しゃぼん玉を数学的に表現した「平均曲率一定曲面」を中心に,曲面の幾何学の基礎を学ぶ。
216 126 10MB
Japanese Pages 224 Year 2015
Table of contents :
まえがき
本書の構成
いくつかの記号と用語
1. 積分可能条件
1.1 ポアンカレの補題
1.2 微分形式
1.3 フロベニウスの定理
A 1.3
1.4 ユークリッド空間
A 1.4
1.5 曲線論
1.5.1 空間曲線
1.5.2 平面曲線
A 1.5
2. 曲面の基本方程式
2.1 第一基本形式
A 2.1
2.2 第二基本形式
A 2.2
2.3 第二基本形式の意味
2.4 曲面論の基本定理
2.5 等温曲率線座標系
2.5.1 等温座標系
2.5.2 曲率線座標系
2.6 複素座標系
2.6.1 等温座標系への変換
2.6.2 複素座標系
2.6.3 極小曲面
2.7 ガウス-コダッチ方程式
A 2.7
2.8 平行曲面
A 2.8
章末問題
A 2.章末問題
3. ラックス表示
3.1 四元数
3.1.1 四元数体
3.1.2 2次行列による表現
A 3.1
3.2 シム-ボベンコ公式
A 3.2
3.3 ガウス写像
3.4 ワイエルシュトラス-エンネッパーの表現公式
A 3.4
4. 平均曲率一定回転面
4.1 ドロネー曲面
A 4.1
4.2 ガウス曲率が正で一定の回転面
5. ベックルンド変換
5.1 曲面のベックルンド変換
5.2 ビアンキ-ベックルンド変換
5.2.1 正定曲率曲面のビアンキ-ベックルンド変換
5.2.2 平均曲率曲面のビアンキ-ベックルンド変換
6. 曲面再考
6.1 曲面とは
6.2 曲面片ふたたび
6.3 リーマン面
6.4 測地線の方程式
7. 平均曲率一定輪環面
7.1 ウェンテ輪環面
7.2 有限型平均曲率一定曲面へ
8.非線型ワイエルシュトラウス公式
8.1 零曲率表示
8.2 リーマン-ヒルベルト分解
8.3 DPW公式
8.4 有限型平均曲率一定曲面
9. 可積分幾何へむけて
9.1 可積分系理論からみた平均曲率一定曲面
9.1.1 種々の一般化
9.1.2 定曲率空間内の曲面
9.2 差分CMC 曲面
9.2.1 差分曲面
9.2.2 差分等温曲面
A. ガウス-コダッチ方程式
B. 問の略解
文献
[28]
索引
ょ円t9烹99:.;.;ここ…いこ………………••18
曲面と可積分系 井ノロ順一著
編集委員 あらいひとし
新井仁之 こ
東京大学大学院数理科学研究科
じまさだよし
小島定吉
東京工業大学大学院情報理工学研究科
しみずゆうじ
清水勇二 わたなべ
渡辺
国際基督教大学教養学部理学科
おさむ
治
東京工業大学大学院情報理工学研究科
まえがき
この本は 3次元空間内の曲面の取り扱いについて基本事項を解説することを第 ーの目的とする.続けて平均曲率という函数が一定の値をとる曲面の具体的構成 についての解説を行う. 平均曲率一定曲面はしゃぼん玉を数学的に空間図形として表現したものと言え る . しゃぼん玉は,内部と外部の圧力差が一定で零でない薄膜と理解される.薄 膜を立体図形(曲面)と考えたとき,圧力差が一定という性質は「平均曲率が一 定で零でない」という数学的な性質に読みかえられる.
しゃぼん玉は中の空気が
閉じ込められていることから体積を保ったまま表面積を最小にする形として実現 される.「体積を保つ変形下で表面積を最小化せよ」という問題(幾何学的変分問 題)から曲面の微分方程式が導かれるが,それは「平均曲率が一定で零でない」と いう方程式であるとくに閉じた平均曲率一定の曲面を考え,それらを「数学的 しゃぽん玉」とよぽう. 現実のしゃぼん玉は丸いことから,次のような微分幾何学の問題が提起された. [ 問 題 ]
数学的しゃほん玉は現実のしゃぽん歪に限るか?
ホップ ( 1 9 5 1 )は穴の開いていない数学的しゃぼん玉は現実のしゃぽん玉に限 ることを証明したまたアレクサンドロフ ( 1 9 5 6 )は自己交差をもたない数学的 しゃぽん玉は現実のしゃぼん玉に限ることを証明した.丸いしゃぼん玉は現実に 存在するのだから,現実のしゃぽん玉はなんらかの意味で安定であるに違いない. バルボサとド・カルモは上述の幾何学的変分問題の解として安定である平均曲率 一定曲面は球面に限ることを証明した ( 1 9 8 4 ). これを以て「しゃぽん玉が丸いこ との数学的説明」が与えられた. いつしかこの[問題]はホップ予想とよばれるようになった.ホップ予想を肯定
1 ・ 1 ・
まえがき
的に証明しようと微分幾何学者が努力していたなか, 1 9 8 4年,ウェンテは位相的 には輪環面(トーラス)である数学的しゃぽん玉が存在することを証明した. 一方.無限可積分系理論はさざ波(ソリトン)を記述する非線型波動方程式の研 究に由来し,数学・数理物理学・数理工学など多くの研究領域と交錯し常に発展 を続けている分野である.一般に偏微分方程式は解をもつかどうかわからないし, もつとしても具体的に解を求めることは期待できない.おおまかには,「無限可積 分系は解を求めることができる(解ける・積分できる)偏微分方程式」ということ ができる. 日本数学会には「無限可積分系セッション」が設けられており, 3月に開催さ れる「日本数学会年会」と 9月に開催される「秋季総合分科会」で多くの研究成 果が発表されている.また日本応用数理学会には「応用可積分系分科会」が設け られており,研究成果発表が活発に行われている.
1 9 6 0年代から 1 9 7 0年代にかけて開発された無限可積分系の研究手法は曲線・ 曲面の微分幾何学と密接に関わることが再発見された.ウェンテによる平均曲率 一定輪環面の発見をきっかけに無限可積分系理論と微分幾何学の交錯する研究が 盛んになった.平均曲率一定曲面のように無限可積分系の構造をもつ曲面は「可 積分曲面」とよばれる.可積分曲面はコンピュータを用いた研究支援が有効であ ることも注意しておきたい.無限可積分系とコンピュータとの出会いが,作る数 学という性格の現代的曲面論を生み出した. 曲線・曲面を可積分系の観点・手法で研究することだけでなく,無限可積分系 を微分幾何学を用いて研究することにより,それまで意識されなかった「方程式 のもつ対称性」が理解されるという研究も進展している.可積分幾何は CAGD など可視化 ( v i s u a l i z a t i o n ) ともつながり日夜進歩を続けている.今日では「微分 幾何を学ぶため」という目的の読者に加え.可視化に携わる研究者や学生からも 高い関心をもたれるようになった. 可積分幾何を学ぽうとする読者にとっては,比較的多くの予備知識が要請され ること,それらは深くなくてもよいが広範であるため効率的に学びにくいこと, 日夜進展しおびただしい数の論文が出版されることが学習上の障害である. これらの障害を解消すべく,この本は「曲面の可積分幾何」の初めての「入門 書」を意図して書かれた.この本を手がかりに引用文献に当たっていけば,可積
. I ・ 1 ・ 1
まえがき
分幾何の研究に進めるものと思う. この本は神戸大学 ( 2 0 0 1年 1 2月),山形大学 ( 2 0 0 7年 7月),九州大学 ( 2 0 1 3年
1 1月)における集中講義の記録を拡充したものである.集中講義の機会をつくつ てくださったラスマン先生,上野慶介先生,梶原健司先生,本書を講座『現代基礎 数学』に取り入れてくださった清水勇二先生小島定吉先生に感謝を申し上げる. また拡充にあたり,小林真平先生と松浦望先生には数多くの助言をいただいた. 本書の図版のいくつかは小林先生に作成いただいた.上野先生は草稿中のおびた だしい誤植をご指摘くださった.改めてお礼申し上げたい. 『曲線とソリトン』に引き続き,原稿の完成までご辛抱いただき,編集作業・図 版作成にご尽力いただいた朝倉書店編集部にとくに感謝を申し上げる.
2015年 9月 山形にて
井ノロ順一
目 次
1. 積 分 可 能 条 件 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 1 .1
ポアンカレの補題・・・・・・・・•......................................
1
1 .2 微 分 形 式 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 1 .3 フ ロベニウスの定理・・・・・・・・..................................... 5 1 .4 ユークリッド空間
10
1 .5 曲 線 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .: : : :22 l .5 .1 空間曲線:..: : .: : .: : : : : : . :..•.: : : . . . .: : : : . . :: : : : : : . . . : . . .: : : : :22 1 .5 .2 平 面 曲 線 2 8
2 . 曲面の基本方程式・ ・ •・ ・ •・ ・ •・ ・ ・ ••・ ・ ・ •・ ・ ・ •••••••・ ・ ・ ••・ ・ • • • • • • •・ •••・ ・ ・ ・ • 3 1
2 .1 第一基本形式・・・・・・・・・・・・・・・・・ • • ・ ・ •••••••・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ • • •・ ・ ・ ・ •••・ ・ ・ ・3 1 2 . 2 第二基本形式......................・ • • • • ・ ・ ・ ・ ••・ ・ ・ • • • • •・ ・ ・ ••・ ・ ・ ・ ・39 2 . 3 第二基本形式の意味・・・・・・・・・・・・・・・・ • ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . .• ・48 2 . 4 曲面論の基本定理・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・53 2 . 5 等温曲率線座標系・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ••・ ・ ・57 2 . 5 .1 等温座標系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・•· • • ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・57 2 . 5 . 2 2 . 6
曲率線座標系・・・・・・・・・・・・・・・•...............................
5 9
複素座標系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・•................................
6 1
2 . 6 . 1 等温座標系への変換・・・・・・・ • • • • • • ・ ・ ・ ・ ・ •••・ ・ ・ ••・ ••••••••・ ・ ・ ・ ・ ・6 1 2 . 6 . 2 複素座標系・ • ・ ・ •・ ・ ••・ ・ ・ •・ ・ • • • • • •・ ・ ・ ・ ・ •••・ ・ ・ ••・ ・ ・ • • •・ ••・ ・ ・ ・ ・ ・63 2 . 6 . 3 極 小 曲 面 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・• 67 2 .7 ガウス—コダッチ方程式· ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・70
2 . 8 平行曲面・・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . .・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・73
次
目
V
章末問題•..........................................................
3 .
ラックス表示・・・・・・・•...............................................
80
8 2
3 .1 四 元 数 . . 8 2 3 .1 .1 四元数¢...........:: ’ 9:::: : •9.: 9::: •・ •. : . .: : . . . . : . . :•9:•9:•9::::•. 8 2
3 . 1 .2
2 次行列による表現・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・•.................
84
3 . 2 シムーボベンコ公式・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・96 3 . 3 ガウス写像・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 0 2 3 . 4 ワイエルシュトラスーエンネッパーの表現公式・・・・・・・・.....• • ・ ・ ••・ ・1 0 5 4 . 平均曲率一定回転面・・・・ • ・ ・ ・ ・ ••・ •・ •・ ••・ ・ •・ ・ •・ ・ ・ •・ ・ ••・ ・ •・ ・ ・ •・ ・ ・ ••・ ・ •・ ・1 1 0 4 . 1 ドロネー曲面...........................................・ ・ •・ ・ ・ ・ ・1 1 0 4 . 2 ガウス曲率が正で一定の回転面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1 8 5 . ベックルンド変換・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 2 1 5 .1 曲面のベックルンド変換・・・•..................................... 121 5 . 2 ビアンキーベックルンド変換・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.....・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・1 2 6 5 . 2 .1 正定曲率曲面のビアンキーベックルンド変換・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 6
• • • • • • • • • •• ••••• ••••• ••••• •••••
55025 31 31 41 41 4 1 ..... ..... .... .. . . . . .. .. .. .. . . ..... .. .. .. .. . .
i
i
..... ..... . . . . . . . . . . . .. .. .. .. . . . . . . . . .. . .. .. .. .. . . . . . . . . . . . . . .. .. .. .. . . . . . . . . . . . . .. .. .. .. .
た
び
.. .. .. .. . . ..... . .. .. ...
ii
i~
••••
~はた面方
.ふンの 考と片マ線 再面面一地
面曲曲リ測 曲 1234 6666
゜
5 . 2 . 2 平均曲率曲面のビアンキーベックルンド変換・・......• ・ ・ •••・ ••・ ・1 3 0 ••••• ••••• ••••• ••••• •.••• •• • • • • • • • • • • • • • .•••• ~ i i i i
程
式
7 . 平均曲率一定輪環面・・・・・・・・.............................•・ ・ ••・ ・ •1 5 0 7 .1 ウェンテ輪環面・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ •・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 0 7 . 2 有限型平均曲率一定曲面へ........................・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ • ・1 5 8
目
v i
次
8 . 非線型ワイエルシュトラス公式.............................・ . . .・ ・ ・ ・ 1 6 0 8 . 1
零曲率表示・・・・•................................................. 160
8 . 2 リーマンーヒルベルト分解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 6 5 8 . 3 DPW公 式 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・1 6 9 8 . 4 有限型平均曲率一定曲面.................................・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 7 9 9 .
可積分幾何へむけて•............................................... .182
9 . 1 可積分系理論からみた平均曲率一定曲面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 8 2 9.1.1
種々の一般化・•........................................ .....182
9 . 1 .2 定曲率空間内の曲面.................................・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 8 7 9 . 2 差分 CMC曲 面 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .1 8 9 9 . 2 . 1 差分曲面・・...........................................・ ・ ・ 1 8 9 9 . 2 . 2 差分等温曲面.............................................・ 1 9 0 A.
ガウスーコダッチ方程式・・・・・•....................................... 194
B. 問 の 略 解 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 9 6 79 02 0 2
..
.. . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . .. . . . . .
.. . . . . . . . .. . . . . .
.. . . . . .. . . . .. . .. . .. . . . . .. . 献引
文索
•• •• ••
••
本書の構成
本書は 3つの内容から成る. ( 1 )曲面の基本的な取り扱い.
( 2 )平均曲率が一定な曲面の初等的な例について. ( 3 )平均曲率一定曲面の構成理論(可積分幾何入門). 第 1章では,( 3)の目的を遂行するための前提となる「積分可能条件」について 詳しく解説する.応用として平面曲線・空間曲線のフレネーセレ公式を説明する. 続く第 2章は( 1 )を目的としている.第 3章は無限可積分系理論と曲面をつなげ る準備として四元数を取り扱う.四元数は CG分野でも用いられる.曲面の可視 化や CGの数理に関心ある読者に役立つよう執筆したさらに極小曲面の初歩, 第 6章で用いられる行列値の微分形式(接続)の扱いも解説した.第 4章は平均曲 率一定曲面の初等的な例を扱う.第 5章は 1 9世紀の数学者によって研究されて いた「曲面の変換」を解説する.第 6章はいったん平均曲率一定曲面から離れて 「曲面の定義」を再考する.将来,リーマン幾何学を学ばれる読者はこの章で,曲 面の内的な定義 ( 2次元多様体)に慣れておくとよい.第 7章では平均曲率一定な 輪環面(トーラス)の発見とその構成法を解説する.第 8章はこの本のゴールで, 平均曲率一定曲面の局所的構成法を与える.第 9章は今後の展望について手短か な解説を行う.
( 1 )の目的,すなわち曲面の基本事項のみを目的とした読者や,授業の教科書 として使われる場合は第 2章から読み始めてよい. 2 . 4節で第 1章の内容を用い るが証明などは省略し事実として認めて読み進められる.また( 1 )の H的で本書 を読まれる読者のため,第 2章のみ章末問題を用意した.
( 2 )の目的で使用される場合,第 2章に続けて第 4章に進まれるとよい.第 4 章を読み通せたらそのまま第 5章へと進まれたい.
( 3 )の目的で本書を読まれる読者は第 1章から順に第 9章まで読み進められたい.
いくつかの記号と用語 号
記
•N={l,2,... }:自然数の全体, Z= { O, 土1 , 士2 , . . .}:整数の全体. べ = { 土 門 Im,nEN}U{ O }:有理数の全体,罠:実数の全体.
• 0 . この円の径数表示を ( rs i n ( s / r ) ,rc o s ( s / r ) ) に取り替えると釈 2)=-1/r 0 とする.命題 1.4.21 を用いて凡 (s)-1F~(s)
=J/rの初期条件
応( 0 )=E をみたす解凡 ( s )を求めよ.
曲線論の基本定理は次のように書き換えられる ( [ 7 ,p p . 2 3 2 6 ]参照).
定理 1 . 5 . 1 3(平面曲線論の基本定理)
f>Oとする.区間 [ o , e ]上の c o o級函数
図2 )( s )に対し. sを弧長径数図 2 )( s )を有向曲率にもつ弧長径数曲線 p:[ 0 , £ ]→l E 2 が存在する.そのような弧長径数曲線はぎの運動で重なるものを除き一意的で ある.
平面曲線の場合は指定された函数を曲率にもつ曲線を次のように積分表示するこ とができる.
定理 1 . 5 . 1 4(平面曲線の表現公式)
£>0とする.区間 [ 0 , £ ]上の C ° ° 級函数
図2 )( s )に対し, sを弧長径数 K ( 2 ) ( s )を有向曲率にもつ弧長径数曲線 p:[ 0 , £ ]→E2
。
で初期条件 p ( O )=P o ,p ' ( O )=( c o s 0, s i n 0 o )をみたすものは
•12)
拙著 [ 7 ]では平面曲線のみを扱っているので有向曲率を「曲率」と呼んでいる.
1 . 積分可能条件
30
s 1
s 1
( c o s 0 ( s ) ,s i n 0 ( s ) )ds+P o , 0 ( s )=
p ( s )=
0
。
K ( 2 ) ( s )ds+0
JO
で与えられる.
注意 1 . 5 . 1 5 空間曲線に対しては「表現公式」が知られていない.捩率が一定の場合 は次のような公式が得られている* 13).
命題 1 .5.16 単 位 ベ ク ト ル 値 函 数 E ( s ) :I→ 厄 色 す な わ ち I I E I I=1をみたすべ ク ト ル 値 函 数 と 定 数 入 ヂ 0に対し
1 ½ j ( とs )xE ' ( s )ds
p ( s )=
は 捩 率 が T=l/入の空間曲線で B (s)= 士E ( s )をみたす.
•13>
G.Koenigs,Surl aformedescourbesat o r s i o nc o n s t a n t e ,Ann. Fae. S c i . Toulouse Math. 1(1887) 1 8 .
第 2章
曲面の基本方程式
たとえば Xl四平面上の点の位置は座標 ( x 1 ,x 2 )で指定することができる.座 標の個数が 2 ということが「平面は 2次元である」ということを説明している. この本では空間内の「曲がった 2次元図形」が研究対象である.曲がった 2次元 図形である曲面を定義することから始めよう.
2.1 第 一 基 本 形 式 3次元コークリッド空間炉内の曲面を定義する.手がかりをつかむために平
面(図 2 . 1 )から考察を始めよう.
n
図2 . 1 平面
例 2 . 1 . 1(平面)
酎内の平面 I Iを考える. I I内の点 Poをとり,その位置ベクト
)
ルを Po=OPo と表す.いま I Iは Poを通り a =( a 1 ,a 2 ,a 3 )と b= ( b 1 ,b 2 ,b 3 )
—•
で張られるとすると I I内の点 Pの位置ベクトル p=OP は
p=Po+u1a十 四 b
p(u1,u2):=Po+u1a十 四 b
p:耐 → l E 叫(u1,u2)
\︶ 222
uuu 23 b1b b
+++ 111
uuu 123 a aa
111
999
uuu
ヽ`~)、.~
222
\︶
︳ ︳
+
゜ p
(¥
というベクトル値函数と思うことができる.
u( u( u ( 123 x xx ︵\ 2
ヽ ー /
︳ ︳
, ー
u
u ︵ p
よ
列' 一 丁
41
ビ
コ ヤ の
い a ︵
=
\︶. 23 b1b b
555p
る あ で
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立 独
、こ
ら
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D
123 a aa2 ︵\は 数 = 階 \ー︶の
ヽ~((
)1︶ ︶ 23 xx x
111
~‘.j
uuut 、~、
123 CX CXCx
︵\型
︳ ︳ ‘ ‘ , / 2b u
P
ー
u
CP. =
p D
る れ ら え 与 で
( u 1 ,U 2 )を 座 標 系 と す る 配 内 の 領 域 D で定義されたベクトル値函数 定義
一 させているから
l h面の基本方程式 2 .
3 2
と表せる. p は 数 平 面 配 の 点 ( u 1 ,u 2 )に位置ベクトル p0+u1a+u心 を 対 応
これを参考に次の定義をしよう.
p(u1,u2)=( x 1 ( u 1 , u 2 ),四 ( u 1 ,u 2 ) ,X 3 ( u 1 ,u 2 ) )
図叫 (U ぶ
ょ
と・
数
面 曲 付 、)、~ヽ~
径 カて
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0 0
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上\︶ D
222
uuu
23lj x 、 x1 x とし︵︵︵正 ︶つ、
, ー
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ヽ
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片 面 曲
日
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es t れ a ま i
ーカ ce 1 1 こ ,1 uuu e とぶ 1 .l 、 ') ︶ pg1g5 x 片ょ e , (︵︵面と C1 fau ︵ー\曲︶ ょ ー `︳ 一 た
r u
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s‘ _ ノ 、 ー ︵ 22n u u ,pd
片 面 曲
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2 は 数き伽 階と系
(u 5 cp
き, ︶a = 5p と すLD
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ゞ
ねー座 っ対斤 ︳ p でー局 件
下
条ぃビ上ヵカ の伍、コ t
以幻●●く径 カヽ 9i
2 . 1 第一基本形式
33
u2
D ヽ
`
' '
p ( u 1西 )
U1
゜ 図2 . 2 曲面片
すでに見たように平面は曲面片である.
例2 . 1 . 2(柱面)
開区間 I = ( a ,b )で定義された
X1X2 平 面 内 の 径 数 付 曲 線
( x 1( u 1 ),四 ( u 1 ))をとる. x 1 ( u 1 ),四 ( u 1 )は I上で C ° ° 級で.れ ( u 1戸+加 ( u 1 ) 2= I = 0をみたしている.領域 V ={ ( u 1 , u 2 )I aOの球面炉 ( r )は緯度 U 1と経度 u 2
を径数として V ={ ( u 1 , u 2 )Il u 1 I0のとき -Ju匹 1 ( a 1 ,a 2 )>0ならば A で極小値をとる. -Ju四 1(a1,a2)0であったから K の符号と d e t ( h i J )の符号は一致する.すなわ
ち Hess(!)( a 1 ,a 2 )の符号と K(a1,a 2 )の符号は一致している.定理 2 . 3 . 2より, • K(a1,a2)>0かつ h11(a1,a2)>0のとき
fは (a1,a2)で極小値をとること
から p(a1,a2)のまわりは図 2 . 9のような形状である. • K( a1 ,a 2 )>0かつ h 1 1 ( a 1 , a 2 ) 0かつ 0をみたすものが与えられているとする.{釦} と{加}を用いて{心},{ R e i j k } ,{況} {h研}をそれぞれ ( 2 . 7 ) ,( 2 . 1 5 ) ,
( 2 . 4 ) , (2.16)
で定義する.これらがガウス—コダッチ方程式をみたすなら
2
2
L
〉 釦 如d u j , h i j d U i d U j をそれぞれ第一,第二基本形式にも i , j = l i , j = l つ曲面片 p:V→E3が存在する.このような曲面片は酎の合同変換を除 ば ,
き一意的に定まる. ガウスの方程式からわかることを述べておこう. R p k i jの定義から, リーマン曲 率は第一基本形式から決まる量であることがわかる.すなわち第二基本形式を必 要としない.ここで 2
Rp田 =
L9PmRmkij
m=l
とおく. R e k i ] も第一基本形式だけで決まる量である.ガウスの方程式 ( 2 . 1 5 )を
t
2
喜=加 Sek-h心= h m=l/mhmk-h幻mど 炉 hmi =l 勺
と書き換え.この式の両辺に g aをかけて£で和をとると 2
心 = 区 9 n £亨 =立,a ( 加 立 g□mk)-tgne 加 £ = 1
Rn
2
2
£ = 1
m=1 2
2) £ = 1
tl/mhmi (m=1)
lm = こ ( こ 9 n £ g加 ) hmkー区(い 加 )hm; m=l ¥ l = l m=l ¥ l = l tm
2
2
m=l
m=l
=L汀 加 hmkー こ 汀 hkjhmi=h砂 nkー加 hm と計算されるので
R 1 2 2 1=h 1 2 h 1 2-h 2 2 h 1 1=-d e t ( h i j ) を得る. ということは第二基本形式の行列式が第一基本形式だけで書けてしまう. したがって次の定理を得る.
定理 2 .4.3(ガウスの驚愕定理)
曲面のガウス曲率は第一基本形式のみで決まっ
2 .5 等湿曲率線座標系
57
てしまう* 9. )
[ひとこと]
ガウス曲率は形状作用素の行列式として定義されたが,実は第一基本形式
だけで決まる量(内的量)である.この事実はリーマン幾何学誕生のきっかけとなった.
曲面の積分可能条件であるガウスーコダッチ方程式はかなり複雑である.この ような複雑な偏微分方程式の解を具体的に求めるということはあまり想像できな いことと思うだがこの本で取り扱う平均曲率一定曲面ではガウス—コダッチ方
程式の厳密解を具体的に求めることができる.次の節ではガウスーコダッチ方程 式をきれいな形で表示する特別な座標系を解説しよう.
2.5 等 温 曲 率 線 座 標 系
2.5.1 等 温 座 標 系
( x , y )を径数とする曲面 M の径数表示 p:V→ 酎 に お い て 径 数 ( x , y )が等 温座標系 ( i s o t h e r m a lc o o r d i n a t es y s t e m )で あ る と は 第 一 基 本 形 式 Iが P 上で
I=E(d 丑+ d炉)という形に書けることをいう. E = E(x,y)>0に 注 意 注意 2 . 5 . 1 等温座標系は第一基本形式に関する条件であるから曲面が J E 3内にはめ込 まれていることとは関係がない.実際,任意の 2次元リーマン多様体にはつねに等温座 標系が存在する(定理 6 . 1 . 3 ) .
U1
=X, 四 = yと見てガウスーワインガルテンの公式を書くと 四=I ' { 1 P x+ 玲 Py+ hun, Pxy=I ' } 年+
r f 叩+h 12n,
Pyy=I ' i 年+r 羞Py+h22n, nx=-Supx-S 2 1 P y , ny=-S12Px-S 2 2 P y ・ である. この方程式系におけるクリストッフェル記号を等温座標系 ( x , y )を用い て計算する. *9)
「驚愕定理」は “Theoremaegregium"の 訳.
58
2 . 曲面の基本方程式
まず E = ( P xI Px)の両辺を xで偏微分すると Ex= 2(PxxI 1 %)であるから
( P x x lPx)= Ex/2を得る.同様に ( p 叫 Py)=尻/ 2を得る. 次に 0= ( p』四)を xで偏微分すると 0= ( P x x lPy)+( p 』P yx)であるから
( P x x l心 = 一 ( P x lPyx)を得る.これをさらに次のように計算する. 18 1 y . ( P x x lPy)=-(瓦 │Pyx)=-(瓦│P叫=一—ー(叫瓦) =ー一 E 28y 2
0= (p 』 Py)を yで偏微分すると 0= ( P x y lPy)+( p』 Pyy)であるから
18 1 (p』 % ) = (PxylP 砂=一 ( P y』 叩 = 一 う 西 (p い四) =一戸・ これらを使ってクリストッフェル記号を求めよう.(PxlP 砂= 0より ( P x x l P x )=
応 E だから上の計算結果を利用して I ' 1 ¥= Ex/(2E)を得る.同様に ( P x x lP砂 ( P x y lP』, ( P x y lP砂 ( P y y l広),(P y y lPy)を計算すれば Ex
尻
四=荘巳—荘 Py+ hun,
恥 Ex 和 = 荘 広 + 荘 Py+h12n,
( 2 . 2 0 )
Ex 尾 Pyy=―荘 Px十 荘 Py+h22n を得る. リーマン曲率 R 1 2 2 1を計算しよう. 9 1 1= E,9 1 2= 0より 2
R 1 2 2 1= L91mR 品= ER恥 . m=l
( 2 . 1 5 )にしたがって計算すれば
脳=
( 信 ) ( 信 ) x+
伍 + 贔 )
y=i(
IogE
であるから次の公式を得た. 命題 2 . 5 . 2 等温座標系 ( x , y )に関してガウス曲率は
( t ;f , )
1 (82 8 2 k =― 万 + l o g⑬ で与えられる.
( 2 . 2 1 )
2 . 5 等温曲率線座標系
59
一方.
( : :) : := ( 1 / O E1 / 0 E )に : : ) =( : : ; : 二 ; : ) であるからワインガルテンの公式は
nx =—帽心勺匹叫=—讐心詈四
( 2 . 2 2 )
となる.
2.5.2 曲 率 線 座 標 系 径数 ( u 1 ,u2)が次の条件をみたすとき曲率線座標系であるという.
I l=hudu~
+h22dut
注意 2 . 5 . 3 曲率線座標系は第二基本形式に関する条件であるから曲面が 3次元空間内 にはめ込まれていないと意味がない.また腑点では曲率線が定まらないことに注意.
定義
( u 1 ,u 2 )を径数とする曲面 M の径数表示 p:'D→ 酎 に お い て ( u 1 , u 2 )が
等温座標系でありかつ同時に曲率線座標系でもあるとき等温曲率線座標系とよぶ.
一般の曲面では等温曲率線座標系はとれるとは限らない.そこで次の定義をし よう.
定義腑点以外の各点のまわりで等温曲率線座標系がとれる曲面を等温曲面
( i s o t h e r m i cs u r f a c e )とよぶ 注意 2 . 5 . 4 等温曲率線座標系は古典幾何 ( 1 9世紀の微分幾何学)では i s o t h e r m i cc o -
o r d i n a t esystemとよばれていた.そこから i s o t h e r m i cs u r f a c eという名称ができた. i s o t h e r m i cc o o r d i n a t esystemという語は等温座標系と紛らわしい.英語を母国語とす る微分幾何学者数人に尋ねてみたところ i s o t h e r m i cと i s o t h e r m a lには特別な語感の違 いは感じないという.
2 . 曲面の基本方程式
60
例 2 .5.5(回転面)
例2 . 2 . 1 5で扱った回転面
p(u1,u 2 )= ( f( u 1 )c o su 2 ,f ( u 1 )s i nu 2 ,g ( u 1 ) )
「 汀 。
において
X=
u
( U 1 ) 2+g'( U 1 ) 2 d u 1 , y=u2 f(u1)
と座標変換すれば ( x , y )は等温曲率線座標系である. 問 2 . 5 . 6 変換 ( u 1墨 2 ) i +( x ,y )が座標変換であることを確かめよ* 1 0 } .
等温曲率線座標系では第一•第二基本形式はそれぞれ
l=ew(dx2+d 炉 ) , JI=ew(K,1dx2+ ゅ d炉 )
( 2 . 2 3 )
と表せて K , 1 ,ゅが主曲率である. 等温曲面に対するガウスの公式 ( 2 . 2 )とワインガルテンの公式 ( 2 . 5 ) は次のよ うにかなり単純化される.
(Wx/2 Wy/2
8 加 (PxPyn) = (PxPyn) -wy/2 Wx/2
゜ ゜
¥ewK1
8
0)
( 四 / 2 -wx/2
面 (Px巧
n) = (PxPyn) 吟/2
¥0
-m¥
Wy/2 e wk2
o¥
-K2
0)
ガウスーコダッチ方程式は
( / ' i , 1-図) Wx-2( 心 )X = 0 , ( / ' i , 1-心) Wy+ 2 ( / ' i , 1 ) y= 0 となる.ガウスの方程式が ( 2 . 2 4 ),コダッチの方程式が ( 2 . 2 5 )である.
•10)
ャコビ行列式
{ ) ( x ,y ) { ) ( uぃ匹)
が 0にならないことを確かめよ.
)、‘,'‘ 4 5 2.2. 2︵ 2 ︵
Wxx+ Wyy+ 2K1ゅ ew = 0 ,
2 . 6 複素座標系
6 1
ガウスーワインガルテンの公式からただちに得られる等温曲面の性質をあげよう. 単連結領域 1)で定義された等温曲面 p:TJ→炉に対し.次の連立偏微分方程 式を考える.
cPx= e―W P . , ,
巧 = 一e ―WPy
C
( 2 . 2 6 )
この連立偏微分方程式は解をもつ.積分可能条件を確かめてみよう.
( c p 山 = e―w(-WyPx+Pxy), C CPy)x=一e ―w(-wx巧 + P yx) より
⑫ ) y-⑰) X = 2e―w(Pxy ―空Px —閉Py)= 0 . cn=-nとおくとこれは cpの単位法ベクトル場であり. d e t ( p xPyn)の符号= d e t ( c P xcPyen)の符号 である. cpの基本形式は
( 記 + d炉 ) ,
cl=e―w
ell=K . 1 d x 2+K . 2 d 炉
( 2 . 2 7 )
で与えられるから等温である. cpを pの双対曲面またはクリストッフェル変換と よぶ* 1 1 ) , c pの平均曲率 C Hは
1w
cH=-~e (K-1 2
- K-2)
( 2 . 2 8 )
で与えられる. c ( c p )は p と相似であることが確かめられる.
2.6 複 素 座 標 系 2.6.1 等温座標系への変換 径数 ( x , y )で表示された曲面 p:'D→ 炉 の 第 一 基 本 形 式 を I= gnd 丑+
2g12dxdy+9 2 2 d炉とする.いま.座標変換 ( x , y )← → (u,v)を行い,第一基本 形式が
I=gud x . .+2g12dxdy+g 2 2 d y . .= 2
•11)
2
1 ( d 訴+ dv2) p ( u ,v )
cpはもとの曲面と平行な接平面をもち.向き付けが反転している曲面である.曲面の向き付けに ついては 6.1節 参 照
62
2 . 曲面の基本方程式
と書き換えられるとしよう.すなわち ( u , v )は等温座標系である. du= 妬 dx+
u y d y ,dv=妬 dx+vydyを代入して計算すると 9 1 1= { ( u : i : ) 2+ ( v : i : ) 2 } /p ,9 1 2= ( u x U y+V x V y ) / p9 2 2= { ( u y ) 2+ ( v y ) 2 } / p が得られる. w=u+viとおくと
P9n= l w 手> 0 , p922= l w 記>〇 と書き直せる.さらに
w兵 l y= ( u x u y+v 砂 y )+i ( V x U y-U砂 y ) より pg12= Re(w 国 y ).そこでμ :=Wx/Wyとおくと
pgn= l w 手= μ I荀記= l μ l 2 l w y l 2=p g 2 2 l μ l 2 であるから此= g 1 1 / g 2 2 , また
9 1 2 p9 1 2 _ Re(wxwy) =Re竺 = Reμ. = = Wy 9 2 2 P9 2 2 l w y l 2 μの虚数部分を求めよう.
畠 =犀 = (Reμ)バ (Imμ)2= ( 塁 ) 2+(Imμ)2
より
1
士 ✓!}11922 -( 9 1 2 ) 2 Imμ= 9 2 2
ここで
8 ( u ,v ) IUx Uy = =-Im(Wェ叩)=― │w記 Imμ 8 ( x , y ) V x V y であるから向き付けを保つ条件* 1 2 ):
8 ( u , v ) >0 8 ( x , y ) を要請すると Imμ
0 を定数とする. X1X3 平 面 内 の 懸 垂 線 X l =
acosh(x3/a)を X3軸のまわりに回転して得られる回転面を懸垂面(カテノイド)
□
とよぶ.懸垂線 ( x 1 , x 3 )= ( a c o s h ( v / a ) , v )の弧長函数 s ( v )は
=[凸
s ( v ) で与えられる.
曲=
a s i n h ( v / a )
したがって懸垂線の弧長径数表示として ( x 1 , x 3 )=
( v ' a + s 2 ,
2 . 6 複素座標系
69
s i n h―1 ( s / a ))が求められた 懸垂面 p ( u 1 ,u 2 )= ( ! ( u 1 )c o su 2 ,f( u 1 )s i nu 2 ,g ( u 1 ))の輪郭線は
=占二元
f ( u 1 )
g ( u 1 )= s i n h―1 ( u 1 / a )
であるから ( 2 . 1 1 )を使って H = Oを得る. 注意 2 . 6 . 7 懸垂面が極小曲面であることはオイラー(第一変分公式を計算)とミュニエ
(H=Oを示す)により示された.オイラーは懸垂面を a l y s s e i dとよんでいた. c a t e n o i d という名称はプラトーによる.極小曲面である回転面は平面と懸垂面に限ることを 4.1 節で証明する.
図
例 2 . 6 . 8(常螺旋面)
2 . 1 2 懸垂面
V ={ ( u 1墨 2 ) Io く匹く 2吋~上で定義された曲面片
p ( u 1 ,u 2 )= ( u 1c o su 2 ,u 1s i nu 2 ,b u 2 ) を常螺旋面 ( h e l i c o i d )という ( b#0は定数)(図 2 . 1 3 ) .
I=dui+ { ( u 1 ) 2+炉} dut 1= -
2b
✓ (U1)2
du1du2 +b2
であるから H=O, したがって極小曲面である. K=-b 町{(u1戸+炉}乞
とく
にー 1 / b 2: : ;K + ル︶︶ ︵ ︵+︸ +︵ ︸ y x 1 1 lxy l 工 x︱ 22 )2 ︳ フ / 切y !, ︶0 ︶, uv t - 2 )︳ 0 t f t fは 2 0 q 叫︳ •IIl-N' ッ + } ( ( , に z卜 V v u y . I n . I In l . s l n/けa ‘1 ︵ t-2)N s i s ,れ が 切 X に s I o ︳ ー / 2) -︵ 7 C /ス s 0 m ‘ / 2 x︳ ( + C 2 n t / xリ)> ︳ 一 仕 t + ( t ) 2 ) t } ︶'/︵ク 2︸ 2s. nl (2 / x y ︳ . slostfu 幻 切 n ty -1 2N(v > ︶ 、 ー 、 S 1 ( 召 0( }1 +1 ox cs (o nt ︳ C P e " s - " - )︷ 2 c {n ・1 o v > 参 / y {n.slsx, + c t ¥ ' y s2 i} -' ︶ 0S ' l を++︵ 十 s/2c-y tx -2y 説 1 uNvNco(tt/ g/ os n ( ︵ ︵︵︷ ¥sc 0( •IIl' 〇 ︳解 in {{ss c \ _ _l / ( Sl l . I I lの .IIleo-.sl¥ ss t( -2 ︳ ︳ ( ︶ ︶ + x 一 切 幻 = ︶ ー •IIl- _ 幻 肛 8 7 7 1 司_ g tf s . ︳ / 2 0 ( tf︵ '、Nー , 2 v> 1 仕 ‘ I n SN( , N +-s -'問 仕‘ . s l e o w ¥ n S( 1( ︵ ︵ v >z co ︵ cpCP i/2si ー ︵ 線 ︳ 一 jH) り直 N
︱ n, p い+に︳
t/os c面叩 ci s100
︳ ︳ リ る︳収 引 叫 叩 幻 図 ︶ 直 ぁ ︳ s. l / t 1, 、 八でよ︵ー\`幻ド。は叫 H
l j
P ︵︵よ 3
︳︳︳︳とを
を確かめよ.
•V-N-N+c(s/5.s
こ p し︶︵\︵\ー C A く れ り (Pcp とこ
e x p( ( A z :z)/4 ( z十入ー 1:z)/4
( 入z+ z )/4
1 0 1 3 . 2 シムーポベンコ公式
3 . ラックス表示
102
3.3 ガ ウ ス 写 像 曲面の曲がり具合は単位法ベクトル場の変化の具合に反映される.単位法ベク トル場を微分することで形状作用素が定義され,平均曲率とガウス曲率が導かれ た.この節では単位法ベクトル場自身に着目しよう. 曲面 p:1)→炉の単位法ベクトル場の始点が原点になるよう平行移動しよう. 各点でこの操作を実行すると 1)で定義され,単位球面 s 2に値をとる写像心が得 られる.
図3 . 1 ガウス写像
この写像心を p のガウス写像とよぶ. 複素函数論では複素平面 C に無限遠点 o oを付け加えた拡大複素平面
C=
(CU{ o o }を考える(本講座 [ 2 4 ,p . 2 3 ]または [ 2 7 ,p . 2 7 8 ]).立体射影を介して C は S2と全単射対応する.立体射影を使ってガウス写像を書き直してみよう. iに おける S2の接ベクトル空間 P={6j+6k16,6E股}を複素平面と考えるこ と に し ょ う す な わ ち P={6+6i16,6E恥}と同一視する. 定義
iを極とする立体射影 p r:炉\{ i}→ C=Ti§2を
1
pr(6i+6j+6k)=~ ( 6 +6 i )
1-6
で定める. p r ( i )=o oと定め, p rを S2からでへの全単射に拡張する.
( 3 . 1 5 )
3 . 3 ガウス写像
103
)
ガ ウ ス 写 像 ゆ = ( 直 立 如 ) を ゆ = Ad( ; -万
/ 3
iと 表 す と 如
百
l a l 2-I / 3 │ 2 ,ゆ2=2Re( a 万),ゆ3 =21m( a 万)であるから a ( u 1 ,u 2 ) (proゆ ) (u 1 ,u 2 ):=p r( ゆ (u 1 ,u 2 ) )= / 3 ( u 1 ,u 2 ) が得られる. proゆ: D →
C もガウス写像とよんでしまう.ゅとの区別が必要
なときは立体射影ガウス写像 ( p r o j e c t e dGaussmap)と よ ぶ 平均曲率一定曲面を特徴づけるために次の概念を用意する.
定義
領域 Decで定義され §2 C IE3に値をもつ C ° ° 級写像ゆに対し
ゆz z=pゆ
( 3 . 1 6 )
をみたす函数 p:V → 股 が 存 在 す る と き ゆ を 調 和 写 像 ( harmonicmap) とよ ぶ* 14).
注意 3 . 3 . 1 調和写像の概念は一般のリーマン多様体の間の C ° ° 級写像ゅ: ( M,g)→
( N , h )に対しエネルギー汎函数 E(ゆ):=合 I l i d ゆ1 1 2 d v gの臨界点として導入された(イー ルズ,サンプソン, 1 9 6 4 ).定義域が 2次元,行き先が炉 CJ E 3の場合,調和写像の方程 式は ( 3 . 1 6 )で与えられるため,この本では ( 3 . 1 6 ) を定義として採用した. 注意 3 . 3 . 2
c=級写像 '1/J:V→ 撃 に 対 し g=proゆとおく.このとき心の調和
写像方程式は g:V→でに関する次の偏微分方程式に書き換えられる. g江 一
2 g
. 9 z ! J z=0 1+│ g │2
一般に C ° ° 級の写像 g:V → で が 釦 = 0をみたすとき gをでへの正則写像とよぶ. 9 z=0のときは反正則写像とよぶ.
Cへの正則写像はわ上の有理型函数ともよばれる
( [ 2 4 ,p . 1 6 6 ] ) . 平均曲率が一定であるための必要十分条件を求めよう.
命題 3 . 3 . 3(ルーーヴィルムス, 1970) 曲面 p:V→ 炉 の 平 均 曲 率 が 一 定 で あ •14)
数理物理学では
CP1
シグマ模型とも呼ばれている.
3 . ラックス表示
104
るための必要十分条件はガウス写像が調和であること.
ワインガルテンの公式 ( 2 . 3 0 )より
(証明)
也 z =( 也 ) z=-H 平 z-2 (Qe―w ) zPz-Hpzz-2Qe―wPzz・ ガウスの公式とワインガルテンの公式 ( 2 . 3 0 )をもう一度使い,コダッチ方程式も 用いると
+ 凸 ) ゅ .
心 = ー HzPz-HzPz―(2IQl2e-w し た が っ て ゆ が 調 和 ←⇒ H は定数
■
ガウス曲率についても同様の特徴づけが知られている.曲面 p:V→ 酎 の ガ ウス曲率が正であると仮定しょうこのとき d e tII>〇である.したがって必要 なら n をー n に取り替えることで Iが正値対称行列値函数であるようにできる.
Iの代わりに Iを使い. Iに関する等温座標系 ( u , v )をとることができる.(u , v ) を第二等温座標系 ( b i s o t h e r m a lc o o r d i n a t es y s t e m )とよぶ 注意 3 . 3 . 4(第二共形構造)
K >0の曲面においては. Iを用いてリーマン面の構造
を定めることができる.このリーマン面構造を第二共形構造とよぶ.等積微分幾何にお いては第一基本形式がないため第二共形構造が活躍する* 15). 第二等温座標系 ( u , v )を用いて w =u+viとおく.ホップ微分の類似として
尼 = R d研 を R =(p』四)で定めクロッツ微分(Klotzd i f f e r e n t i a l )とよぶ. コダッチ方程式よりクロッツ微分が正則 (R 而= 0 )であることと K が定数である ことは同値であることが導かれる* 16),
命題 3 . 3 . 5(クロッツ, 1963) p:1J→ 酎 を K
>0をみたす曲面とする.
K
が一定であるための条件は第二共形構造に関してガウス写像が調和であること. •15) •16)
野水克巳•佐々木武『アファイン微分幾何学』,裳華房 (1994) 参照
この事実と次の命題の証明はワインシュタイン ( T i l l aWeinstein=TillaKlotz)の論文 T.K l o t z ,
Someusesofthesecondconformalstructureons t r i c t l yconvexs u r f a c e s ,Proc. Amer. Math. S o c . 14( 1 9 6 3 ) ,793-799(オープンアクセス),または教科書 T.Weinstein,AnI n troductiont oLorentzSurfaces, deGruyter(1996)を参照
105
3 . 4 ワイエルシュトラス—エンネッパーの表現公式
3.4 ワイエルシュトラスーエンネッパーの表現公式
C 内の領域 D で定義された
c o o級写像 p:D→ lE3を考える.いま D の複素
座標 w = u +v iを使って c p:=Pwとおく.(('=( c p 1 ,0 )である回転面 PKの単位法ベクトル場を nKとすると平 行曲面 P K ( a ):=PK+anKは平均曲率が 1 / ( 2 a )の回転面である.
120
4 . 平均曲率一定回転面
図4 . 5 紡錘型(左)と樽型(右)
研究課題
紡錘型正定曲率回転面,樽型正定曲率回転面の平行曲面 p訊a )がそれぞれア
ンデュロイド,ノドイドであることを確かめよ. 注 ベネッセハウスミュージアム(香川県直島)に.杉本博司による「観念の形 003 オンデュロイ ド:平均曲率が 0でない定数となる回転面」 ( 2 0 0 5 )という作品がある.
第 5章
ベックルンド変換
1 9世紀の微分幾何学においては曲面の変換理論(与えられた曲面から同種(あ るいは異種の)曲面を組織的に構成すること)が研究されていた. この章ではビア ンキによって考察された平均曲率一定曲面の変換を解説する.
5.1 曲面のベックルンド変換
この節では K =-1の曲面の変換を紹介する.詳しい証明は割愛し結果のみを 述べる.詳細については [ 1 0 ] ,[ 8 ]を参照されたい* 1). ガウス曲率 K が一定値ー 1をもつ曲面では,次のような径数を選ぶことができ る * 2).
命題 5 . 1 . 1 負のガウス曲率 K=-1をもつ曲面では
I=du2+2c o sc pdudv+d祈 , J I=2s i nc pdudv と表示される径数 ( u , v )が存在する.この径数を漸近チェヴィシェフ網という. 函数¢を p の ( u , v )に関する漸近角(またはチェヴィシェフ角)とよぶ.この 表示のもとではガウスーコダッチ方程式はサイン・ゴルドン方程式 ( s i n e G o r d o n
e q u a t i o n )
如 v =s i n ¢ •l)
[ 1 0 ] ,[ 8 ]は入手しにくいため.本節の内容を詳しく述べた単行本(本書の姉妹書に相当)として [ 9 ]
*2 )
を準備している. 正確には「弱正則曲面」というものを考える.[ 1 0 ]参照.
1 2 2
5 . ベックルンド変換
となる.
例 5 . 1 . 2(ベルトラミの擬球)
の1の3平面内の曲線(トラクトリクス)
の (1心 3 )=( s e c h u 1 , u 1-tanhu1) を X3軸の周りに回転させて得られる回転面
p ( u 1 ,u 2 )=( s e c hu 1c o s u 2 ,s e c hu 1s i nu 2 ,u 1-tanhu 1 )
( 5 . 1 )
をベルトラミの擬球(図 5 . 1 )とよぶ u=( u 1+u 2 ) / 2 ,v=( u 1-u 2 ) / 2とおく と( u , v )は漸近チェヴィシェフ網であり,ベルトラミの擬球はサイン・ゴルドン 方程式の解
< / J ( u ,v )=4tan―1exp(u+v ) を与える.この解はサイン・ゴルドン方程式の定常キンク解とよばれている.
図5 . 1 ベルトラミの擬球
定義(ベックルンド変換)
曲面 p(u1,u2):'D→ 酎 と D上で定義された単位ベ
クトル場 e ( u 1 , u 2 )に対し
p ( u 1 ,u 2 )=p ( u 1 ,u 2 )+Te ( u 1 ,u 2 ) と定める.ただし rは定数である. p:'D→炉が曲面を定め.さらに以下の条 件をみたすとき. Pを p のベックルンド変換とよぶ
1 2 3
5 . 1 曲面のベックルンド変換
1 )E ( u 1 , u 2 )は p ( u 1 , u 2 )と j , ( u 1 , u 2 )の両方に接する.
2 )j , ( u 1 ,u 2 )における単位法ベクトル n ( u 1 , u 2 )と p ( u 1 , u 2 )における単位法 ベクトル n ( u 1 , u 2 )のなす角は一定,すなわち(n ( u 1 , u 2 )I n ( u 1 , u 2 ) )=
c o s 0 ( u 1 , u 2 )で定まる函数 0は定数. 注意 5 . 1 . 3 曲面 p:V→
] E 3 と D 上で定義されたベクトル場
e ( u , v )で定まる直線の
集まり { p+teltE恥}を pを通る線叢とよぶ.とくに eが曲面 pに接するときこの
Cとして単位法ベクトル場 n を選べば 2.8節で扱った法線叢で
線叢を接線叢とよぶ.
ある.ベックルンド変換は定距離条件と定角条件をみたす特殊な接線叢である.
定理 5 . 1 . 4(ベックルンド, 1875) 曲面 p がベックルンド変換をもてば, p の ガウス曲率は負の一定値 K = ( s i n 0 / r ) 2をもつ.
ガウス曲率が負で一定という曲面の性質が「ベックルンド変換をもっ」という性 質で特徴づけられる.簡単のため k = - 1の場合にベックルンド変換の表示式を 与えておこう(条件 K=-lより r=s i n 0と選ぶことに注意).
定理 5 . 1 . 5 p:'D → 配 を 漸 近 チ ェ ヴ ィ シ ェ フ 網 ( u , v )で径数表示された K = - 1の曲面とする.このとき p のベックルンド変換 Pは
三 { c o s 2 s i n 2 2 c o s ( ¢ / 2 ) ( P ut ) s i n ( ¢ / 2 )( PU― 心 }
j,=p+
( ぷ / )
+
( る / )
で与えられ,(u , v )は Pの漸近チェヴィシェフ網である. ここでるは Pの ( u ,v ) に関する瀬近角であり¢とは次の関係にある.
羞 ( 彗 ) = tan;sin(ぶ; t ) , 羞 ( 竺 ) = cot;sin( 竺 ) .
( 5 . 2 )
連立偏微分方程式系 ( 5 . 2 )は曲面のことを忘れてしまって.「サイン・ゴルドン 方程式の解の変換」と思ってしまってよい.そこで ( 5 . 2 )をサイン・ゴルドン方程 式のベックルンド変換とよぶ.るを¢の定数角 0によるベックルンド変換とよぶ.
124
例 5 . 1 . 6(クエン曲面)
5 . ベックルンド変換
ベルトラミの擬球 ( 5 . 1 )の定数角 0= 町/2によるベック
ルンド変換 p ( u 1 , u 2 )=(ふ ( u 1 , u 2 ),西 ( u 1 ,u 2 ), 西( u 1 ,u 2 ) )は
2 c o s h ( u+v ) { c o s ( u-v)+( u-v-c )s i n ( u-v)} c o s 記 (u+v)+(u-v-c)2 2 c o s h ( u+v ) 西 = {s i n ( u-v )+( u-v-c )c o s ( u-v ) } c o s h 2 ( u+v )+ ( u-v-c ) 2 2 s i n h ( 2 ( u+v ) ) 西= U +V c o s 記 (u+v)+(u-v-c)2 函=
と求められる( cは定数).また漸近角は
。 じ
e f > ( u ,v )=4tan―1
)
U S t u v + + V }
で与えられる.この曲面はビアンキがベックルンド変換によって求めた.この曲 面の石膏模型を最初に作ったクエン ( K u e n )にちなみクエン曲面(図 5 . 2 ) とよば れている.
図5 . 2 クエン曲面
5 .1 曲面のベックルンド変換
125
図5 . 3 クエン曲面の石脅模型 (模型所蔵:東京大学大学院数理科学研究科, レプリカ所蔵・画像提供:東京大 学総合研究博物館)
クエン曲面の石膏模型を東京大学大学院数理科学研究科で見ることができる(図
5 . 3 ) . さて, ¢ ( u , v )をサイン・ゴルドン方程式の解とする.相異なる定数角 0 1と 恥 に対し, 0 1による¢のベックルンド変換をか,恥によるベックルンド変換を釦 とする.
/か\ ふ}
如=如=:忍 \如/ 図5 . 4 ピアンキの可換律・ラム図式
次の公式が導ける.
命題 5 . 1 . 7(非線型重ね合わせの公式)
4 t a n二 ($ t a n ¥ ) ・
¢=q >+
―1
5 . ベックルンド変換
126
次節ではベックルンド変換を改変して平均曲率一定曲面の変換を与える.
5.2 ビアンキーベックルンド変換 前の節で見たようにベックルンド変換は負定曲率曲面にしか存在しない.平均 曲率一定曲面に対してもベックルンド変換のような構成法を期待したい. 2 . 8節で 示したように平均曲率一定曲面は平行曲面をとり正定曲率曲面に変換することが できた.そこでまず正定曲率曲面に対しベックルンド変換を考えることにしよう. ビアンキは接線叢を複素化するというアイディアを用いた.
5.2.1 正定曲率曲面のビアンキーベックルンド変換 単連結領域ゎで定義され曲率線座標系 ( x , y )で径数表示された正定曲率 K = l の曲面 PK :V→炉を用意しよう.以下では P は原点( 0 , 0 )を含む配内の単連 結領域とする.
PK の第一.第二基本形式は次で与えられる
号
号 紺 ,
h=cosh2 d丑+ sinh2
塁
( 2 .8節参照).
菜
り
恥=一s i n h c o s h ( d 丑+ dy
( 5 . 3 )
ガウスーコダッチ方程式は s inh-Gordon方程式 叫
+Wyy+sinhw =0
( 5 . 4 )
x
をみたしている.ここで
1
€1
) p K =cosh号f8 x'
l
€2
opK
=-—
s i n h号 8y'
€3
=El X €2 =n K
とおくと {€1,€2,€3} は PK に沿って定義された正規直交基底の場.すなわち. これらを並べてできる行列値函数 (€1 €2€3) は D で定義され 0(3) に値をもつ.
( C 1€咋3) を PK の (x,y) に関する正規直交標構場とよぶ D 上の複素数値函数 < p ( x , y )と複素数 rを用いて PK:'D→ さ を PK=PK+r( c o s r . p白+ s i nr . pe 2 ) で定める.これを
( 5 . 5 )
PK を通る複素接線叢とよぶ.
和に対して正規直交標構に相当する複素行列値函数(€1 €2 函)を何らかの方法
5 . 2
ビアンキ—ベックルンド変換
1 2 7
で定め, PKに対しベックルンド変換をまねた次の条件を要請する* 3).
( i )接線叢に対応する条件,すなわち(PK-P K l e 3 )=(元k-Pk│る)= 0をみ たす. (ii) 定角条件に対応する条件,すなわち( €3| る)は一定.
この 2条件をみたすように rと c pを定めたい. まず u1= c o s咋 1+sin匹 2 ,U3= €3 とおこう.(uilui) =妬となるように
u2を選びたい* 4). それには u2= -sin匹 1+coscpe2とすればよい.(u1u2u3) は成分に複素数値函数が含まれた p の正規直交標構場と思える(複素化された正 規直交標構場とよぶ).
( u 1u匹 3 )から PKの複素化された正規直交標構場 ( e 1函函)を定めたい. U1 は PKと PKの双方に接するものとし,さらに ( e l e 3 )が定数になるようにしたい. それには
e 1= u1, e2= c o sau2+s i nau 3 , e3= -sinau2+c o saU3 と定めればよい. ここで aは複素数の定数である. このように定めれば(e 3 l e 3 )=
cosaは確かに定数である. dpK= (p 山 dx+(p山 dy= Ae1+Be2+Ce3 とおき ( 5 . 3 )を使うと
A =(cosh
竺+~ s i n ' P )dx2 2
T
s i n ' Pdy —入 sin'-P 如, 2 rwy W rw ェ B =― 了 COS(()曲 + s i n h~ + 了 c o s ' P )dy+rc o s ' P如 , (5 . 6 )
(
w 2
- . w 2
C= -rs i n h~ c o s ' Pdx-rc o s h~ s i n ' Pdy と計算される. したがって条件(i ) , すなわち(d p K l e 3 )= oは
s i nas i n< pA -s i nび cos0に対し
p1=p(uo+c : ,v o-c : ) , p2=p(uo+c : ,v o+c : ) , 氏=p (uo-c : ,v o+c : ) , p4=p(uo-c : ,v o-c : ) ,
とおく.これらをテイラー展開すると e2
p1=p ( u o ,v o )+c : { ( 8 u-8 v ) p } ( u o ,v o )+ ~{(8u -8ぷp} ( u o ,v o )+o ( c : , り 2
c か=p ( u o ,v o )+c : {( 8 u+8v)P} ( u o ,v o )+ ァ
p3=p ( u o , v o )-c : { ( 8 u-8 v ) p } ( u o , v o )+
他 + 鱈 p}(uo,vo)+o ( c : , り
f 偲—鱈p }(uo,vo)+o(c:, り 2
c
p4=p ( u o ,v o )-c : { ( 8 u+8 v ) p } ( u o ,v o )+了 {(au+汀 p} ( u o ,v o )+o ( c :り •18)
正方形に共形同値ということ.
9 . 可積分幾何へむけて
192
である.これを用いて C ( P 1 ,P 2 ,P 3 ,p4)を計算すると次の定理が証明できる. 定理 9 . 2 . 5 ( u , v )が等温曲率線座標系であるための必要十分条件は
C(P1,P2,P3,P4)=-1+o( 内 がすべての点 ( u o , v o )において成立することである.
これは「ケーリーの定義した等温曲面」の厳密な再定式化を与えている.ここま でくれば等温曲面の離散化がどうあるべきかは自ずと決まる.
定義(ボベンコーピンカール, 1996) 離散的なベクトル値函数 p:IL→ 炉 が す
べての n,mEZ に対し条件 C(p~,P閥+ 1 , p悶芯, P~+1)
=-1をみたすとき,差
分等温網 ( d i s c r e t ei s o t h e r m i cn e t )または差分等温曲面とよぶ.
このように定めれば,「差分等温網」が共形不変概念になっていることは明らか である.
定 義 差 分 等 温 網 p:L→ 酎 に 対 し
cp~+l _cp~
= p~+l -p~
IIP~+l - p 品1 1 2 '
cP~+l -cp~
P~+l -p~ I I P i + 1-Pi││2
=
で定まる差分等温網 cp~ を, p~ の双対差分等温網またはクリストッフェル変
換とよぶ
差分曲面に対し「曲率」をどう定義すればよいのだろうか.「平均曲率」の定義 に依存して様々な種類の「平均曲率一定離散曲面」が定義できるかもしれない. しかし我々は離散可積分系(差分方程式)に関心があり.そして連続理論(通常の 平均曲率一定曲面)と自然に結びつく系が欲しいのである.そうすると系 2 . 8 . 8に 着目すればよいことに気づく.
定義
差分等温網 p~ がすべての n,m に対し 11P~ -cp~ 1 1 2=1 /H2をみたす
9 .2 差分 CMC曲面
193
とき差分 C M C網 ( d i s c r e t eCMCn e t ) または平均曲率一定差分曲面 ( d i s c r e t e
CMCs u r f a c e ) とよぶ (H= /0は定数).
ここでは平均曲率の概念を導入することを避けて差分 CMC網を定義したことに 注意されたい* 19). 注意 9 . 2 . 6 大域リーマン幾何学において,非正曲率のリーマン多様体における比較定理 をもとに,曲率概念を用いずに, CAT(O)空間とよばれる非正曲率の距離空間を定める, 差分幾何については以下の文献を紹介しておく. •松浦望,曲線と曲面の差分幾何,九州大学応用力学研究所研究集会報告 22A0-88
( 2 0 1 1 ) ,6 2 7 4 .( h t t p : / / h d l . h a n d l e . n e t / 2 3 2 4 / 2 3 3 9 4 ) •松浦望曲線と曲面の差分幾何,日本応用数理学会論文誌 23(2013), n o .1 ,5 5 1 0 7 . •松浦望,曲線と曲面の差分幾何,応用数理 26(2016), n o .3 ,1 7 2 4 . •井ノロ順ー・太田泰広・覚三郎・梶原健司•松浦望[編],『離散可積分系・離散微分
幾何チュートリアル 2012 』,COEレクチャーノート 4 0 ,九州大学, 2 0 1 2 .
• W. Rossman, D i s c r e t e ConstantMean Curvature S u r f a c e sv i a Conserved Q u a n t i t i e s ,COEレクチャーノート 2 5 ,九州大学, 2 0 1 0 . • A.I .Bobenko,Y.B .S u r i s ,D i s c r e t eD i f f e r e n t i a lGeometry,GraduateS t u d i e s i nMath.9 8 ,Amer.Math.S o c . ,2 0 0 8 . 本書執筆中に広田良吾先生の訃報に接した.可積分幾何・差分幾何の研究を推 進するよう日頃から著者を励ましてくださった広田先生に本書を捧げたい.
*19)
接触球を用いて.等温とは限らない差分網に対し.平均曲率を定義することができる. A.I .B o b e n k o ,
U .P i n k a l l ,D i s c r e t i z a t i o no fs u r f a c e sa n di n t e g r a b l es y s t e m s ,i n :D i s c r e t eI n t e g r a b l e GeometryandP h y s i c s(A.I .B o b e n k o ,R.S e i l e r絹 ) , O x f o r dL e c t u r eS e r i e si nM a t h . Appl. 1 6 ,1 9 9 9 ,pp.3-58.
A ガウスーコダッチ方程式
命題 2 . 4 . 1の証明を与える.
まず
詈= i ( 図 だh£])=苫(ご妬+ gkl詈 ) と計算される.(2 . 8 )を使って Sjk;,'を計算する.
髯=
: 言 (二 ) +苫(I'応—はS叫 8
lgK
=こ(り:h… +gkm~) +言 (r応—はSM) 2
2
2
2
= 一 ど { こ (I'芹gk£+nりlm)hmj}+こ釘 珈OUmij+区 (r応—樗SH) l = l ~m=l 2 r2
J m=l
l = l lm=l
J m=l
=一叫こ (r芹g叫ri~炉) hmJ} +文,km8hmJ OUi 2
+
I :(贋lmhmj―は gkmhme) l = l
2
2
2
2
2
kmOhmj ー 区 r芹gklhmj― Lri~gkmh叫 = 区 9 8 m=l £ , m = l l , m = l 叩
2
=区 gkm~叩_区 gkm 心妬ー t m=l
OUi
l,m=l
gkmばh叩 l , m = l
=芦~gkm{~- 昇(rf,,,加+ r紐me)} 2
= 区 gk"'hm3;i m=l
£ = 1
A . ガウス—コダッチ方程式
195
したがって ( 2 . 1 7 ) 2
s 幻 ; i=L9kmh 四; i が得られた.
m=l
■
注意 A.0.7 リーマン曲率や第二基本形式の共変微分を第一基本形式 Iや第二基本形式
I Iのように径数(座標系)に依存しない量として定義したいときは
R= 区 R(.kij 如dujdUk~, ▽II = 8 u £ i , j , k = l
t
h i j ; kdu.如 duk i , j , k = l
2
と定める. また R幻 Kについては
L R t k i jd u i d u j d u k d u 1 , と定める.ロ i , j , k , l . = 1
注意 A.0.8 F =( P u ,Pu2n)に対し
(瓦ふ2=(Pu氾 1 U 2pU匹 氾 2nu凸 2 ) , ( F s 叫 ul= (PU1U四 1Pu匹 2Ul” 叫 1 ) であるから積分可能条件は
888p 888p 8u28u1a 妬. 8u18u28u1 888p 888p ---- - -=0 , 8u28u18u2 8u18u28u2 8 8n 8 8n - -- =0 8u28u1 8u18u2
- - --- - - -=0,
である.これらはガウスーコダッチ方程式と一致するはず.実際,ガウスの公式とワイ ンガルテンの公式を用いると,やや長い計算になるが次を確かめることができる.
888p 8uK8ui8uj
2
888p =区 (R 8 u i8uk8uj l = l
+( h i j ; k-h i k ; j ) n , 8 8n 珈 j8 ui
8p
に 加 Stk+h切 品 )8u£ 一
2
8p 8 8n =区炉(h幻;i-hki;j)一 8ui8uj k 8 u £ , l = l
以上より確かにガウスーコダッチ方程式が得られる.
B 問の略解
【 1.3節 ] 問1 . 3 .7 O ! i k= U i k曲 十 V i k d y ,/ 3 k j= P k j曲 十 qkjdyに対し n
n
k = l
k = l
区 aik^恥= L(Uik曲 十 Vikdy)A(PkjdX+Qkjdy) n
n
k = l
k = l
n
n
=区 UikPkjdXAdx+L u咽 +L
kjdXAdy
V i k P k j d yAdx+L V i k Q k j d yAdy k=l k = l
n
= L(Uikqkj-V i k四) dxAdy k=l n
=区 OikA/3kj• ロ
= (UQ-VP)iidxAdy
k = l
【 1.4節 】 問1 .4.7 1= detE= d e t( 項 ) detA= detAdetA= I detAl2 ょり.ロ
問1 .4.8 A = ( : :)とおく. A-1=可を書いてみると C
d
~ (~c
~b) =(; ; )
detA= 1であるから. d= 百 , c=-bが得られるので a =a,c= / 3と書き直せばよ
い.ロ 問 1.4.10 公式:
d ~ d e tF(u)= du
t
det(f1 ( u ) , . . . ,fj l( u ) ,f j ( u ) ,fi + 1( u ) , . . . ,fふ)).(B . 1 ) j = l
197
B . 問の略解 n
I . : t 田( u )た( u )であ
を利用すればよい. U (u)=(四 ( u ) )と成分表示すると f j ( u )=
i=l
るから
d
n
n
= 区
~ detF(u) d e t ( f1 ( u ) , . . . ,fj l( u ), L U i j ( u ) f ; ( u ) ,f H 1 ( u ) , . . . ,fふ)) du j = l i = l n
n
= 区 Ldet(f1(u),...,fj_1(u),印 (u)fi(u),fH1(u),...,fn(u)). j = l i = l
行列式の交代性 ( [ 3 2 ,系 3 . 1 9 ])に注意すれば n
d ~detF(u) =区 det(f 1 ( t ) , . . . ,fた 1 ( U ), U j j ( u ) f j ( u ) ,f j + 1 ( u ) ,• • •, fn ( u ) ) du j = l
( 文 回
=
j = l
)
( U ) d e t ( f 1 ( U ),...,い ( U ),f i ( U ),f J + 1 ( U ), . . . ,f n(U))
=trU(u)• detF(u). が得られる.ロ
【 1 . 5節 】 問1 . 5 . 6 [ 2 1 ,第 1章定理 7 . 1 ]参 照 □ 問1 . 5 . 9 K ( u )=r ( u )=~であるから. T(u) =(1-u2,2 u ,l+u り / { Jう(1+ 切}は u =( 0 , 0 ,1 )と定角をなす.実際 (T(u)lu)=1/ ✓豆 □ 問1 . 5 . 1 0 [ 2 1 ,第 1章定理 7 . 2 ]参 照 口 【 2 . 1節 】 問2 . 1 . 9 ラグランジュの公式
( r o 1X r o 2 I Y 1XY2)=( r o 1 I Y 1 ) ( r o 2 I Y 2 ) -の (1 I Y 2 ) ( r o 2 I Y 1 ) ,m 1 , r o 2 , Y 1 , Y 2E >~3 ( B . 2 ) を用いる.ロ
【 2 . 2節 】 問2 . 2 . 5 ガウスの公式
a2p
2
K .空ー +hiinの両辺と Pu、 の内積をとると =区 I'” 珈心U j 珈k
k = l 2
(p巧 u;IPu、 )=区
2
ri~ (PukI Put)= 区 I'2りg紅
k = l
k = l
解
B
問
198
の 略
この右辺を ( l ;i , j ]とおく. p叫 u ;= p巧 u ,であるから ( l ; i , j ]= ( l ; j , i ]が成り立つこと に注意
次に g i j= ( P叫P u i )の両辺を四で偏微分すると 詈 = (Pmu 、四) + (P Ui│p 巧u , )= [ j ; i , l ]+( i ; j , l ] . したがって
8 g j £ 8gu 8 g i j =[ f ; i , j ]+[ i ; f , j ] , =( R ; j , i ]+( j ; R , i ] , =[ j ; i , £ ]+[ i ; j , £ ] 8 u j 8ui 8ut より
1 8gj£, 8gu [ R . ; i , j ]=
8 g i j
土ご写―~)
2
を得る [ l ; i , j ]= 区 塙 g k £ の両辺に g叫!をかけて£について和をとってみると k = l 2
し) し)
2
/2
¥
2
/2
¥
2
I :I I :だ 9ekI n り= 区 2 . り k = 1汀 r
L9me l ; i , j ] 区 g叩 区 9£KE り=k tgme( ( l ; i , j ]= =t =1 いま得られた式 2
2
区 gm 軍 ;i , j ]= 区 8 k mI'i~ l = l k = l において m = lと選ぶと 2
2
こ沢 [£;i,j] =区鉗戊=針 r↓+吋 ri~ = ri~
£ = 1
k = l
を得る.同様に 2
こ炉[£;i ,j ]=r i ; £=2
を得る. 以上より
r2り=½2tgki( 知+知_釦) 珈 8 u 1 , i ・ OUj
i = l が導けた.この式からクリストッフェル記号は第一基本形式だけで決まることがわかる (すなわち内的量).ロ 2
で偏微分すると 問2 . 2 . 6 ま ず 区 gmkgM= 年 の 両 辺 を Uj.
k = l 2
区 8gmk 釦+立mk~=O
k = l珈
j
k = l
珈 j
B . 問の略解
t
199
を得る.この式を書き換えて
2 mk三
8gmk
k = l
珈 j
gM=—区 g
k = l
珈 j
_
2
8
= こ 戸珈 一j(p四四) k = l
2
=ー区 9叫
( p , .凸
j
k = l
四) + ( PukIPu 叫}
2
=ー区 g叫[£;k,j ]+[ k ;l ,j ] ) k = l 2
=—区 g呵£; k , j ]-I',月• k = l
以上の計算で
2 8gmk
こ k = 1珈
釦=一
j
2
L[f.;k,j]gmk-I',月
k , n = 1
が得られた.この両辺に g “ を掛けて£で和をとると
と竺,M 炉=一 t , m k r ら一 t , “ r g
k , l . = 1 8Uj
k = l
l = l
となるが
ご ( 言
呈 ご3 k 9 k 砧=苫8
9ktli)= 苫 ご3 k牡 = 詈
であることに注意すれば ( 2 . 8 )が得られる.ロ 問2 . 2 . 8 A は対称行列なので, A を対角化する直交行列 P がとれる. p-1AP=
( !~).ここで E > p (
0かつ G
> 0であることに注意.そこで Q = V i l
。 ) 炉 で 定 義 さ れ る . す る と tQ =Q, 0 忽 t(Q-1)= Q-1である. C の特性根入は特性方程式 d e t( 入E - C)= 0の解である をとる.汀は汀=
涅
が C =A-1B=Q-1Q→B であることを利用すると
d e t入 (E -C)=det(Q―1 入 (E-Q-1BQ-1)Q)=< l e t入 (E-Q-1BQー1 ) であるから入は QーlBQ-1の特性根. Q,Q-1,B はすべて対称行列なので QーlBQ-1 は対称行列, したがって特性根は実数.以上より C の特性根は実数.ロ 問 2 . 2 . 1 6 f ' ( u 1 ) 2 +g ' ( uヂ
= 1の両辺を U 1 で微分して f ' ( u 1 ) f " ( u 1 )+
g ' ( u 1 ) g " ( u 1 )=0を得るから(以下 ( u 1 )を省く)
B . 問の略解
200
)=
)
)=
(f’g”-f ” g 'g ' f ’ ( g ’ g ” )-f ’ ( g '2= -f'( f [ f ” )-f”(1-( f '2 ) を得るので
f ”
f "
I=dui+ f 2du~, II=-~dui + fg'du~. g
ゆえに p U1 は主曲率ー f "/g'に対応する主曲率ベクトル場.
Pu2 は g ' I fに対応する主
曲率ベクトル場.ロ 2
問 2.2.19 第三基本形式皿=
I :mが 加dujは i , j = l
言 (
皿=
言 叫
m,du11
,du;) = 亭
2( S k t p U K
2 ,)叫 dut
□
区
= t ts ぃ況 gM如 d巧 = (tgkm巳)( t g i , J = lk , i = l i , J , k , f = lm=l n=l 2
)gM如 duj
2
= 区 ( ど gkm釦) lnhmi知 duidu1 i , j , f , m , n = lk = l 2
=
L
2
的 genhmi知 d叩 d巧 =
i , j , f , m, n = l 、
と計算される.
L
hmihnj9mn如 duj i , J , m , n = l
したがって成分函数 JI[1] は
叫= ];him (tgmnhn])=ごい (I―1IIい=芦~ himS
叩
と書き換えられるから
叫 ) = (
h 1 1 h12) (S11 S12) h 2 1 h 2 2 S 2 1 S 2 2
( B . 3 )
= (h11 h12) (g11 g12) (hn h12) 2 2 g2 1 g2 2 h 2 1 h h 2 1 h 2 2 と計算できる.
I I I 1 1= hnhng11+2hnh12戸 + 加 h 1 2 g 2 2 を次のように書き換える.
I l l u= huhugu+2huh12g12+ h 1 2 h 1 2 g 2 2 1 = ~ {huhug22-2huh12g12+ h12h129u} d e t ( g i i ) 1
= ~ {huhug22-2huh12g12+ (huh22gu-huh22gu)+ h12h12gu}. d e t ( 9 i j )
B . 問の略解
2 0 1
ここに ( 2 . 9 )を代入すれば皿1 1= 2Hh11-Kg11 を得る. f i l 1 2 ,f i l 2 2についても同
様口
【 2.7節 】 問2 . 7 . 8 Q = -1/2となるように複素座標を変更すればよい.このとき H = 0 , Q = -1/2であるから弔= 1 ,CQ= 0なので cpは単位球面の一部を表す.ロ
【 2.8節 】 問2 . 8 . 1 まず柱面(例 2 . 1 . 2 ,例2 . 2 . 1 1 )p ( u 1 , u 2 )=(x 1( u 1 ) ,x 2 ( u 1 ) ,u 2 )の場合, p ( t ) ( u 1 , u 2 )=(エ 1(u1)+t 吟( u 1 )バ 砂( u 1 )-t 叫( u 1 ) , u 2 ) であるから, p ( t )が曲面であるとき,それは柱面である.たとえば円柱面 p ( u 1 , u 2 )=
( rc o s ( u i / r ) ,rs i n ( u i / r ),匹)に対し p(-1/(2H))= ( O , O , u 2 )は直線に退化してしま う.次に回転面(例 2 . 2 . 1 5 )の場合, U 1を弧長径数に選んでおくと p ( t )= ( ( f ( u 1 )-t g ' ( u 1 ) )c o su 2 ,( f( u 1 )-t g ' ( u 1 ) )s i nu 2 ,g ( u 1 )+t f ' ( u 1 ) ) であるからこれも回転面.球面 ( 2 . 1 ) に対し p(l/H) は例 2 . 2 . 1 3より p(l/H) =
p+(-p/r)/H=Oとなり 1点に退化してしまう.命題 2 . 8 . 5も参照のこと.ロ 問2 . 8 . 4 平行曲面は a ( t )+2 ( 3( t ) H ( t )+ y ( t ) K ( t )=0をみたす.ただし a ( t )=e a , ( 3 ( t )=(3+ t a ,y ( t )= e ( ' Y+ 2 ( 3 t+a t 2 ).判別式を計算すると a ( t ) ' Y ( t )-( 3 ( t ) 2= a yー炉.ロ 問 2.8.11 H(t 凡を計算すると H ( t ) u ;=
e{Hu;+t K u ;+炉 (HKU;-Hu3k)} ( 1-2tH+t2K)2
であるから,すべての tに対し H ( t )が一定←⇒H と K が一定.ロ
【 第 2章章末問題】 問題 2.2 両者をまとめて扱う.
叶 %1
硲=—+ C a2,b 2 , C =士 1とする.このとき
kを定数
として
A(u)= ( u ,c k b 2 u ,( 1+k 2 a 2 b 2 ) u 2/ a 2 ) , B(v)= ( k a 2 v ,v ,c ( l+k 2 a 2 b 2 ) v 2/ b 2 ) とおけば
A , . ( u ) = ( l , c k炉 ,2 ( 1+炉 a 2炉 )u / a 2 ) = J O , Bv(v)=(-ka2,l,2c(l+炉 a 2炉 )v /炉)# 0 . さらに Puxp 。 =( l+k%叩)(2(k-u/a2),-2(ku+c v / bり ,1 )であるから, c=+l
B . 問の略解
202
のときはどの Kについても p は曲面片. e= -1のときは k #士I / ( a b )と Kを選んで おけばよい.ロ 問題 2 . 3 x , yについての微分演算をそれぞれプライムとドットで表す.例 2 . 2 . 1 8 において f ( x ,y )= g ( x )+ h ( y ) と選べば W(x,y)=
~'(が+ h(02,
K=
{ g " ( x ) h ( y ) } / W ( x ,y )丸 H ={(I+k ( y ) 2 ) g " ( x )+(I+g ' ( x ) 2 ) h " ( y ) } / ( 2 W ( x , y ) 3 )
( B . 4 )
を得る.ロ 問題 2 . 4 前問の結果を用いる. H=0¢= ⇒( 1+k ( y ) 2 ) g " ( x )= -(1+g ' ( x戸 )h ( y ) . これを次のように書き換える.
g " ( x ) / { l+g ' ( x ) 2 }= h ( y ) / { l+k ( y ) 2 } . この式の左辺は xのみの函数.右辺は yのみの函数.ということは「左辺=右辺=定 数」しかない.この定数を aとおく. a=Oのときは f ( x , y )= Xと yの 1次式だか ら,この曲面は平面である.以下 a#Oとする.
J J adx=
' ( x ) ~ d x = t a n —1 g / l+g'(x)2
より t a n 1g ' ( x ) = ax + b 1 . したがって g ( x ) = J t a n ( a x+ b 1 ) dx = -a-1l o gI c o s ( a x+ b i ) I+ c 1 . 同様に h ( y )= a 1J o gI c o s ( a y+ b 2 ) I+ c 2を得る.
( b 1 ,b 2 ,c 1 ,c 2は積分定数). x,yの平行移動で b1=b2=0としてよい.また X 3軸方 向の平行移動により
C1 = C2 = Q
としてよいので
f ( x , y )= ~logl~I a--=I c o s ( a x ) を得る. f ( x ,y )は 冗 = ( {x ,y ) Ic o s ( a y ) /c o s ( a x )>0 }上の函数と考えられる.
Sm,n= { ( x , y )E 股2II x-m 1 r l