解析学基礎 Basics of Analysis 4320114574, 9784320114579

―古典的な理論構成に則りつつ,現代の標準的概念を用いて解析学の基礎部分全体を再構成した,新たな定番書― 解析学は変化を調べる数学で,自然現象に潜む数学的構造を深い洞察により明らかにしたものである。自然科学において解析学が応用される場面は多く

287 36 15MB

Japanese Pages 402 [414] Year 2021

Report DMCA / Copyright

DOWNLOAD FILE

Polecaj historie

解析学基礎 Basics of Analysis
 4320114574, 9784320114579

Table of contents :
はじめに
記号表
目次
序章
0.1 ε-δ 論法
0.2 同値関係
0.3 集合と位相
0.4 代数系
0.5 線形代数
0.6 多項式
章末問題0
第1章 実数
1.1 Cauchy列
1.2 実数の構築
1.3 実数の基本性質
1.4 複素数
1.5 ℝⁿ の位相
1.6 完備距離空間
章末問題1
第2章 関数
2.1 連続関数
2.2 微分
章末問題2
第3章 積分
3.1 Riemann積分の定義
3.2 基本的性質
3.3 微分積分学の基本定理
3.4 置換積分
3.5 部分積分
3.6 広義積分
3.7 面積,曲線の長さ
3.8 線積分
3.9 Riemann-Stieltjes 積分
章末問題3
第4章 級数,ベキ級数
4.1 級数
4.2 ベキ級数
4.3 両方向級数,2重級数
4.4 無限乗積
4.5 連分数
章末問題4
第5章 関数列
5.1 一様収束
5.2 関数項級数
5.3 連分数展開
5.4 Ascoli-Arzelà の定理
章末問題5
第6章 多変数関数
6.1 連続関数
6.2 偏微分
6.3 全微分可能
6.4 高階偏導関数
6.5 超曲面
6.6 積分記号下の微分法
6.7 重積分
章末問題6
第7章 逆写像定理,陰関数定理
7.1 逆写像定理
7.2 陰関数定理
7.3 部分多様体
7.4 Lagrangeの未定乗数法
章末問題7
第8章 コンパクト性
8.1 コンパクト性の定義と ℝⁿ のコンパクト集合
8.2 連続関数とコンパクト性
章末問題8
第9章 初等関数
9.1 指数関数
9.2 対数関数
9.3 三角関数
9.4 逆三角関数
9.5 ガンマ関数
9.6 初等関数の不定積分
章末問題9
章末問題解答
序章
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
問の解答
第1章・第2章
第3章・第6章
第9章
定理一覧
序章・第1章
第2章・第3章
第4章
第5章・第6章
第7章
第8章・第9章
索引

Citation preview

解析学 枯

共立出版

はじめに 解析学は変化を調べる数学で,微分積分学を基礎とし.微分方程式論,関数解 析学.複素解析学などを総称したものである変化を調べるのは自然科学の中心 的テーマだから,解析学は物理学をはじめとする自然科学や工学などの応用分野 ともきわめて近い距離にある. また数学の中においても解析学は広く用いられて いて,たとえば整数論の中に解析数論という研究分野があり,代数幾何学は複素 解析学ときわめて深い関係があり,微分幾何学では偏微分方程式論が主要な役割 を果たしている. 解析学の中心となる手法は積分と微分で.

これらはいずれも無限小の概念に基

づいている.無限小は普通の数のような実体を持たない,仮想的な概念で.その 取り扱いは慎重にしなければならないが.無限小を扱うことで思考の飛躍が可能 となり,積分と微分は計り知れない恩恵をもたらした.現在の解析学では積分・ 微分を扱う論理が整備され.その論理に従うことで自由で透徹した議論が可能と なっている. 大学で数学を専攻する人は. 1年次の微分積分か 2年次以降の講義で解析学の 基礎についてきっちりと学ぶことと思う.一方.理工系あるいは医薬系でユー ザーとして数学に関わる人は.実数の定義から始まる解析学の基礎については. 学ぶ機会がなかったりまた学ぶ必要を感じていないかもしれない.

しかしその

ような人たちにとっても.解析学の基礎を学ぶ意義は大きい.最小値• 最大値・

最適解を求める問題や.数理モデリングで現象を解明する問題など.解析学が応 用される場面は多い.そのような問題解決のためのツールが用意されている場合 でも,それがどのような思想• 発想の下に作られたのかを知っていれば.状況の

変化に応じて正しく改変・応用することができるであろう.広く言うならば.物 事の根本を知ることが理解の早道でありかつ改変・応用の自由度を最も高める のである.また解析学でごく普通に用いられる E 6論法は.誤差が指定した範囲 に収まるように状況を設定するという操作であり,工学的発想ときわめて親和性 が高い.このことからも.解析学が応用科学• 技術と深く関わっていることがわ

かるであろう.実際解析学は.ニュートンカ学誕生後は物理学と渾然一体となっ て出来上がってきていて.純粋な思惟の産物というよりは.

自然現象や数学的現

i i

はじめに

象に潜む数学的構造を深い洞察により明らかにしたものである. 本書はこのような認識の下,数学を専門に学ぶ人にもユーザーとして使う人に も,解析学の基礎を無理なく自然な形で学べる教科書を作りたいという思いから 執築したものである.解析学の教科書としては,古くは J o r d a n ,G o u r s a t ,P i c a r d といったフランスの高名な数学者がそれぞれ著した解析教程があり,和書でも高 名な教科書がいくつもある.その中で敢えて本書を著した理由は,

より学びやす

く使いやすい形のものがありうるのではないかと考えたからである.具体的には, 次のような方針が学びやすさ・使いやすさにつながるのではないかと考えた. ( 1 ) 実数の定義には Cauchy列を用いる.

Cauchy列による実数の定義は構成的で,実数を実感を伴って認識することが可 能となる.そして Cauchy列により定義された実数は扱いやすい. さらに Cauchy 列は,本書でも随所に用いられるように解析学における中心的な技法であり,そ の技法に早くからなじむことにも意味がある. ( 2 ) 取り上げる概念・用語を精選する.

解析学は多くの研究の蓄積の上に成立している.そうして得られた様々な概念・ 用語をその歴史的経緯とともに学ぶのは重要なことであるが,中には特に覚える 必要が感じられない概念・用語が慣習として残っている場合もあるようである. 特に初学の際には概念や用語の軽重がわかりづらく,あまり必要でない概念・用 語を載せることは学習の妨げになると考え,必要なものを絞り込むこととした. ( 3 ) 定理も精選し,その証明は最も自然なものを追求する. 定理についても軽重を明らかにするため,重要なものは定理,それ以外は命題 として,区別をはっきりさせた定理はその証明とセットで理解しておかないと 使うことができない.そのため定理の証明は,なるべく自然で道筋やアイデアが よくわかるように構築するよう心懸けた.証明を行う際通常は微分積分学の範 囲外であるため用いられない概念についても,それを用いることで論理が明解に なり見通しがよくなるならば積極的に用いることとした特に集合と位相,線形 代数代数系の初歩に関する概念については,それらを用いることで解析学にお ける議論の自由度が格段に高まる.線形代数については微分積分学と並ぶ数学の 基盤であるから,本書とは独立に学んでほしい.それ以外の集合と位相・代数系

はじめに

i i i

などについては,それらの知識を持たない読者のために序章において必要な定義 と使い方などを詳しく解説し.本文を支障なく読めるように配慮した.序章では

c : 8論法についても丁寧に説明している. ( 4 ) 演習問題を充実させる. 本書は微分積分学の内容を含むが.解析学の基礎ということをテーマにしてい るので,通常の微分積分学の演習問題は控えめにして,解析学の基礎に関わる演 習問題を充実させるよう心懸けた.すなわち概念を学ぶ演習問題,様々な実例に 触れる演習問題を中心に作ることとした.本文中に例や命題として取り上げるの がふさわしいものを本文の叙述をすっきりさせて理論の全体像を把握しやすく するため演習問題に回した場合もある.その場合でも十分詳しい解答をつけてい るので,本文中にあった場合と比べても遜色なく学べることと思う.

( 5 ) 学習者および研究者の視点に立って内容を編む. 全体を通して,学習者が学ぶための,そして研究者が使うための書物というこ とを意識して内容を組み立てた.すなわち,概念•発想・考え方を詳しく説明し,

そこから自然に様々な解法•技術が展開できることを伝えるようにした.基本的 な概念•発想・考え方をきちんと身につければ,新しい問題に出会っても適切な

取り組み方が見えてくるはずである. また使う立場からは.大事な定理や概念に ついては使い方も込めてしっかり書かれていることが重要と考え,陰関数定理と コンパクト性について,それぞれ 1章を割いて詳しく解説した.最後の章では指 数関数• 三角関数といった初等関数について,実数の定義に基づいた厳密な定義

を与え,安心して使えるようにした. これらの方針で目指すところが適えられているかは読者の判断を侯つしかない が,本書が,壮麗な解析学の世界への入り口となることができれば幸いである. 最後に,畏友小川原弘士氏には原稿を詳細に見ていただき,数々の有益な助言 を賜りました.また共立出版編集部の高橋萌子氏には,本書作成のすべての段階 で丁寧な対応をいただき,大変お世話になりました.両氏に心より感謝申し上げ ます.

2021年 1 0月 原岡喜重

記号表 N={ 1 ,2 ,3 ,. . .}:自然数全体の集合 Z={ . . ., 2 ,1 ,0 ,1 ,2 ,3 ,. . .}:整数全体の集合

{~I , PqE z ,q= JO }:

( Q=

有理数全体の集合

匝:実数全体の集合 ( C:複素数全体の集合

これらの記号に不等号を添えて.部分集合を表すことがある例として

応 o={xE 罠 IX>O }

(~) =k!(nn~k)!:

二項係数

n(n-2 ) ( n-4 ) ・・ ・4・2 ( n :偶数) n ! !~{,,(n -2 ) ( n-4 ) ・・ ・3・1 ( n,奇数)



次 ー

序章

. .

0 . 1 c : 8篇 計 去 ........

. .

0 . 1 . 1 数列の極限.................

. .

1



1

0 . 1 . 2 級数の収束.......... 0 . 1 . 3 関数の極限.............. . .

0 . 2 同値関係....

. .





. . .



0 . 4 . 2 環....

. .

0 . 4 . 3 体....

...... 27



0 . 4 . 1 群....... . .

.. 20

. .

. . . . . .........

0 . 3 . 4 可算集合.....

. .

.... 3 1

. .

..... 3 1

. .

... 3 1 .. 33

. .



.. 3 5

.....

0 . 5 線形代数......

10

.... .. 1 8

.......

0 . 3 . 3 距 離 .... 0 . 4 代数系......

...

... 1 8

0 . 3 . 1 集合と写像............. ...

7

. .

.....

0 . 3 集合と位相..... 立 朴 且 0 . 3 . 2 f





.. 36

0 . 6 多項式

37

第 1章 実 数

45

1 . 1 Cauchy列..........

. .

. .

...

. . .. 4 5

1 . 2 実数の構築......................

... .. 48

1 . 3 実数の基本性質.....

...... 54

.........

1 . 3 . 1 実数の完備性

.................

.. 54

1 . 3 . 2 実数の連続性

..................

.. 59

1 . 3 . 3 実数の実現と非可算性.....

. .

1 . 4 複素数............................. 1 . 4 . 1 複素数の代数的構成..........



... 66 ..

68

... 70

v i

目 次

1 . 4 . 2 絶対値と偏角 1 . 5

. . ......... 72

......

股n の位相....

.............. 74

1 . 6 完備距離空間

8 1

83

第 2章 関 数

2 . 1 連続関数....

8 3

................ 83

2 . 1 . 1 関数の極限...... 2 . 1 . 2 連続性...



86

2 . 2 微分

9 2

2 . 2 . 1 微分可能性........... 2 . 2 . 2 平均値の定理

.........

....................

2 . 2 . 3 T a y l o rの定理......



2 . 2 . 4 ! ' H o s p i t a lの定理

.......

....

9 7 .... 1 0 0



第 3章 積 分

... 1 0 3 107

3 . 1 Riemann積分の定義 ..... 3 . 2 基本的性質.......

3 . 3 微分積分学の基本定理

. . . ...........

.........

..... 1 0 7 ... 1 1 1

........ 1 1 4 ... 1 1 7

3 . 4 置換積分......

................ 1 1 9

3 . 5 部分積分.... 3 . 6 広義積分..............

.. 1 2 0 ... 1 2 4

3 . 7 面積曲線の長さ........

.......... 1 2 4

3 . 7 . 1 面積 ...... 3 . 7 . 2 曲線とその長さ

.....

3 . 7 . 3 円周率....

3 . 8 線積分.......

... 1 2 5

........ ......

3 . 9 R i e m a n n S t i e l t j e s積分... 第 4章 級 数 , ベ キ 級 数

4 . 1 級数....

92

... 1 3 1 .. 1 3 2 ...... 1 3 5 145

..........

4 . 2 ベキ級数.... 4 . 3 両方向級数, 2重級数.......

........ 1 4 5 .... 1 5 4 .. 1 6 9

目 次

v i i

...... ... 1 7 7

4 . 4 無限乗積...................

.. 1 8 0

4 . 5 連分数....

第 5章 関 数 列

191

5 . 1 一様収束......

.......... 1 9 1

5 . 1 . 1 一様収束の定義....

.. 1 9 1 .... 1 9 4

5 . 1 . 2 一様収束する関数列の性質... 5 . 1 . 3 広義一様収束

. . .

........

.... 1 9 7

5 . 2 関数項級数.......

.. 1 9 8

5 . 2 . 1 関数項級数としてのベキ級数....

.......... 1 9 9

0 1 5 . 2 . 2 T a y l o r展開可能性再考 ...• • ..• ..• • .• • .• • . 2 5 . 3 連分数展開................ 5 . 4 A s c o l i A r z e l aの定理

......

第 6章 多 変 数 関 数

. .

...... 204 ....

..... 209 215

6 . 1 連続関数....

.. 215

6 . 2 偏微分.....

...................... 219

6 . 3 全微分可能...... 6 . 4 高階偏導関数

........

... 2 2 1 ........ 2 3 1

6 . 5 超曲面....

.. 242

6 . 6 積分記号下の微分法.....

.. 246

6 . 7 重積分.....

.. 248

6 . 7 . 1 2重積分.....

.. 2 5 2

6 . 7 . 2 曲面積........

.. 2 6 1

6 . 7 . 3 3重積分, n重積分.....

.. 263

第 7章 逆 写 像 定 理 , 陰 関 数 定 理

7 . 1 逆写像定理...... 7 . 2 陰関数定理.....

269 ......... 269

......... .. 278

7 . 3 部分多様体......

.. 282

7 . 4 L agrangeの未定乗数法....

.. 288

v i i i

目 次

295

第 8章 コ ン パ ク ト 性

8 . 1 コンパクト性の定義と罠n のコンパクト集合

• .• .• • • • .• . 2 9 5

8 . 2 連続関数とコンパクト性 ............

........ 2 9 8

第 9章 初 等 関 数

301

9 . 1 指数関数.....

... 301

9 . 2 対数関数..............

.. 3 0 9

........

9 . 3 三角関数........ 9 . 3 . 1 三角関数の定義.......

... 3 1 2

.............. 3 1 2

9 . 3 . 2 三角関数の基本性質........... 9 . 4 逆三角関数...... 9 . 5 ガンマ関数..... 9 . 6 初等関数の不定積分............ 9 . 6 . 1 有理関数の不定積分......... 9 . 6 . 2 指数関数の有理式の不定積分... 9 . 6 . 3 三角関数の有理式の不定積分....

... 317 ... 3 2 1

........... 3 2 8 ......... 337 ... 3 3 7 ........ 3 4 0 .......... 340

9 . 6 . 4 無理関数の不定積分.....

... 3 4 1

9 . 6 . 5 求積可能でない不定積分 ....

... 3 4 3

章末問穎解答

345

問の解答

382

定理一覧

391

索 引

399

序章 本書では第 1章で実数を定義し,その定義に基づいて解析学の基礎となる概念 や命題とその使い方を学んでいく.そこでの記述をなるべく簡潔にして見通しを よくするため.議論のベースとなる事柄については既知としている.そのような 事柄について十分には慣れ親しんでいない読者のため.序章において第 1章以降 で使われる基礎的な事柄について説明しておくことにした.本文を読む際のハン ドプックという位置づけであるので,本格的な論は展開せずに,肝となるところ を伝えることを目指した.第 1章で初めて定義される実数も例の中に登場するが. そのような不整合をあまり気にせずに読んでいただきたい.

0 . 1

€-~ 論法

数列や関数の極限の意味をはっきりと定義するのに,

€-0 論法という方法が使

われる. €-0 論法を習得して議論ができるようになることは.解析学を学ぶ上で 必須事項である.この節では €-0 論法とはどういう方法なのかを説明し.使い方

を練習する.

0 . 1 . 1 数列の極限 数列 { a サ が aに収束する ( aが数列{%}の極限である)ということの定義 は.素朴には

Ian-al→ 0 ( n→ o o ) で与えられる.読み方は.「nが限りなく大きくなるとき. I an-alが限りなく 0 に近づく」である.たとえば

1 b n=-

n

2

序章

で与えられる数列 { b n }は, nが大きくなるにつれてーはいくらでも 0に近い値

n

になるので,この定義に適い, { b n }は 0に収束することがいえる.

しかしこの定

義は,「限りなく」ということばのイメージに依存しているため,受け取り手に よって解釈が違ってしまう危険がある. さらに,「大きくなる」「近づく」といっ た定性的な表現が用いられるため,精密な議論を行うときには定量的な情報が不 足する. 次に挙げる 2つの数列については,読者の皆さんはどのように判断されるだろ



e n }はほとんど上の数列 { b n }と同じで, nが 1 0 k (すなわち う.はじめの数列 { 1 0 , 1 0 0 ,1 0 0 0 ,1 0 0 0 0 ,...)のときだけ異なるように定義される. ー

1-n



cn

( n=1 0り (それ以外の n )

いくつか項を並べてみると.

1 1 1 1 1 1 1 . . . 1 - 1 1 , 1 '2 '9''11'...'99''101'...'999''1001'... という具合である.この数列 { e n }は 0に収束するといえるだろうか. 次の数列

{ d n }は{%}を少し変更したもので,

~~u

( n=1 0り (それ以外の n )

と定義する.項を並べると

1 1 1 111 11 1 1 ' 2 ' " " " ' 9 ' l ,汀,.•• ,面 ' 2 '珂,••• , 函 ' 3 '面 のようになる. { d n }は 0に収束するだろうか.

{ e n }や { d n }は限りなく 0に近づくか,という問は,限りなく近づくというこ e s ,No両方の答をもつ可能性があろう.そのような曖昧さを排 との解釈により Y した定義が必要である.そこで数列の収束に関しては.次のような定義を与える. 定義 0 . 1 数列 { a n }が a に収束するとは,任意の c>0に対してある番号 N が 存在し, n > Nとなるすべての番号 nに対して

I a n-al0 , ヨN

s . t . lan-alN

あるいは 咋 >0 , ヨN

s . t . n> N ⇒ I a n-alOをとる.ー Nとする. n=l01となる lが存在する場合には,

n > Nより l>kと

なるから

叫ー 0 1=

1 l

1 l

1 k

- = - iN'>N となるので J a ; n-a JN'であれば,

l ( a 1-a:)+・・・+( a N-a : ) I J a N + l-a : J+・・・+Ian-a : J J b n-a : J: S n + n M n M

く—+

n-N c n 2 c

0 s . t .B ( x , c )nA=0 xEXが A の外点⇔ ヨ ,B ( x , c )nAi=0 xEXが A の触点⇔ Ve>0 と定める. l )A ,BCX が閉集合で

集合 u ,vが存在する.

AnB=cをみたすとき. ACU ,BCV,UnV=0となる開

0 . 3 集合と位相

( .ご

29

外点

触点 A

( 、 又

図 0.1 内 点 . 外 点 触 点

明らかに Aの内点は Aに属し, Aの外点は Aに属さない. また Aの点は Aの 触点である .Aの内点全体の集合を Aの内部といい. Aoで表す .Aの触点全体 の集合を Aの閉包といい .Aで表す. A¥A0を Aの境界といい. 8Aで表す. 命題 0 .6 A 0は開集合 .Aは閉集合である.より詳しく. Aoは A に含まれる最

大の開集合であり .Aは A を含む最小の閉集合である.特に Aが開集合であるこ とと A =A0は同値であり ,Aが閉集合であることと A =Aは同値である.ま た 8Aは閉集合である. 証明 xEXを Aの内点とする.定義より B ( x ; c : )C Aとなる c:>0が存在す

( x ; c : )の点はすべて Aの内点となることが三角不等式を用いる るがこのとき B とわかる.これより Aoが開集合であることが従う. Aoが A に含まれる最大の 開集合であることは容易にわかる.

Aの補集合 (Atは Aの外点全体の集合に一致し, したがって Aの補集合 Ac の内部であるので .Aに関する主張は内部に関する主張から導かれる.

Aが閉集合, Aoが開集合であったので. 8Aは閉集合である.ロ 定義 0 . 2 2(集積点) ( X , d )を距離空間とし,{%}を X の点列とする.すなわち Xn E

X( n=1 ,2 ,3 ,...)である.元 E Xが{%}の集積点であるとは, Ve>0 , ヨn s . t .0N ⇒ d ( x n ,) 元 Oをとると, N が存在して, n > Nであれば E

E

d ( x n , x )0が存在して, どのような N に対しても n>Nとなる nで l b 訓>8 8 となるものがとれる.一方 {b~} ECだから,ーに対してある凡がとれて, 2

8

m,n>N1⇒ lb伍ー b~I 凡 と な る m のうちに l b 伍/>8となるものがとれるので,任意 の n>的 に 対 し て

8 8 lb~I = lb伝ー (b伍ー b~)I~lb位 1 ― lb~ ーb 伍/>8--=2

が成り立つ.そこで任意の c Eふ oに対して,凡を

m,n>N2⇒

lb伝— b紅<げ) 2s

2

1 . 2 実数の構築

51

となるようにとる.すると m,n>max{N1,N 叶ならば 1

1

亙―瓦=

b伝— b~lb伝― b訓

b ' b ' m n



( 8 / 2 ) 2

= [{史}]

f 3ヂ[ / 5 ]および b n : /0( V n )としておく. ( i i )a =[ { a n } l ,/ 3= [ { 加 } ]E罠とし, a : J( 3とする.このとき N E Nと

となる.ただし商においては

0E(Q>Oが存在して, ①

b n-am; : = :8 ( ¥ /m,n>N)

あるいは



am-bn~0

( Vm,n>N)

のいずれかが成り立つ.このことを示そうもしそうでないとすると,任意の

cEI Q >。と任意の N E Nに対して, m,n>Nをみたす m,nで € € bn-am く—, am —如く—

3

3

となるものが存在することになる. この 2つの不等式は €

l a m-b n l 凡 な ら lak —叫
N1)が入る区間

匝ー a』 < 3 ' c

図1 . 2

l b l-b n lN ⇒ b . , , , , a n ; : : : 8 が成り立つことである. 命題 1 . 1( i )により,罠は体となる.そこで股を実数体と呼ぶ命題 1 . 1( i i )に より,実数体訊は全順序集合である.

1 . 2 実数の構築

53

さらに実数には絶対値が定義される.その定義は有理数の絶対値の定義と見 かけ上全く同じで, aE良に対してその絶対値回は

l a l=m a x { a ,-a} で定義される.実数体屈は,この絶対値に基づいて距離空間となる.すなわち

a , bE股の間の距離を la-b lにより定義すればよい.序章の 0 . 3 . 3項で説明した ように,距離空間には距離によって位相が入る.そこで股を距離 l a-b lにより 位相空間と見なすことにする.すなわち股は開区間の集まり

B={(a-1o,a+1o)laE良 , c>0 } を開集合の基とする位相空間である. 命題 1.2 有理数体 Qは,実数体股の全順序体としての部分体と見なせる. 証明この主張を正確に述べるなら, l:( Q→



という写像で.体としての準同型であり.単射であり.かつ順序を保つもの (aふ が成り立つ. a =[ { a n } ]となる代表元 { a n }ECを 1つとる.するとふ / 2に対し てある N2E Nが存在して



m,n>N2⇒ lam —叫く一 2 が成り立つ. さて N = max{N1,凡}とおき, m > Nをみたす m を 1つとって a=amと

, n>N に対して おく.すると任意の l

釘ふ

e i-I a n-a l= e i-I a n-a叫>ふ—-=2

2

が成り立つので,定義 1 . 3に照らすとこれは

€>la-al を表している.ロ

1 . 3 実数の基本性質 1 . 3 . 1 実数の完備性 有理数の範囲で数列の極限や Cauchy列の概念を定義したが.実数においても 四則演算と不等号が定義されることがわかったので.数列の極限 ・Cauchy列の

55

1 . 3 実数の基本性質

概念を定義することができる. 定義 1 . 4 実数からなる数列 {an}がある実数 a に収束するとは. 咋

>0, ヨ N EN s . t .n>N ⇒ I a n-alOをと 2

c

る.有理数体の禰密性(定 p

. 1 )により, cE( Qの場 理1

I p十一

I :I

3

:

1--------+-~------J

合を考えれば十分である.

I

. 2よ り . 如}に対し,補題 1

p+-c: :

3

Un

2 3

U n +C :

q

J

I

bm

I

e q十一 3

ある N E Nが存在して.

n > Nとなるすべての an

トー—-----―: 1 ---------I

! P : _

/ 3の開区間 Iに入る は幅 c

・ 2

p

3

I :I

a n

e :p十一

I

3

a n--g

ようにできる, {bm}を a

3

図 1.3

の任意の代表元とする.ゃ はり補題 1 . 2により,ある

M E Nが存在して , m > Mとなるすべての加が幅 c / 3の開区間 Jに入るよ a n } ,{bm}はともに a の代表元なので同値である. このことから. うにできる. {

I , Jの閉包 l , Jについて

lnJ/0 が成り立つ.実際もし

lnJ=0であれば,ある正の有理数 6があって Iと

Jは少なくとも 6だけ離れていることになる. このとき任意の n > Nと任意の

m > Mに対して, a nEl,bmEJだから開区間 ( a n-8 , a n+8 )に 加 は 入 ら な いことになり,{%}と {bm}が同値であることに矛盾するからである.

D ' J( q ,q +) i

I=( P , P+

=

56

第 1章 実 数

c

とおN ⇒四—叫 Ni⇒ la伍—叫 N2⇒ la伍—叫くー 2 となる N2E Nが存在する. k 2>N 2 ,朽 > 柏 と な る 朽 を 1つとる.この操作 を繰り返すことで自然数の列柘<松

< ・ ・ ・ < k i < ・ ・ ・ で

1

la伍—叫N1⇒

c

lam-a』0をとる.

面nan= aより,ある N1ENが存在して.

n→ 00

n>凡 な ら ば s u p保 N1ならば%く a + E :が成り立つ. また坦旦 a n= a より.ある必 E Nが存在して 'n>的 な ら ば

n→ 00

i n fa k>a-: c k~n が成り立つ.したがって n >的 な ら ば an>a-cが成り立つ. N 1 , I ¥ らの大き い方を N とすると ,n>Nのとき

a-c:0 ,an>a+eとなる anは有限個,かつ Ve>0 ,an>a-eとなる anは無限個

( i i )皿 a n=aE恥というのは,次と同値である. n→ 00

咋 >0 ,anく a-E:となる

anは有限個,かつ

咋 >0 ,anく a+cとなる

anは無限個

証明 ( i )を証明する. t :>0に対してある

面nan=aERとする.上極限の定義から,任意の

n→ 00

N E Nが存在し, n > Nなら l s u p a k-a n

66

第 1章 実 数

が成り立つ.このとき n > Nについて

supakく a+c k 2 : n なのだから, an>a+c:となる nは N 以下のものに限られ, したがって有限個 である.また an>a-c:となる nが有限個しかなければ,そのような nの最大 値を N とすると, m > Nに対して

supa k : : ;a-c : k~m

となってしまい,上極限が a より小さくなってしまう. 逆に任意の c> 0に対して an>a+c:となる nが有限個であるとする.その ような nの最大値を N とすると, m > Nに対して

supak~a +c k~m

が成り立つ.これは面nan:::;aを意味する.また任意の c>Oに対して%> n→ O O

a-1; となる nが無限個あるとする.すると任意の nに対して. k>nとなる K でa k> a-cであるものが存在する. したがって

supak>a-c k>n

が成り立つ.これらを合わせると n阿~an=a を得る.

( i i )の証明は同様にできるので省略する.ロ

1 . 3 . 3 実数の実現と非可算性 実数体恥は有理数体 Q の完備化として得られたので.有理数の表示に由来す る実現をもつ.この節の標題にいう実数の実現とは. (無限)小数による展開を 指す.有理数は必ず循環小数に展開される.その展開はほとんど一意的だが.

1=0 . 9 9 9 9 9 ・・ ・ という場合およびこれに由来する

a . b ・・ ・ c O O O O O O ・・ ・=a . b・ ・ ・( c-1 ) 9 9 9 9 9・ ・ ・

( 1 . 2 )

1 . 3 実数の基本性質

67

のような場合すなわち.ある位以降すべてが 0のものがその位以降すべてが 9 のものと等しくなる場合に不定性がある. この不定性を取り除くため.当面の規

1 . 2 )を用いて 0が続くもの 約として,ある位以降すべて 9が続く場合は関係式 ( で置き換えることにしておく. a を正の実数とし,その代表元である有理数からなる

Cauchy列{%}を 1つ

とる.任意の kE Nに対し,ある N E Nが存在して, m,n>Nならば

lam —叫く上 lQk となる. am,anは有理数なのでそれぞれ小数展開されたものと考えると. この不 等式は 2つの小数展開の小数第 k位までの数字が一致することを表している.つ まり aN+l以降の小数展開では小数第 K位までの数字はすべて共通になる. kは 任意にとれるので.こうしてただ 1つの無限小数が a によって確定することがわ かる.この無限小数を

b o . b 1妬b 3 ・ ・ ・ b k ・ ・ ・ とおく.ここで b oEZ 2 : o ,b 1 , b 2 , ・ ・ ・ E{ 0 ,1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 ,7,8,9}である.一方.無 限小数は有理数からなる Cauchy列と思える.すなわち

Bo=b o , B1= b o . b 1 , B2= b o . b 1妬,... ,Bk=b o . b 1妬...b k ,. . . とおいたときの数列 { B k }がこの無限小数であり.数列 {B けは有理数からなり.

m,n>Nならば

となるから Cauchy列である.

1 l b m-b 叶< 1QN したがって {B 叶 は 1つの実数を定めるが,作り

けと{%}は同値となるので.その実数は a に一致する. 方から {B

したがって.

この無限小数を a と思うことができる.負の実数についても同様に無限小数で実 現される以上により次の命題を得る. 命穎 1.6 股は無限小数の全体と一致する. 有理数には小数展開があったため,その完備化である実数も小数展開という実 現をもつことができた.一般の距離空間を完備化した場合にはこのような実現は

68

第 1章 実 数

できないが,補題 1 . 2に基づいて完備化の各元の居場所を絞り込むことで間接的 な実現は可能である. さて無限小数による実数の実現を用いると,恥の非加算性を証明できる. 定理 1.7 股は非可算集合である. 証明股が可算集合であると仮定する.すると,すべての恥の元を 1列に並べ ることができる: a1,a2,aふ . . .

それぞれの実数の無限小数展開を a1= a10.a11a12a13a14. . ., a2= a20.a21a22a23a24. . ., a3= a30. a 3 1a32a33a34. . ., a4= a40. a 4 1a42a43a44. . .,

とおく.ここで ank E { O ,1 ,2 ,3 ,4 ,5 ,6 ,7 ,8 ,9 }( n ,k 2 :1 )である.各 n =

1 , 2 , 3 ,. . .に対し

anE{ O ,1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 ,7 , 8 , 9 }を an=Jann

をみたすようにとり,無限小数 a =O.a1a四 3". .an・・・

を作る.任意の n に対し, a と % の 小 数 第 n位は異なるので a =Janである. したがって a は 1列に並べた屈の元の列の中に現れない実数となりすべての 実数が 1列に並べられるという仮定に矛盾する.ロ

1 . 4 複素数 本書では主に実数を扱うが,

ときには複素数を考えた方が自然な場合もあるの

で,ここで複素数について基本的な事柄をまとめておく.

1 . 4 複素数

69

i 2= -1となる数 iを考える. iを虚数単位と呼ぴ,..; 二Iとも表す. 2つの実 , bE恥と iを用いて 数a z=a+ib と表される数を複素数という. aを zの実部. bを zの虚部といい,それぞれ Rez,

Imzで表す.複素数の全体を C で表す. 2つの複素数が等しいとは,それぞれ 1= 釘 +i b 1 ,硲 = の実部同士および虚部同士が等しいことと定める.すなわち Z a 2+i b 2E Cとするとき, Z 1= Z 2⇔ 釘 = 吟 , 柘 =b 2 と定義する.実数は虚部が 0の複素数であると見なすことで,包含関係 股

cc

が成立する.

1= 釘 +i b 1 ,硲 = 四 +ib2ECに対し. 複素数には四則演算が定義される. Z 勾~ 士 硲 =( a 1土四)

+i ( b 1士 b 2 )

z 1 z 2= ( a 1 a 2-b 1 b 2 )+i ( a 1 b 2+a 2 b 1 ) Z 1 Z 2

1 b 2 . b氾 2-a 1 b 2 a氾 2+b +i ( z 2/ =0 ) a~ 十 磋 a~+ b~

-=

と定めるとよい.このうち和・差の定義は簡単でそのまま覚えればよいが,積・ 商の定義は覚える必要はない.積については, 句~硲=(釘 +i柘) ( a 2+i b 2 )

として右辺を展開し,在をー 1で置き換えれば上記の定義の右辺が得られる.商 については,まず複素共役を定義してから説明しよう.

z=a+ibECに対して, iをー iで置き換えた複素数を zの複素共役(または 共役複素数)と呼び,ぇで表す.すなわち え =a-ib

と定める. このとき

zz= a 2+b 2

70

第 1章 実 数

が成り立つことに注意しておく. さて商の定義については, Z 1 句Z 2 ( = . ,= a1+ib1)(a2-ib2) Z 2 Z 2 Z 2 a~+b~

としてから右辺の分子を展開し i 2をー 1で置き換えれば得られる.

1 . 4 . 1 複素数の代数的構成 ここまでの定義に納得し特に疑問を抱かない方はこの節は飛ばしてよい. 数とは,素朴には個数とか長さを表すものという認識があり,負の数を認識す るのにも人類は多くの時間をかけた.その素朴な認識からすると,虚数単位や複 素数というものを認識するにはもっと高い障壁があり,そのため日本語で「虚」, 英語で imaginary(想像上の)という形容がついている.そのような感覚的な(心 理的な)抵抗もあるであろうし,理論的にも,虚数単位や複素数に数学的実体が あるか,数学的に実在するものなのか, ということは解決しておくべき課題であ ろう.さらに複素数の四則演算の定義についても, この定義でうまくいくのか, たとえば期待される性質 Z 1 硲 Z 1 Z 4+ Z氾 2 坪1 ,z 1 ( z 2+ 硲) = Z辺 +z1知 ー + ー = Z心 = z 砂 Z 4 砂Z 4

などはこの定義から導かれるのか, ということも気になるかもしれない. これらの疑問を一挙に解決することができる.その方法(複素数の代数的構成) は,実数の構成でも用いた同値類の考え方を用いるものである.

X )とおく (Xは変数を表す).股 [ X ) 実数を係数とする 1変数多項式の全体を恥 [ に次の同値関係を入れる. J(X),g(X)E取 [ X )に対し,

J ( X ) , . . . . ,g(X)⇔ ヨh(X)E股[X)s . t .J(X)-g(X)=h(X)(Xバ 1 ) と定める.つまり差が x2+1という多項式で割り切れるときに同値と定めるの である.この関係が同値関係であることを確かめるのは簡単な演習問題である.

X は変数だが,股 [ X )の元と考えて, X の属する同値類 [ X )をiで表す.そして X ]の同値類 [ J ( X ) )を複素数と定め,その全体を Cで表す.す 一般に J(X)E股[ なわち

C=I R [ X ] / r v

1 . 4 複素数

71

というのが複素数の定義である. 定義はこれだけである.虚数単位や複素数に実体が与えられたのみならず

.c

に四則演算が定義されて Cが体となることも自動的に従う (よって C を複素数 体という).また包含関係股

ccも自然に導かれる.

少し解説する.まず aE屈については.その同値類 [ a ]を単に aと表すことに する.同値関係を定めた多項式 x2+1は.虚数単位 J 二I がもし存在するとした らその根となる多項式である.同値類の定義により

[Xド=[ X 2 ]= [(炉+1 )-1 ]= [ 1 ]=-1 となって,同値類 [ X ]=iが確かに虚数単位の働きをすることがわかる.一般の 多項式を考えよう.多項式としてたとえば

f( X )= -5X3+X2-2X-1 をとり,その同値類 [ f ( X ) ]を考えてみると.

炉 =(X2+1 )-1~-1 炉 =X(X戸 1)-X~-X

より

f(X)~5X -1-2X-1=-2+3X となり. [ X ]=iであったから

[ f ( X ) ]= [ 2+3X]= -2+3 i となって.多項式 f (X)の同値類が複素数の形に表された.

これは一般の多項式

でも同様である.こうして虚数単位と複素数に実体が与えられ

.cが股を含むこ

X ]に和と積が定義されているので,その商集合 Cに ともわかった.多項式環戦 [ も和と積の構造が入る .Cにはさらに商も定義されるが,そのメカニズムは次の とおりである.

bヂ0として. a+i b= [ a+b X ]EC¥股という複素数が根となる最低次数の

町X]の元(最小多項式という)を考えると. 2次多項式 f( X )=X2-2aX+ふ +b2

72

第 1章 実 数

となることがわかる.同じ最小多項式の根を共役という.今の場合は

f ( a-i b )=0 がわかるから, a-ibは a+ibの共役で, f ( x )は 2次方程式だから共役はこれし かない.共役というのは代数学における一般的な概念で, a-i bを a+ibの複素 共役と呼ぶのと整合している.

さて根と係数の関係から

(a+i b )+ ( a-i b )= 2 a , (a+i b ) ( a-i b )= a 2+b 2 が成り立つ.特に 2番目の関係式より

1 a- i b = 2+b a+i b a 2 となるので, C には積に関する逆元が存在することがわかった.

したがって C に

商が定義される. 以上の構成をもう少し代数的に述べれば,

C =股 [ X]/(Xバ 1 ) であって, C は実数体匝の 2次代数拡大となり,代数拡大なので

C =戦( i )= 戦 [ i ]= {a+i bI a ,bE民 } となっている. 問1 . 3 商集合 < C=f f i ? . [ X ] / r vにおける和と積は,股 [ X ]における和と積から定義する.

e l l d e f i n e dであることを示せ. この定義が w

1 . 4 . 2 絶対値と偏角

.cと 配 の 間 の 1対 こうして Cを股 2 と同一視したとき . cを複素平面とも呼ぶ.

複素数 z= a+ibに 対 し て 配 の 点 ( a ,b )を対応させると

1対応が得られる.

配の x 軸には実数が並ぶので• X 軸 を 実 軸 と い う ま た y軸には i b( bE股)の

形の複素数(純虚数という)が並ぶので. y軸を虚軸という.

bと原点 0 を結ぶ線分を描く. この線分の長さにより 複素平面上に z=a+i

= 、

z=a+i bの絶対値日を定める.この定め方から l a + i b l

1 . 4 複素数

73

y

y z

r



a



z=a+i b

b! ,

X



X

図 1.5 絶対値と偏角

図 1.4 複 素 平 面

となることがわかる.また z= / =0のときは, zと 0を結ぶ線分と実軸のなす角度

Oが定まる.ただし角度なので 2 1 rの整数倍を加えるという不定性はつきまとう.

rgzで表す. ( l z l , a r g z )は戦2の極座標 ともあれその角度 0を zの偏角といい, a に相当する.

したがって z=a+i bについて

{a~lzicos,ug, b= l z ls i n a r gz が成り立つ.絶対値と偏角で複素数を扱う場合には, E u l e rの公式

e ' 0=c o s 0+i s i n 0 を用いるのが賢明である.すなわち a rgz=0とおくと.

z=a+ib=l z l c o s 0 + i l z l s i n 0= l z l ( c o s 0 + i s i n 0 )= l z l e ' 8 という簡潔な表示が得られる. これは大事な表示なので.あらためて書いておこ う.複素数 zは. l z l=r ,a r gz=0とするとき

z=r e,0 と表示される.

1 . 3 )は,複素数の積と商を考えるときに有用である.すなわち 表示 (

z1=r1e9伍 ,z2=r2ei02

( 1 . 3 )

74

第 1章 実 数

とするとき.

r 1 r 2 e i ( B , + B 2 ) ,~=~ei(61 玉)

Z心 =

Z2



となって,実部・虚部で表した積・商の定義に比べて圧倒的に簡潔である. これ を絶対値と偏角について表すと,

l z 1 z 2 I=l z叶l z 2 I ,a r g ( z戸 2 )=a r g z 1+a r g z 2 となる.

1 . 5 股n の位相 股には絶対値が定義され,それを用いて距離が定義され,恥は位相空間となる のであった.絶対値は解析学にとって空気のように身近で必要不可欠な存在であ ると同時に強力な道具である.股の直積空間股n も解析学の主要な舞台となるの で.町に対しても絶対値に相当する概念が望まれる.そのようなものは存在し て,ノルムと呼ばれる. 定義 1.8(ノルム) V を股上の線形空間とする .vに以下の性質をみたす写像

V → V

f +



l l v l l

が定義されているとき,この写像をノルム, V をノルム空問といい, l l v l lを vのノ ルムという.

( i )l l v l l ? :0( ' i vEV),l l v l l=0⇔

v=O

( i i )I l c v lI =l e iI 柘I I( V eE恥 ' i vEV) ( i i i )l l u+v i i: ;l l u l l+l l v l l

( V u ,vEV)

ノルムは線形空間に対する概念である.線形空間には和とスカラー倍が定義さ

i i )と ( i i i )に述べられて れていて,この 2つの操作に対するノルムの振る舞いが ( いる.なお ( i )にある

v=Oの右辺の Oは,線形空間 Vの零元を表していること

に注意されたい.定義 1 . 8の 3条件は,絶対値のみたす性質を抽象化しているこ とがわかるであろう.

1 . 5 股n の位相

75

C上の線形空間についてもノルム空間が同様に定義される.定義 1 . 8( i i )にあ る cE良のところを CEC に置き換えたものがその定義となる. ノルム空間は自然に距離空間となる.すなわち, V をノルム空間とするとき,

u , vEVに対して d ( u , v )=l l u-v i i と定義すれば, d :VxV →戦が距離となる. 問 1.4 上記の dが距離となることを示せ.

1I I i ,1 11 1 2が定義されているとする. 線形空間 Vに 2つのノルム 1

この 2つのノ

ルムが同値であるとは,正の数 k , lが存在して

k l l v l l i: S伽1 1 2 ' . SZ l l v l l i ( V vEV)

( 1 . 4 )

が成り立つこととする. 問1 . 5 この 2つのノルムに対する関係は同値関係であることを示せ. 命 題 1.7 同値な 2つのノルムの定める 2つの距離による位相は一致する.

証 明 線 形 空 間 V に 2つの同値なノルム II Ii i ,I I1 1 2が定義されているとする.

1 . 4 )をみたす k , l>0が存在する.それぞれのノルムの定める距離を すると (

d 1 ( u , v )= l l u v l l i ,d 2 ( u , v )= l l u v l l 2 とおOに対し

B 1 ( u , r )= { vEVI d 1 ( v , u )0がなかったと仮定する.すると正の数の列{似}と罠 n の点列

{ x叫で. k , , l ! x ( v ) I I E>l ! x ( v ) I I ,k , ,→ O となるものがとれる.そこで

炉=

砂) l ! x ( v ) l ! E

とおくと.

I I Y ( v ) I ¥ E=1 なので点列 { y ( v ) }は有界.よって後述の定理 8 . 2( 第 8章)により(あるいは

B o l z a n o W e i e r s t r a s sの定理(定理 1 . 5 ) とこのあとで証明する命題 1 . 8を組み合

{ y ( v ) }は収束する部分列 { y侶)}をもつ.その極限を y ( o o )とお わせてもよい) ' くと

I I Y ( o o ) l l e=1

( 1 . 5 )

l l x ( v ) I I O) : z :→ o +

l o g x ( 2 ) l i m― = 0 (a>0 ) : z :→ 0 0呼

xa ( 3 )l i m - =0 ( a>0 ) : z :→ oo e " ' ( 4 ) l i m

己 =0 (a>0)

: z :→ o +呼



3

積分



この章では Riemann積分を定義し.基本的性質や関連する事柄を述べる.さ らに発展的内容として R i e m a n n S t i e l t j e s積分についても説明する.積分には他 にL e b e s g u e積分がある. L e b e s g u e積分は理論的整合性に優れ.関数解析では積

e b e s g u e積分が扱われる.一方 Riemann積分も.連続な関数. 分としては主に L 特に解析的な関数を扱う場合に強力な研究手段となり.その解析学の基盤として の重要性に疑いの余地はない.

3 . 1 Riemann積分の定義 有界閉区間 I=[ a , b ]と , I上の有界関数 fを考える.区間 Iの分割△ とは.

a=x o0 ,如 >0であり,かつ

竺 :S~ an

b n

t

加が収束するならば I:anも収束する.

が成り立つとする.このとき,

n=l

n = l

証明条件より

竺旦<生

b n + l- b n V I

となり,

a l b l

a n b n

が得られる.これを繰り返し使うと

( 隠 ) 如

a n : : = ; が得られる.すると定理 4 . 5より

・L加が収束するならば L a nも収束する.



00

00

n=l

n = l

定理 4.8( Gaussの判定法)すべての nについて an>0となる数列{%}に対し

, 定数入 >0および有界な数列{仇}が存在して て,定数 k> 0 an

k

-=1+ —+ an+l n 00

0 n n1十入

a nは k>1であれば収束し, k: S1であれば発散する.

と書けるとき.級数区=

n=l 1 I :ー は s>1ならば収束し O0と し 加 = ー と お く と , T a y l o rの定理を用いて

r

~ = (n+1 ) 8=( 1+! =1+~ 十五 b n + I



n

n

が得られる.ここで{%}は n→ o oにおいて有界である.

an b . , , k-s 0 . , , -—= +n1十入 an+I b n + I n

c , ,

n2

したがって

-n2

4 . 1 級数

153

となり, k-s-10であれば nが十分大きいときは右辺は第 1項が挙動を支配す るので, k-s>Oであれば正, k-s 1のときは sを l0をとる. l z l< l z o lと なる zを 1つとり固定する. l z / z o l = rとおくと Or n が成り立つ. r>lでありこのような nが無限個あるので.数列 { a . , .砂}は有界 ではない. したがって補題 4 . 1により c p ( z )は収束しない. 1 以上によってーが収束半径であることが示された.ロ

k

この定理を用いると.次の主張が示される. 00

命題 4 .3 ベキ級数 c p ( z )= L a n砂の収束半径と, c p ( z )を項別微分して得られ n=O

るベキ級数

Lnanzn-l 00

n=l

158

第 4章 級 数 , ベ キ 級 数

の収束半径は一致する. 証明一般に級数 Lan の収束• 発散は, 0でない ( nに関する)定数を掛け n

ても変わらない.そこで CX)

CX)

=区 naご

ZI :nanzn-I

n = I

n = I

の収束半径を調べればよい. このベキ級数に Cauchy-Hadamard (定理 4 . 1 1 )を 適用する.

干而



=e

であり, 担

lime n =1

n→ OO

だから

咆呼 ~=li巴呼而 が得られ,収束半径が一致することがわかる.ロ 定理 4.12 極限

i a n l l i m n→ ex, i a n + i l が存在するならば,その極限がベキ級数 r . p ( z )の収束半径を与える. 証明標記の極限を R とおn 。の場合に

(R-;)l a n + 1 z n + l lL⇒ Lacr(k)- A ,aぃ

一般に

, " " "a,,[~[a0,a,....,""-''a四"~+1]

が成り立つことがわかる.右辺に婦納法の仮定を適用すると,

[ a o , a 1 ,. ., , a n 2 ,a四 n-1+1]= ~ , a n q n 1 I

P n 1=

a呼 n 1+ 1 , a砂 n 1+1 Pn-2+P n 3 ,q n 1= q n 2+q n 3 an an

1 8 2



4章 級 数 ベ キ 級 数

が得られる.このとき

( a呼 n-l+l ) P n 2+anPn-3 ) q n 2+anqn-3 ( a砂 n-l+l

I

Pn-1 I qn-1



an(an-lPn-2+Pn-3)+Pn-2 an(an-1伽 ー 2+Pn-3)+qn-2



anPn-1+Pn-2 anqn-1+qn-2

色 q n となるので, nのときにも成り立つ.

( i i )第 1式を示す. P 1 q o-P叫

+1 )-a o釘

=( a o a 1

=1

より n=lのときは成立. また漸化式より

Pnqn-1-Pn-1伽=ー (Pn-lqn-2-Pn-2qn-1) が得られるから,

Pnqn-1-Pn-1伽=(ー ir-l(p凶 o-po如=(ー ir-1 が成り立つ. 第 2式を示す.漸化式と第 1式より

Pnqn-2-Pn-2伽

=a n(Pn-1伽 ー 2-Pn-2qn-1)= (-Iran

が得られる.ロ 定理 4.18 {an}企

0を

( 4 . 7 )をみたす数列とし, bn= [ a o , a 1 ,. . ., a』とおく

と , {b2m}は狭義単調増加, {b2m+1}は狭義単調減少で,任意の m,nについて

b2m0が得られること q n に注意しておく.補題 4 . 2( i i )の第 2式より

-12m P2m P2m-2 = ( ―_ ) a2m >O q2m

q2m-2

q2mq2m-2

P2m+I _ P2m-1 = (-1)2m+Ia2m十 1 0

が得られる.すなわち b 2 n + l>b 2 nが成り立つ. n>m とすると {b2m}は単調

2 n>b2mとなって b 加 + I>b2mが得られる. m>nとする 増加であったから b と {b2m+1}は単調減少であったから b 2 n + 1>b2m+1>b2mが得られる.ロ この定理により,数列 {an}が無限数列の場合には,数列 {b2m}は単調増加で上 に有界だから収束し,数列 {b2m+1}も単調減少で下に有界だから収束する.

しか

しその 2つの極限が一致することまではいえない.ここですべての anが整数で ある場合を考えると, 2つの極限が一致して数列{如}が収束することがわかる.

系 4.19 整数からなる無限数列{%}は ( 4 . 7 )をみたすとする. bn=[ao,al,・・・,an] とおくと,数列 { bn}は収束する. 証明先に q n>0となることに注意したが, an( n21 )が正の整数の場合には,

q o= 1 , q 1= a1~1 であり, Q n= anQn-1+Qn-2を用いると数学的帰納法により Qn2 :nが成り立つ ことがわかる.すると定理 4 . 1 8の証明中の式から 0R

( z-w ) 2

は絶対収束することを示せ. 団形式ベキ級数環 C [ [ z ] ]は整域であることを示せ. またその商体が C [ [ z ] ][ z 1 ]で与 えられることを示せ.

d 回形式ベキ級数環 C [ [ z ] ]に 微 分 ー を ( 4 . 3 )により定義するとき,関係式 ( 4 . 4 )が成 dx り立つことを示せ.

匝 R を正数とする. ( 1 )l x l: SR となる任意の

mに対し,無限乗積

且1 (五 ) が収束することを示せ.

190

第 4章 級 数 . ベ キ 級 数

︷ o o r r i

︸ n

e

︳ ェ

‘ ‘ , ' / 竺n







( 2 )I 叫 : : ;R となる任意のェに対し,無限乗積

が収束することを示せ. 回

355 ( 1 ) 7rの有理数による近似値百5は分母が比較的小さいにもかかわらず誤差が 10―5 より小さくなる非常によい近似値である.この近似値の求め方を述べよ.

( 2 )v ' 2の連分数展開を求めよ. ( 3 )V 3の連分数展開を求めよ. 1+v ' 5の連分数展開を求めよ. ( 4 ) •• 一 2

回連分数展開が周期的である実数は 2次の無理数であることを示せ.



5 章

関数列

共通の定義域で定義された関数の列

Un}を関数列という.数列が,直接求め

るのが難しい数を表すのに役立ったように関数列は,たとえば微分方程式の解 など直接求めることが難しい関数を表すのに有用な働きをする. 関数列の収束については.一様収束と呼ばれる概念がきわめて重要である.



の章では一様収束に関する事柄を中心に学び.それを使いこなせるようになるこ とを目指す. またベキ級数について.関数列の観点から考察する. さらに関数の 連分数展開についても簡単に触れる.

5 . 1 一様収束 5 . 1 . 1 一様収束の定義 定義 5 . 1(関数列の収束) Iを区間とし.

fおよび f n( n=1 ,2 ,...)を I上定義

Un}が I上 fに収束するとは.任意の xEIに対し. 数列 U n ( x ) }が数 f ( x )に収束することである.このとき fを関数列 Un}の極 された関数とする.関数列

限という.この収束を各点収束ともいう. 各点収束においては,関数の連続性のような性質が一般に保たれない.

例5 . 1 I=( 1 ,1 )とし. nEZ>oに対し関数 f nを

。(¾< l x l0 ,ヨ Ns . t .n>N ⇒

l f n ( x )-f ( x ) I0 ,ヨ Ns . t .n>N ⇒

l f n ( x )-f ( x ) J0 ,ヨ N

s . t .m,n>N ⇒ l f m ( x )-f n ( x ) JOに対しある N が存在し て,各 xEl毎に n > Nとなるすべての る.この開区間は

x侮に異なってよいが, N は xに依らずに定まる. この x毎

に決まる開区間の閉包(閉区間)には. なければ数列

f n ( x )は幅 C の開区間に入ることがわか もちろん数

f ( x )が入っている.そうで

Un(x)}は数 f ( x )に収束しないからである. したがって n > Nと

なるすべての nに対して

l f n ( x )-f ( x ) I : : ;c が成り立つ.あらためて注意すると, N は cに は 依 る が xElに は 依 ら ず に 決 まったしたがって

例5 . 1の関数列

Un}は fに I上一様収束する.ロ

{ f サが一様収束しないことを.定理 5 . 1を用いて見てみよう. 1

mEZ>oを任意にとる.

X =―-ととると.

2m

f m ( x )= fm(~)

嘉 = ;

=1

となる.そして n=2m+1ととると.ーく n ある. したがってこのとき

xN となる m,nと x E(-1,1)で

1

I f, ( x )-f n ( x ) I=2 竹

1

をみたすものが存在するので 'cOについては 2 ない. したがって Un}は ( 1 , 1 )上では一様収束しない.

( 5 . 1 )が成り立た

一様収束を上限を用いて言い換えることができるので.定理として挙げておく. この定理は.収束先の関数がわかっている場合には一様収束の判定に有用である. 証明は定義から明らかなので省略する.

194

第 5章 関 数 列

定理 5 . 2 区間 I上で定義された関数列 Un}が I上 fに一様収束するためには,

l i msupl f n ( x )-f ( x ) I=0

n→ 00 xEJ

となることが必要十分である.

5 . 1 . 2 一様収束する関数列の性質 一様収束する関数列では,列に現れる関数の様々な性質が極限にも伝わる. 定理 5 . 3 関数 f nは区間 I上連続で,関数列 Un}が I上 fに一様収束するなら ば ,

fも I上連続である.

証明 aEIを任意にとり, c>Oも任意にとる.一様収束性より,ある N が 存在して

n > N⇒ l f n ( x )-f ( x ) I
Nとなる nを 1つとる ・fnは aで連続だから,同じ cに対し てある 8>0が存在して, E :

I x-alf ( a )となるので, f ( a )は aで極小である.主張

( i i )は ( 6 . 7 )の代わりに ( 6 . 8 )を用いれば同様に示される.

主張 ( i i i )を示す. H ( f ) ( a )の正の固有値(の 1つ)を aとおき ,aに対する固 有ベクトル uをとる.すると

訂H ( f ) ( a ) u=a訂 u>O が成り立つ.すると H ( f ) ( x )は連続関数ゆえ.ある 5>0が存在して l l x a J J0 が成り立つ. e>Oを l l r n T J I< 5をみたすようにとり X=a+E : U Tとおくと.

x-a=E研 か つ l l ( a+0 ( x-a ) )-all=0 l l x-all=0 l l r n □10 を得る.すなわち aのどんな近くにも f ( x )> f ( a )となる xが存在する.また

H ( f ) ( a )の負の固有値(の 1つ ) j 3と j 3に対する固有ベクトル vをとれば. 訊H ( f ) ( a ) v=j 3 v Tv : U→ 町 を

( V )={(x1,fm+1(x1),. . ., f n ( x 1 ) )I XJ E V'} とする.また < l > ( t 0 )=XO =( x 1 ,f m + 1 ( x 1 ) ,・ •・ ,fn(xmとおく.このとき

XO

における < I > ( V )の接空間は.股n のベクトル



( e i ,8fm+l( x 1 ) ,. . .弘 釦

i

OXi

( 1: = ;iさ m)

で張られる m 次元アファイン空間となる.ただし e iE応m は第 i成分のみが 1 で残りの成分が 0のベクトルを表す.

( i i i )砂 の 近 傍 D1において < I > ( U )が定理 7 . 5のとおり Z により表されていると

I > ( U )の接空間は.良n する.ただし k=n-mとする.このとき呼における < のベクトル

x 0 ) ) ( 1: ;Z: Sn-m) (虹間)生冒),... 生 ( 如 ’ 如 ’ 如 で張られる線形空間の直交補空間を,点 XO を通るように平行移動して得られ る m 次元アファイン空間である. 証明 ( i )は定理 6 . 1 4の証明と全く同様に示される.

( i i )を示すには,呼を通る i l > ( V )上の曲線として f 3 i ( T )=( x ? ,. . ., x ?+T ,. . ., X瓜 , fm+l他 ぶ...,x?+T,. . .,X似 ) , . . . , f n ( x ? ,. . ., x ?+T ,. . ., x瓜 ) ) をとってその接ベクトルを求めればよい.

( i i i )を示す. { J ( T )=( b 1 ( T ) ,妬( T ) ,. . ., b n ( T ) ) を T=Oで砂を通る < f > ( U )上の曲線とすると.接空間は

! 3 ' ( o )=(b~(o), b ; ( o ) ,. . ., b~(o))

288

第 7章逆写像定理.陰関数定理

で張られる ( 3 ( T )が 砂 の 近 傍 で < I > ( U )上にあることから

h 1 (柘( T ) ,b 2 ( T ) ,. . ., b n ( T ) )=0 (1~l~n -m) が成り立っている.この両辺を Tで微分して T=Oを代入すると

文塾(砂)糾 ( 0 )=0 i=l

8叩

が得られる.これはベクトル

詈 ((xo),塁 筐 ) , . 皇 (xo)) がげ( 0 )と直交していることを表すので.これより定理の結論を得る.ロ 定理 6 . 1 5では.超平面に対し接空間を解析的に実現する主張を示した.すなわ ち接空間はある 1次写像の像として記述できる.同様の主張が部分多様体につい ても成立する.証明は全く同様なので省略する. 定理 7 . 7 定義 7 . 2の記号を用いる.部分多様体 0の to=(t~,tg, . . .,t~) E Uに おける接空間は, 1次写像

も( t )= 4 > ( t 0 )+( t 1-t~, t 2-t g ,. . ., tm-t~)F(t0f による恥m の像である.

7 . 4L a g r a n g eの未定乗数法 股n の領域においていくつかの関係式

h 1 ( x )= h 2 ( x )= ・・ ・=h k ( x )= 0 で規定される集合が与えられたとき,その集合上での関数 f ( x )の値を調べると いう問題が考えられる.具体的にはその集合上での f(x) の最大値•最小値,特

に極値が問題となることが多い. この問題を条件付き極値問題という.関係式の

1 , X 2 ,. . ., X nのうち適当な 個数 Kは変数の個数 nより少ないとする.このとき X n-k個を選ぶと.残りの K個の変数は選んだ関数の陰関数として定まるであろ

7 . 4L a g r a n g eの未定乗数法

2 8 9

う.するとその K個の変数を陰関数として扱って. f ( x )は選んだ n-k個の変数 だけの関数と見ることができ.第 6章で学んだ極値問題の解法を適用して調べる

agrangeの未定乗数法である. ことができる.この操作を系統的に与えるのが L 記述を簡単にするため. n - k をあらためて n とおき.選ぶ変数を

X

=

( x 1心 2 ,. . .,xn)E配.残りの変数を y= ( yぃY 2 ,・ ・ ・ , Y り E酎 と し . f ( x ,y ) という n+k変数関数の条件付き極値問題を考えることにする.関係式は

h1(x,y)=加 ( x , y )=.・・=加 ( x , y )=0の K本とし, これらを H=(h1,h公..., hり という写像にまとめたと考える. 定理 7 . 8( L a g r a n g eの未定乗数法) D を ]Rn+kの領域とし.

H:D→ 尉 ,

H=(h1,h2,. . ., 加 )

をび級写像,

f:D→ 艮 をび級関数とする. ( a ,b )E Dにおいて

a(H) H ( a ,b )=0 , -(a,b )= f0 a ( y )

文口苫

紐誓 I I

が成り立っているとする. f ( x ,y )が H(x,y)=0という条件の下で ( a ,b )におい て極値をとるならば,定数ふ,ふ,...,入 K が存在して 1, 、 n

V I

k ヽ~

V I

V I

.t.J

V I

1’ 1ー ` (

==

00

9 a9a

りり

(’ー`

o h l o x i o h l o y J

ll ヽ^ヽ^

++

a,5

りり

(’ー,

が成り立つ. 証明陰関数定理により. H (x,y)=0は ( a ,b )の近傍において yについて解く ことができる.すなわち

H ( x ,G ( x ) )=0 ,G ( a )=b

290

第 7章逆写像定理.陰関数定理

をみたす aの近傍 U で

c i級の写像 G:U→ 政 K が一意的に存在する.

このこ

とを部分多様体のことばで表現すると, H (x,y)=0は ( a ,b )の近傍で部分多様体 を定義し,その座標として うことになる.すると

X がとれ,残りの変数は

y=G ( x )により定まるとい

fが H=Oという条件下で ( a ,b )で極値をとるという主張

は , J ( x , y )をこの部分多様体に制限した関数

J ( x )=J ( x ,G ( x ) ) が x=aで極値をとるという主張に言い換えられる.定理 6 . 8より. jがの =a で極値をとるならば

a J(a)=O

釦i

( 1 : : ; i : : ; n )

が成り立つ.

G=( g 1 , Y 2 ,. . ., g m ) とおくと,合成関数の偏微分法より

+ 丈 虹

竺 (a)=竺 ( a ,G ( a ) ) 釦i 8 x i

( a ,G ( a ) )勉 ( a ) y i 8 x i j = l8

L― ― k

8 g j 町 8 /( a ,b ) ( =— (a,b) + a ) 伽 j = l如 如 となる.一方, h 1 ( x ,G ( x ) )を叩で偏微分すると

珈 8 h 1 8 h 1 8 g j ― ( x , G ( x ) )= ― ( x , G ( x ) )+ど— (x, G ( x ) )―( x ) 釦i 8 x i 8 y j 8 k



j = l

となり,偏微分する前に h i ( x ,G ( x ) )=0が成り立っているのでこの値は 0に等 しい.特に x=aにおいても 0である.以上により我々は次の連立方程式を得る

nn

, ー 、 k



VI

U

V I

V I



V I ー ,ー,'

V I

,t.

V I

11

‘(、、ー、

00

== 伺伺 g j X i 8 g j X i 8 8 8

りり 仇に

区 曰

[K

a f a y J a h l a y J

区 K

++

a,d

りり

︵︵ f-8 Xi8 hl8 -Xi 8



ことができた.

7 . 4

L a g r a n g eの未定乗数法

2 9 1

iを 1つとり固定すると, これら k+l本の方程式は

8 h 1 — (a, b ) 釦i

8 h 1 ― ( a ,b ) 8 y 1

8f ) ( a ,b 8 y k 8 h 1 ( a ,b ) 8 y k

叫 ― ( a ,b) 釦

a , b ) ) — (a, b)・ ・ ・ —( 8 y 1 8 y k

8hk

8hk

8f

8f — (a, b ) 8 y 1

一 ( a ,b) 釦i

i

1

― ( a ) 釦 8 g 1 i

8 g k 互 ¥ ( a )

と表される.これは左辺の (k+l)X (k+l)行列に 0でないベクトルを掛けた結 果が 0ベクトルになる. という等式だから.左辺の行列は固有値 0をもつ.言い 換えると左辺の行列の k+l本の行ベクトルは 1次従属である. ところでこの行

8(H) ( a , b )= I0によって 1次 8 ( y ) 独立である. したがって第 1行が 2行目から k+l行目までの 1次結合として表 列の 2行目から k+l行目までの K本の行は,仮定

されることになる.すなわち第 l行を

v i と表すと,

附 + ふ V2十ふ V3・ + ・・+ふVk+I=0 となる定数ふ,入 2 ,. . . ' 入 Kが存在する.この 1次関係式の第 1成分を書き出すと 定理の結論の第 1式となり,第 l+1成分を書き出すと定理の結論の第 2式とな る.固定する iを取り替えても同じ議論が成立し,定理の結論の第 2式は iには

> . kは同じものとなる.ロ 依らないため定数ふ,ふ,..., L a g r a n g eの未定乗数法の使い方は次のとおりである.定理 7 . 8の結論は, a , b についての n+k本の方程式である.さらに a , bは H ( a , b )=0もみたし.こ れは K本の方程式である.合わせて n+2k本の方程式が得られたが.未知数は

aE町 , 庭 記 の 他 に 入 1 ,入2 ,. . . ' 入K の K個があるので合わせてやはり n+2k個 となって.方程式の個数と未知数の個数が一致する.

したがって原理的にはこの

a , b ,入)が決まり,そのうちの ( a ,b )を読むと条件付き極値問題の解 方程式から ( を与える点が得られる. この手順を 1つの例で見てみよう.

. 2a , b , cを定数とする.関数 f ( x , y , z )=x 2+ 炉 +z 2+axy+b x z十 qJZ 例7 の.集合 D ={ ( x , y , z )I 呼 + 炉 +z 2: S1 }における最大値と最小値を求めると いう問題を考える.

2 9 2

第 7章逆写像定理.陰関数定理

D 上の最大値• 最小値は , Dの内部

n oか D の境界 8Dで実現される.内部

の 点 呼 ED0で実現される場合には fは砂で極値をとる.境界上の点呼 E8D で実現される場合には.

fを境界に制限した関数が砂で極値をとる.

f x ( x , y , z )=2x+ay+bz,f y ( x , y , z )=ax+2y+cz,f z ( x , y , z )=bx+cy+2z となるので. n oで極値をとる点を (x,y,z)とおくと.定理 6.8によって

: ( ~:H:)-m が必要である. この左辺の行列を A とお1のとき狭義単調増加. a1 )



X

図 9.1 研 の グ ラ フ

問9 . 5 定理 9 . 1を証明せよ.

妍において, xを固定し aの方を変数と思うこともできる.文字を入れ替え て,妍と書こう.ここで xは正の実数, aは実数である.

304

第 9章 初 等 関 数

定理 9 . 2 a を実数とする.

( i )妍 は ( 0 ,+oo)上の連続関数である. ( i i )ac J0のとき,呼の値域は ( 0 ,+oo)である. ( i i i ) (xyt= 呼 Y a が成り立つ.

( i v )実 数 a , bについて 砂砂 =xa+b が成り立つ.

( v )呼は, a>Oのとき狭義単調増加, a 1と仮定する.

y= 1+h( h> 0 )とおく.正の整数 nに 対 し て 砂 =zとおくと.砂 =l+hよ り lOにおいて 狭義単調増加であることを示す. 補題 2 . 2により.正の有理数 r 1なので, a¼= 1+a(a>0 )とおける.すると

g ( s )-g ( r )=

g ピ)— g ピ) 年ー

=

l

1 a合-1



I (

-n

k

『 ! )

+~)'-·I -(I+

( 1 : に心) : 1 に心) n ( 名 ( 皐 州 )u m : 十 ) =n

am_

l

m名~'. am

>0

となり, g ( r )Oにおいて狭義単調増 加である.

h>Oにおいて g ( h )は単調増加で連続であり,また a h-1> 0 より g(h)~0 となるので.下に有界である.すると h→ o +のとき. g(h)は下に有界で単調減

( h )には h=Oにおける右極限 少となるので,極限をもつ.つまり g a h-1 l i mg ( h )= l i m h→ o + h→o + h が存在する.左極限については,

9 . 1 指数関数

307

a h-1 l i mg ( h )= l i mh→ 0h

h→ 0-

-h

l i ma

-l -h a h ( a h-1 ) = l i m h→ o+ h h→ o+

= l i ma h g ( h ) h→ o+

= l i mg ( h ) h→ o +

となるので, g ( h )には h=Oにおける左極限も存在し,その値は右極限と一致す

( h )の h=Oにおける極限が存在する. る . よって g a

n巧t 1 = - !呼 ( 1-sr-1d s x



= がn !

/1s x + n 1d s x(x+1 ) ・ ・ (x+n-1) o n x n ! ―x(x+1 )・・・ (x+n)

を得る.逆数をとると

1+ . 1 +X 土 = X( 1+1打( 打 ・・ ( n)上 n x 几( x ) 2 oとすると,無限乗積 となるが. これでそのまま n→ o

r f( 1十竺n)

n=l

が収束しないため意味のある表示が得られない.そこで各因子

( 1+i )に因子

e一長を付加する. このようにするのは.複素解析における M i t t a g L e f f l e rの定理 の証明と同じ着想で.興味のある方は参照していただきたい.すると

1 =e(l廿+…十士ーl o g n ) x n X xI1(1+)パ k k=l

r n ( x )

oとすることで定理の結論を得る. となり. これで n→ o



砂n L

問9 . 1 9 定理 9 . 1 2の証明で関数列{(1-

が収束することを示したが.その

収束は t>Oにおいて広義一様収束であることを示せ.ただしこの関数列は項毎に定義 域が異なるので, ( 0 , o o )に含まれる任意のコンパクト集合 K に対して, maxKく N となる N 項目以降の関数列が K 上一様収束することを示せばよい.

W e i e r s t r a s sの公式により, 1 / r ( x )は取全体で連続な関数で, X EZ:50におい ( x )の定義域は, x>Oから てのみ値 0をとることがわかる.そこでガンマ関数 r

332

第 9章 初 等 関 数

股 ¥Z$oにまで拡張できると考えることができる.

X

= 0とか X = -1のところ

/ xの定義域 J R ¥{O}が x=Oで途切れているの で定義域は途切れるが,これは 1 と同様の事情と理解できるたとえば x=Oの近くでは

1 r ( x )-X

は連続な関数となる.ガンマ関数は複素変数に拡張でき. C¥Z:50がその定義域 となる.複素変数の関数と見ることでより深い性質が理解できるが.本書の範囲 を超えるのでこれ以上は立ち入らない.

W e i e r s t r邸 sの公式と例 4 . 5( i )で与えた s i n xの無限乗積展開を組み合わせる と.これも重要な次の公式が得られる.

.13 定理 9

r ( x ) r ( l-x )=

7 r

s i n7rX

この公式においてはガンマ関数の定義域は拡張されたものを考える. この公式 は x¢Zにおいて成立する.あるいは,両辺の逆数をとって

1 s i n1 r x = 7r r(x)r(l-x) と書くと.すべての X E股について成立する公式が得られる. 最後に• X →

o oとしたときのガンマ関数の挙動を与える S t i r l i n gの公式を証

明しよう.

.14( S t i r l i n gの公式) 定理 9 r ( x + l ) , . . . . ,年 xx+½ 戸

( x→ o o )

この公式に現れる∼の意味は.

l i m

r(x+1 )

← → 00 V : 玩x x廿 e - X

である.

=l

9 . 5 ガンマ関数

333

証明ガンマ関数は積分で表示されるので,積分に対して鞍点法という手法を 適用して x→ o oにおける挙動を求める. まず

r(x+1 )=

f o 0 0ザe― dt=l o c oexlog

t-td t

t

と表しておく.最右辺の被積分関数の指数部分を

c p ( t )=xlogt-t とおくと, X X 凶t )= --1, c p " ( t )= -t -l

340

第 9章 初 等 関 数

とする.

f

f ~『

(x/:1 ) 1=

x:x~

dx

= !日 :~)l-1 j = !田 :~)l-1 J田 ( = !田 :~)l-1 J (丑 :~)l-1) J + = -

x.(x2:l ) ldx

+ 2(l~1)

X

+ 1l)l-1)'dx

+ 2(l~1) ( ( 丑 :l)l-1-

2 l-3 2 ( l-1 )

dx ( x 2+1 ) 1 1

1 X 2 ( l-1 )( x 2+l ) l 1

により lを 1つ減らした不定積分に帰着できるので,帰納的に不定積分が求めら れる.ロ この定理によって,有理関数の不定積分に持ち込むことのできる不定積分は求 積可能となる.

9 . 6 . 2 指数関数の有理式の不定租分 f ( x )を 1変数有理関数とするとき f ( e x )の不定積分は求積可能である. d t 方法は, t= e xにより置換積分すればよい. このとき dx=ーとなるので,被 t 積分関数が tの有理関数となる.すなわち

J

J

d t J ( e x )dx= J ( t )t

9 . 6 . 3 三角関数の有理式の不定積分 f ( x , y )を 2変数有理関数とするとき J ( s i n x ,c o sx )の不定積分は求積可能で ある. 方法は X

t=t a n2 により置換積分すればよい.すると

. SlllX

=

2 t 1-t 2 2 cosx= dx= d t 1+t 2 ' 1+t 2 1+t 2 '

となるので,被積分関数は tの有理関数となる.すなわち

jf(sinx,cosx)dx=jfi (『 炉 ,~ ~::) l;t2dt

9 . 6 初等関数の不定積分

341

この tのとり方については.このあとの章末問題日も参照されたい.

n i f o r m i z a t i o n (一意化)の観点から この不定積分については.代数曲線の u 考えることもできる.代数曲線とは多項式を定義式とするような曲線のことで. 単 位 円 丑 + 炉 =1はその定義に適うので代数曲線である.代数曲線には種数

( g e n u s ) という不変量が定まり,単位円の種数は 0である.種数が 0の代数曲線 は有理関数によって媒介変数表示できる.

という一般論がある.

p ( t ) ,ゆ( t )を用いて 円 丑 + 炉 =1については.有理関数 c

したがって単位

X =c p ( t ) , y=ゆ ( t )とい

o s 0 , y=s i n 0とも う媒介変数表示が可能である.一方.単位円においては x=c i n 0 , c o s 0を媒介変数 tの有理式として表す できるので.これと組み合わせると s ことができる.この手順を具体的に実行したのが章末問題回であり,上記の置 換積分はその成果を用いたものである.

n i f o r m i z a t i o nについてきちんと知りたい場合は代数幾何学を学ぶ 代数曲線の u 必要があるが.代数曲線の種数は初等的に求めることができる 7).

9 . 6 . 4 無理関数の不定積分 2乗根{一の中に xの 1次 式 1次分数式およぴ 2次式が入っている無理関数

, b , c , 8E股は定数とする. を含む不定積分が求積可能であることを示す. a

J ( x , y )を 2変数有理関数とするとき, f ( x ,v i 云下万)の不定積分は求積可能で ある. 方法は, t=ふ五下万により置換積分すればよい. このとき

t 2-b 2 t x=― ,dx=-dt a

a

となるので,被積分関数が tの有理関数となる.すなわち

t 2-b 2 t t . jf(x五 百 ) dx=f1 ( ― -,t) -d a a



f ( x , y )を 2変 数 有 理 関 数 と す る と き , + 喜 三 : 能である.

の不定積分は求積可

7 ) 参考書として,ファン・デル・ヴェルデン著,前田博信訳『代数幾何学入門』(シュプリン

ガー・フェアラーク東京, 1991, 丸善出版, 2014) を挙げておく.

342

第 9章 初 等 関 数

方法は. t=/ こ二\こより置換積分すればよい.

e x十 6

このとき

8 t 2-b 2 ( a 8-b c ) t d ぉ= d t a-ct2'(1-c t叩

尤=

となるので.被積分関数が tの有理関数となる.すなわち

f 1 ( , , J ) 正

J ( 1 『 二 い )『 ー : 言

d,-

2

dt

f ( x , y )を 2変数有理関数とするとき. f ( x ,va呼 + 如 +c )の不定積分は求積 可能である. 方法は,

a>0のときは > / a 丑 + 如 +c=t-ふi : x

により置換積分すればよい.このとき X=

t 2-C 2 y ' at 2+2 b t+2 y ' aC d t dx= 2 y ' at+b ( 2 y ' at+b ) 2

となるので.被積分関数が tの有理関数となる.すなわち

2 y ' at 2+2 b t+2 y ' a jf(x,ぷ 二 二 ) dx=f!(如t2-+b t ' ) ,_~. d t C

C

、 .n

a0 , ヨN s . t . n> N ⇒ I a n-al0の と き ま ず c 1を 0的 な ら ば

aー 釘 Oが従う.任意に c:>0をとり.対応する N を N2 とおく. N =max{N1,N叶とおくと ,n>Nのとき

J l a n l-a l=I a n-a l N1な ら ば % く 0となるように N1がとれる.同じく N =max{N1,N 叶とおくと ,n>Nのとき l l a n l+al=I -an+al=I a n-a lN2ならば €

I a n-al< 2 l a l+ 1 となるようにできる.すると n> ma.x{N1,N 叶ならば

l a ; .-a 2 1= l ( a n-a ) ( a n+a ) I: SI a n-a l ( 2 l a l+ 1 )0を釘 Nな ら ば 加 I0を与えたとき, C : 1を

が成り立つ.ここで

釘<



2+c:

となるようにとり対応する N をとると, n > Nならば

│三 -21-+ f ( a ) を定めると, w e l l d e f i n e dであること.全単射であること.環としての準同型であることが 示される.すなわち R/Iは環として Q と同一視できる.

( 6 )uEU に対し f ( [ u ] )= f ( u )と定義すると, U 1""U2 すなわち m —四 E Kerfで あれば J ( u 1 )-f ( u 2 )= f(u1 —匹) =0となるので.この定義は w e l l d e f i n e dとなる.

350

章末問題解答

fが線形写像であることは容易に示せる. f ( [ u ] )= 0は J ( u )= 0を意味し. したがって uEKerfだから [ u ]=[ O Jとなって . fが単射であることがわかる.

( 7 )uE Uに対し f ( [ u ] )= [ f ( u ) ]と定義する. U trv U 2すなわち U [-U2EW とすると.

J(u1)-f ( u 2 )= J ( u 1-u2)EW となるので J ( u 1 )rv J(u分となって fが w e l l d e f i n e d であることがわかる . fが線形写像であることは容易に示せる.



( i )XEJ-1(凡 ) ⇒ f ( x )EE1⇒ f ( x )E恥 ⇒ XE1-1(E2)より J-1(E1)C

J-1( E 2 ) ( i i )XEfー t ( E c )⇔ J ( x )E腔 ⇔ f ( x )iE⇔ xi1-1(E)⇔ xE(j~1(E))c ( i i i )xEJ-1( E 1UE2)⇔ J ( x )E恥 UE2⇔ f ( x )EE1 または f ( x )E昆 ⇔ XE

( E 2 )⇔ xEfー 1 ( E 1 )Ufー 1 ( E 2 ) J-1(E1)または xEfー 1 ( i v )XEJ-1(E1n応)⇔ f ( x )EE1n恥 ⇔ J ( x )EE1かつ f ( x )E恥 ⇔ xEJ-1(E1) かつ xE1-1(E 分 ⇔ xEJ -1(E1)nJ-1(E2)

( v ) ,( v i )はそれぞれ ( i i i ) ,( i v )と同じ論理で示される. 田直積空間 Y 1xY2X ・・ ・ xYnの開集合の基は.各 Y ;の開集合の直積のなす集合で与えら

;が連続とする. U ;CY;を任意の開集合とすると f ; 1 ( U ; )CX れることに注意する.各 f は開集合である.

XEp-1(U1XU2X. .・X広)⇔ f ; ( x )EU ;( v ' i )⇔ xEf―1 ( U ; )( v ' i ) より

p-1(U1X応 X ・・ ・XUn)=f戸( U 1 )nJ21(U2)n. . .n肛 1 ( U n ) であるから, F 1 ( U 1XU2X ・・ ・XUn)CX は(開集合の有限個の共通部分なので)開集 ー

合となって , Fは連続である.逆に F が連続とする. iを 1つとり UiCY;を開集合とす ると, U= Y 1X ・・ ·X½-1 XU ;X½+1 X ・・ ・X晶は開集合なので.その F による逆像

p-1(U)は X の開集合であるが. / j 1( 巧 ) = Xに注意すると p-1(U)= f ; 1 ( U ; ) とな るので

f ;は連続である.

□ K をコンパクト集合

UぃU 2 ,. . .,Umを開集合とし, K'=K ¥( U 1UU2U ・ . .UUm)

とおく. K'の任意の開被覆はそれに U 1 ,U 2 ,. . ., Umを追加すると K の開被覆を与えるの で.そのうちの有限個の開集合で K が覆え.それから Uぃ伍,...,[伍を除けば有限個の 開集合で K'が覆えることになって. K'がコンパクトであることがわかる.



田 (1)元を{%}の集積点とすると,

1章

3 5 1

0 Oにより 0S ( l o g x ) 2S - が

が成り立つ.

y ' x

1

成り立ち,―ーはこの区間で広義積分可能ゆえ定理 3 . 1 1によって ( l o gx ) 2も広義積分可能

y ' x

である.

( 2 )略 ( 3 )略

1 ( 4 )X =ーにより置換積分すると t

fo\in~dx = j~sint となる.

smt 1 t 2 -t 2

(—農)=「『 dt

1

2 )で見たように [ 1 ,o o )で広義積分可能ゆえ,定理 3 . 1 1 ――くーで,一 は(

t 2

によって上記の積分も収束する.

[別解]0< 釘 0に よ る ス カ ラ ー 倍 の 変 換 町 ぅ x1-> kxE町 と 合 同 変 換 の 合成として与えられ.前問で合同変換では曲線の長さが変わらないことを見たので.スカ ラー倍のみを考えればよい.滑らかな曲線 ' Y= ( " / 1心 2 , , , , , ' Y n )に対してそのスカラー倍 はy ( t )= ( k " 1 1 ( t ) ,k " ( 2 ( t ) ,. . ., k " f n ( t ) )で 与 え ら れ る の で . ダ =k " ( 'となることから.定 義 3.7に照らせば長さが K倍となることが直ちにわかる. 回 ま ず Chebyshev多項式について考える。 c o s2 0= 2cos20-1,s i n20= 2s i n0cos0 であり. c os20は cos0の多項式として表され. sin20は cos0の多項式に sin0を掛けた

os0の多項式 Tn(cos0)として表され. sinn0が も の と し て 表 さ れ る そ こ で cosn0が c cos0の多項式 Un(cos0 )に s i n 0を掛けたものとして表されると仮定すると.加法定理より c o s ( n+1 ) 0= Tn(cos0 )c o s0-Un(cos0 ) ( 1-c o s 20 ) s i n ( n+1 ) 0= ( U n ( c o s0 )c o s0十 九 ( c o s0 ) )sin0 が成り立つ.

したがって帰納法により.任意の nについて cosn0は c os0の多項式で表さ

れる.

ermite多項式について考える. e→ 2 を何回か微分するとその結果は xの多項式 次に H にe _ " ' 2を掛けたものになる.

したがってこれに e " ' 'を掛けると xの多項式になる.

次に Chebyshev多項式の直交性を調べる. m

= /n とするとき. x=cos0で置換積分

章末問題解答

362

すると

(Tm,Tn)= /1Tm(x)Tn(x)

dx

=J . , , .cosm0cosn0d0=0

vT=x2

-1

0

を得る. 最後に H ermite多項式の直交性を調べる. m > nとする部分積分により

i :

= 「 :

叫 (x)H 土) e→ 2dx

(-l)m(~e-x2)

i :

2 )Hn(x)]~00 = [(-l)mc::-~1 e―x

凡 (x) dx

(-l)mc::~1 e―x ' )H~(x)dx

/ _ = ( 一 l)m-1(ddxmm--11e-x2)尻 (x)dx oo

=

が得られ.これを繰り返すと H~n十 1>(x)=O に至って積分が 0 になることがわかる (Hn(x) は n次多項式であった).

第 4章

[ I ]Sn=立 ( ー 1)国 と お く . S2m= S2(m-l)-a2m-l+a2mで anが単調減少ゆえ k=O

S2mさ S 2 ( m 1 Jが成り立つ.すなわち数列 {S2m}mは単調減少で. S2m> Oもわかるの で下に有界である.同様に {S2m十 1}mは単調増加で上に有界であることが示される.

した

がって.それぞれの数列は収束する.さらに S2m+1-S2m= a2m+1→ 0により, 2つの 数列の極限は一致することがわかる. したがって問題の級数は収束する.

田 f(x)= 上xsと し て 定 理 4.6を適用すればよい. 田 (1)

' E

h

1 : 2 ' . N+l dx = log(N+l)上 e td t= l o glog(N+1 )- l o gl o g2→ n=2nlogn xlogx 1og2 がt

( 2 )

OO

t

l < 1 +J N 曲 = 1 +!logN dt Rの部分の級数は絶対収束する.

n>R



n2であれば右辺は収束するので左辺の級数は収束する. また 1

00

00

8m

8

1

I :I : k-m >I : kL~ m=lwEDmにl =l(mr2)k r 2m=lm 00

という評価も得られ. k : : : ;2であれば右辺は発散するので左辺の級数も発散する.左辺の 級数は問題の 2重級数の各項に絶対値をつけた正項 2重級数を特定の順序により和をとっ たもので.定理 4.16 によってその収束• 発散は元の

一致する.

2重級数が絶対収束するかしないかと

したがって k>2であれば問題の 2重級数は絶対収束し, k: S2であれば絶対

収束しない.

( 2 )( 1 )の記号をそのまま用いる. M > Rを w EDm(m~M), i z i: ;R ⇒

z |—くーが w 2 1

成り立つようにとることができる. z,wがこの条件をみたすとき.

1

I (z-w)2

—叶 : I ( z-w)2 研

rn=MwEDm

各項に絶対値をつけたものから有限個の項を除いたもので,それが収束することから問題 の 2重級数は絶対収束する(さらにこの収束は日 :SRについて一様収束である).



00

J(z)=Z:a ご EC [ [ z l ]について f ( z )= 0とは an=0( ¥ / n )を意味することに注 n=O 意しておく.すると f ( z )#0であれば. a k#0 ,a;=0( 0:Si 2Rとなる N をとり, n > Nとする.

x

1

/x/'.SR より|—nI< ーとなる.このとき 2 王 2

(=)=巴-1+(0();;) が

平均値の定理を用いると,ある 0Oおよび x 0をとる. c< 1としてよい . m < nとする. 0: ;X : ;: Eのとき, |ユ~!!±l 1 + . 1 _ ( y )= 呼 に 対 X m -Xn l

n

↓ーん

nO S.d

dT

~IL ー

9 .

e p i

P

d nd rd P2 T d



.2n2

sd

T2



J

n

ーL t -

•I

︳ . m3 n

・ 1 s f

s

2

f ーg

. n ー

••

刊 I~%



-S.

sー

2

ndT

ーr

=-

ーん

n 1 ・



ー nn nP d SI1 .TP

血.

~f

,︳

nT

-s

ーg1-n

2rn x d ー d





n

===

w

IPr I

である.

0~'Pi~71" (1~i~n -2 ) , 0~0~271"}

T2

ー・

I・ 、 冒' 1 1’”) k l l

•• ( n :偶数)

1・

s .



d

9 . k n 1 ・ s

k

ー ー り

. , ・仕-仕陣

n-1 " s i n n 2c p d c pX Wn-1 となることがわかる. ところで n o

これより Wn= -

(n:奇数.n: 2 : ' .3 )

n-1 ( n-3 ) ! ! ( n-1 ) ! ! 1 1 " W n 1 ,nが ・ 1 1 " W n 1= n ( n-2 ) ! ! n ! ! n-1 ( n-3 ) ! ! ( n-1 ) ! ! 奇数のときは Wn=—• 2wn-1 となる. この漸化式を ・2Wn-1= n ( n-2 ) ! ! n ! ! 解いて, n=2mのとき ( 2 7 r ) m 7 r m =W2m= ( 2 m ) ! ! m!' であるから ,nが偶数のときは Wn= ・

n=2m+lのとき ( 2 m ) ! ! 2 { 2 ' 1 1 ' ) m W2m+1= ・ 2 w 2 m= (2m+ 1 ) ! ! (2m+ 1 ) ! ! を得る.

第 7章



F ( l ,0 )=( 1 ,0 )に注意する.

8 ( F ) 8 ( x , y )

=x-yであるから ( 1 ,0 )において J a c o b i a n

章末問題解答

376

1 ,0 )の近傍で逆写像 p-1をもつ. F ( x , y )= (x+y,xy)= ( s , t )を x,y は消えず,Fは ( s士 vs2+4 t

について解1とする.すると h x . ( x )= m迂炉― 1= 0より叫 =0を得る. しかし X

=( 0 ,0 ,. . ., 0 )は h ( x )= 0をみたさない.



( 1 )D 上の最大値•最小値は, D の内部 vo か D の境界 8D で実現される.内部の

点( x , y )ED0で実現される場合には fは ( x , y )で極値をとる.境界上の点 ( x , y )E8D で実現される場合には,

fを境界に制限した関数が (x,y)で極値をとる.

(x,y)ED0で極値をとるならば,定理 6 . 8により f ェ( a ,b )= / y ( a ,b )= 0が成り立つ. f ェ( x , y )= y= 0 ,f y ( x , y )= x= 0より ( x ,y )= ( 0 ,0 )を得る.なお,この点は確かに

v oに入っている.

第 7章



f J D上で考えるときには, h ( x ,y )=—

a2

377

y2

+--1 とおくと, h(x,y)=O という条件の 伊

下で極値問題を考えることになるので, Lagrangeの未定乗数法を使う.定理 7 . 8より,あ

x , y )は る定数入が存在して, ( {J , ( x , y )+加 (x,y)~y

十入 ~~o

f y ( X ,y )十入 h y ( x , y )= X

十入— =0

の解である.これを

2y b 2

; : (~) (:)~(:)

と書くと,左辺の行列が正則であれば ( x , y )=( 0 , 0 )r tDDとなるので,左辺の行列の行列 ab ab 4炉 式は 0である.すなわち 1=0となるので,これより入=土ーを得る.入=一 b 戸ー 2 2 のとき y=-;xとなるので h(x,y)=Oより ( x , y )= (士合占:長),入=ー『のと b き y= ; : xとなるので h(x,y)=Oより ( x , y )= (土

以上得られた 5点における

7 2 '

士:豆)となる.

fの値を比較して,最大値は (x,y)=(士_!!__士立_)のと y2'v'2

き竺,最小値は (x,y)=(士竺,干__!!___)のとき—竺となる.

v

2 う⑮ 2 ( 2 )D の内部で考える. f x =y z= 0 ,f y= xz= 0 ,f z =x y= 0を解くと x=y=Oま

( x , y ,z )= 0となる . Dの たは x=z=Oまたは y=z=Oを得る. このときいずれも f

丑炉

z2



c2

境界で考える .h(x,y,z)=——+-+ 1とおくと. h=0という条件付き極値問 a2

題となる. Lagrangeの未定乗数法を適用すると.入を未定乗数として

2x

yz十入・ー =0 a2

2y xz十入 =0 b 2 2z xy十入 ・2=0 C

をみたす ( x , y , z )を求めることになる.この 3式に順に x , y , zを掛けて足し合わせると, 3 h ( x , y , z )= 0と合わせて 3xyz+2入=0を得る.入=ーー xyzとなるのでこれを戻して 2

) 雇=0, xy(l-3~) =0

yz( 1-3~) = 0 , xz(1-3

3 7 8

章末問題解答

となる.これを解くと, a2

丑=一

{:::'~0 { ::'~0 {::~~o

3

b 2

炉=一 3 2

c2

z=3

となることがわかる.すなわち

(x,y,z)=(土 _ : ! : , _ 土 _ _ ! ! _ _ 土 . . . . : . _ ),( 士a ,0 ,0 ) ,( 0 ,士b , O ) ,( 0 , 0 ,士c )

滋’⑮’⑮

で,複合同順ではない.以上より

fの最大値は

abc

abc

,最小値は—――ーであることが従う.

3⑮ 3⑮ ( 3 )(1) と同様最大• 最小を与える可能性のある点は, n oでは (0,0), 8Dでは (0,士1), 2 1 ( 士1 ,0 ) ,(士—士—)となる.値を比較して.最大値 f(O, 1 )= 2 , 最小値 f ( O ,-1)=

⑮ ,

v 1 5

-2.

第 8章

□ C1C

単位円 C1 は 記 の 有 界 閉 集 合 ゆ え コ ン パ ク ト で あ る . a E Ba であるから

L JBaが成り立ち. {Ba}は C1の開被覆となる.したがって有限個の Ba(i) aEC1

( i=1 , 2 ,. . ., n )が存在して C1C B a ( l )UB a ( 2 )U ・ • ・UB a ( n ) となる.単位円上の点を中心とする有限個の円板で単位円を覆っているので.ある

0