化学のグルメ 有機化学ドリル 解答解説編

156 107

Japanese Pages [79]

Report DMCA / Copyright

DOWNLOAD FILE

化学のグルメ 有機化学ドリル 解答解説編

Citation preview

1 【】に当てはまる用語を答えよ。 【1】 を含む化合物を有機化合物という。

ただし、一酸化炭素や二酸化炭素、 シアン化水素、 シアン化カリウムなどは例外的に無機化合物である。 有機化合物は 【1】 によって分子の骨格が形成されている。

【1】 の原子価は 【2】 なので、最外殻に存在する 【3】 つの不対電子を用いて、他の原子と 【4】結合を形成する。 有機化合物の構成元素は、 【1】 の他に、水素H、酸素O、窒素N、硫黄S、 ハロゲンなどがあり、 無機化合物と比較して構成元素の種類は 【5 (多or少な)】 い。

現在知られている物質は約5000万種類だが、 そのうちの9割以上は有機化合物で、無機化合物と比較して 種類が非常に 【6 (多or少な)】 い。

【1】炭素【2】 4 【3】 4 【4】共有【5】少な 【6】多

2

次の反応の反応式を書け。 有機化合物は炭素C原子の骨格によって 【1】式化合物と 【2】式化合物に分類することができる。 【1】式化合物は、C原子による骨格が鎖状の有機化合物であり、C原子が一直線につながった直線状のものと、 枝分かれがあるものが存在する。別名で 【3】族化合物とも呼ばれる。

【2】式化合物は、C原子による骨格が環状の有機化合物であり、 【2】式化合物のうち、 ベンゼン環を持つものを 特に 【4】族化合物という。

有機化合物はC原子間の結合によって 【5】化合物と 【6】化合物に分類することができる。 【5】化合物はC原子間の結合が全て飽和結合(単結合) の有機化合物であり、 【6】 化合物はC原子間の結合に 不飽和結合(【7】結合や 【8】結合) が含まれる有機化合物である。

【1】鎖【2】環【3】脂肪【4】芳香【5】飽和【6】不飽和【7】二重【8】三重(【7】 ・ 【8】 は順不同)

【炭化水素の分類】

【官能基による分類】

H

H

H

H

H

C

C

C

C

H

H

H

OH

有機化合物の性質や反応性に大きく影響する原子団や結合様式を 官能基という。

官能基

H

ここが化学的

炭化水素基

性質を決める

骨格や炭素数が変わっても化学的 性質に大きな影響はない

官能基名

官能基名

構造

構造

H メチル基

H

イソ

C

プロピル基

プロピル基

H

H

H

H

C

C

C

H

H

エチル基

H

H

H

H

C

C

H

H

H

H

H

C

C

C

H

H

H

H

H

官能基名

化合物群

構造

アルコール

化合物の例 C2H5

OH

エタノール

OH

ヒドロキシ基

フェノール類

エーテル結合

O

エーテル

H

C

アルデヒド基

OH フェノール

C2H5

ケトン

アセトアルデヒド

CH3

C

O

H

カルボン酸

CO

CH3

アセトン

O

カルボキシ基

CHO

CH3

アルデヒド

C

C2H5

ジエチルエーテル

O

ケトン基

O

CH3

COOH 酢酸

O

エステル結合

C

O

エステル

O

ニトロ基

NO2

ニトロ化合物

CH3

COO

C2H5

酢酸エチル

NO2

ニトロベンゼン

アミノ基

NH2

アミン

NH2 アニリン

スルホ基

SO3H

スルホン酸

SO3H ベンゼンスルホン酸

3 【】に当てはまる用語を答えよ。 分子を構成している原子の種類とその数を表した式を 【1】 という。例えばエタノールでは、炭素C原子が2つ

これらを合わせて 【2】 となる。 なのでC2、水素H原子が6つなのでH6、酸素O原子が1つなのでO(1は省略)、 分子式から官能基を抜き出して明示した式を 【3】 という。

エタノールでは、官能基である 【4】基を強調して 【5】 となる。 原子間の結合を価標を用いて表した式を 【6】 という。

【1】分子式【2】C2H6O【3】示性式【4】 ヒドロキシ 【5】C2H5OH【6】構造式

4

次の問いに答えよ。 (1) 【】 に当てはまる用語を答えよ。

化合物中の元素の組成を調べて、組成式を決定する操作を 【1】 という。

を燃焼させる。 【1】 の第1段階では、O2又は乾燥した空気を吹き込みながら試料(有機物:CxHyOz)

結果、試料中のCは 【2】 に、Hは 【3】 に変化する。第2段階では、気体が 【4】剤である 【5】 を通過する。

これにより、STEP1で燃焼が不十分だった試料の不完全燃焼を防ぐことができる。

第3段階では、気体が 【6】 を通過する。 【6】 は 【7】性の 【8】剤であり、 【9】 が吸収される。

第4段階では気体が 【10】 を通過する。 【10】 は 【11】性の 【8】剤なので、 【12】性気体である 【13】 が吸収される。 (2)次の計算をせよ。

炭素、水素、酸素よりなる有機化合物4.88mgを完全燃焼させ、元素分析を行った。

その結果、燃焼した気体が通過した後の塩化カルシウムを詰めた吸収管の重量は3.60mg増え、

ソーダ石灰を詰めた吸収管の重量は14.08mg増えた。 この有機化合物の組成式を求めよ。 (3)次の計算をせよ。

ある有機化合物10mgを完全燃焼させたところ、二酸化炭素23.3mg、水12.2mgが得られ、 残りは酸素であった。 この有機化合物の組成式を求めよ。

(4)次の計算をせよ。

炭素、水素、酸素、窒素からなる有機化合物がある。

元素分析値は炭素45.6%、水素8.8%、窒素13.6%である。 この有機化合物の組成式を求めよ。

(1) 【1】元素分析【2】二酸化炭素CO【3】 水H2O【4】酸化【5】酸化銅(Ⅱ)CuO 【6】塩化カルシウムCaCl2 2 【7】 中 【8】乾燥【9】H2O【10】 ソーダ石灰【11】塩基【12】酸【13】CO2 (2)C8H10O (3)C4H10O (4)C4H9NO2

【元素分析】 O2 又は

試料

CuO

CaCl2

試料を完全燃焼させる

乾燥した空気

CO2 , H2O , O2

ソーダ石灰

H2O を吸収する

CO2 を吸収する

CO2 , O2

未反応の O2

STEP1 O2又は乾燥した空気を吹き込みながら試料を燃焼させる

STEP2 気体がCuOを通過する

    → 試料の不完全燃焼を防ぐ STEP3 気体がCaCl2を通過する     → H2Oが吸収される

STEP4 気体がソーダ石灰を通過する

    → CO2が吸収される

※ 塩化カルシウム管とソーダ石灰管を入れ替えてはいけない理由

中性の乾燥剤である塩化カルシウムと塩基性の乾燥剤であるソーダ石灰の順番は入れ替えてはならない。

(=物質を乾燥させる) ・全ての乾燥剤は物質に含まれるH2Oを吸収する

・酸性の乾燥剤は (塩基性気体を吸収するため)酸性気体の乾燥に用いられる

・塩基性の乾燥剤は (酸性気体を吸収するため)塩基性気体の乾燥に用いられる ソーダ石灰は塩基性の乾燥剤であり、H2Oや酸性気体であるCO2を吸収する。

したがって、 ソーダ石灰を先にセッティングするとH2OとCO2をいっぺんに吸収してしまい、 それぞれの正確な量を量ることが出来ない。

したがって、元素分析をする際は必ず 「塩化カルシウム管→ソーダ石灰管」 の順に試料を通す必要がある。 【元素分析と組成式の決定】 元素分析の結果を用いて有機化合物の組成式を決定することができる。

をAg、 ソーダ石灰管の増加量 元素分析後の塩化カルシウム管の増加量(=吸収されたH2Oの質量)

(=吸収されたCO2の質量) をBgだとすると、有機化合物CxHyOzwgに含まれるC・H・Oのモル比は

C:H:O =

B

12 44

(g)

12(g/mol)



A

2

18

(g)

1(g/mol)

wー :

B

12 44

+A

2

18

(g)

16(g/mol)

分子では、吸収されたCO2の質量Bgに 「Cの原子量(12)/CO2の分子量(44)」 をかけることで

「C原子だけの質量」 を導き出している。 それをC原子の原子量12(g/mol)で割ることでC原子のmolが得られる。

(2)

問題文で与えられている数値を公式に入れると...

C:H:O =

12

14.08

44

12



4.88 ー

2

3.60

18 1

14.08



12 44

2

+ 3.60

18

16

= 0.32 : 0.4 : 0.04 = 8 : 10 : 1

よって、組成式はC8H10Oとなる。 (3)

問題文で与えられている数値を先ほどの公式に入れると...

C:H:O =

23.3

12 44

12



10 ー

2

12.2

18 1

23.3



12 44

+ 12.2

18

16

0.53 : 1.35 : 0.14 4 : 10 : 1

よって、組成式はC4H10Oとなる。 (4)

窒素Nが入っているが、 やり方はほぼ一緒。問題文で与えられている数値を公式に入れると...

C:H:N:O =

45.6 12



8.8 1



13.6 14

3.8 : 8.8 : 0.97 : 2 4:9:1:2

よって、組成式はC4H9NO2となる。



100 ー (45.6 + 8.8 + 13.6) 16

2

5 【】に当てはまる用語を答えよ。 結合全てが単結合の場合、炭素に結合している4つの原子(原子団) は立体的に 【1】 の頂点方向に位置する。 結合のうち、1つが二重結合、 2つが単結合の場合、炭素に結合している3つの原子(原子団) は立体的に

【2】 の頂点方向に位置する。

結合のうち、1つが三重結合、1つが単結合の場合、炭素に結合している2つの原子 (原子団) は立体的に

【3】方向に位置する。

つまり、炭素原子間の電子対はできるだけ 【4 (近づいor離れ)】 て配置される。 炭素原子間の結合の多重度が大きくなる (単結合→二重結合→三重結合) につれ、

原子間はより 【5 (強or弱)】 く結び付けられるため、原子間の距離は 【6 (長or短)】 くなる。 エタンは炭素原子間が1つの 【7】 で結びつけられている。 この 【7】 はC-C軸上に存在し、結合の回転に 影響が 【8 (あるorない)】。 したがって、炭素-炭素単結合はC-C軸まわりの回転ができる。

ちなみに、環状炭化水素の環内のC-C結合は、C-C軸まわりに回転するのは困難である。

しかし、環構造の一部を折り紙のように動かすことで、 【9】 のような形や 【10】 のような形に変化することは できる。 【9】形は立体障害が 【11 (大きor小さ)】 いため、 【10】形に比べて安定である。 炭素-炭素二重結合は、回転させるには 【12】結合を切断しなくてはならず、

切断には大きなエネルギーが必要であるため、単結合のように結合まわりで回転するのは難しい。

【1】正四面体【2】正三角形【3】直線【4】離れ 【5】強【6】短【7】共有電子対【8】 ない 【9】 いす 【10】舟 【11】小さ 【12】 パイ (π)

【単結合・二重結合・三重結合の立体配置】

単結合

立体的に 表すと ...

C

109.5°

C 正四面体

二重結合

三重結合

立体的に 表すと ...

C

C

120°

C 正三角形

立体的に 表すと ...

180°

C 直線

【π結合・σ結合】 H

H C

C

H

H

H C

H

H

C

H

上下にフワフワ している

H

C

C

H

H

C

H

C

前後にフワフワ している

このフワフワした電子対による結合はπ (パイ)結合と呼ばれる。 またそれ以外の通常の結合はσ (シグマ)結合と呼ばれる。

【単結合・二重結合・三重結合の立体配置】 炭素原子間の結合の多重度が大きくなる (単結合→二重結合→三重結合) につれ、 原子間はより強く結び付けられるため、原子間の距離は短くなる。

C

C

C

C

C

C

l1

l2

l3

単結合

二重結合

三重結合

原子間の距離:l1 > l2 > l3

【結合と回転】 炭素-炭素単結合は回転できる。一方、炭素-炭素二重結合は回転できない。 例えばエタンは炭素原子間が1つの共有電子対で結びつけられている。 この電子対はC-C軸上に存在し、結合の回転 に影響がない。 したがって、炭素-炭素単結合はC-C軸まわりの回転が可能である。

H

H

H

C

C

H

H エタン

H

H H

の場合 ...

H

C H

C H

H

H H

H

C H

C H

H

ちなみに、環状炭化水素の環内のC-C結合は、C-C軸まわりに回転するのは困難である。 (ねじれるだけで回らない) ねじれるだけで 回転できない ...

CH2 CH2

CH2

CH2

CH2

CH2

CH2

CH2

CH2

シクロヘキサン

CH2

CH2

CH2

の場合 ...

しかし、C-C結合の軸まわりで回転するのはできなくても、環構造の一部を折り紙のように動かすことで、 いすのような形や舟のような形に変化することはできる。 C

C C

C

C C

C

C

C

C

C

C C

C

いす形

C

舟形

C

C C

いす形

いす形は立体障害が小さいため、舟形に比べて安定である。 炭素-炭素二重結合は、回転させるにはπ結合を切断しなくてはならず、切断には大きなエネルギーが必要であるため、 単結合のように結合まわりで回転するのは難しい。 ① π結合を一度切断

C

H

Cl

Cl

H

C

C

H

H

H

Cl

Cl

切る

C Cl

C

③ 再び二重結合を形成

H

Cl

H Cl

② 回転する

C

H H

C H

C

C

Cl

H

Cl

H

Cl C

表裏をくるっと ひっくり返す

C Cl

C

C H

H

C Cl

H

Cl

Cl

H

ちなみに、炭素-炭素二重結合は、 カードをめくるように表裏をひっくり返すことはできる。 ただし、原子間の距離は変わっておらず、 同じ構造式の見る方向を変えただけである。

Cl

C

C Cl

6 【】に当てはまる用語を答えよ。 分子式が同じで構造が異なる物質同士を 【1】 という。原子の結合順序が異なる 【1】 を 【2】 という。

【2】 は 【3】 ・ 【4】 ・ 【5】 の3つに分類できる。 【3】 とは炭素骨格(C原子の並び方) が異なる 【1】 である。

C5の場合、全部で 【6】 つの 【3】 が存在する。 【4】 とは官能基の結合している位置が異なる 【1】 である。

【5】 とは官能基の種類が異なる 【1】 である。

構成原子は同じで立体的な位置関係が異なる 【1】 を 【7】 という。 【7】 は 【8】 と 【9】 の2つに分類できる。 不飽和結合(C=C結合) は (単結合と異なり) 結合を軸にして回転させることができない。

この性質故に、C=C結合をもつ化合物に存在するのが 【8】 である。 【8】 において、C=C結合を結ぶ線に対して、 同じ原子(原子団) が同じ側にあると 【10】型、反対側にあると 【11】型という。

ある炭素C原子に異なる4種類の原子や官能基が結合しているとき、 これを鏡に映したもの (鏡像体) は

重ね合わせることができない。 この重ね合わせることができない物質を 【9】 という。 【9】 が存在するためには

【12】 が存在する必要がある。 【12】 とは4つの異なる原子(官能基) が結合している炭素原子のことで、 *印を 付けて表すことが多い。

【9】 は 【13】的・ 【14】的な性質(反応性・沸点・融点など) はほぼ同じで、

【15】性(平面偏光の偏光面を回転させる性質) と 【16】性(酵素反応・生体内反応など) が異なる。

【1】異性体【2】構造異性体【3】連鎖異性体【4】位置異性体【5】官能基異性体【6】 3 【7】立体異性体 【8】幾何異性体【9】光学異性体【10】 シス 【11】 トランス 【12】不斉炭素原子 【13】化学 【14】物理【15】旋光【16】生理活(【13】 ・ 【14】 は順不同)

【構造異性体】 構造異性体とは原子の結合順序が異なる異性体である。

構造異性体は連鎖異性体・位置異性体・官能基異性体の3つに分類できる。 ・連鎖異性体

連鎖異性体とは炭素骨格(C原子の並び方) が異なる異性体である。 ex)C5 CH3

CH2

CH2

C CH3

CH3

CH3

CH2

CH CH3

CH3 CH3

CH2

CH3

CH3

・位置異性体

位置異性体とは官能基の結合している位置が異なる異性体である。 CH3

CH

CH3

CH3

CH2

CH2

OH

OH

・官能基異性体

官能基異性体とは官能基の種類が異なる異性体である。 CH

CH3

CH3

CH3

O

CH2

CH3

エーテル結合

OH ヒドロキシ基

【立体異性体】 立体異性体とは構成原子は同じで立体的な位置関係が異なる異性体である。 幾何異性体と光学異性体の2種類が存在する。 ・幾何異性体

不飽和結合(C=C結合) は (単結合と異なり) 結合を軸にして回転させることができない。 a

c C

C

b

d

回転出来 ない!

a

d C

b

C c

この性質故にC=C結合をもつ化合物には幾何異性体(シス-トランス異性体) という異性体が存在する可能性がある。 名称

シス-2-ブテン H

構造

H C

CH3

トランス-2-ブテン H

C

CH3 C

CH3

CH3

C H

・光学異性体

ある炭素C原子に異なる4種類の原子や官能基が結合している時、 これを鏡に映したもの (鏡像体) は重ね合わせる

ことができない。 (左手と右手のような関係)



COOH

COOH

CH3

H

H

OH

OH

CH3

この重ね合わせることができない物質を光学異性体(=鏡像異性体) という。 光学異性体が存在するためには 「不斉炭素原子」 が存在する必要がある。 a d

b

C* c

不斉炭素原子というのは4つの異なる原子(官能基) が結合している炭素原子のことで、 *印を付けて表すことが多い。 上で挙げた化合物も、真ん中の炭素が不斉炭素原子になっている。 COOH

CH3

C*

H OH

光学異性体の性質について以下の事項を押さえておこう。

・化学的/物理的性質は同じ ・旋光性/生理活性は異なる

光学異性体は化学的・物理的な性質(反応性・沸点・融点など) はほぼ同じで、

旋光性(平面偏光の偏光面を回転させる性質) と生理活性(酵素反応・生体内反応など) が異なる。

7

次の問いに答えよ。 (1) 【】 に当てはまる用語を答えよ。

アルカンとは一般式【1】 で表される鎖式飽和炭化水素である。工業的にアルカンをつくる際は天然ガスや 石油から 【2】 する。 また、 メタンを実験室内でつくる際は酢酸ナトリウムと 【3】 の混合物を加熱する。

アルカンはC-H結合、C-C結合からなるため極性が非常に 【4 (大きor小さ)】 い。直鎖状のアルカンでは

分子量が大きくなるにしたがってファンデルワールス力が 【5 (大きor小さ)】 くなり沸点が 【6 (高or低)】 くなる。

アルカンは無極性のため 【7 (極性or無極性)】溶媒の水には溶けないが 【8 (極性or無極性)】溶媒の有機溶媒

(ベンゼンやジエチルエーテルなど) にはよく溶ける。

メタンと塩素の混合気体は 【9】 や 【10】 によって激しく反応し、C-H結合がC-Cl結合に変化していく。

(2) メタンの置換反応における生成物の名称を答えよ。

Cl の数

一般名

慣用名

1

【1】

【2】

2

【3】

【4】

3

【5】

【6】

4

【7】

【8】

(3) 【】 に当てはまる用語を答えよ。 環状飽和炭化水素を 【1】 という。

【1】 は一般式【2】 で表され、命名の際は環をつくる炭素数に対応するアルカン名の前に環を意味する 【3】 をつ ける。

(4)次の化合物を命名せよ。

CH3

CH

CH2

CH3

CH3

(1) 【1】CnH2n+2 【2】分留【3】 ソーダ石灰【4】小さ 【5】大き 【6】高【7】極性【8】無極性【9】光【10】熱 (【9】 ・ 【10】 は順不同) (2) Cl の数

一般名

慣用名

1

クロロメタン

塩化メチル

2

ジクロロメタン

塩化メチレン

3

トリクロロメタン

クロロホルム

4

テトラクロロメタン

四塩化炭素

(3) 【1】 シクロアルカン 【2】CnH2n 【3】 シクロ

(4)2-メチル-ブタン

【アルカン一覧】

合計 2 個

一般式 : CnH2n+2 H

H

H

H

C

C

C

H

H

H

n個 ・・・・・

H

H

H

C

C

C

H

H

H

H

合計 2n 個

【アルカンの命名法】 STEP1 最も長い炭素鎖の数を数えて、 アルカン名のベースを決定する

STEP2 枝分かれや官能基がある場合、枝分かれしている炭素の番号ができるだけ小さくなるように主鎖の炭素に     番号をつける

STEP3 枝分かれしている炭素の番号と置換基名をベースの前にくっつける ex)

STEP2 1

CH3

2

CH CH3

3

CH2

4

CH3

STEP3 2-メチル

STEP1 ブタン

2-メチル-ブタン

【メタンの置換反応】 STEP1 メタンに付いている水素H原子のうち、 1つが塩素Cl原子に置き換わる     → クロロメタンが生成

H H

C

H H

H

C

H

H

メタン

クロロメタン

Cl

(塩化メチル)

STEP2 残っている3つのHのうち、 1つがClに置き換わる     → ジクロロメタンが生成

H H

C

Cl Cl

H

C

Cl

H

H

クロロメタン

ジクロロメタン

(塩化メチル)

(塩化メチレン)

STEP3 残っている2つのHのうち、 1つがClに置き換わる     → トリクロロメタンが生成

Cl H

C

Cl Cl

H

C

Cl

H

Cl

ジクロロメタン

トリクロロメタン

(塩化メチレン)

(クロロホルム)

STEP4 残っている1つのHがClに置き換わる     → テトラクロロメタンが生成

Cl H

C

Cl Cl

Cl

C

Cl

Cl

Cl

トリクロロメタン

テトラクロロメタン

(クロロホルム)

(四塩化炭素)

【シクロアルカン】 アルカンは 「 鎖式 飽和炭化水素」 の名称だが、 「 環状 飽和炭化水素」 はシクロアルカンと呼ばれる。

① H を取る

H

② C と C を繋げる

H

H

H

H

H

H

C

C

C

C

C

C

H

H

H

H

H

H

H

H

H

H

H

H

C

C

C

C

C

C

H

H

H

H

H

H

CH2

③ シクロヘキサン完成!

CH2

CH2

CH2

※シクロヘキサンはシクロアルカンの一種

H

CH2 CH2

シクロアルカンは (アルカンから2コのHを取っているので)分子式CnH2nで表され、命名の際は環を作る炭素数に 対応するアルカン名の前に環を意味する 「シクロ」 をつける。

8 【】に当てはまる用語を答えよ。 アルケンとは炭素炭素二重結合(C=C) を1つもち、一般式【1】 で表される鎖式不飽和炭化水素である。

プロピレンに水H2Oを付加する際、 【2】 というルールによって、既にHが 【3 (多or少な)】 く付いている方の 炭素にHが、Hが 【4 (多or少な)】 い方の炭素にOHが付く。

したがって、生成物の多くは 【5】 であり、副生成物は 【6】 である。 臭素Br2が入った溶液は 【7】色である。 ここにアルケンを加えると溶液は 【8】色となる。

これはアルケンに臭素が 【9】 することで溶液中にBr2が無くなったためである。

【1】CnH2n 【2】 マルコフニコフ則【3】多【4】少な 【5】2-プロパノール 【6】1-プロパノール 【7】赤褐【8】無 【9】付加

アルカン

【アルケン一覧】 一般式 : CnH2n H

H

H

H

H

C

C

C

C

H

H

H

H

H

H を 2 つ取る

H

H

H

H

H

C

C

C

C

H

H

H

アルケンが完成!

【アルケンの命名法】 STEP1 主鎖の炭素C原子の数を数えて、 ベースとなるアルケン名を決定する

STEP2 C=C結合を形成しているCの番号が最も小さくなるようにCに番号をふる STEP3 置換基がある場合はそれが何番目のCに付いているのかを確認する

STEP4(置換基が付いているC番号) ( - 置換基名) ( - 二重結合のあるC番号) ( - アルケン名) の順で名前をつける ex)

STEP2 3

CH3

2

1

C

CH2

CH3

STEP3 2-メチル

STEP1 プロペン STEP4

2-メチル-1-プロペン

【アルケンの製法】 アルケンは主に、 アルコールを脱水することで作られる。 ex) エタノールの脱水によるエチレンの生成反応 H H

H

C

C

H

OH

濃 H2SO4

H

加熱

エタノール

H

H C

+

C

H

H2O

H エチレン

【アルケンの反応①(付加反応)】 ・水素H2の付加

・ハロゲン化水素HXの付加 C

C

HーX

C

C

H

X

C

HーOH

C

HーH

C

C

H

H

C

C

X

X

・ハロゲンX2の付加

・水H2Oの付加 C

C

C

C

H

OH

C

C

XーX

【マルコフニコフ則】 プロピレンにH2Oが付加すると二種類の物質が生成する。

1つはHが真ん中の炭素についた 「1ープロパノール」、 もう1つはHとOHが逆についた 「2ープロパノール」。 しかし、 1­プロパノールと2ープロパノールは同じ量、 50%ずつできるという訳ではない。 マルコフニコフ則 Hが多く付いている炭素にHが付加する マルコフニコフ則というルールによって、既にHが多く付いている方の炭素にHが、Hが少ない方の炭素にOHが付く。

H H が 2 コ付いている

→ H が付く可能性が高い

H

H

H

H

C

C

C

H

H

H

C

C

C

H

H

OH

H

1- プロパノール

副 H

+

H2O

H が 1 コしか付いていない

プロピレン

H

→ H が付く可能性が低い



H

H

H

H

C

C

C

H

OH

H

H

2- プロパノール

結果、 2­プロパノールが主生成物(量が多い生成物)、 1ープロパノールが副生成物 (量が少ない生成物) となる。

【ハロゲン (臭素)付加による二重結合の検出反応】 C

C

アルケンを 入れる

BrーBr

赤褐色

C

C

Br

Br

無色

ハロゲンの単体X2は酸化剤(電子e-を奪うもの) として働く。 X2 + 2e- → 2X-

π電子を狙い、酸化剤であるX2が攻撃してくるので、付加反応が起こる。 Br2の色は赤褐色であり、付加後Br2が無くなるため溶液は無色となる。

【アルケンの反応②(付加重合)】 アルケンは複数の分子が連続して付加反応を繰り返し、分子量の大きな 高分子 となることがある。

この反応を 「付加重合」 という。

CH2

切れる

CH2

CH2

CH2 n

エチレン

ポリエチレン

二重結合のうち一本を切って、 それぞれが外側と結合を作る。nというのは [] 内のものが大量にあることを示しており、

この状態になった化合物の名称には ポリ を付けることが多い。

9 【】に当てはまる用語を答えよ。 アルキンとは、一般式【1】 で表される、分子内に炭素炭素三重結合(C C) を1つ持つ鎖式不飽和炭化水素 である。代表的なアルキンであるアセチレンに塩化水素を付加すると 【2】 が生じ、

【2】 が重合すると 【3】 が生じる。

R-C C-HのようなC Cに直接結合しているHはH+として電離しやすいという性質がある。

例えば、 アルキンにアンモニア性硝酸銀(Ⅰ)水溶液([Ag(NH3)2]+) を加えると 【4】 の 【5】色沈殿が生成する。

また、 アルキンにアンモニア性塩化銅(Ⅰ)水溶液([Cu(NH3)4]+) を加えると 【6】 の 【7】色沈殿が生成する。 アセチレンを実験室内で作る際は 【8】 に水H2Oを加える。 アセチレンが三分子重合すると 【9】 が生成する。 この反応は触媒として 【10】 が使われる。

【1】CnH2n-2 【2】塩化ビニル 【3】 ポリ塩化ビニル 【4】銀アセチリド 【5】 白 【6】銅(Ⅰ) アセチリド 【7】赤 【8】炭化カルシウムCaC(カーバイド) 【9】 ベンゼン 【10】鉄Fe 2

アルカン

【アルキン一覧】 一般式 : CnH2n-2

H

H

H

H

C

C

H

H

C

C

H

H

アルキンが完成!

【アルキンの反応①(付加反応)】 ・臭素Br2の付加

臭素Br2のアルキンへの付加では、次のようにアルキンの三重結合のうち一本が切れ、Br-Brの2つのBrが付加する。 Br(赤褐色) 2

CH CH     CHBr = CHBr(無色) 結果として、臭素Br2の赤褐色が消えることになるので、 この反応は臭素の脱色を利用した

「炭素炭素三重結合(C C) の検出反応」 として用いられる。 ・水素H2の付加、付加重合

水素H2のアルキンへの付加では、 アルキンの三重結合のうち一本が切れ、H-Hの2つのHが付加する。

また、 さらに残った二重結合のうち一本が切れ、外側に結合を開いて 重合(付加重合)する。 付加

CH

CH

CH2

重合

CH

CH2

H

CH H

n

重合では無数に同じ部分が繰り返すことを [] とnを使って表している。 CH2

CH

CH2

CH

H

H

CH2

CH H

・塩化水素HClの付加、付加重合 付加

CH

CH

CH2

重合

CH

CH2

Cl

CH Cl

塩化ビニル

n

ポリ塩化ビニル

・酢酸CH3COOHの付加、付加重合 付加

CH

CH

CH2

CH

重合

OCOCH3 酢酸ビニル

CH2

CH OCOCH3

ポリ酢酸ビニル

n

・シアン化水素HCNの付加、付加重合 付加

CH

CH2

CH

重合

CH

CH2

CN

CH CN

アクリロニトリル

n

ポリアクリロニトリル

・水H2Oの付加、付加重合

水H-OHの付加はこれまで上で紹介してきたようにはならないので注意しよう。 付加

CH

CH2

CH

CH

変化

CH3

CH

OH

O

ビニルアルコール

アセトアルデヒド

C=C結合にヒドロキシ基が結合した構造をエノール型の構造といい、 この構造は炭素酸素二重結合(C=O) に可逆的

に変化する。 この性質をケト-エノール互変異性といい、一般にはエノール型であるビニルアルコールは非常に不安定

であるため、 より安定なケト型のアセトアルデヒドが生成する方向に大きく平衡が傾いている。

C

平衡はほぼ右へ

C O H

エノール型

C

C

H ケト型

O

【-C≡C-Hの反応】 R-C C-HのようなC Cに直接結合しているHはH+として電離しやすいという性質がある。 R-C C-H ⇆ R-C C- + H+ 塩基性の水溶液中ではH+ + OH- → H2Oの変化によってH+濃度が減少しているため、上式の平衡が右に移動する。

結果、R-C C-のイオンが増加する。 このイオンは銀イオンAg+などと難溶性の塩を形成して沈殿する。

ex1) アルキンにアンモニア性硝酸銀(Ⅰ)水溶液 ([Ag(NH3)2]+) を加えることによる銀アセチリド白色沈殿の生成 アンモニア性

H

C

C

H

硝酸銀 (Ⅰ)aq [Ag(NH3)2]+

AgC

CAg ↓(白)

銀アセチリド

ex2) アルキンにアンモニア性塩化銅(Ⅰ)水溶液 ([Cu(NH3)4]+) を加えることによる銅(Ⅰ) アセチリド赤色沈殿    の生成

アンモニア性

H

C

C

H

塩化銅 (Ⅰ)aq [Cu(NH3)4]+

CuC

CCu ↓(赤)

銅アセチリド

【アセチレンの製法】 アセチレンを実験室内で作る際は炭化カルシウムCaC(=カーバイド) に水H2Oを加える。 2 CaC2 + 2H2O → C2H2 + Ca(OH)2 【アセチレン三分子重合によるベンゼンの生成】 アセチレン三分子が重合するとベンゼンが生成する。

重合

3H

C

C

H

触媒 (Fe) + 加熱

CH CH

CH

CH ベンゼン

CH CH

10 【】に当てはまる用語を答えよ。 炭化水素のHを 【1】 で置換した化合物をアルコールという。 【1】 は親水基(水と親和性が高い官能基) なので、

炭素数が 【2 (大きor小さ)】 いアルコールは水によく溶ける。 また、 【1】 のOと、近くの 【1】 のHが 【3】 を形成する

ことにより分子間の結合が強固になっており、 それ故、異性体であるエーテルと比較してアルコールの沸点は

【4 (高or低)】 くなっている。

アルコールの 【5】 とは、分子内に存在するヒドロキシ基(-OH) の数である。

アルコールの 【6】 とは、 ヒドロキシ基(-OH) が結合した炭素に付いている炭素の数である。 アルコールを脱水すると 【7】 が生じる。 2-ブタノールを脱水すると、 【8】 という法則に基づき、 ヒドロキシ基と 共に、 より付いているHが 【9 (多or少な)】 いCからHが引き抜かれる。 その結果、主生成物は 【10】 となる。

エタノールの脱水では、160℃以上で分子【11 (内or間)】脱水が起こり、 【12】 が生じる。130∼140℃だと、 分子【13 (内or間)】脱水が起こり、 【14】 が生じる。

【1】 ヒドロキシ基【2】小さ 【3】水素結合【4】高【5】価数【6】級数【7】 アルケン 【8】 ザイツェフ則【9】少な 【10】2-ブテン 【11】 内 【12】 アルケン (エチレン) 【13】間【14】 エーテル (ジエチルエーテル)

【アルコール一覧】 価数

1

名称

構造式

メタノール

CH3OH

エタノール

CH3CH2OH

1-プロパノール

CH3CH2CH2OH CH3CHCH3

2-プロパノール

OH HOーCH2ーCH2ーOH

エチレングリコール (慣用名)

2

CH2ーCHーCH2

グリセリン (慣用名)

3

OH

OH

OH

【アルコールの命名法】 STEP1 主鎖の炭素数を見て、 ベースとなるアルカン名を決定する

STEP2 アルカン名の語尾を 「アン(ane)」 から 「オール(ol)」 にかえ、先頭にヒドロキシ基が付いている炭素の番号を     書く

STEP3 ヒドロキシ基の他に官能基が付いている場合は、官能基名と官能基が付いている炭素の番号をアルコール名     の前に書く ex) CH3 3

CH3

2

C

OH

STEP3 2-メチル 1

CH3

STEP1 プロパン

2-メチル-2-プロパノール STEP2 2-プロパノール

【アルコールの価数】 アルコールの価数とは、分子内に存在するヒドロキシ基(-OH) の数である。

CH2

OH

CH2

OH

CH2

OH

CH

OH

CH2

OH

2 価アルコール

3 価アルコール

(エチレングリコール)

(グリセリン)

【アルコールの級数】 アルコールの級数とは、 ヒドロキシ基(-OH) が結合した炭素に付いている炭素の数である。

炭素が1個の場合は第一級アルコール、2個の場合は第二級アルコール、3個の場合は第三級アルコールという。

CH3

CH2

CH3

OH

CH

CH3

CH3

CH3

OH

C

CH3

OH

1 級アルコール

2 級アルコール

3 級アルコール

(1- エタノール)

(2- プロパノール)

(2- メチル -2- プロパノール)

【アルコールの製法】 ・アルケンの水H2O付加

水H2Oのアルケンへの付加では、次のようにアルケンの二重結合のうち一本が切れ、H-OHのHとOHが付加し、

アルコールが生成する。

C

C

HーOH ・メタノールの工業的製法

一酸化炭素COと水素H2を反応させることでメタノールが発生する。 CO + 2H2 → CH3OH

・エタノールの工業的製法

エタノールはグルコースC6H12O6を発酵させることで発生する。 C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2

C

C

H

OH

【アルコールの反応①(ナトリウムNaとの反応)】 アルコール (のヒドロキシ基) はアルカリ金属であるナトリウムNaと反応し、 ナトリウムアルコキシドとなる。 R-OH + Na → R-ONa +

1 H 2 2

このとき水素が発生するので、 この反応はヒドロキシ基(-OH) の検出反応として用いられる。

(=異性体であるエーテルとの区別)

ex) エタノールC2H5OHとナトリウムNaの反応 2C2H5OH + 2Na → 2C2H5ONa + H2 ナトリウムアルコキシドの一種であるナトリウムエトキシドが生成しているのが確認できる。

【アルコールの反応②(脱水反応)】 脱水作用をもつ濃硫酸H2SO4を触媒としてアルコールを加熱脱水すると、 アルケンが生成する。 ex) エタノールの脱水によるエチレンの生成反応 H H

H

C

C

H

OH

エタノール

H

濃 H2SO4 加熱

H

H C

+

C

H

H エチレン

この脱水反応を考える際は 「ザイツェフ則」 というルールを考慮する必要がある。

H2O

【ザイツェフ則】 ザイツェフ則 H原子は結合しているHが少ないCから脱離する

H H

4

C

H 3

H H H

4

C

H

H 3

C

H

H 2

1

C

1

C

C

H

H

副 H

加熱 濃 H2SO4



H

OH

2

C

H

1- ブテン

H

C

H

H

2- ブタノール

H

4

C

H 3

H 2

C

H 1

C

C

H

H

H 2- ブテン

2-ブタノール中のヒドロキシ基が付いている炭素(2C) の右の炭素にはHが3つ、左の炭素にはHが2つ付いている。 このような場合、濃H2SO4で脱水しようとすると、 ザイツェフ則に基づき、 ヒドロキシ基と共に、 より付いているHが 少ない左側のCからHが引き抜かれる。 その結果、主生成物は2-ブテン (C-C=C-C) となる。

CH3

CH3 C

C

C

H

H

CH3

シス -2- ブテン

トランス -2- ブテン

主生成物

C

C

H

H

CH3

H

CH2CH3 C

H

H 1- ブテン

副生成物

【脱水温度による生成物の違い】 温度の違いにより、脱水した際の主生成物が異なる場合がある。 ex) エタノールC2H5OHの脱水 160℃以上

→ 分子内脱水

CH2 H 130℃ ∼ 140℃

CH2

濃 H2SO4 加熱

OH

CH2

+

CH2

H2O

→ 分子間脱水

CH3

CH2

OH

CH3

CH2

OH

濃 H2SO4

CH3

加熱

CH2

O

CH2

CH3

+

H2O

エーテル結合

低温だと 分子内 脱水は起こらず、分子間 での脱水が起こり、 2つのアルコールが繫がって 「エーテル」 が生じる。 【アルコールの反応③(酸化反応)】 アルコールの酸化反応は硫酸酸性過マンガン酸カリウムKMnO4水溶液か

硫酸酸性二クロム酸カリウムK2Cr2O7水溶液を試薬として用いて行われる。

・第一級アルコールの酸化 第一級アルコールを酸化すると、一段階目でアルデヒドが、二段階目でカルボン酸が生成する。 カルボキシ基

アルデヒド基

CH3

CH2 ヒドロキシ基

CH2

O

酸化

CH3

-2H

OH

1- プロパノール

CH2

C

H

ヒドロキシ基

CH2 OH

エタノール

CH3

+O

プロピオンアルデヒド

O

酸化 -2H

CH3

C

カルボキシ基

O

酸化

H

アセトアルデヒド

+O

CH2

C

プロピオン酸

アルデヒド基

CH3

O

酸化

CH3

C 酢酸

OH

OH

・第二級アルコールの酸化 第二級アルコールを酸化すると、 ケトンが生成する。 ケトン基

CH3

CH

CH3

OH

ヒドロキシ基

O

酸化

C

CH3

-2H

2- プロパノール

CH3

アセトン

2-プロパノールを酸化して生じるアセトンという物質は有機関連の実験を行う際によく用いられる大切なものなので

よく覚えておこう。

・第三級アルコールの酸化 第三級アルコールは (Hを持たないため)酸化されづらい。 R R

C

ヒドロキシ基

R

酸化されない

OH

アルコール

【エーテルとは】

ex)ジメチルエーテル

エーテルとはエーテル結合(R-O-R ) をもつ化合物である。

CH3

O

CH3

【エーテルの命名法】 STEP1 エーテル結合の両サイドの炭化水素基を確認する

STEP2 アルファベットの若い順に官能基名をつける。

    また、 2つの官能基名が同じ場合は官能基名の前に 「ジ」 をつける。 ex) CH3

CH2

エチル基

STEP2

O

CH3 メチル基

CH3

CH2

O

エチル基

STEP1

エチルメチルエーテル 【エーテルの反応】 エーテルは (異性体であるアルコールと比べて) 反応性が極めて低い。

したがって、 アルコールの反応として扱った脱水反応や酸化反応がほとんど起こらない。

CH2

CH3 エチル基

STEP2

ジエチルエーテル

11 【】に当てはまる用語を答えよ。 アルデヒドとは 【1】 をもつ化合物である。第【2】級アルコールの酸化により得ることができる。 例えば、 エタノールを酸化すると 【3】 が生じる。

アルデヒド基は比較的大きな極性をもち、 同程度の分子量をもつアルカンよりもファンデルワールス力が

大きいため、沸点は 【4 (高or低)】 くなる。 ただし、 ヒドロキシ基のように分子間で 【5】 を形成できないので、

アルコールと比べると沸点は 【6 (高or低)】 くなる。

アルデヒドは炭化水素部分が小さければ水に溶ける。

特に30% 40%程度のホルムアルデヒド水溶液は 【7】 と呼ばれ、防腐剤などとして用いられる。

アルデヒドは還元性があるため、 【8】反応を起こす。 【8】液には 【9】 が含まれている。

ここにアルデヒドを加えて加熱すると、 アルデヒドの還元性により 【9】 は還元され、 【10】 の沈殿が生成する。 アンモニア性硝酸銀水溶液には錯イオンである 【11】 が存在する。

ここにアルデヒドを加えて加熱するとアルデヒドによって銀イオンが還元され、 【12】 が生成する。 この反応を 【13】反応という。

ケトンとは、 【14】 をもつ化合物である。 アルデヒドとケトンはともにC=Oの結合をもつ化合物であり、

これらを一括りにして 【15】化合物と呼ぶこともある。

アセトンの実験室的製法として 【16】 の乾留が知られている。 ケトンは 【17】性がないため、 【8】反応や 【13】反応を起こさない。 CH3

CH OH

O

or CH3

C

上のような構造を持つアルコールやケトンにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると

特有の臭いをもつ 【18】 (化学式: 【19】) という 【20】色沈殿が得られる。 この反応を 【21】反応という。

【1】 アルデヒド基 【2】 1 【3】 アセトアルデヒド 【4】高【5】水素結合【6】低【7】 ホルマリン 【8】 フェーリング + 【9】銅(Ⅱ) イオンCu2+ 【10】酸化銅(Ⅰ)Cu2O【11】 [Ag(NH3)2] 【12】 銀Ag【13】銀鏡 黄 【14】 ケトン基【15】 カルボニル 【16】酢酸カルシウム 【17】還元【18】 ヨードホルム 【19】CHI【20】 3 【21】 ヨードホルム

【アルデヒド一覧】

【アルデヒドの製法】 ・基本的な製法(第1級アルコールの酸化) アルデヒドは第1級アルコールの酸化により得ることができる。 ex) エタノールの酸化によるアセトアルデヒドの生成反応

アルデヒド基

H CH3

C

ヒドロキシ基

H

O

酸化 -2H

CH3

C

H

OH

エタノール

アセトアルデヒド

・アセトアルデヒドの工業的製法(エチレンの酸化) アセトアルデヒドの工業的製法は入試でも頻出なので、一般的なアルデヒドの製法とは別枠で押さえておこう。 2CH2=CH2 + O2 → 2CH3-CHO

アセトアルデヒドは、工業的には塩化パラジウム (Ⅱ)PdCl2と塩化銅(Ⅱ)CuCl2を触媒に用いて、 エチレンを空気酸化して製造される。 この反応はヘキスト・ワッカー法と呼ばれている。

【アルデヒドの反応①(フェーリング反応)】

R-CHO

R-COOH 加熱

フェーリング液(Cu2+)

酸化銅(Ⅰ)Cu2O

酸化数+2

酸化数+1

フェーリング液には銅(Ⅱ) イオンCu2+が含まれている。 ここにアルデヒドを加えて加熱すると、 アルデヒドの還元性によりCu2+は還元され、酸化銅(Ⅰ)Cu2Oの沈殿が生成する。

(酸化銅(Ⅰ) 中の銅イオンの酸化数は+1 (Cu+) なので酸化数が減っている=還元されている) この反応をフェーリング反応という。

【アルデヒドの反応②(銀鏡反応)】

R-CHO

R-COOH 加熱

アンモニア性硝酸銀水溶液([Ag(NH3)2] )+ 酸化数+1

アンモニア性硝酸銀水溶液には錯イオン [Ag(NH3)2]+が存在する。

銀 Ag 酸化数0

ここにアルデヒドを加えて加熱するとアルデヒドによって銀イオンが還元され、単体の銀Agが生成する。

(銀の単体の酸化数は0なので銀イオンの酸化数+1から還元されている)

【ケトンとは】

ex)ジメチルケトン(アセトン)

ケトンとは、 ケトン基(R-CO-R ) を持つ化合物である。

O C

CH3

CH3

※ アルデヒドとケトンは共にC=Oの結合をもつ化合物であり、 これらをまとめてカルボニル化合物と呼ぶこともある。 【ケトンの命名法】 STEP1 ケトン基の両サイドにある炭化水素基を確認する

STEP2「ケトン」 の前にアルファベットの若い順に官能基名をつける。

    また、 2つの官能基が同じ場合は官能基名の前に 「ジ」 をつける O CH3

CH2

エチル基

STEP2

C

O CH2

CH3

CH3

エチル基

CH2

C

エチル基

CH3 メチル基

STEP1

ジエチルケトン

STEP2

エチルメチルケトン ※ ジメチルケトン は基本的に 「アセトン」 という慣用名で呼ばれるので覚えておこう。 O CH3

C

CH3

【ケトンの製法】 ・第2級アルコールの酸化 第2級アルコールを酸化することでケトンが生成する。 ケトン基

H R

R

C

ヒドロキシ基

O

酸化

R

-2H

R

C

OH

アルコール

ケトン

・アルケンの酸化 アルケンを酸化すると2つのケトンが生成する。 R

R

R C

R

酸化

C

R C

O



O

C

R

R

R

・クメン法(アセトンのみ) クメン法はフェノールの製法として知られているが、 フェノールと同時にケトンの一種であるジメチルケトン

(=アセトン) が生成する。

・酢酸カルシウムの乾留(アセトンのみ) アセトンの実験室的製法として酢酸カルシウムの乾留が知られている。

(CH3COO)2Ca

熱分解

(CH3)2CO + CaCO3 アセトン

【ケトンの反応(ヨードホルム反応)】 CH3

CH

O

or CH3

OH

C

上のような構造を持つアルコールやケトンにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると特有の臭い

をもつ 「ヨードホルムCHI3」 という黄色沈殿が得られる。 この反応をヨードホルム反応と呼ぶ。

I2 , NaOHaq 加熱

CH3

CH

or CH3

OH

ヨードホルム CHI3

O C

ちなみに、反応する部分構造に隣接する原子はCかHでなければならない。 CH3

CH

O

or CH3

OH

C か H のみ!

例えば、隣がOである酢酸はヨードホルム反応を起こさない。 ex)酢酸

O CH3

C

OH

ここが酸素 O 原子だから

C

12 【】に当てはまる用語を答えよ。 カルボン酸とは 【1】 をもつ化合物である。第一級アルコールを酸化すると、一段階目で 【2】 が、

二段階目で 【3】 が生成する。例えば、 エタノールの酸化では、一段階目で 【4】 が、第二段階目で 【5】 が生じる。

カルボン酸は、炭化水素部分が小さければ水に溶けて 【6】性を示す。 また、分子間で 【7】 を形成するので結合が切れにくく、異性体であるエステルに比べて沸点が 【8 (高or低)】 い。 カルボン酸の中で 【9】 だけは還元性をもつ。 これは 【10】基をもつためである。 カルボン酸2分子間で脱水が起こると 【11】 が形成される。 カルボン酸は比較的安定した物質なので脱水には

【12】 が用いられる。 マレイン酸は脱水すると 【13】 となる。 また、 マレイン酸の異性体である 【14】 はトランス形 であり、 カルボキシ基が離れているので加熱しても脱水しない。

メタンやアセトンを実験室で生成する際は、 カルボン酸の 【15】反応を利用する。 メタンの製法では、 【16】 に 水酸化ナトリウムNaOHを加えて加熱する。 アセトンの製法では、酢酸カルシウムを 【17】 する。

【17】 とは空気を遮断して加熱することであり、生成物のアセトンの蒸気が引火しやすいのでこのような方法で 行う必要がある。

エステルとは分子内に 【18】 をもつ化合物である。

エステルは、異性体であるカルボン酸と異なり 【19】性である。 また、水に溶け 【20 (やすorにく)】 く、 有機溶媒に溶け 【21 (やすorにく)】 く、芳香性をもつ。

さらにギ酸エステルは、 ギ酸と同様、 【22】基があるので還元性を示す。

【1】 カルボキシ基【2】 アルデヒド 【3】 カルボン酸【4】 アセトアルデヒド 【5】酢酸【6】酸【7】水素結合【8】高 【9】 ギ酸HCOOH【10】 アルデヒド 【11】 酸無水物【12】十酸化四リンP4O10【13】無水マレイン酸 エステル結合 【19】 中 【14】 フマル酸【15】脱炭酸【16】酢酸ナトリウムCH3COONa【17】乾留【18】 【20】 にく 【21】 やす 【22】 アルデヒド

【カルボン酸一覧】 カルボン酸とはカルボキシ基(-COOH) をもつ化合物である。 カルボン酸は古来より知られていたものが多く、 したがって慣用名で呼ばれることが多い。

下記のものはいずれも重要なカルボン酸なので名前と構造式を対応させて必ず覚えておこう。

※用語について補足

鎖式炭化水素のH1つをカルボキシ基で置換したカルボン酸を脂肪酸という。

脂肪酸のうち、炭化水素基が単結合のみのものを飽和脂肪酸、二重結合などを含むものを不飽和脂肪酸という。 また、 カルボキシ基を2つもつものをジカルボン酸、 ベンゼンのH原子をカルボキシ基で置換したものを 芳香族カルボン酸、 ヒドロキシ基をもつカルボン酸をヒドロキシ酸という。

カルボン酸についたカルボキシ基の数をそのカルボン酸の価数という。

分類

名称

構造式 O

ギ酸

飽和脂肪酸

H

O

酢酸

プロピオン酸

CH3

C

アクリル酸

OH

O CH3

CH2

H

不飽和脂肪酸

OH

C

OH

H C

H

C

C C O

OH

分類

名称

構造式 O

O

シュウ酸

C

C

HO

HO

マレイン酸

OH O

O

C

C C

C

H

ジカルボン酸

OH

H O

HO

フマル酸

H

C C

C

H

C

OH

O

O

アジピン酸

HO

C

O CH2



C

OH

O

安息香酸

芳香族

カルボン酸

C

OH

O

フタル酸

C

OH

C

OH

O

テレフタル酸

HO

O

O

C

C

OH

O

乳酸

HO

C

CH

OH

CH3

ヒドロキシ酸

O

リンゴ酸

HO

C

O CH2

CH OH

C

OH

【カルボン酸の製法】 カルボン酸の製法はそれぞれによって異なる。

(一価のカルボン酸は以下のように第一級アルコールの酸化によって得られる)

R ヒドロキシ基

O

酸化

H

C

カルボキシ基

アルデヒド基

H R

-2H

O

酸化

H

C

R

+O

OH

C

OH

アルコール

アルデヒド

カルボン酸

第一級アルコールを酸化すると、一段階目でアルデヒドが、二段階目でカルボン酸が生成する。 カルボキシ基

アルデヒド基

CH3

CH2 ヒドロキシ基

CH2

O

酸化

CH3

-2H

OH

1- プロパノール

CH2

O

酸化

H

C

CH3

+O

プロピオンアルデヒド

ヒドロキシ基

CH2

カルボキシ基

OH

O

酸化 -2H

エタノール

O

酸化

H

C

CH3

C

プロピオン酸

アルデヒド基

CH3

CH2

CH3

+O

アセトアルデヒド

C

OH

酢酸

【カルボン酸の性質】 カルボン酸は、炭化水素部分が小さければ水に溶けて酸性を示す。

また、分子間で水素結合を形成するので結合が切れにくく、異性体であるエステルに比べて沸点が高い。 H

O CH3

C

O C

水素結合

O

H

CH3

O

カルボン酸の中で 「ギ酸HCOOH」 だけは (アルデヒド基があるため)還元性をもつ。 カルボキシ基

O H

C

アルデヒド基

OH

OH

【カルボン酸の反応①(中和反応)】 カルボン酸は酸性なので塩基と中和反応を起こす。

R-COOH + NaHCO3 → R-COONa + CO2 + H2O

ちなみに、 カルボン酸の酸としての強さは以下の通りである。 HCl > R-SO3H > R-COOH > H2CO3 > フェノール カルボン酸

【カルボン酸の反応②(エステル化)】 カルボン酸は、 アルコールと反応しエステル結合を形成する。 ex)酢酸とエタノールによるエステル形成反応 O CH3

C

O OH

+

H

CH2

O

CH3

濃 H2SO4 加熱

CH3

C

脱水

O

CH2

CH3

+

エステル結合

【カルボン酸の反応③(脱水反応)】 カルボン酸2分子間で脱水が起こると 「酸無水物」 が形成される。

(カルボン酸は比較的安定した物質なので一般的な 硫酸による脱水 は不可。十酸化四リンP4O10+加熱などの 特別な処理が必要になる)

ex1)酢酸の脱水 O

O CH3

C

O

H

+ CH3

C

O

H

P4O10 加熱

CH3

C

CH3

O

ex2) マレイン酸の脱水

O

O

H

C C

C

O

O

H

H P4O10

+ C

H2O

C

O

H

+

O

加熱

O

H

H

C C

C O C O

+

H2O

H2 O

※マレイン酸の異性体「フマル酸」 はトランス形なので加熱しても脱水しない。 (カルボキシ基が離れているので) カルボキシ基

O H

H

O

C

C C

C

O

H

H

O カルボキシ基

【カルボン酸の反応④(脱炭酸反応)】 によって、 アルカンやケトンが生成する。 カルボン酸の脱炭酸反応 (炭酸イオンCO32-が抜けるような反応) <アルカンの生成> δ-

R H

δ+

<ケトンの生成>

O C

δ-

O

CO32- が抜ける

O

R R

C

δ+

O C

CO32- が抜ける

O

O

O メタンやアセトンを実験室で生成する次の反応は、 このカルボン酸の脱炭酸反応を利用したものである。 ・メタンの製法 酢酸ナトリウムCH3COONaに水酸化ナトリウムNaOHを加えて加熱する。 CH3COONa + NaOH → CH4 + Na2CO3

・アセトンの製法 酢酸カルシウムを乾留する。 (CH3COO)2Ca

CH3

C

CH3

+

CaCO 3

O ※乾留とは空気を遮断して加熱すること。

生成物のアセトンの蒸気が引火しやすいので空気(酸素) を遮断した状態で加熱する必要がある。

【エステルとは】 エステルとは分子内にエステル結合(-COO-) をもつ化合物である。 ex)酢酸メチル

O C

CH3

O

CH3

【エステルの命名法】 エステルの命名法は至って簡単。下記R をHで置き換えた 「カルボン酸」 の名前の後に、 R(炭化水素基) の名称をつけるだけ。

O R

C

R

O

ここを H で置き換えた「カルボン酸」の名前

例えば以下のエステルは、COOに続いている 「メチル基CH3」 をHに変えてできるカルボン酸が 酢酸 なので

「酢酸メチル」 となる。

O CH3

C

O

CH3

【エステルの製法】 ・酸触媒を使った合成法 カルボン酸をアルコールと共に濃硫酸を触媒として加熱するとエステルが生じる。 ex)酢酸とエタノールによるエステル形成反応 O CH3

C

O OH

+ 脱水

H

O

CH2

CH3

濃 H2SO4 加熱

CH3

C

O

エステル結合

CH2

CH3

+

H2 O

・カルボン酸無水物を使った合成法 無水酢酸をアルコールと反応させるとエステルが生じる。

(この反応は、 エステル結合とともにアセチル基(COCH3) も生成しているので 「アセチル化」 と捉えることもできる) O C R

+

H

O

CH3

O

O C

R

CH3

O

C

エステル結合

O CH3

+

H3C

C

O

H

アセチル基

O

・アルケンやアルキンにカルボン酸を付加する方法 アルケンやアルキンにカルボン酸を付加するとエステルが生じる。 ex) エチレンと酢酸から酢酸エチルができる反応

H

H C

+

C

H

H

CH3

C

H

H

O

付加

O

H

H

C

C

H

H

O

C O

エチレン

酢酸

酢酸エチル

【エステルの性質】 エステルは (異性体であるカルボン酸と異なり) 中性である。

また、水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすく、芳香性をもつ。

さらにギ酸エステルは、 カルボン酸のところで紹介したギ酸と同様、 アルデヒド基があるので還元性を示す。 O H

C

O

アルデヒド基 エステル結合

R

CH3

【エステルの反応】 ・酸触媒を使った加水分解 エステルを加水分解するとカルボン酸とアルコールが生じる。 ex)酢酸エチルの加水分解 O CH3

C

O

+

C2H5

O H2O

加熱

CH3

C

OH

+

C2H5

OH

希硫酸のように水を多く含む酸触媒を用いて平衡を右に傾かせると、多くのエステルを加水分解することができる。 ・塩基を使った加水分解(けん化) エステルを強塩基(NaOH・KOHなど) により加水分解することを 「けん化」 という。 ex)酢酸エチルの水酸化ナトリウムNaOHによるけん化 O CH3

C

O

C2H5

+

O NaOH

加熱

CH3

C

ONa

+

C2H5

OH

13 【】に当てはまる用語を答えよ。 アミンとカルボン酸から水が取れて縮合したものを 【1】 という。 また、 このとき形成される-CONHの結合は 【2】 と呼ばれる。

【1】 は 【3】性物質である。

【1】 アミド 【2】 アミド結合【3】 中

【アミドの名称】 高校化学に出てくるアミドで名前を知っておかなければならないのはアセトアニリド。 O N

C

CH3

H 【アミドの性質(アミンとの違い)】 である。 アミンは、 アンモニアと同様に窒素原子の非共有電子対がH+と配位結合するので塩基(H+を受け取るもの) H R

N

H

+

H 2O

R

H

N

H

+

OH

H

アミン

一方、 アミドはカルボニル基の正に帯電した炭素原子が、窒素原子の非共有電子対を引きつけて電子が広範囲に分布

するので、 アミンのように配位結合によって塩基として働きにくく、 中性物質である。

R1

δ+

δ-

C

N

O

H

R2

14 【】に当てはまる用語を答えよ。 ベンゼンとは、分子式【1】 で表される正六角形の環状化合物である。 ベンゼンは二重結合を3つもつように

表記されるが、実際にはC-C間で単結合と二重結合が交互に入れ替わる 【2】 と呼ばれる現象が起こっている。

ベンゼン環の一部の電子は炭素原子からなる六員環の表面に雲のように広がっており、 これによりベンゼンは 非常に安定している。 したがって、 【3】反応は安定した状態が崩れてしまうため起こりにくく、

【4】反応が起こりやすい。

ベンゼン環をもった安定な化合物はまとめて 【5】化合物と呼ばれる。 ベンゼン環を2つ繋げてできた化合物を 【6】、3つ繋げてできた化合物を 【7】 という。 ベンゼンはアルキンである 【8】三分子の重合反応により合成される。 【9】反応とは、 ベンゼンの環構造を特殊な条件により破壊することで、新たな原子(官能基) を付加する反応で ある。 ニッケルNiやパラジウムPd、 白金Ptなどを触媒として高温高圧下でベンゼンに水素を付加させると

【10】 が生成する。 ベンゼンに 【11】 や 【12】 を照射して塩素を付加させると 【13】 が生成する。

【14】反応とは、 ベンゼンがもつ1つの水素原子Hが他の原子(官能基) と置き換わる反応である。 ベンゼンに存在するH原子とニトロ基が置き換わる反応のことをベンゼンの 【15】化という。

例えば、 ベンゼンを濃硝酸と濃硫酸の混合物(= 【16】) と反応させると、淡黄色油状物質の 【17】 が生じる。

ベンゼンに存在するH原子とスルホ基が置き換わる反応のことをベンゼンの 【18】化という。 例えば、 ベンゼンを濃硫酸や発煙硫酸と反応させると、 【19】 が生じる。

ベンゼンに存在するH原子とアルキル基が置き換わる反応のことをベンゼンの 【20】化という。

例えば、 ベンゼンと塩化メチルを反応させると、 【21】 が生じる。 ベンゼンに存在するH原子とハロゲン原子が

置き換わる反応のことをベンゼンの 【22】化という。例えば、 ベンゼンと塩素を反応させると、 【23】 が生じる。

【1】C6H【2】 共鳴【3】付加【4】置換【5】芳香族【6】 ナフタレン 【7】 アントラセン 【8】 アセチレン 6 【9】付加【10】 シクロヘキサン 【11】光【12】紫外線 【13】 ベンゼンへキサクロリド (ヘキサクロロシクロヘキサン) 【14】置換【15】 ニトロ 【16】混酸 【17】 ニトロベンゼン 【18】 スルホン 【19】 ベンゼンスルホン酸【20】 アルキル 【21】 トルエン 【22】 ハロゲン 【23】 クロロベンゼン (【11】 ・ 【12】 は順不同)

【ベンゼンとは】 ベンゼンとは、分子式C6H6で表される正六角形の環状化合物である。 H H

C C

H

C

C

C C

H

H 略式でこう書く。

H 【ベンゼンの性質】 ・共鳴する

ベンゼンは二重結合を3つもつように表記されるが、実際にはC-C間で単結合と二重結合が交互に入れ替わる

「共鳴」 と呼ばれる現象が起こっている。全ての結合が1.5重結合だと考えると分かり易い。 H H

H

C C

C

C

H

C C

H

H 共鳴

H

H

C C

C

C

C C

H

H

二重結合が順に横にずれる

二重結合がまたずれる

→ 二重結合の位置が変化

→ 元に戻る

H

・構成原子は同一平面上に存在する ベンゼンを形成するすべての原子は同一平面上に存在している。

H

C

H

H

C

C

H C

C C H H ベンゼン環のπ結合を形成している電子は炭素原子からなる六員環の表面に雲のように広がり非局在化

・非常に安定している

(局所的に存在するのではなく満遍なく存在していること) している。 これにより、 ベンゼンは (同じく炭素炭素二重結合C=Cをもつアルケンなどと比べて)非常に安定している。 また、 このベンゼン環をもった安定な化合物をまとめて芳香族化合物という。

・置換反応が起こりやすい

ベンゼンは安定な環のため、付加反応よりも置換反応の方が起こりやすく、開環しにくい。

(付加反応が起こると安定した状態が崩れてしまう場合が多い)

H

【ベンゼン環が複数繋がった化合物】 ベンゼン環を2つ繋げてできた化合物をナフタレン、3つ繋げてできた化合物をアントラセンという。 ナフタレン C10H8

アントラセン C14H10

また、 ナフタレンはその分子結晶が昇華性をもつことは覚えておこう。 【ベンゼンの製法】 ベンゼンはアルキンであるアセチレン三分子の重合反応により合成される。

アセチレン

H

H

C C

H

H C

C

H

H

C

Fe 500℃

C

H

H

C C

C

C

C C

H

H

H

H アセチレンの三重結合のうち一本が切れて隣のCと結合を作っている。 【ベンゼンの反応①(付加反応)】

ベンゼンの反応は環を破壊して行われる 「付加反応 (と酸化反応)」 と環を保存したまま行われる 「置換反応」 に分ける

ことができる。 まずは付加反応の方から解説していく。

付加反応とは、 ベンゼンの環構造を特殊な条件により破壊することで、新たな原子(官能基) を付加する反応である。

・水素付加 ニッケルNiやパラジウムPd、 白金Ptなどを触媒として高温高圧下でベンゼンに水素を付加させると

「シクロヘキサン」 が生成する。

+

3H2

Ni 高温・高圧

シクロヘキサン

この反応は接触還元の一種である。

・塩素付加 ベンゼンに光や紫外線を照射して塩素を付加させると 「ベンゼンへキサクロリド (ヘキサクロロシクロヘキサン)」 が 生成する。

Cl

+

Cl

Cl

Cl

Cl

光・紫外線

3Cl 2

Cl ベンゼンヘキサクロリド (ヘキサクロロシクロヘキサン)

ベンゼンヘキサクロリドは以前農薬として用いられていた化合物である。 【ベンゼンの反応②(酸化反応)】 ベンゼンは一般的な酸化剤(KMnO4・K2Cr2O7など) に対しては安定であるが、酸化バナジウム (Ⅴ)V2O5を触媒

として空気(O2)酸化すると開環して 「ジカルボン酸の無水物」 となる。

O

O H V2O5 , O2 加熱

H

C C

C

O

H

H P4O10

+ C

加熱

O

H

H

C

C

O

C

O 無水マレイン酸

マレイン酸

H H

加熱

H

C C

C

C H

H 2O

C

O

V2O5 , O2

+

H

O

C C

C

O

H

H P4O10 加熱

C O

フタル酸

O

H

H

C C

C

C

O

C C

H 無水フタル酸

C O C O

+

H2 O

【ベンゼンの反応③(置換反応)】 置換反応とは、 ベンゼンがもつ水素H原子が他の原子(官能基) と置き換わる反応である。 ・ニトロ化 ベンゼンに存在するH原子とニトロ基が置き換わる反応のことをベンゼンのニトロ化という。 H H

H

C C

C

C

H

C C

H

H +

HO

NO2

C

濃 H2SO4 加熱

H

C

H

H

C

C

C C

NO2 +

H2 O

H

H ニトロベンゼン

濃硝酸

ベンゼンを濃硝酸と濃硫酸の混合物(=混酸) と反応させると、淡黄色油状物質のニトロベンゼンが生じる。 ベンゼンと濃硝酸が脱水縮合しているイメージ!

※純粋なニトロベンゼンは無色だが、 ほとんどの場合不純物が混じり淡い黄色になっている ※ニトロベンゼンは甘い香りを持つ液体で、水に溶けにくい中性物質である ※ニトロベンゼンの密度は1.2g/mLであり、水よりも重い ・スルホン化 ベンゼンに存在するH原子とスルホ基が置き換わる反応のことをベンゼンのスルホン化という。 H H

H

C C

C

C

H

C C

H

H +

SO 3 H

HO

H

加熱

H

C C

H

C

C

C C

H 濃硫酸

ベンゼンスルホン酸

ベンゼンを濃硫酸や発煙硫酸と反応させると、 ベンゼンスルホン酸が生じる。

※ベンゼンスルホン酸は無色の結晶である

※ (芳香族化合物としては珍しく)電離するため水によく溶ける (強酸性)

SO 3 H + H

H2 O

H H

C

C C

H

H SO 3 H

C

+

C

C

H H2 O

電離

H

H

C C

H

C

C

C C

SO 3 +

H3O

H

H

・アルキル化 ベンゼンに存在するH原子とアルキル基(メチル基・エチル基など) が置き換わる反応のことをベンゼンのアルキル化

という。

H H

C

C C

H

H H

C

+

C

C

H CH 3 Cl

AlCl3 加熱

H

H

C C

H

C

C

C C

CH 3 +

HCl

H

H トルエン

ベンゼンと塩化メチルを反応させると、 トルエンが生じる。 ・ハロゲン化 ベンゼンに存在するH原子とハロゲン原子が置き換わる反応のことをベンゼンのハロゲン化という。 H H

H

C C

C

C H

H

C C

H

H +

H

Cl 2

Fe

H

C C

C

C

C C

H クロロベンゼン

Cl + H

HCl

15 【】に当てはまる用語を答えよ。 【1】 とは、 ベンゼンにアルキル基が置換した化合物である。 トルエンとは、 ベンゼンに1つの 【2】基が置換した化合物である。 トルエンはベンゼンの 【2】化によって 得ることができる。

で置換した 【4】 も トルエンを酸化すると 【3】 が得られる。 ちなみに、 ベンゼンをエチル基(-CH2CH3) 酸化されると 【3】 になる。

トルエンを高温下でニトロ化すると、 【5】 が得られる。 キシレンとはベンゼンに 【6】基が2つ置換した化合物のことである。置換基がオルト (o)位についていれば 【7】、

メタ (m)位についていれば 【8】、 パラ (p)位についていれば 【9】 と呼ぶ。 【7】 を酸化すると 【10】 が、 【10】 を脱水すると 【11】 が得られる。

【8】 を酸化すると 【12】 が得られる。 【12】 は2つの 【13】基が離れた位置にあるので加熱しても脱水は おこらない。

【9】 を酸化すると 【14】 が得られる。

【14】 は 【12】 同様2つの 【13】基が離れた位置にあるので加熱しても脱水はおこらない。

【1】 アルキルベンゼン 【2】 メチル 【3】安息香酸【4】 エチルベンゼン 【5】2-4-6トリニトロトルエン (T.N.T) 【6】 メチル 【7】o-キシレン 【8】m-キシレン 【9】p-キシレン 【10】 フタル酸 【11】無水フタル酸 【12】 イソフタル酸【13】 カルボキシ 【14】 テレフタル酸

【アルキルベンゼンとは】 が置換した化合物である。 アルキルベンゼンとは、 ベンゼンにアルキル基(メチル基-CH3・エチル基-CH2CH3など) ex) トルエン H

H

H

C C

C

C H

C C

CH3

H

【トルエンの製法】 トルエンはベンゼンのメチル化によって得ることができる。 H H

H

C C

C

C

H

C C

H

H +

CH3Cl 加熱

H

H

C

C C

+

C

C

H

CH3

C

H

H トルエン

【トルエンの反応①(酸化反応)】 トルエンを酸化すると安息香酸が得られる。 H

H H

C

C C

H

C

KMnO4

C

C

H

CH3

C

H+

C

H

H

C

COOH

C C

C

H

H

H

安息香酸

ちなみに、 ベンゼンをエチル基(-CH2CH3) で置換した エチルベンゼン も酸化されると安息香酸になる。 H H

H

C C

C

C H

H

C C

H

CH2CH3 KMnO4

H

H+

H

C C

C

C H 安息香酸

C C

COOH

H

HCl

【トルエンの反応②(ニトロ化)】 トルエンを高温下でニトロ化すると、2-4-6トリニトロトルエン (T.N.T) が得られる。 H H

H

C C

CH3

C

C C

C

NO2

CH3 +

3HNO3

C

濃 H2SO4 加熱

5

H

H

C

6

C 4

H

1

C

NO2

C2

+

C 3

3H2O

H

NO2 2.4.6 - トリニトロトルエン(T.N.T)

【キシレンとは】

H2O

が2つ置換した化合物のことである。 キシレンとはベンゼンにメチル基(-CH3) オルト位

CH3 H

H

C C

C

C

CH3

C C

H

H

C C

H

CH3

メタ位

C

H

C C

C

CH3 H

CH3

H

C C

C

C C

C

H パラ位 H

CH3

H

H

o - キシレン

m - キシレン

p - キシレン

置換基がオルト (o)位についていればo-キシレン、 メタ (m)位についていればm-キシレン、

パラ (p)位についていればp-キシレンと呼ぶ。

【キシレンの反応①(o-キシレンの酸化反応と脱水反応)】 o-キシレンを酸化するとフタル酸が、 フタル酸を脱水すると無水フタル酸が得られる。 O

O CH3

C

O

C

H

KMnO4

CH3

O

加熱

H+

C O フタル酸

O

H

C O 無水フタル酸

+

H2 O

【キシレンの反応②(m-キシレンの酸化反応と脱水反応)】 m-キシレンを酸化するとイソフタル酸が得られる。 CH3

COOH

KMnO4 加熱

H+

CH3

COOH イソフタル酸

イソフタル酸は2つのカルボキシ基(-COOH) が離れた位置にあるので、加熱しても脱水はおこらない。 【キシレンの反応③(p-キシレンの酸化反応と脱水反応)】 p-キシレンを酸化するとテレフタル酸が得られる。 CH3

COOH

KMnO4 加熱

H+

CH3

COOH テレフタル酸

テレフタル酸は2つのカルボキシ基(-COOH) が離れた位置にあるので、加熱しても脱水はおこらない。

16 次の問いに答えよ。 (1) 【】 に当てはまる用語を答えよ。

フェノール類とは、 ベンゼン環の水素H原子がヒドロキシ基で置換された化合物である。 フェノールの現代の工業的製法を 【1】 という。 【1】 では、 まず、 プロピレンでベンゼンのHを置換し、 【2】 を得る。 次に、 【2】 を酸素で穏やかに酸化して 【3】 という過酸化物を得る。最後に、希硫酸中で-O-O-結合が切断され、 複雑な反応を経て、 【4】 とフェノールを得る。

フェノールの昔の工業的製法を 【5】 という。 【5】 では、 まず、 ベンゼンを濃硫酸とともに加熱すると 【6】 が生じる。 次に、 【6】 と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜて 【7】 を得る。 そして、 【7】 と水酸化ナトリウム (固体) を混ぜて

約300℃に加熱し、 【8】 を得る。固体が融解した状態で反応が進むのでこの過程は 【9】 と呼ばれる。最後に、

【8】 に塩酸や炭酸のようなフェノールよりも強い酸を加えることで 【10】反応によってフェノールを得る。

クロロベンゼンの加水分解によってフェノールを得る方法を 【11】 という。 【11】 では、 まず、 ベンゼンを塩素と

反応させてクロロ化し、 【12】 を得る。次に、 【12】 を水酸化ナトリウム水溶液と混ぜ、300℃に加熱し、 【13】 を

得る。 この際、 クロロベンゼンは揮発性の液体なので、2.0 107程度の圧力をかけて蒸発を防ぐ必要がある。

また、高圧下では、水も蒸発しにくいので、液体同士で混ぜやすい水酸化ナトリウム水溶液を用いる。最後に、

【13】 に塩酸や炭酸のようなフェノールよりも強い酸を加えることで 【14】反応によってフェノールを得る。 フェノールは かに電離して水素イオンH+を出すため、 【15】性である。 フェノールはヒドロキシ基-OHを もっており、分子間で 【16】 を形成するため、沸点・融点が非常に高く常温常圧で 【17】色結晶である。

酸であるフェノールに、塩基である水酸化ナトリウムNaOHを反応させると、 【18】 と呼ばれる塩が生成する。 【18】 とH2CO3を反応させるとフェノールが遊離する。 この反応は 【19】反応である。 フェノールと臭素Br2を反応させると 【20】 の 【21】色沈殿が生成する。 フェノールを混酸(濃硝酸+濃硫酸) とともに加熱すると 【22】 が得られる。

これをさらに続けると 【23】 の 【24】色沈殿が得られる。 【23】 は水に溶けて 【25】性を示す。 (2) フェノール類はFe3+と錯イオンを形成して呈色する。 【】 に当てはまる色を答えよ。 化合物

FeCl3 水溶液を加えた際の呈色

フェノール

【1】

クレゾール

【2】

1- ナフトール

【3】

2- ナフトール

【4】

(1) 【1】 クメン法【2】 クメン 【3】 クメンヒドロペルオキシド 【4】 アセトン 【5】 アルカリ融解法 【6】 ベンゼンスルホン酸【7】 ベンゼンスルホン酸ナトリウム 【8】 ナトリウムフェノキシド 【9】 アルカリ融解 【10】弱酸遊離【11】 ダウ法【12】 クロロベンゼン 【13】 ナトリウムフェノキシド 【14】弱酸遊離【15】弱酸 【16】水素結合【17】 白 【18】 ナトリウムフェノキシド 【19】弱酸遊離【20】2.4.6-トリブロモフェノール 【21】 白 【22】 ニトロフェノール 【23】2.4.6-トリニトロフェノール (ピクリン酸) 【24】黄【25】弱酸 (2)

化合物

FeCl3 水溶液を加えた際の呈色

フェノール



クレゾール

青紫

1- ナフトール



2- ナフトール



【フェノール類とは】 フェノール類とは、 ベンゼン環の水素H原子がヒドロキシ基(-OH) で置換されたものである。 OH H

H

C C

C

C

CH3

C C

H

H

H

H

C C

C

C

C C

H

H

フェノール

o- クレゾール

OH

H

H

H

C C

H

OH

C

C

C H

C C

C H

1- ナフトール

C C

H

H

【フェノールの製法】 ・クメン法(現代の工業的製法) H CH3

C

CH3

CH3

① CH3

プロピレン

CH

O

OH

C

CH3

② O2

CH2

酸化

クメン

クメンヒドロペルオキシド

OH O

③ H (希 H2SO4) +

+

分解

CH3

フェノール

C

CH3

アセトン

①プロピレンでベンゼンのHを置換し、 クメンを得る。 (正確にはプロピレンにH+を付加後ベンゼンのHを置換)

CH3

H

H

C

C H

H

付加

CH3

H

H

C

C

H H

CH3

H H

②クメンを酸素で穏やかに酸化してクメンヒドロペルオキシドという過酸化物を得る。 ③希硫酸中で-O-O-結合が切断され、複雑な反応を経て、 アセトンとフェノールを得る。

C

CH3

+

H

・アルカリ融解法(昔の工業的製法) SO3Na

SO3H ①



濃 H2SO4

NaOHaq

加熱

中和

ベンゼンスルホン酸ナトリウム

ベンゼンスルホン酸

OH

ONa ③



H+(CO2 + H2O)

NaOH(固) アルカリ融解

ナトリウムフェノキシド

フェノール

①ベンゼンを濃硫酸とともに加熱するとベンゼンスルホン酸が生じる。

②ベンゼンスルホン酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜてベンゼンスルホン酸ナトリウムを得る。

③ベンゼンスルホン酸ナトリウムと水酸化ナトリウム (固体) を混ぜて約300℃に加熱し、 ナトリウムフェノキシドを 得る。固体が融解した状態で反応が進むのでこの過程はアルカリ融解と呼ばれる。

④ナトリウムフェノキシドに塩酸や炭酸のようなフェノールよりも強い酸を加えることで弱酸遊離反応によって

フェノールを得る。

・ダウ法(クロロベンゼンの加水分解) Cl ①

Cl2 , Fe クロロ化

クロロベンゼン

OH

ONa ③



H+(CO2 + H2O)

NaOHaq 高温・高圧

ナトリウムフェノキシド

フェノール

①ベンゼンを塩素と反応させてクロロ化し、 クロロベンゼンを得る。

②クロロベンゼンを水酸化ナトリウム水溶液と混ぜ、300℃に加熱し、 ナトリウムフェノキシドを得る。

また、高圧下で この際(クロロベンゼンは揮発性の液体なので)2.0 107程度の圧力をかけて蒸発を防ぐ必要がある。 は、水も蒸発しにくいので、 (アルカリ融解法と異なり)液体同士で混ぜやすい水酸化ナトリウム 水溶液 を用いる。 ③ナトリウムフェノキシドに塩酸や炭酸のようなフェノールよりも強い酸を加えることで弱酸遊離反応によって

フェノールを得る。

【フェノールの性質】 ・弱酸性

フェノールは かに電離して水素イオンH+を出すため、弱酸性である。 O

OH

+

H

フェノキシドイオン

※(同じヒドロキシ基-OHをもつ化合物のアルコールは中性なのに) フェノール水溶液が弱酸性を示す理由 O

H

O

+

H

フェノールが弱酸性、 アルコールが中性なのは 「フェノキシドイオンはO原子上の余剰な負電荷をベンゼン環に与え ることによって安定化できるから」 である。

H+が脱離したときにできるイオンが安定したものだとH+が脱離しやすくなる。 フェノールからH+が脱離してできる

フェノキシドイオンは余っている負電荷をベンゼン環の方に流すことによって安定化できるため比較的H+が脱離

しやすく、酸性となる。

一方、 アルコールからH+が脱離してできるアルコキシドイオンは負電荷を分散することができないためH+が脱離

しづらく、 中性となる。

また、 フェノールはあくまで弱酸であり、 カルボン酸や炭酸などと比較して弱い酸であることも知っておこう。 塩酸,硫酸 > カルボン酸 > 炭酸(第1電離)> フェノール

(塩酸,硫酸のみ強酸、後は弱酸) ・沸点・融点が高い

フェノールはヒドロキシ基-OHをもっており、分子間で水素結合を形成するため、沸点・融点が非常に高く常温常圧で 白色結晶である。

【フェノールの反応①(中和反応)】 フェノールは水に溶けて かに酸性を示す。

酸であるフェノールに、塩基である水酸化ナトリウムNaOHを反応させると、 ナトリウムフェノキシドと呼ばれる塩が 生成する。

OH

O Na

+

+

NaOH

H2O

ナトリウムフェノキシド

【フェノールの反応②(弱酸遊離反応)】 ナトリウムフェノキシドとH2CO3を反応させるとフェノールが遊離する。 OH

O Na

+

CO2

+

H2O

+

H2CO3

であるために起こる弱酸遊離反応である。 この反応は酸としての強さが 「H2CO3 > フェノール」

NaHCO3

【フェノールの反応③(置換反応)】 ・ブロモ化

フェノールと臭素Br2を反応させると 「2.4.6-トリブロモフェノール」 の白色沈殿が生成する。 OH

OH Br +

Br +

3Br2

3HBr

Br 2.4.6 - トリブロモフェノール

ベンゼンの臭素化の場合は鉄などの触媒が必要であったが、 フェノールの場合は触媒なしでOK。 ・ニトロ化

フェノールを混酸(濃硝酸+濃硫酸) とともに加熱するとニトロフェノールが得られる。

これをさらに続けると 「2.4.6-トリニトロフェノール (ピクリン酸)」 の黄色沈殿が得られる。 OH

OH

OH

OH NO2

混酸

NO2 混酸

+

加熱

加熱

NO2 o - ニトロフェノール

NO2

p - ニトロフェノール

NO2 2.4.6 - トリニトロフェノール (ピクリン酸)

ピクリン酸は水に溶けて弱酸性を示す。

【フェノールの反応④(エステル化(アセチル化))】 O C O

H

+

O

CH3

O

O C

C

CH3

+

CH3COOH

CH3

O 無水酢酸

酢酸フェニル

酢酸

【フェノールの反応⑤(検出反応)】 ベンゼン環に直接結合したヒドロキシ基-OHをフェノール性ヒドロキシ基という。

このフェノール性ヒドロキシ基をもつ物質(フェノール類) はFe3+と錯イオンを形成して呈色する。

この反応はフェノール性ヒドロキシ基の検出反応として用いられる。

また、 ヒドロキシ基があってもベンゼン環に直接結合していないとフェノール性ヒドロキシ基ではないため呈色しない

という点に注意しよう。

C H2

CH3 OH 異性体

フェノール類

アルコール類

→ 色がつく

→ 色がつかない

OH

17 【】に当てはまる用語を答えよ。 芳香族カルボン酸とは、 ベンゼン環に 【1】基が置換した化合物である。

代表的な芳香族カルボン酸に、 ベンゼン環に 【1】基1つが置換した安息香酸がある。 酸性物質である安息香酸と塩基性物質である水酸化ナトリウムNaOH水溶液を反応させると塩である 【2】 が 生成する。

【3】反応が起こる。安息香酸は本来弱酸であるが、 安息香酸と炭酸水素ナトリウムNaHCO3が反応すると 炭酸と比較すると相対的に強い酸であり、 したがってこの反応においては強酸として働く。

また、 この反応は 【4】基の検出反応として用いられている。

ベンゼンにカルボキシ基とヒドロキシ基が1つずつ置換した化合物を 【5】 という。 【5】 のカルボキシ基がメタノールと反応することで 【6】化が起こる。

このとき生成する 【7】 は 【8】臭をもつ油状の液体で、 【9】作用をもつので外用塗布薬などとして用いられる。

【5】 のヒドロキシ基が無水酢酸と反応することで 【10】化が起こる。 このとき生成する 【11】 は 【12】作用をもつ。

【1】 カルボキシ 【2】安息香酸ナトリウム 【3】弱酸遊離【4】 カルボキシ 【5】 サリチル酸【6】 エステル 【7】 サリチル酸メチル (=サロメチール) 【8】特異【9】消炎鎮痛【10】 アセチル 【11】 アセチルサリチル酸(=アスピリン) 【12】解熱鎮痛

【芳香族カルボン酸とは】 芳香族カルボン酸とはベンゼン環にカルボキシ基(-COOH) が置換した化合物である。 下記の構造は代表的な芳香族カルボン酸の安息香酸である。 COOH H

H

H

H H

COOH

【安息香酸の製法】 安息香酸は 「トルエンの酸化」 によって生成される。 COOH

CH3

KMnO4

H+

加熱

【安息香酸の反応】 安息香酸は酸性物質であり、 それ故、 中和反応や弱酸遊離反応を起こす。 ・安息香酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応 酸性物質である安息香酸と塩基性物質である水酸化ナトリウムNaOH水溶液を反応させると、 塩である安息香酸ナトリウムが生成する。 COOH

COONa

+

+

NaOH

H 2O

安息香酸ナトリウム

・安息香酸と炭酸水素ナトリウムの弱酸遊離反応 安息香酸と炭酸水素ナトリウムNaHCO3が反応すると弱酸遊離反応が起こる。 COOH

COONa

+

+

NaHCO3

CO2

+

H 2O

H2CO3 安息香酸ナトリウム

安息香酸は本来弱酸だが、炭酸と比較すると相対的に強い酸であり、 したがってこの反応においては強酸として働く。

また、 この反応はカルボキシ基(-COOH) の検出反応として用いられている。

【サリチル酸とは】 サリチル酸はフェノールを元にして次のように生成される。 ONa

OH ① NaOHaq 中和

ナトリウムフェノキシド

OH

OH COONa



COOH

③ H

CO2

+

高温・高圧

サリチル酸ナトリウム

サリチル酸

①フェノールと水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、 ナトリウムフェノキシドを得る。

②ナトリウムフェノキシドを高温高圧下で二酸化炭素CO2と反応させ、 サリチル酸ナトリウムを得る。

③サリチル酸ナトリウムは弱酸を含む塩であり、塩酸などの強酸を加えることで弱酸遊離反応を起こし、

サリチル酸を生じる。

【サリチル酸の反応・性質】 サリチル酸はカルボキシ基(-COOH) とヒドロキシ基(-OH) を1つずつ持っているため、

カルボン酸 として反応する場合と、フェノール として反応する場合に分けて考える必要がある。

・カルボン酸としての反応 サリチル酸のカルボキシ基(-COOH) がメタノールと反応することで 「エステル化」 が起こる。 エステル結合

O C OH

O OH

+

H

O

CH3

濃 H2SO4

C

O

OH サリチル酸メチル

このとき生成されるサリチル酸メチル (=サロメチール) は特異臭をもつ油状の液体で、 消炎鎮痛作用をもつので外用塗布薬などとして用いられる。

CH3

+

H2O

・フェノールとしての反応 サリチル酸のヒドロキシ基(-OH) が無水酢酸と反応することで 「アセチル化」 が起こる。 O COOH H

O

C +

CH3

O C

COOH

濃 H2SO4

O

CH3

アセチル基

C

CH3

+

CH3COOH

O

O

アセチルサリチル酸

このとき生成されるアセチルサリチル酸(=アスピリン) は解熱鎮痛作用をもつ。 ・酸としての反応 サリチル酸はカルボキシ基やヒドロキシ基を持つため酸として働く。 【パターン1】 サリチル酸と水酸化ナトリウムNaOH水溶液との反応 COOH

+

OH

COONa

2NaOH

ONa

+

2H2O

サリチル酸二ナトリウム

【パターン2】 サリチル酸と炭酸水素ナトリウムNaHCO3との反応 COOH OH

+

COONa

NaHCO3

OH

+

H2CO3 よりも弱い酸なので 反応しない

サリチル酸ナトリウム

この反応はカルボキシ基(-COOH) の検出反応として用いられている。 ・検出反応 フェノール性ヒドロキシ基をもつ化合物は塩化鉄(Ⅲ)FeCl3水溶液を加えると紫色を呈し、

この呈色反応はフェノール性ヒドロキシ基の検出反応として知られている。

サリチル酸もフェノール性ヒドロキシ基をもっており、 この反応で検出される。

CO2

+

H2O

18 【】に当てはまる用語を答えよ。 芳香族アミンとはベンゼン環に 【1】基が置換した化合物である。

代表的な芳香族アミンに、 ベンゼン環に 【1】基1つが置換したアニリンがある。 アニリンの製法では、 まずベンゼンに混酸(濃硝酸+濃硫酸) を加えることで 【2】 を得る。 次に 【2】 に酸性条件下で還元剤である金属スズを加え、 【3】 を得る。

最後に、 【3】 に水酸化ナトリウム水溶液を加え、 アニリンを得る。 この反応は 【4】反応である。 【5】 が生成する。 この反応は 【6】基の検出反応として アニリンを無水酢酸(CH3CO)2Oと反応させると 用いられている。 また、 【5】 は 【7】色の結晶でかつて 【8】剤として用いられていた。

アニリンに希塩酸HClと亜硝酸ナトリウムNaNO2を加えて5℃以下に保ったまま反応させると、

【9】基をもつ 【10】 が生成する。 この反応をアニリンの 【11】化という。

このとき生成した塩は不安定であるため、 5℃以上に加熱すると分解し、N2の発生とともに 【12】 が生成する。 温度を5℃以下の低温に保ったまま塩化ベンゼンジアゾニウムにNaOHaqを加えて塩基性にし、

(フェノール由来の) ナトリウムフェノキシドと反応させると 【13】 と呼ばれる反応が起こる。 このとき生成した 【14】 は 【15】色をしており合成染料として用いられる。 アニリンにさらし粉CaCl(ClO)・H2O水溶液を加えると 【16】色になる。

また、 アニリンにニクロム酸カリウムK2Cr2O7を加えると 【17】 と呼ばれる黒色沈殿が生じる。

【1】 アミノ 【2】 ニトロベンゼン 【3】 アニリン塩酸塩【4】弱塩基遊離【5】 アセトアニリド 【6】 アミノ 【7】 白 【8】解熱鎮痛【9】 ジアゾ 【10】塩化ベンゼンジアゾニウム 【11】 ジアゾ 【12】 フェノール 【13】 ジアゾカップリング 【14】p-ヒドロキシアゾベンゼン 【15】赤橙【16】紫【17】 アニリンブラック

【芳香族アミンとは】 が置換した化合物である。 芳香族アミンとはベンゼン環にアミノ基 (-NH2) 下記の構造は代表的な芳香族アミンのアニリンである。 NH2 H

H

H

H H

NH2

【アニリンの製法】 アニリンはニトロベンゼンやアニリン塩酸塩を介して次のような流れで生成される。 NO2 濃 HNO3 +

濃 H2SO4



加熱

ニトロベンゼン

NH2

NH3 Cl 濃 HCl + Sn or Fe

NaOHaq





中和

還元

アニリン塩酸塩

アニリン

①ベンゼンに混酸(濃硝酸+濃硫酸) を加えることでニトロベンゼンを得る。

②ニトロベンゼンに酸性条件下(アニリンは酸化されやすいので強い酸化力をもたない塩酸をよく用いる) で還元剤で

ある金属スズを加え、 アニリン塩酸塩を得る。

③アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウム水溶液を加え、 アニリンを得る。 この反応は弱塩基遊離反応である。

【アニリンの反応①(塩基としての反応)】 を持つため、弱塩基性物質である。 アニリンはアミノ基(-NH2)

したがって、酸性物質と酸塩基反応を起こしたり、強塩基性物質と弱塩基遊離反応を起こしたりする。 ※ アニリンが塩基性を示す理由

アニリンは水に溶けて塩基性を示すが、 これはアミノ基-NH2をもつためである。 H H

N

H

H

+

N

H

H2O

アミノ基があることで、N原子の非共有電子対を使ってH+と配位結合することができる。

+

OH

ただし、非共有電子対がベンゼン環の方にも広がっていくので、 アニリンは比較的弱い塩基である。

・アニリンと塩酸の酸塩基反応 アニリンは塩酸HClと酸塩基反応を起こしアニリン塩酸塩を生じる。 NH3 Cl

NH2

+

HCl

アニリン塩酸塩

・アニリン塩酸塩と水酸化ナトリウムの弱塩基遊離反応 上で生成したアニリン塩酸塩を強塩基であるNaOHと反応させると、弱塩基であるアニリンが遊離する。 NH2

NH3 Cl

+

+

NaOH

NaCl

+

H 2O

【アニリンの反応②(アセチル化)】 アニリンを無水酢酸(CH3CO)2Oと反応させるとアセトアニリドが生成する。 O C N

H

+

O

CH3 N

O C

H

CH3

C

H

O

CH3

+

CH3COOH

アセチル基

アミド結合

アセトアニリド

この反応はアミノ基(-NH2) の検出反応として用いられている。

また、 アセトアニリドは白色の結晶でかつて解熱鎮痛剤として用いられていた。

しかし副作用 (溶血作用) をもつため現在はあまり使用されておらずアセトアミノフェンなどで代用されている。 ex)アセトアミノフェン

O HO

N H

C

CH3

【アニリンの反応③(ジアゾ化)】 アニリンに希塩酸HClと亜硝酸ナトリウムNaNO2を加えて5℃以下に保ったまま反応させると、

ジアゾ基(-N+ N) をもつ塩化ベンゼンジアゾニウムが生成する。 この反応をアニリンのジアゾ化という。 NH2

N2Cl

N Cl

N

HClaq + NaNO2 冷却

(5℃以下)

塩化ベンゼンジアゾニウム

このとき生成したジアゾニウム塩は不安定であるため、

5℃以上に加熱すると分解してしまいN2の発生とともにフェノールが生成する。 N

N Cl

OH

+

加水分解

H 2O

+

加熱

+

N2

HCl

(5℃以上)

【アニリンの反応④(ジアゾカップリング)】 温度を5℃以下の低温に保ったまま塩化ベンゼンジアゾニウムにNaOHaqを加えて塩基性にし、 (フェノール由来の)

ナトリウムフェノキシドと反応させるとジアゾカップリングと呼ばれる反応が起こる。

N

+

N Cl

H

ONa

ナトリウムフェノキシド

N

N

OH

+

NaCl

アゾ基

p - ヒドロキシアゾベンゼン

このとき生成したp-ヒドロキシアゾベンゼンは赤橙色をしており合成染料として用いられる。 【アニリンの反応⑤(検出反応)】 アニリンにさらし粉CaCl(ClO)・H2O水溶液を加えると紫色になる。

また、 アニリンにニクロム酸カリウムK2Cr2O7を加えると アニリンブラック と呼ばれる黒色沈殿が生じる。

19 安息香酸・フェノール・アニリンのエーテル混合溶液から各成分を分離する操作は以下の通り。 【】 に当てはまる化合物の名称を答えよ。

❶ エーテル混合溶液を分液ろうとに取り、希塩酸を加える。

これをよく振り混ぜた後、静かに放置して2層に分かれた水層には 【1】 がイオンとなって溶けている。 ❷ ❶の水層を取り出した後、残っているエーテル層に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてよく振った後静置する

と、水層には 【2】 がイオンとなって溶けている。

❸ ❷の水層を取り出した後、 エーテル層には 【3】 が残っている。

【1】 アニリン 【2】安息香酸【3】 フェノール

分液ろうと

最初エーテル混合溶液に入っているもの

安息香酸・フェノール・アニリン

エーテル層 コック

エーテル層

操作1

NH3

希塩酸を加える

水層を分離(アニリンGET!!)

操作 2

炭酸水素ナトリウム 水溶液を加える

水層

コックを開けて、下層である水層を ビーカーなどに取り出す

エーテル層 COO

フェノールが残ってる

水層を分離(安息香酸GET!!)

①塩酸を加えると塩基性物質であるアニリンのみがイオン形になり水層へと移動する →水層を分離することでアニリンGET!!

②炭酸水素ナトリウム水溶液を加えると弱酸遊離反応により安息香酸のみがイオン形になり水層へと移動する →水層を分離することで安息香酸GET!!