinensis 268

Dermochelys coriacea

couro 268

kamaoma 268

liniata 268 aurocapitata 263, 271

flavomarginata 262,

262

arnoldi 023

滋247 thurjii 247

Heosemys annandalii 285

depressa 284

083

Gcochelonc

grandis 283 spinosa 282

Homopus

areolatus 035

elegans 025

hololissa 023

platynota 026

boulengeri 035

sulcata 024

frmoralis 035

Dogania subplana 172

E

Geoclemys hamiltonii 246 Geoemyda

Elseya

signataus 035 cafer 035 signataus 035

branderhorsti 114

japonica 296

solus 035

novaeguineae 115

spengleri 298

Hydromedusa

Elusor macrurus 122 Emydoidea blandingii

mouhotii 266

madagascariensis

Hardella thurji 247

dussumieri 022, 023

bourreti 264

mouhotii 263, 266

Erymnochclys

G

galbinifrons 264 mccordi 263, 273

imbricate 184

Dipsochelys

evelynae 262

galbinifrons 263, 264

Eretmochelys

185

263

flavomarginata

persica 186

trinacris 187

Clemmys guttata 190

amboinensis 160,

uersa 221,227

orbicularis 186 H

Deirochelys reticularia

188,196

151

occidentalis 186

Glypyemys

insculpta 191

maximiliani 089

tectifera 089, 090

muhlenbergii 191

188

Emydura macquarii 118

I

Gopherus

agassiziif 057

Indotestudo

emmotti 118

berlandier 057

elongata 052

pani 263, 272

krefftii 118

flavomarginatus 057

forstenii 052, 053

trifasciata 263, 270

macquarii 118

polyhemus 057, 058

travancoria 052, 054

yunnanensis 263

nigra 118

obsti 266

zhoui 263, 274

subglobosa 120

Cyclanorbis

elegans 161 senegalensis 161

atripons 275, 277 dentata 275

barbouri 221,222

worrelli 120

caglei 221,226

dhongoka 239

ernsti 221,224

kachuga 239

australis 121

flavimaculata 221, 232

Emys orbicularis 186,187

geographica 221

enigmatica 275, 279

capolongoi 186

gibbonsi 221,225

fusca 275, 279

colchica 186

bohnii 221,229

gemeli 275, 279, 281

eiselti \86

nigrinoda 221,233

oldhamii 275, 279,

fritzjuergenobsti

280 pulchristriata 275, 278

186

trivittata 239

Kinixys

belliana 039 belliana 039

nogueyi 039 erosa 039, 041

delticola 233

homeana 039, 040

nigrinoda 233

lobatsina 039

galloitalica 186

oculifera 221,231

natalensis 039

hellenica 186

ouachitensis 221,230

spebii 039

hispanica 186

ouachitensis 230

aubryi 162,163

iberica 186

sabinensis 230

frenatum 162

ingauna 186

Cycloderma

Kachug

subglobosa 120

victoriae 121

Cyclemys

К

Graptemys

lanzai 186

luteofusca 186

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

pseudogeographica 221,228 pulchra 221,223

Kinosternon

acutum 138

arizonense 130

勿”加128 chimalhuaca 134

creaseri 139

flavescens 129

Malaclemys terrapin

trijuga 290

Morenia

234

herrerai 132

centrata 234

ocellata 248

hirtipes 135

littoralis 234

petersi 248

chapaense 135

macrospilota 234

hirtipes 135

pileata 234

magdalense 135

rbizopborarum

megacephalum

135 murrayi 135

tarascense 135 integrum 133

leucostomun 141

234

tequesta 234 terrapin 234 Malacochersus tornieri 038

Malayemys

Myucbelys georgesi 117

N Natator depressus 181

Nilssonia

liitbii 171

subniger 062

Notochelys platynota

phayrei 055

cruentatus 142

impressa 055, 056

scorpiodes 142 sonoriense 131

longifemorale 131 sonoriense 131

subrubrum 126

hippocrepis 126 steindacbneri 126

subrubrum 126

Lepidochelys kempii 183

olivacea 183 Leucocephalon yuwonoi 286 Lissemys punctata 164

andersoni 164 punctata 164

scutata 165

M Macrocbelodina

caspica 258 caspica 258

siebenrocki 258 ventrimaculata

lourenti 076 Orlitia borneensis 249

p

lutescens 076 williamsi 076 Pbrynops

steindacbneri 173

Pangshura smitbii 241

pallidipes 241 smitbii 241

geoffroanus 094

geoffroanus 094 tuberosus 094 gibbus 091

heliostemma 098

japonica 254

tecta 241,243

nasutus 096

leprosa 260

tentoria 241,244

raniceps 097

leprosa 260

circumdata 244

tuberculatus 099

saharica 260

flavienter 244

vanderbaegei 092

mutica 257

kami 257 mutica 257

tentoria 244

Pelochelys bibroni 169

williamsi 095

Platemys platycephala 102

nigricans 253

cantorii 170

melanonota 102

reevesii 252

signifera 169

platycephala 102

rivulata 259

Pelodiscus sinensis 174

sinensis 261

Pelomedusa subrufa

Melanochelyi tricarinata 290, 291,

293

trijuga 290, 291 coronata 290 edeniana 290

indopeninsularis

temminckii 156

williamsi 076

勿加093

cxpansa 111

Macroclemys

subniger 062

sylhetensis 241,242

258

parkeri 113

rugosa 112



Mauremys annamensis 256

parietalis 062

upembae 071

287

emys 055

albogulare 142

niger 075

rhodesianus 072

subtrijuga 250, 251

emys 055

cupulatta 069 gabonensis 065

sinuatus 074

postinguinale 141

abaxillare 142

intergularis 068 chapini 070

hurun 171

nigricans 171

scorpiodes 142

castanoides 068

gangeticus 171

macrocephala 250

Manouria

castanoides 068

nanus 066

formosa 171

leucostomun 141

oaxacae 140

carinatus 073 castaneus 067

290

060 nigra 060 olivacea 060 subrufa 060

Peltocephalus

dumerilianus 084

Pelusios adansonii 063

Platysternon

megacephalum 158 megacephalum

158 peguense 158

如158 Podocnemis erythrocepbala 07&

079

expansa 078

parkeri 290

becbuanicus 077

lewyana 078

thermalis 290

broadleyi 064

sextuberculata 07&

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

incisa 304

080

yucatana 192

callirostris 207, 219 callirostris 219

unifilis 07& 081

manni 304

coahuila 192

vogli 07& 082

pulcherrima 304

nelsoni 192

rogerbarbouri 304

ornata 192,195

decorata 207, 215

luteola 195

decussata 207, 212

ornata 195

angusta 212

Psammobates geometricus 036

punctularia 299

oculifer 036

punctularia 299

tentorius 036, 037

flammigera 299

tentorius 037

rubida 299, 306

decussate 212

Testudo graced 047

dorbigni 207, 220

trimeni 037

perixantha 306

anamurensis 047

brasiliensis 220

verroxii 037

rubida 306

antakyensis 047

dorbigni 220

Pseudemys

S

alabamensis 200 concinna 200, 201

armeniaca 047

emolli 207, 218

boxtoni 047

gaigeae 207, 210

cyrenaica 047

Sacalia

concinna 201

bealei 288

floweri 047

floridana 201

quadriocellata 289

graeca 047

suwaanniensis 201

gorzugi 200, 204 nelsoni 201,205

peninsularis 200, 202

rubriventris 201,206

texana 200, 203

Pyxis arachnoides 042

ornata 207, 211

lamverti 047

scripta 207

leytensis 295

marokkensis 047

elegans 207, 209

naveulensis 047

scripta 207, 208

Staurotypus salvinii 150

nikolskii 047

triporcatus 149

pallasi 047

Sternotherus

carinatus 145

Rbinoclemmys

terrestris 047

odoratus 144 Stigmochelys pardalis

melanostema 299,

hermanni 046 boettgeri 046

hercegovinensis

046

hermanni 046

031

babcocki 031

pardalis 031

horsfieldii 051 baluchiorum 051 horsfieldii 051

T

areolata 299, 300

diademata 299, 301

stejnegeri 214

zarudnyi 047

annulata 299

funerea 299, 302

malonei 214

soussensis 047

minor 146

minor 146

lerrapene

kazachstanica 051 rustamovi 051

calorina 192

kleimanni 050

bauri 192

marginata 045

calorina 192

marginata 045

nasuta 299

major 192

weissingeri 045

pulcherrima 299,

mexicana 192

303

304

triunguis 192

Turtle and tortoise of the World Index

troostii 207

stejnegeri 207

perses 047

depressus 148

peltifer 146

R

hartwegi 210 nebulosa 207

ibera 047

brygooi 042

planicauda 044

gaigeae 210

crassicollis 160, 294

Siebenrockiella

arachnoids 042

oblonga 042

iv

chichiriviche 219

Trachemys adiutrix 207

vicina 214 taylori 207 terrapen 207, 213

venusta 207, 216 cataspila 216 grayi 216

uhrigi 216

iversoni 216 panamensis 216 venusta 216 yaquia 207

Trionyx triunguis 175

W Wollumbina

latistemum 116

purvisi 117

和名索引 あ行 アーンストチズガメ

アラバマチズガメ

221, 223, 225

アラブギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

221,224

アイセルヌマガメfヨーロッパヌマガメ

アリゾナド□ガメ130

アオウミガメ

アルジェリアギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

01&181,182

アルゼンチンクジャクガメfミナミクジャクガメ

クロウミガメ181 アカアシガメ

アルゼンチンヘビクビガメ-ギザミネへビクビガメ

027, 028, 029

アカウミガメ182, 184, 318

アルダブラゾウガメ

アカスジャマガメ

アルメニアギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

299, 304

014, 022, 023

グアテマラアカスジャマガメ

304, 305

アンタキアギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

コスタリカアカスジャマガメ

304, 305

アンナンガメ

バーバーアカスジャマガメ

304, 305

メキシコアカスジャマガメ

304, 305

アカミミガメ

イシガメ123

207

カンバーランドキミミガメ キバラガメ

256

アンボイナハコガメfマレーハコガメ

207

イスパニオラスライダーーハイチスライダー イタリアヌマガメfヨーロッパヌマガメ

207, 208

ミシシッピアカミミガメ

005, 017, 018, 043,

イナグアスライダー・スタイネガースライダー

イボクビスッポン

123, 207, 209 リオグランデアカミミガメ

207

インダスカンムリガメfカンムリガメ

アカミミマゲクビガメ121

アゴブチクジャクガメ

173

イランギリシャリクガメfギリシャリクガメ

207, 219

インドクロハラマルガメ

275, 279, 281

コロンビアクジャクガメ

014, 219

インドコガシラスッポン167,168

ベネズエラクジャクガメ

219

インドシナオオスッポン166

アシポチャマガメ

インドシナニシクイガメ

299

オリノコアシポチャマガメ ギアナアシポチャマガメ

299

アダンソンハコヨコクビガメ

アッサムセタカガメ

299

063, 064

241,242

251

インドセタカガメ-ニシキセタカガメ インドハコスッポン164,165 キタインドハコスッポン164

ミナミインドハコスッポン164,165

アドリアヌマガメ・>ヨーロッパヌマガメ

インドホシガメ

アナホリゴファーガメ

インプレッサムツアシガメ

057, 058

024, 025, 026 055, 056

アナムールギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

アフガニスタンヨツユビリクガメfヨツユビリ クガメ

ヴァンデルヘーゲカエルガメ ウィリアムズカエルガメ

アフリカウスグロハコヨコクビガメfウスグロ ハコヨコクビガメ

アフリカキバラハコヨコクビガメfキバラハコ ヨコクビガメ

092

095

ウィリアムズハコヨコクビガメ

076

エドワードハコヨコクビガメ

076

ビクトリアハコヨコクビガメ

076

ローレントハコヨコクビガメ

076

アフリカヌマヨコクビガメfヌマヨコクビガメ

ゥーリグクジャクガメ-チュウベイクジャクガメ

アマゾンカエルガメ

ウォシタチズガメfフトマユチズガメ

097, 098

アマゾンドロガメ・>サソリドロガメ

アミ メガメ

188, 196,197

ゥオレルマゲクビガメ-ニシキマゲクビガメ

ウスイロトゲスッポンfトゲスッポン

ニシアミメガメ196,197

ウスグロキミミガメ

ヒガシアミメガメ196

ウスグ□ハコヨコクビガメ

フロリダアミメガメ196,197

アメイロヌマガメ т►ヨーロッパヌマガメ

アラバマアカハラガメ

200, 206

207 062

アフリカウスグロハコヨコクビガメ

062

セーシェルウスグロハコヨコクビガメ 062 ゥペンバハコヨコクビガメ

071

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

エイゼルヌマガメfヨーロッパヌマガメ

カブトニオイガメ

エジプトリクガメ

カミッキガメ

050

エドワードハコヨコクビガメ->ウィリアムズハ

コヨコクビガメ

005, 014,145

043, 152, 318

フロリダカミッキガメ152,153

ホクベイカミッキガメ152

エミスムツアシガメ

カラグールガメ

055, 056

ビルマムツアシガメ エロ ンガータリクガメ

238

055

ガラパゴスゾウガメ fサンタクルスゾウガメ

017, 055

ガルフコーストスベスッポンfスベスッポン

015, 017, 018, 052, 053

ガルフコーストトゲスッポンfトゲスッポン

スマトラムツアシガメ

ガルフコーストハコガメ fカロリナハコガメ

カロライナクータ—リバークーター

オアハカドロガメ140 オアハカヤマガメfルビダヤマガメ

カロリナキスイガメfキスイガメ

オウムヒラセリクガメ

カロリナハコガメ!92,193

オオアタマガメ

035

ガルフコーストハコガメ!92,194

005, 〇〇&158

チュウゴクオオアタマガメ158

トウブハコガメ!92,193

ビルマオオアタマガメ15&159

フロリダハコガメ

192, 193,194

ベトナムオオアタマガメ15&159

ミツユビハコガメ

192,194

オオアタマドロガメfザラアシド□ガメ

メキシコハコガメ

192, 193,194

オオアタマへビクビガメ

085

ユカタンハコガメ

192,194

オオアタマヨコクビガメ

084

ガンジスカンムリガメfカンムリガメ

オーストラリアナガクビガメ!09

ガンジススッポン171

オオセタカガメ

カントールマルスッポン170

239, 240

オオハコヨコクビガメ オオヒラセリクガメ

カントンクサガメ

070

253

カンナガクビガメ!05

035

オオフチゾリリクガメ-フチゾリリクガメ

カンバーランドキミミガメ-アカミミガメ

オーブリーフタスッポン162,163

カンボジアモエギハコガメfモエギハコガメ

オオヤマガメ

カンムリカエルガメ

283

オオヨコクビガメ

カンムリガメ

078

オカバンゴハコヨコクビガメ

オサガメ

071,072, 077

011,185

オナガヤマガメfスペングラーヤマガメ

098

247

インダスカンムリガメ

247

ガンジスカンムリガメ

247

カンムリヤマガメ

299, 301

オブストヌマガメ ーヨーロッパヌマガメ

オブストヒラセガメfヒラセガメ

キアシガメ

オリーブヌマヨコクビガメfヌマヨコクビガメ

ギアナアシポチャマガメfアシポチヤマガメ

オリーブヒメウミガメfヒメウミガメ

ギアナカエルガメ

オリノコアシポチャマガメ-アシポチヤマガメ

ギアナヤマガメfアシポチヤマガメ

オルダムマルガメ

キイロドロガメ!29,130

275, 279, 280

02&029

096, 098

ギザミネへビクビガメ

か行

キスイガメ

ガイアナカエルガメfギアナカエルガメ

カロリナキスイガメ

カエルアタマガメfギアナカエルガメ

キタキスイガメ

テキサスキスイガメ

カザフスタンヨツユビリクガメfヨツユビリクガメ

ニシキキスイガメ

ヒガシカスピイシガメ

234, 235

234, 235

ヒガシフロリダキスイガメ

258, 259, 260

ジーベンロックカスピイシガメ

258

258

ブチハラカスピイシガメ

234, 235

234

カクレガメ122

カスピイシガメ

089, 090

234

258

マングローブキスイガメ ミシシッピキスイガメ

キタアカハラガメ

234, 236

234, 236

234, 236

201,206

カスピギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

キタアフリカヌマガメfヨーロッパヌマガメ

カッショクセタカガメ fスミスセタカガメ

キタアンティルスライダー 207, 212

vi

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

キューバスライダー 212

グアダルーベトゲスッポン・> トゲスッポン

タコスライダー 212

グアテマラアカスジャマガメfアカスジヤマガメ

キタインドハコスッポンーインドハコスッポン

グアテマラクジャクガメ-チュウベイクジャクガメ

キタキスイガメfキスイガメ

クサガメfリーブスクサガメ

キタクモノスガメfクモノスガメ

クジャクスッポン171

キタクロコブチズガメ fクロコブチズガメ

グナレンナガクビガメ!07

キタジェフロアカエルガメfジェフロアカエルガメ

クーパークリークマゲクビガメー・►マックオー

キタシモフリヒラセリクガメ-シモフリヒラセ

リーマゲクビガメ

クモノスガメ

リクガメ

042

キタシロクチドロガメfシロクチドロガメ

キタクモノスガメ

キタテントヤブガメfテントヤブガメ

キバラクモノスガメ

042

キタニシキハコガメfニシキハコガメ

ミナミクモノスガメ

042

042

キタニセチズガメfニセチズガメ

クラヌマガメfヨーロッパヌマガメ

キタブチイシガメ fブチイシガメ

クリーザード□ガメ139

ギバタートルfヒメカエルガメ

クリイロハコヨコクビガメ

キバラガメfアカミミガメ

クレフトマゲクビガメfマックオーリーマゲク

067, 06& 074

ビガメ

キバラクモノスガメfクモノスガメ キバラセタカガメfテントセタカガメ

クロウミガメfアオウミガメ

キバラハコヨコクビガメ

クロコブチズガメ

068

アフリカキバラハコヨコクビガメ

221, 231,233

キタクロコブチズガメ

068

233

ミナミ(デルタ)クロコブチズガメ

セーシェルキバラハコヨコクビガメ 068 キボシイシガメ190

クロスッポン171

233

キボシヌマガメfヨーロッパヌマガメ

クロヌマヨコクビガメfヌマヨコクビガメ

ギボンズチズガメ

221,225

クロハコヨコクビガメ

キマダラチズガメ

221,231,232

クロハラハコガメ

075

263, 274

キューバスライダーーキタアンティルスライダー

クロハラヘビクビガメ

キョクトウスッポンfシナスッポン

クロハラモエギハコガメfモエギハコガメ

ギリシャイシガメ 25& 259

クロハラヤマガメfクロヤマガメ

ギリシャリクガメ

クロムネヤマガメ

045, 047, 050

アナムールギリシャリクガメ

アラブギリシャリクガメ

クロヤマガメ

047, 048

047

アンタキアギリシャリクガメ

047, 048

299, 303

290, 291

セイロンヤマガメ

047, 049

アルメニアギリシャリクガメ

パーカーヤマガメ

047

ビルマヤマガメ

カスピギリシャリクガメ

047

ベンガルヤマガメ

047, 048

コーカサスギリシャリクガメ

047, 049

ザグロスギリシャリクガメ スースギリシャリクガメ

290, 292

トラバンコアヤマガメ

イランギリシャリクガメ

キレナイカギリシャリクガメ

005, 088

290, 291

290, 292

ミナミインドヤマガメ

ケイグルチズガメ

047, 049

203, 221, 226, 227

ダゲスタンギリシャリクガメ

047

ヶヅメリクガメ

チュニジアギリシャリクガメ

047, 049

ケンプヒメウミガメ183

レバントギリシャリクガメ

047

047, 049

ランバートギリシャリクガメ

024

047

ムーア(アルジェリア)ギリシャリクガメ モロッコギリシャリクガメ

290

ケープテントヤブガメ-テントヤブガメ

047, 049

ニコルスキーギリシャリクガメ

290, 291

290, 292

047, 049

047, 049

コウヒロナガクビガメ

Ш

コウホソナガクビガメ!10

コーカサスイシガメfカスピイシガメ

コーカサスギリシャリクガメfギリシャリクガメ

キレナイカギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

コガネハコガメ

キンバリーアカミミマゲクビガメ!21

コシヒロカエルガメ

263, 271

099

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

vii

コスタリカアカスジヤマガメ・・アカスジヤマガメ

シモフリヒラセリクガメ

035

ゴツァシド□ガメfザラアシド□ガメ

キタシモフリヒラセリクガメ

コナンスッポン174

ミナミシモフリヒラセリクガメ

035 035

コブタビスッポンーイボクビスッポン

ジャノメイシガメ

ゴマダラマルスッポン169

ジャマイカスライダー 207, 213

コリマヤマガメfルビダヤマガメ

シャムハコガメ —マレーハコガメ

コルキスヌマガメfヨーロッパヌマガメ

ジャワコガシラスッポンfスジクビコガシラ

コルシカヌマガメfヨーロッパヌマガメ

28& 289

スッポン

コロンビアクジャクガメfアゴブチクジャクガメ

ジャワハコガメfマレーハコガメ

コンキンナリバークーターーリバークーター

シュペングラーヤマガメ-スペングラーヤマガメ

ジョフロアカエルガメfジェフロアカエルガメ

さ行

シロアゴヤマガメ

ザグロスギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

シロガオハコヨコクビガメ

サソリドロガメ142

069

シロクチドロガメ!41,143

アマゾンドロガメ142 “アルゼンチンドロガメ”143

キタシロクチドロガメ141 ミナミシロクチドロガメ 141

チアバスドロガメ142

シロハナヒメナガクビガメーニューギニアナガ

ノドジロド□ガメ!42,143

クビガメ

ホオアカドロガメ142,143

サバクゴファーガメ

286

シロアシセタカガメ fスミスセタカガメ

057

サハライシガメ fチチュウカイイシガメ

サバンナヨコクビガメ

07&082

ズアカヒラタヘメビクビガメーヒラタへビクビガメ ズアカヨコクビガメ

〇滉079

サビーンチズガメfフトマユチズガメ

スースギリシャリクガメfギリシャリクガメ

サボナヌマガメfヨーロッパヌマガメ

スジオオニオイガメ!49,151

ザラアシドロガメ135

スジクビコガシラスッポン167 ジャワコガシラスッポン167

オオアタマドロガメ135

タイコガシラスッポン167

チャバラドロガメ!35,136

バックアロドロガメ!35,137

ビックベンドドロガメ135,137

スタイネガースライダー 207, 214

イナグアスライダー 214

マグダレナドロガメ135,136

ドミニカスライダー 214

メキシコバレードロガメ135

プエルトルコスライダー 214

サラドロガメ133

スッポンfシナスッポン

サルヴィンオオニオイガメ149,150

スッポンモドキ00& 009,180

サルディーニャヌマガメ —ヨーロッパヌマガメ

スピークセオレガメ

サンタクルスゾウガメ

スペインイシガメ-チチュウカイイシガメ

027

039

スペインヌマガメ т►ヨーロッパヌマガメ

ザンベジフタスッポン162

スベスッポン176,177

ジーベンロックカスピイシガメfカスピイシガメ ジーベンロックナガクビガメfチリメンナガク

ミドランドスベスッポン177

スペングラーヤマガメ(シュペングラーヤマガ

ビガメ ジェフロアカエルガメ

メ)298

094

キタジェフロアカエルガメ

094

ホスジカエルガメ(ブラジルジェフロアカエ

スマトラムツアシガメfエミスムツアシガメ

スミスセタカガメ

241, 242, 243, 244

カッショクセタカガメ

ルガメ)094

ジェフロイカエルガメfジェフロアカエルガメ シェンシーハコガメ

ガルフコーストスベスッポン177

263, 272

シロアシセタカガメ

241

241

スワニークーターーリバクーター

シシリーヌマガメ187 シナスッポン005, 043,174

viii

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

セイブニシキガメ-ニシキガメ

セイロンヤマガメfクロヤマガメ

パナマクジャクガメ

セウネハコヨコクビガメ

ベラクルスクジャクガメ

073

セーシェルウスグロハコヨコクビガメ—ウスグ

216

ユカタンクジャクガメ

216

216

チュニジアギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

ロハコヨコクビガメ セーシェルキバラハコヨコクビガメfキバラハ

チリメンナガクビガメ!12,113

コヨコクビガメ セーシェルセマルゾウガメ

023

テイラーアカミミガメ

セーシェルヒラセゾウガメ

023

テキサスキスイガメ-キスイガメ

207

セグロヒラタへビクビガメfヒラタへビクビガメ

テキサスクーター 200, 203

セスジニシキガメfニシキガメ

テキサスゴファーガメ

ゼニガメ -ニホンイシガメ,リーブクサガメ

テキサスチズガメ

セネガルフタスッポン161

テキサストゲスッポンfトゲスッポン

セマルハコガメ

017,123, 262, 263

チュウゴクセマルハコガメ ヤエヤマセマルハコガメ

セレベスリクガメ

262

005, 262, 263, 318

057

221,227

テクタセタカガメ

241, 243, 244

テネシークータ----リバークーター

デルタクロコブチズガメfクロコブチズガメ テレケイヨコクビガメfモンキヨコクビガメ

052, 053

テントセタカガメ

241,244

ソノイタヒゲナガドロガメfヒゲナガドロガメ

キバラセタカガメ

ソノラドロガメ-ヒゲナガドロガメ

ベニマワリセタカガメ

ソノラヒゲナガドロガメfヒゲナガドロガメ

ホオアカセタカガメ

ソリガメ

テントヤブガメ

034

244, 245

036, 037

キタテントヤブガメ

た行

244, 245

244

037

ケープテントヤブガメ

タイコガシラスッポンTスジクビコガシラスッポン

ニシテントヤブガメ

037

037

タイヘイヨウヒメウミガメfヒメウミガメ トウブドロガメ!26,12 &129

タイマイ184

ダイヤモンドガメfキスイガメ

フロリダドロガメ!26,127

タイリクミナミイシガメfミナミイシガメ

ペンシルバニアドロガメ126

ダゲスタンギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

ミシシッピドロガメ!26,127

タコスライダーーキタアンティルスライダー

トウブニシキガメ-ニシキガメ

タバスコクジャクガメfチュウベイクジャクガメ

トウブハコガメ

ダルマティアヘルマンリクガメfヘルマンリクガメ

トウルカナハコヨコクビガメ

カロリナハコガメ

064

トゲスッポン176, 177,179 チアバスドロガメ-サソリドロガメ

ウスイ只トゲスッポン17&179

チチュウカイイシガメ

ガルフコーストトゲスッポン179

サハライシガメ

260

グアダルーベトゲスッポン179

260

スペインイシガメ

テキサストゲスッポン179

260

ニシトゲスッポン179

チモールナガクビガメ!06 チャコリクガメ

ヒガシトゲスッポン179

030

チャバラドロガメ-ザラアシド□ガメ

トゲモモへビクビガメ

チュウゴクオオアタマガメfオオアタマガメ

トゲヤマガメ

チュウゴクセマルハコガメ —セマルハコガメ

ドミニカスライダー・スタイネガースライダー

チュウベイカミッキガメ 154,155

トラバンコアヤマガメークロヤマガメ

チュウベイカワガメтメキシコカワガメ

トラバンコアリクガメ

チュウベイクジャクガメ

トルクメニスタンヨツユビリクガメfヨツユビ

ウーリグジャクガメ

207, 216

タバスコクジャクガメ

052, 054

リクガメ

216

グアテマラクジャクガメ

086

282

216

216, 217

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

ix

な行

ノコへりカブトガメ116

ナイルスッポン175

ノコへりハコヨコクビガメ

ナザスキミミガメ-プラトーアカミミガメ

ノコへリマルガメ

275, 276, 277, 27& 279

ナタールセオレガメ

ノコへりヤブガメ

036

039

ナミビアヒョウモンガメ

031

ナミビアヒラセリクガメ

035

074

ノドジロド□ガメ・・サソリドロガメ

は行

ナンベイカミッキガメ155

ナンベイへビクビガメfギザミネへビクビガメ

パーヴィスカブトガメ fマニングカブトガメ パーカーナガクビガメ113

ニカラグアクジャクガメ

207, 218

パーカーヤマガメfクロヤマガメ

ニコルスキーギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

バーバーアカスジャマガメfアカスジヤマガメ

ニシアミメガメーア: ミメガメ

バーバーチズガメ

ニシキガメ19&199

ハーレラドロガメ132

セイブニシキガメ

198

セスジニシキガメ

198

トウブニシキガメ

198

フチドリニシキガ メ

221, 222, 223, 224

ハイイロカエルガメfヒラリーカエルガメ ハイチスライダー207, 215 パキスタンヨツユビリクガメfヨツユビリクガメ

バタグールガメ

198

237

ニシキキスイガメ-キスイガメ

バックアロドロガメfザラアシド□ガメ

ニシキセタカガメ

ハナガメ

239

016, 123, 261

ハナガラマルスッポン169

ニシキハコガメ!92,195 キタニシキハコガメ!95

ハナトガリヤマガメ

ミナミニシキハコガメ!95

ハナナガドロガメ138,139

ニシキバラマルガメ

275, 277, 27& 279

299

パナマクジャクガメfチュウベイクジャクガメ

ハナマルスッポンfハナガラマルスッポン

ニシキマゲクビガメ!20

パプアカブトガメ-ブランダーホルストカブトガメ

ウォレルマゲクビガメ!20

ニシテントヤブガメ-テントヤブガメ

バブコックヒョウモンガメ

ニシトゲスッポンfトゲスッポン

ハミルトンガメ

ニシトルコヌマガメ-ヨーロッパヌマガメ

ハラガケガメ151

ニシベルセオレガメ fベルセオレガメ

ハラスジャマガメ

ニシヘルマンリクガメ fヘルマンリクガメ

ハリスコドロガメ134

ニシマッコードナガクビガメfマッコードナガ

パンケーキガメ

031

246

299, 302, 303

038

クビガメ

ニセチズガメ

ピーターズメダマガメ

221,228, 229, 230

ニホンイシガメ

248

ピーターズモレニアガメfピーターズメダマガメ

005, 043, 254

ヒガシアミメガメfアミメガメ

ニホンスッポン174 ニューギニアカブトガメ114,115

ニューギニアナガクビガメ!03,104,105,106,107

ヒガシカスピイシガメfカスピイシガメ ヒガシキバラマルガメ

275, 278

ヒガシトゲスッポンfトゲスッポン

ヒガシナガクビガメーオーストラリアナガクビガメ

ヌビアフタスッポン161

ヒガシフロリダキスイガメfキスイガメ

ヌマハコガメ!92

ヌマヨコクビガメ

ヒガシベルセオレガメ fベルセオレガメ

060

アフリカヌマヨコクビガメ

060

オリーブヌマヨコクビガメ

060, 061

クロヌマヨコクビガメ

060, 061

ヒガシヘルマンリクガメ fへ兀7'マンリクガメ

ヒガシマッコードナガクビガメ т►マッコードナ ガクビガメ

ビクトリアアカミミマゲクビガメ-アカミミマ ネルソンハコガメ!92 ネンリンヤマガメ

X

299

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

ゲクビガメ ビクトリアハコヨコクビガメfウィリアムズハ

フチゾリリクガメ

コヨコクビガメ

ソノイタヒゲナガドロガメ131 ソノラヒゲナガドロガメ131

ヒジリガメ

045

オオフチゾリリクガメ

ヒゲナガドロガメ131

045

ペロポネソスフチゾリリクガメ

045

フチドリニシキガメ-ニシキガメ ブチハラカスピイシガメ fカスピイシガメ

282, 285

ビックベンドアカミミガメープラトーアカミミ

ブチハラへビクビガメ フトマユチズガメ

ガメ

087

043, 230

ビックベンドドロガメーザラアシド□ガメ

ウォシタチズガメ

221,230

ビブロンマルスッポンfハナガラマルスッポン

サビーンチズガメ

230

ヒメウミガメ183

ブラジルクジャクガメfミナミクジャクガメ

ヒメカエルガメ

ブラジルジェフロアカエルガメfジェフロアカ

091

エルガメ

ヒメシナスッポン174

ブラジルへビクビガメ

089

オオアタマヒメニオイガメ!46,147

ブラジルヨコクビガメ

090

スジクビヒメニオイガメ146,147

プラテミスへビクビガメ fヒラタへビクビガメ

ヒメニオイガメ146

ヒメハコヨコクビガメ ヒョウモンガメ

031

ヒラオリクガメ

044

ヒラセガメ

プラトーアカミミガメ

066

ナザスキミミガメ

ビックベンドアカミミガメ

210

ブランダーホルストカブトガメ 114,115

263, 266

オブストヒラセガメ

ムオヒラセガメ

207, 210

210

266, 267

ブランディングガメ!88

フレーザーマゲクビガメ-マックオーリーマゲ

266, 267

クビガメ

ヒラタウミガメ181 ヒラタスッポン172

フロリダアカハラガメ

ヒラタニオイガメ148

フロリダアミメガメ-アミメガメ

ヒラタへビクビガメ102

フロリダカミッキガメカミッキガメ

200, 205

ズアカヒラタへビクビガメ102

フロリダクータ----リバクーター

セグロヒラタへビクビガメ102

フロリダスッポン176

ヒラタヤマガメ ヒラチズガメ

フロリダドロガメfトウブドロガメ

284

フロリダハコガメカロリナハコガメ

221

ヒラリーカエルガメ

093, 094

ビルマオオアタマガメfオオアタマガメ

ヘーガーカエルガメーヴァンデルヘーゲカエルガメ

ビルマオオセタカガメ

ヘーゲカエルガメfヴァンデルヘーゲカエルガメ

239

ビルマクロノ、ラマルガメ

275, 279

へサキリクガメ

032, 034

ビルマコガシラスッポン167

ベッコウムツアシガメ-インプレッサムツアシガメ

ビルマハコガメ fマレーハコガメ

ベトナムオオアタマガメ・・オオアタマガメ

ビルマハコスッポン165

ベトナモエギハコガメ-►モエギハコガメ

ビルマホシガメ

ベニマワリセタカガメ fテントセタカガメ

024,026

ビルマムツアシガメ fエミスムツアシガメ

ペニンシュラクーター 200, 202

ビルマメダマガメ

ベネズエラクジャクガメfアゴブチクジャクガメ

248

ビルマモレニアガメfビルマメダマガメ

ベラクルスクジャクガメfチュウベイクジャクガメ

ビルマヤマガメfクロヤマガメ

ベリンジャーカブトガメ117 ペルシャヌマガメfヨーロッパヌマガメ

フィリピンヤマガメ

ベルセオレガメ

295

ブーランジェヒラセリクガメ

035

プエルトルコスライダー-スタイネガースライダー

ブチイシガメ189

039

ニシセオレガメ

039

ヒガシセオレガメ

ヘルマンリクガメ

039

046

キタブチイシガメ189

ダルマティアヘルマンリクガメ

ミナミブチイシガメ189

ニシヘルマンリクガメ

046

046

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

xi

ヒガシヘルマンリクガメ

046

ミスジドロガメ128

ベンガルヤマガメfクロヤマガメ

ミスジハコガメ

ヘンゲハコヨコクビガメ

ミゾヤマガメ

071,072

ペンシルバニアドロガメfトウブドロガメ

263, 270

299, 300, 301

ミツゥネオオニオイガメ fスジオオニオイガメ

ミツウネヤマガメ ホウシャガメ

290, 291,293

ミツユビハコガメ fカロリナハコガメ

032, 033, 318

ホオアカセタカガメfテントセタカガメ

ミドランドスベスッポン-スベスッポン

ホオアカドロガメーサソリドロガメ

ミドリガメ-アカミミガメ

ホオジロクロガメ!60, 294

ミナミイシガメ

ホームセオレガメ

ホクベイカミッキガメfカミッキガメ ホシャブガメ

019, 123, 256, 257

タイリクミナミイシガメ

039, 040

ヤエヤマイシガメ

005, 257

005, 257

ミナミインドハコスッポンーインドハコスッポン

036

ホルスフィールドリクガメfヨツユビリクガメ

ミナミインドヤマガメークロヤマガメ

ボルネオカワガメ

ミナミクジャクガメ

249

207, 220

アルゼンチンクジャクガメ

ま行

ブラジルクジャクガメ

220

220

マグダレナド□ガメfザラアシド□ガメ

ミナミクモノスガメfクモノスガメ

マグダレナヨコクビガメ

ミナミクロコブチズガメfクロコブチズガメ

078

マクワリマゲクビガメーマックオーリーマゲク

ミナミクロハラマルガメ

275, 279

ミナミシモフリヒラセリクガメ-シモフリヒラ

ビガメ

マコードハコガメ

263, 273, 274

マダガスカルヨコクビガメ

083

セリクガメ

ミナミシロクチドロガメfシロクチドロガメ

マタマタ!00

ミナミニシキハコガメfニシキハコガメ

マダラマルガメfニシキバラマルガメ

ミナミブチイシガメ fブチイシガメ

マックオーリーマゲクビガメ!18

ミヤビスッポン171

クーパークリークマゲクビガメ!18

ミューレンバーグイシガメ191

クレフトマゲクビガメ!18 フレーザーマゲクビガメ!18

マッコードナガクビガメ!04,106

ムーアギリシャリクガメfギリシャリクガメ

ムオヒラセガメfヒラセガメ

ニシマッコードナガクビガメ104

ムッイタガメ

ヒガシマッコードナガクビガメ 104

ムッコブヨコクビガメ

287 078

マニングカブトガメ117 マラニョンクジャクガメ

207

メキシコアカスジャマガメfアカスジヤマガメ

マルギナータリクガメfフチゾリリクガメ

メキシコカワガメ124

マルスッポンfカントールマルスッポン

メキシコクジャクガメ

207, 211

マレーニシクイガメ

メキシコゴファーガメ

057

マレーハコガメ

250, 251

017,160, 263, 268, 273

アンボイナハコガメ

268

シャムハコガメ

014, 016, 01& 26&269

ジャワハコガメ

26&269

ビルマハコガメ

268, 269

マングローブキスイガメfキスイガメ

メキシコハコガメfカロリナハコガメ メキシコバレードロガメ-ザラアシド□ガメ

モエギハコガメ

263, 264

カンボジアモエギハコガメ

ラオスモエギハコガメ

ミシシッピアカミミガメfアカミミガメ

264

265

,モービルク_ター,一►リバーク_ター

ミシシッピキスイガメ —キスイガメ

モリイシガメ191

ミシシッピチズガメ

モリセオレガメ

221, 229, 230

264, 265

ベトナム(クロハラ)モエギハコガメ

039, 041

ミシシッピドロガメ fトウブドロガメ

モリハコヨコクビガメ

ミシシッピニオイガメ144

モロッコギリシャリクガメ fギリシャリクガメ

xii

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

065, 073

モンキヨコクビガメ

ラオスモエギハコガメ —モエギハコガメ

07&081

ランバートギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

や行 ヤエヤマイシガメ-ミナミイシガメ

リーススッポン171

ヤエヤマセマルハコガメ—セマルハコガメ

リーブスクサガメ

ヤキクジャクガメ

リオグランデアカミミガメfアカミミガメ

207

005, 043, 123, 252, 253, 318

ユカタンクジャクガメ-チュウベイクジャクガメ

リオグランデクーター 200, 204

ユカタンハコガメ fカロリナハコガメ

リバークーター 200, 201, 202, 203

ユンナンハコガメ

コンキンナリバー(カロライナ)クーター 201

263

スワニークーター 201 'テネシークーター’201

ヨーロッパヌマガメ186,187

アイセルト(エイゼル)ヌマガメ186

フロリダクーター 200, 201

アドリアヌマガメ(ニシトルコヌマガメ)

'モービルクーター’200 リブラータイシガメ fギリシャイシガメ

186,187 アメイロヌマガメ186

リャノヨコクビガメfサバンナヨコクビガメ

イタリアヌマガメ186

リュウキュウヤマガメ

オブストヌマガメ186

005, 017, 018, 123, 266,

296, 297, 318

キタアフリカヌマガメ186 ルビダヤマガメ

キボシヌマガメ186

299,306

クラヌマガメ186

オアハカヤマガメ

コルキスヌマガメ186

コリマヤマガメ

306

306

コルシカヌマガメ186 サボナヌマガメ186

レイテヤマガメfフィリピンヤマガメ

サルディーニャヌマガメ!86,187

レバントギリシャリクガメ-ギリシャリクガメ

スペインヌマガメ186 ローレントハコヨコクビガメウィリアムズハ

ペルシャヌマガメ186 ヨツメイシガメ

コヨコクビガメ

289

ロシアリクガメfヨツユビリクガメ

ヨツユビカワガメfバタグールガメ ヨツユビリクガメ

ロバッイセオレガメ

051

アフガニスタンヨツユビリクガメ

カザフスタンヨツユビリクガメ

051

ら行

わ行

051

トルクメニスタンヨツユビリクガメ

パキスタンヨツユビリクガメ

039

051

051

ワーハーカドロガメー・・オアハカドロガメ ワニガメ

005, 008, 016, 017, 043,156,157, 318

ワモンチズガメ

221, 231, 232, 233

ワモンモレニアガメfビルマメダマガメ

ライマンナガクビガメ107,108

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

xiii

保護・監視対象種など ワシントン条約附属書掲載種

附属書I類

オルダムマルガメ カラグールガメ

カロリナハコガメ!92

アオウミガメ181

カントールマルスッポン170

アカウミガメ182

キアシガメ

029

キスイガメ

234

エジプトリクガメ

050

オオアタマガメ158

ギリシャリクガメ

047

オサガメ185

クロハラハコガメ

274

クモノスガメ

クロヤマガメ

042

290

ケンプヒメウミガメ183

ヶヅメリクガメ

024

サンタクルスゾウガメ

コガネハコガメ

271

027

スジクビコガシラスッポン167

サバンナヨコクビガメ

タイマイ184

シェンシーハコガメ

テクタセタカガメ

237

ハミルトンガメ

246

082

272

シモフリヒラセリクガメ

243

バタグールガメ

ジャノメイシガメ

288

シロアゴヤマガメ

286

035

ヒメウミガメ183

ズアカヨコクビガメ

ヒラオリクガメ

044

スッポンモドキ180

ビルマホシガメ

026

スペングラーヤマガメ(シュペングラーヤ

ビルマメダマガメ へサキリクガメ

スミスセタカガメ

032

ミツウネヤマガメ

セマルハコガメ

附属書II類

030

テキサスゴファーガメ テントセタカガメ

299

アッサムセタカガメ

アルダブラゾウガメ

テントヤブガメ

242

アナホリゴファーガメ

アンナンガメ

053

034

チャコリクガメ

028

アシポチャマガメ

241

262

セレベスリクガメ

293

ソリガメ

アカアシガメ

079

マガメ)298

248

ホウシャガメ 033

トゲヤマガメ

058

037

282

ニシキセタカガメ

281

ニシキバラマルガメ

277

インドコガシラスッポン168

ニホンイシガメ

インドシナオオスッポン166

ノコへリマルガメ

275

インドハコスッポン164

ノコへりヤブガメ

036

インドシナニシクイガメ

251

052

オオアタマヨコクビガメ

オオヤマガメ

084

239

オオヨコクビガメ

ヒョウモンガメ ヒラセガメ

078

Turtle and tortoise of the World index

278

285

031

266

ヒラタスッポン172

ヒラタヤマガメ

283

038

ヒガシキバラマルガメ

ヒジリガメ

055

エロンガータリクガメ

オオセタカガメ

056

254

ハナガラマルスッポン169

パンケーキガメ

025

インプレッサムツアシガメ エミスムツアシガメ

054

240

ニシキハコガメ!95

インドクロハラマルガメ

インドホシガメ

057

244

トラバンコアリクガメ

023

256

イボクビスッポン173

xiv

280

238

284

ビルマハコスッポン165

フィリピンヤマガメ

フチゾリリクガメ

ベルセオレガメ

ニシキセタカガメ

295

バタグールガメ

045

240

237

ヒラタニオイガメ148

039

ヘルマンリクガメ

046

ヒラタヤマガメ

284

ホオジロクロガメ

294

ビルマホシガメ

026

ホームセオレガメ

040

フィリピンヤマガメ

ボルネオカワガメ

249

へサキリクガメ

マコードハコガメ

273

ホウシャガメ

マダガスカルヨコクビガメ マレーニシクイガメ

マレーハコガメ

268

ミスジハコガメ

270

ミナミイシガメ

257

083

033

メキシコカワガメ124 モエギハコガメ

250

295

032

264

絶滅危惧IB類

ミナミクロハラマルガメ

279

アカウミガメ182

ミヤビスッポン171

アシポチャマガメ

ムッイタガメ

アッサムセタカガメ

287

ムッコブヨコクビガメ

299 242

アラバマアカハラガメ

080

206

メキシコカワガメ124

イボクビスッポン173

モエギハコガメ

インドコガシラスッポン168

264

モリイシガメ191

インプレッサムツアシガメ

モリセオレガメ

オオアタマガメ158

041

モンキヨコクビガメ

ヨツメイシガメ

オオセタカガメ

081

カントールマルスッポン170

051

リュウキュウヤマガメ

296

カントンクサガメ

253

キマダラチズガメ

232

サンタクスルゾウガメ

附属書III類 カントンクサガメ

ジャノメイシガメ

253

クリイロハコヨコクビガメ

クロハコヨコクビガメ

067

075

スジクビコガシラスッポン167 スペングラーヤマガメ(シュペングラーヤ

セマルハコガメ

060

トゲヤマガメ

261

モリハコヨコクビガメ リーブスクサガメ

065

252

ハナガメ

262

282

261

ハミルトンガメ

246

ヒゲナガドロガメ131

ワニガメ156

ヒジリガメ

レッドリスト掲載種

285

ヒメウミガメ183

ヒラセガメ

266

ボルネオカワガメ

絶滅危惧IA類 アンナンガメ

カラグールガメ

249

マダガスカルヨコクビガメ

256

ヨツメイシガメ

オサガメ185

238

リーブスクサガメ

252

リュウキュウヤマガメ

シロアゴヤマガメ

ワモンチズガメ

286

セーシェルウスグロハコヨコクビガメ 062 1セーシェルキバラハコヨコクビガメ 068

083

289

ケンプヒメウミガメ183

!タイマイ184

027

288

マガメ)298

シナスッポン174

ヌマヨコクビガメ

ハナガメ

239

カクレガメ122

289

ヨツユビリクガメ

056

296

231

絶滅危惧II類 アオウミガメ181

TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD INDEX

XV

アナホリゴファーガメ

テキサスチズガメ

058

インドシナオオスッポン166 インドシナニシクイガメ

オオアタマヨコクビガメ

ニホンイシガメ

251

'インプレッサムツアシガメ

227

ニシキハコガメ!95

056

084

254

バーバーチズガメ

222

ハラスジャマガメ

302

オオヤマガメ

283

ハーレラドロガメ132

カンムリガメ

247

ミゾヤマガメ

キアシガメ

300

029

近絶滅危惧種

キボシイシガメ190 ケイグルチズガメ

ヶヅメリクガメ

226

ザンベジフタスッポン162

024

ジャマイカスライダー 213 トウルカナハコヨコケビガメ

トゲモモへビクビガメ

日本国内法規対象種

064

086

特定外来生物

パーカーナガクビガメ113

カミッキガメ152, 318

ハイチスライダー 215

チュウベイカミッキガメ154

ハナガラマルスッポン169

ナンベイカミッキガメ155

パンケーキガメ

ハナガメ

261

ワニガメ

!56, 318

038

ピーターズメダマガメ ビルマメダマガメ

248

248

ブラジルへビクビガメ

089

プラトーアカミミガメ

210

ホオジロクロガメ

ムッイタガメ

ミシシッピアカミミガメ

250

293

危険動物 ワニガメ156

287

メキシコクジャクガメ

211

天然記念物 国指定

モリイシガメ191

モンキヨコクビガメ

081

ワニガメ156

アカウミガメ182, 318 クサガメ

318

ヤエヤマセマルハコガメ

準絶滅危惧種

リュウキュウヤマガメ

カロリナハコガメ!92

キタアカハラガメ

206

クロコブチズガメ

233

クロヤマガメ

都道府県指定

アカウミガメ

318

輸出禁止

290

コウホソナガクビガメ!10

ニホンイシガメ

スタイネガースライダー 214

ヤエヤマイシガメ

スミスセタカガメ

xvi

209

294

マレーニシクイガメ ミツウネヤマガメ

要注意外来生物

241

Turtle and Tortoise of the world index

254 257

263, 318

296, 318